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ナミヘビ

 ナミヘビという名のヘビはいません。専門家には当たり前のことですが、一般の方にはナミヘビなんて耳慣れない名称ですよね。筆者も初めてこの名称を知ったときには、並みヘビ? なんかバカにした表現だなぁ、なんて思いました。要するに普通のヘビってこのなのでしょうか。多くの毒ヘビを含むコブラ科やクサリヘビ科、大蛇で有名なボア科やニシキヘビ科にくらべると、ナミヘビの仲間は普通なのかもしれませんが、南極を除くすべての大陸に棲息するヘビの中で最も大所帯の科です。生態も形態も様々でじつにいろんなヘビがいます。
 アオダイショウやコーンスネークもナミヘビです。日本に棲息するヘビはおおむねナミヘビ科です。沖縄や南の島々には、ハブで知られるクサリヘビ科やウミヘビやハイの仲間といったコブラ科もいますけど。マムシは本州にいる唯一のクサリヘビ科です。あと外来種でシロアリなんかを食べるメクラヘビ科の仲間が日本にはいますね。まれにショップに出ていることもあります。
 南北アメリカ大陸に棲むボア科のヘビたちと、アフリカとアジアからオセアニアに分布するニシキヘビ(パイソン)科のヘビたちは近縁の仲間で、いくつかの仲間(科)と共にムカシヘビ上科としてまとめられています。一方、ナミヘビ科は、コブラ科やクサリヘビ科と共にヘビ上科にまとめられます。進化の過程では、ボアやニシキヘビよりもナミヘビの方がニュータイプなのです。で、同じニュータイプの中にコブラやクサリヘビが含まれるということは、ヘビは大型で獲物を絞め殺して捕食するタイプのものから、ハンティングに毒を用いるものが分化したということになります。
 ナミヘビの多くは無毒で獲物を絞め殺します。コーンスネークやキングスネークも獲物に襲いかかると瞬時にそれをグルグル巻きにし、窒息死させます。同じナミヘビ科でも、後牙類と言われる仲間は、獲物に深く噛みついて毒を注入し弱らせます。ペットとして人気のシシバナヘビという後牙類も、毒を持っていて獲物に巻きついたりしません。後牙類は奥歯に毒を持つので、深く噛まれなければ毒の被害に遇いませんし、シシバナヘビのように動作が緩慢で温和なヘビは、毒ヘビなのに飼育の規制がなくほぼ安全に飼えます。同じ後牙類でも日本に棲息するヤマカガシは俊敏で、毒の被害も実際にあり、特定動物として飼育が規制されています。
 ナミヘビには、むかしタイプのものから新しいものへの以降型までそろってるってことです。ヘビの進化のプロセスの中でのナミヘビの位置づけがなんとなく解りますよね。
 ヘビの進化と種類については、拙著「すねらぼ」をご参照ください。

