雑草
2013/09/20
人が鑑賞等のために意図的に植えたものが庭草なら、どこからか種子が飛来するなどして庭に勝手に生えやがった植物は雑草です。これは世間一般の定義と差異はないと思われます。雑草はもちろん育てている庭草にとってよろしくないものなので、引っこ抜く対象です。しかしながらその多くが見ていて可愛かったり興味深かったりするので、抜くのをためらうことが少なくありません。
現在の山岳地に引っ越してきてもうずいぶん長きになりますが、それ以前の平地生活とちがって、雑草といえどもなかなか珍しいものがいたりしてひじょうに楽しめます。ハイキングで山歩きをしていますと、珍しい野花に出会って感動するようなことは誰しも経験していると思いますが、筆者のような山暮らしですと、そういう感動が日常的になるわけです。とは言え、珍奇で綺麗な野草が、持ってきもしないのに勝手に生えやがることはそれほどないのですがね。少なくとも平地の都会化の進んだところにいた頃に比べると、日常的にはなかなか見れないような植物が庭に生えたり、近所の道端や空き地に出現したりします。なんて素敵なのでしょう。こうした野草と出会うと、珍しい虫に出会った時のように幸せな気分になります。
ただ、残念なのはそれを解ってくれる人が少ないってことですかね。アザミやスミレやツルニチニチソウなんかをスマホで撮って知人に見せても、たいていの場合が「どこにでも生えてる雑草だし」なんて反応なんですよね。インターネットでいろんな画像を見ている現代人は、珍しい草花の画像ていどでは感動しないんですかね。そりゃお花見のサクラも綺麗ですよ、感動しますよ。でもサクラから目を離して道端にヒメオドリコソウなんかを見つけた時も感動しません? めっちゃ可愛いですよね、ヒメオドリコソウ。名前からして萌えますよね。あたしゃサクラとヒメオドリコソウとどっちが好きと聞かれたら、後者と答えるのに迷いませんぜ。
人が家を建てたりアスファルトを敷いたりしていない場所は、どこもびっしりと緑で覆われているわけですが、それらがいわゆる雑草、我らが愛する小さな住人たちなわけですよ。アスファルトを敷いても小さなひび割れにわずかな土くれを見つけて自生する草花もいますよね。雑草のネットワークは、それこそインターネットや携帯電話の電波のように空間を埋めつくしていて、わずかでも土が存在すればそこに若葉萌え花咲くわけです。電波が弱いとつながらない携帯のように、日光の弱いところには不毛地帯が拡がったりとか。
身近な自然イコール雑草を、もっと多くの人たちに愛でていただきたいものです。そしたらこの世の中もなかなか綺麗でおしゃれに見えてくるってもんですよ。