すねらぼ=
http://momo.punyu.jp/damdam/hebi/mokuji.htm


 ということで本章では、アオダイショウとコーンスネーク以外のナミヘビについて記述して行くことにします。 

トラペコ産卵

2013/09/24


 筆者はこれまで、コーンスネークがヘビ飼育の入門編であるといったことを折に触れ述べてまいりましたが、じつはコーンスネークに噛まれた経験はかなりの回数になります。しかも充分に慣れて人を見ると寄ってくるような個体にしばしば噛まれています。コーンスネークはそれほど俊敏ではなくたいへん扱いやすいヘビなのではありますが、元気な個体はけっこう暴れん坊だったりしますし、神経質な個体はハンドリングできるようになってからも、しばらく間が開くと怖がって逃げようとします。まったく問題なくハンドリングできるようにするには、頻繁にかまってやる必要があります。
 マウスを与えようとしてケージのフタを開けたとたんに、飛び出してきたコーンスネークに何度噛まれたことか。マウスの匂いをプンプンさせた飼育者の指の方が、マウス本体よりも美味そうに思えるんでしょうね。ヘビは人の体温を感じ取りますから、匂いと体温を伴った人の指は、ご馳走そのものです。人の手でヘビにマウスを与える時は、丈の長いピンセットでマウスをヘビの鼻先に近づけ、自分の指を守らなければなりません。
 で、今回はトラペコのお話しなのですが、正しくはトランスペコラットスネークというこのヘビは、コーンスネークよりもおっとりしていて安全です。雌雄ペアでの飼育にも適していてけんかになることもありません。ラットスネークと名のつくものにはアグレッシブなやつが多い気がするのですが、こいつは番外です。けっして飛びついて来ないし、触ってもまったく警戒しません。されるがままです。じつは筆者がこのヘビに出会ったのが2年ほど前のことで、最初にメスを入手しそのあとオスを手に入れて同居させているのですが、雌雄とも本当におっとりしていて神経質なところがありません。この扱いやすさにはコーンスネークもかなわないでしょう。
 ただ、コーンスネークよりもいささか入手が困難であるうえに、初めて飼うヘビがこいつではちっともヘビの取り扱いに慣れないと思われるので、やはり入門編はコーンスネークを推します。
 そして去年の夏、このトラペコ君のベビーがめでたく誕生しました。自然孵化でした。雌雄を同居させておいたら勝手に産卵し、いつの間にか幼蛇が孵化していたという、飼育者の怠慢を指摘されそうな出来事でした。あるときケージを覗くと、ミニマムなトラペコがニョーッと首を出したのでビックリ仰天してケージの中をよく調べ、4頭の幼蛇を見つけたという次第です。空になった卵も4つでした。ウエットシェルターをあらかじめ用意しておいてよかったです。これがなければ、卵は乾燥に耐えられずに死去していたでしょう。
 この経験で判ったことは、ヘビの卵はそこそこの乾燥には耐えられるってことです。卵を親から隔離して管理する人工孵化では、かなりの高湿を保ちますが、今回のウェットシェルターは、こまめに管理していなかったので中のミズゴケがかなり乾いていました。

 さて、このトラペコ君のベビ太たち。親にも似せず超神経質で、人の気配がすると猛然と飛びかかってきます。そのアグレッシブぶりはラットスネークらしいと言えばそうで、コーンスネークでは見られない荒々しさです。これじゃ初心者には手に負えないでしょう。それまで成蛇しか見たことがなかったので、トラペコも最初から温和ってわけではなく、人に飼われて学習するのだってことを思い知りました。
 トラペコ君は、コーンより餌づけが困難です。ここも入門編に推せない理由の1つです。人を見ると寄ってくるほどに慣れるのに、人の手から餌をもらうようにはなかなかなりません。筆者が飼育中の成蛇ペアもいまだに置き餌している状態です。マウスを置いてやっても人が近くにいるとマウスを無視してこちらに寄ってきます。なんなんでしょうね。
 なので当然、幼蛇もマウスを食べてはくれません。野生では幼蛇は外温動物食でしょうしね。というわけで面倒な強制給餌をかなり長い期間続けなければなりません。人に慣れて飛びついて来なくなり、置き餌をコンスタントに食べるようになるのに丸々1年かかります。また、幼蛇は飲み水を覚えるのもなかなかです。狭い容器に大きな水入れを入れてやらないと、飲み水を見つけられずに脱水死します。けっこう簡単に死んでしまいます。じつは去年、脱水で2頭を死なせてしまいました。幼蛇には大きな水入れを用意するほか、霧吹きで頭に水をかけてやるのも有効です。ただ、これも最初は嫌がります。

 そして今年の8月23日、去年に続いて2度目の産卵がありました。トラペコの卵はコーンに比べるとかなり大きく、生まれる幼蛇も大きいのでマウスのSサイズを始めから飲めるので楽です。今回の産卵数は5つ。発見したときには、メスがまだシェルターの中にいました。抱卵しているというより卵の周りにとぐろを巻いているって感じでした。メスをシェルターから出して、卵を隔離しました。メスは卵から引き離されても無抵抗でした。シェルターをケージから取り除き、数日後に給餌すると、メスはすぐに採餌しました。
 今からだと、孵化は秋になりますが、また強制給餌で忙しくなります。無事に生まれればの話しですが。


 ↑ 産卵直後のトランスペコラットスネークのメスと卵


 ↑ コーンスネークの卵(右群)との比較。コーンの卵は産卵後60日を経てずいぶん膨らんだもの。それと比べてもトランスペコラットスネークの卵は大きい。しかも産卵直後の卵だ。

トラペコの両親

2013/10/12


 前回は、産卵の話しをしましたが、孵化までまだ少し時間がかかるようなので、その間にトラペコの両親の話しをしておきましょう。
 トランスペコスラットスネーク。サバクナメラの別称を持つアメリカ合衆国の南西部に棲息するラットスネークです。その別称とは裏腹に、アオダイショウやコーンスネークなどのナメラ属とは異なる属に分類されています。
 頭部は高さがありその頂上にまん丸の目玉がよく目立ち、とても愛嬌のあるルックスをしています。これほど目玉が目立つヘビも珍しいです。可愛い風貌のくせにじつはひじょうに獰猛という動物は爬虫類や魚類の中には少なくありませんが、本種はその風貌どおりの優しいヘビです。
 筆者は、爬虫類を飼い始めて以来ずっと、コーンスネークが最も扱いやすいと思ってまいりましたが、2年前に本種と出会ってからその考えを訂正しなくてはならなくなりました。人によく慣れ、飼育者の気配がすると寄ってくるようになるのはもとより、ハンドリングをまったく警戒しません。いかなコーンと言えども不意打ち的に触ると、ピクッと驚いた反応をするものですが、本種はまったく動じません。頭から手を近づけても動じないほどです。
 ただ、人の手から餌をもらうのが苦手みたいで、給餌はどうしても置き餌になってしまいます。餌を差し出すと興味を示すのですがなかなか噛みつこうとせず、しまいには飼育者の方にどんどん近づいてくるしまつ。いったい何がしたいんでしょうね。かと言って餌食いが悪いわけではなく、拒食することはあまりありません。飼育環境に慣れるまでは、置き餌を見つけられずに、それが拒食と見なされてしまうことはありますが。
 2年前の夏にメスの成蛇を入手し、その秋に一回り小さいオスを入手して同居させたところ、1年前の夏に自然孵化により4頭の幼蛇が生まれました。メスがあまりに人懐っこく、オスは導入当時そうでもなかったので、このメスが特別なのかとも思ったのですが、やがてオスも同じようによく馴れました。ただ、これまでに人の手から直接餌を食べたのはメスのみで、それも数回のみです。ハンドリングに関しては雌雄共に同じように良好で、この性格は本種に共通するものと思ってまちがいないでしょう。


 ↑ 飼育中のトランスペコスラットスネークのペア。右の頭がメス。オスは胴体後部になるにつれて模様が黒くなり、その他の部分が白くなる。メスは一貫して黄色味が強く、模様も黒くならない。オスは黄色色素が減退するアザンティックの傾向が見られる。

 昨年、自然孵化により得られた幼蛇たちは、両親とは似ても似つかぬ性格で、人を見ると逃げ回り、手を近づけると果敢に攻撃してきました。幼蛇のうちはトラペコもこんなもんです。マウスを餌と認識することもできず、広いケージでは飲み水も見つけられません。初心者が育てるには、ある程度成長し餌づいた個体が良いでしょう。
 去年は4頭が孵化しましたが、今年は全部無事に孵ると5頭になります。強制給餌を含め世話がたいへんです。さまざまな色あいの子が生まれるといいな、と期待しているところです。

ホッグノーズ

2013/11/21


 ホッグノーズは、和名をシシバナヘビと言い、口吻の先端がとがってちょっと豚鼻みたいで大変可愛らしい顔つきをしています。基本的にカエルや小さなトカゲ等を食する温厚なヘビなのですが、食性の幅が広いウェスタンホッグノーズ(セイブシシバナヘビ)は、マウスに餌づきやすくポピュラー種として大量に流通しています。
 シシバナヘビ属自体は、北アメリカ大陸を中心にカナダ南部からメキシコ北部まで広く分布し、トウブシシバナヘビ、ナンブシシバナヘビ等がいます。ウェスタンが最大種で150cmくらいまで育つ個体も存在し、最小種のサザンでは50cmそこそこです。ショップで、トリカラーホッグノーズやメキシカンホッグノーズというのを見たことがあるのですが、これらが種名なのか改良品種なのかは筆者には判りません。


 ↑ シシバナヘビ属で最もポピュラーで飼いやすいウェスタンホッグノーズの幼蛇。

 ひじょうに温厚で飼いやすく、馴れればハンドリングも容易になりますが、そうなるためには根気よく付き合う必要があります。ウェスタンホッグノーズは、生後少し経過しマウスへの餌づけも完了しているCB個体がよく流通しており、初心者にも飼いやすいです。それでも幼蛇はかなり神経質で、触ろうとするとシューシューと噴気音を鳴らして威嚇してきます。動きは緩慢で飛びついて来ることもあまりないので、威嚇してきてもそっと持ってしまえばハンドリングも可能なのですが、後牙類なので一応有毒です。本種に噛まれることは少ないものの、噛まれて毒を注入されると激しい痛みと患部の腫れを伴います。


 ↑ ウェスタンホッグノーズの頭部。とがった口吻とまん丸の目が可愛い。

 後牙類は、ナミヘビ科に属するヘビの中の有毒種で、口内の奥の方の歯で毒を注入するので、深く噛まれなければ大丈夫ですし、噛みついて毒で攻撃する習性を持つ種はあまりいませんから、有毒でありながら特定動物の指定を受けておらず、飼育に制限はありません。ただ、日本にも棲息するヤマカガシは動きがひじょうに素早く、噛まれて人が死亡した例もあり、ナミヘビ科の後牙類でありながら飼育には制限があります。最近ではヤマカガシ等をユウダ科としてナミヘビ科から独立させる考え方が主流になりつつあるようで、後牙類の定義は、一群のヘビを差すというよりも毒ヘビの口器の構造による分け方といった感じです。


 ↑ 脱け殻にも模様がある。

 本種は、獲物に毒を注入することによって獲物の動きを止めて飲み込みやすくする、毒ヘビとしては原始的な位置づけで、こうした仲間から獰猛で危険な毒ヘビが進化して行ったのでしょう。ユウダ科のヘビは、毒を攻撃にも使い始めた進化型で、そこからクサリヘビ科、コブラ科といった危ないヘビたちが分化して行ったと思われます。
 後牙類の多くは、普通に俊敏で、獲物に飛びついて仕留めますが、本種は飼育下でこの動作を見たことがありません。ゆっくりと獲物に近づき、あんぐりと口を開けてくわえ込みます。こんなやり方で自然界で上手く狩りができるのでしょうか。飼育下ではマウスの死骸に馴れさせるため、なおさら動きが緩慢になるのかもしれませんが、ホッグノーズが優秀なハンターであるとはとても思えません。ゆっくりとした変化の少ない直線的な動きで獲物に近づき、気づかれる前にくわえ込んでしまうという狩猟方法が、カエルやトカゲには案外有効なのでしょうか。動かないものを視認しないカエルや夜行性のヤモリなどは、昼間はぼんやりしていてホッグノーズの接近になかなか気づかないのかもしれませんね。
 ホッグノーズの直線的な動きを、イモムシのようだと表現する人もいます。確かに本種がS字に身をくねらせて迅速に動くところはあまり見ません。危険を感じると一応あわてて逃げますが、それほど素早くなく、逃げられないと思うと擬死行動をとることがあります。腹を上にして動かなくなり、総排泄孔から悪臭を発するそうですが、筆者の経験ではこれを観察できた機会はひじょうに少なく、悪臭はほとんど感じませんでした。


 ↑ 擬死行動の様子。口を大きく開けることも多いらしい。

 ホッグノーズは基本的には、ヒキガエル食いだと言われています。イースタンやサザンはとくにこの傾向が強く、ウェスタンだは食性が広くて小さな爬虫類や鳥類、哺乳類も襲うほか死骸も食べるようで、飼育下でのマウスへの餌づけも最も簡単です。もっとも簡単と言うものの、他の多くのナミヘビに比べるとかなり手こずる方で、餌づけの前に飼育者と飼育環境に慣れさせることが先決です。
 ショップで餌づけ済みとして販売されている個体でも、買って帰って環境が変わると食べなくなってしまうことも少なくなく、飼育者を心配させます。ただ、ショップでコンスタントに食べていた個体であればいずれは餌づいてくれます。



 飼い始めたばかりのうちは、小さめのマウスを与える方がよいでしょう。ラットスネークやキングスネークのように、猛然と襲いかかって締め上げることはまずしないので、大きなマウスは怖がります。また、ヘビを落ち着かせるにはシェルターの使用が有効であるというのが定説のように言われますが、これも諸刃の剣で、シェルターにこもりグセがついたおかげでなかなか飼育者に馴れてくれないこともあります。とは言うものの、まずシェルターで落ち着かせ、その出入り口付近に置き餌することで餌に馴れさせるのが良策にはちがいないのですが。
 筆者の場合は、1メートルを越えるサイズになるヘビには、繁殖用以外にはシェルターを用いないことが多いです。コーンやキング、ラットスネーク、ゴーファ、コーチウィップやボアやパイソンの仲間にはほとんどシェルターを使ってきませんでした。小型のハウススネークやガータースネーク、ツヤヘビなどにはシェルターは有効でした。あとロイヤルパイソンも個体によりシェルターがあった方が良好なものが多かったです。
 本種に関しては、床材を敷いて大きめの水入れを置くだけのレイアウトで飼い、とりあえず頻繁にかまってやって飼育者に馴れさせるという方法をとって来ました。野生でも食性の関係で水辺付近に棲むことが多いと思われるので、水入れは大きめにした方が良いですね。飼育下では水を飲んだり水浴したりする姿をよく見かけます。


 ↑ 水を飲んでいるところ。

 飼育者と飼育環境に充分馴化したホッグノーズは、とても飼いやすいヘビです。イースタンでもそうらしいですよ。しかしながら、彼らは季節感で拒食に至る習性があって、急に気温が低下するようなことがあると、寒冷な季節のスイッチが入ってしまうことがよくあります。ロイヤルパイソンでは、冬期の休眠が繁殖には重要になるのですが、本種はまだ冬が遠いのに雨や曇天続きの低温でやすやすと拒食スイッチが入ってしまい、暖かくしてやっても食欲が戻らないことがよくあります。とくにオスの拒食は深刻な場合が少なくなく、このまま衰弱してしまうことさえあります。無理に食べさせようとすると、せっかく馴れた飼育者を怖がるようになり、まったく手に負えません。
 ヘビの場合、拒食には高温の維持と強制給餌が有効な場合が多いのですが、筆者は、深刻な拒食状態のオスに強制給餌を行なって死なせてしまったことがあるので、それも難しいです。
 オスの飼育については、とにかく落ち着かせてやり、飼育者に充分に馴れさせることと、飼育温度の急な低下を避けることが重要です。一度拒食モードに入ってしまうと、なかなかそれが解除されず、あせって飼育温度を高温に保とうとすると、代謝が活発になって体力を消耗し痩せてしまいます。拒食が続いてどうしようもないと判断したら、逆に低温の環境に置いてやり、代謝を抑えて消耗を防ぎます。充分に時間をかけて低温に馴らしてから、徐々に高温に戻すのがよいでしょう。ただ、これも言うが易しで上手く行かないことが多いですけどね。
 その点、メスは人にも早く慣れますし食欲も旺盛ですし、世話が楽な場合が多いですね。冬期に拒食しても、春になれば食欲が戻ります。筆者が現在飼育中のメスは、加温状態で11月下旬の今もモリモリ食べています。
 雌雄とも大きく育って、飼育者を見ると寄ってくるくらいになれば安心ですが、それでもオスは油断できません。可愛い容姿とゆっくりとした動きは、ヘビが苦手な方でさえ微笑ませるほどなのですが、安心して飼えるようになるまでにかなり苦労が要ります。

トラペコの孵化

2013/11/24


 8月23日に産卵されたトランスペコスラットスネークの卵が本日ようやく孵化しました。じつに93日ぶりです。これまで筆者のところで孵化したコーンスネークたちに比べると丸まる1ヶ月よけいにかかっています。卵も大きいし生まれてきた幼蛇もコーンに比べて大きいのですが、それにしてもかかりすぎでしょう。原因はおそらく卵の管理温度が充分じゃなかったからだと思います。10月末から爬虫類を飼っている温室はヒーターを使用していましたが、それでも夏に孵化するヘビたちに比べると低温でした。筆者はインキュベーター(孵化器)とか使用しないので、仕方ないですね。


 ↑ 産卵後80日経過した卵。産卵直後に比べると少し丸みを帯びているが、コーンスネークの卵のように見違えて膨らんでいるということはない。

 じつは去年も同じペアで4頭の幼蛇が孵化したのですが、去年は筆者が知らない間に産卵し、その後も母親の管理に任せたままの、俗に言う自然孵化だったので、孵化に要した日数を把握できていません。去年も秋の孵化でした。筆者の家ではコーンに比べてトラペコは孵化がかなり遅い傾向にあります。今年はとくに遅かったですけど。


 ↑ 孵化直後の様子。

 やっぱ孵化直後の幼蛇は可愛いですね。と言ってもコーンスネークに比べるとかなり大きく、すでにマウスSサイズをやすやすと飲める大きさがあります。母親は黄色が強く、父親は黄色みがほとんどなくて黒い模様がクッキリしていますが、幼蛇たちは淡い藤色をしています。



 去年は4卵のうち4頭が孵化しましたが、今年は産卵数5つに対して孵化したのは4頭でした。孵らなかった卵を切開してみると、胚は育っておりきれいな血管も見えました。そのままにしておけば遅れて孵化したのでしょうか。ヘビの幼蛇はすべてが一斉に孵化するのが普通です。遅れて孵化する個体もいるのでしょうか。筆者はそうした事例を経験したことがありませんが。


 ↑ 孵らなかった卵を切開してみると、胚が育っておりきれいな血管も見えた。

 切開した卵は放棄せず、保湿状態を高くして引き続き管理することにしました。と言うのも2001年に筆者は同じようなケースを経験しており、その時はその日の夜に切開した卵から幼蛇が這い出してきて、その後も正常に育ったからです。その事例ではコーンスネークでしたが。


 ↑ 2001年にコーンスネークの未孵化卵を切開したもの。他の幼蛇たちは早朝に孵化したが、この卵は同日の夜になって幼蛇が這い出してきた。

 去年のトラペコの幼蛇たちは、孵化直後から大きめのケージで育てたのですが、今回は小さなケージにしました。去年は大きなケージの中で飲み水を見つけられず、4頭とも脱水症状で衰弱してしまうという苦い経験に遇ったからです。衰弱した幼蛇たちはスプレーで水を飲ませなければならず、世話が大変でした。


 ↑ 幼蛇を飼育用のケージに移したところ。

 今回は15cmのプラケースを使用し、床面積の半分以上を占める大きめの水入れを用意しました。加えて水入れを床材に埋め込むようにして、水面と床面の高さがあまり変わらないようにしました。これで幼蛇は飲み水を見つけやすくなるはずです。
 それでも完璧ではないと思っています。というのも中には水入れと床材の隙間に潜り込んでしまう個体もいたからです。目の前に水入れがあるのに、そこに飲み水があると気づいてはいないようです。幼蛇の世話は、餌づけに終始するように思われがちですが、それ以上に飲み水を教えてやらねばなりません。



 せっかくなので、去年の幼蛇たち、両親のいるケージの中のシェルターで自然孵化を迎えた子たちの写真も記載しておきましょうか。


 ↑ 去年の幼蛇。卵が産み落とされたシェルターの中にとどまっていた個体。卵には寄生バチの蛹がたくさん付着しているが、害はなかったようだ。


 ↑ 飼育用のケージに移した幼蛇たち。去年はこのサイズのケージと水入れで飼育し、飲み水を覚えず脱水症状に陥ってしまった。写真では矢印のところに頭が全部で4つ見えるが、実際には1頭ずつ個別飼育した。


 ↑ 去年の幼蛇の咬蛇ポーズ。人が近づくと飛びかかってきた。成蛇たちはコーンスネークよりも温厚でまったく人を怖がらないのに、幼蛇のうちは警戒心が強い。


 これから季節は冬になりますが、幼蛇たちはもちろん冬眠させません。小さな幼蛇たちにとって最初の冬は危険です。飼育下ではとにかくマウスに餌づけすることと、飲み水を覚えさせることが先決です。
 人なつっこく物おじしないトランスペコスラットスネークですが、成蛇でも人の手から直接採餌するようになるのに3年ばかりかかりました。人を見ると寄ってくるようになるのにはそれほど時間がかからなかったのですが、なぜだか差し出されたマウスに食いつこうとせず、置き餌しか食べない状態が長く続きました。オスは今でも置き餌しか食べません。こんなヘビの幼蛇にマウスを覚えさせるのにはどれくらいかかるのでしょう。ラットスネークであっても幼蛇のうちは野生では変温動物食いにちがいないので、なおさらです。餌づけに関してはコーンスネークのようなわけにはゆかないと思います。これからまた強制給餌の日々が続きます。少しばかり憂鬱です。

サンディエゴゴーファスネーク

2013/12/27


 アメリカの乾燥地帯に棲息するヘビで、同じ土地に棲むガラガラヘビの仲間と間違われて殺されることも多いそうです。中にはガラガラヘビとそっくりな噴気音を発する個体もいるようですが、ガラガラヘビに擬態した結果が、間違って殺されるのでは逆効果ですね。
 パインスネーク属のヘビは、コーンスネークと共にアメリカを代表するナミヘビといった存在なのに、分類がけっこう混沌としていて多数の亜種が記述されています。アメリカ東部に棲息し体に大きな斑紋を持つものがパインスネーク、西部に分布し細かな斑紋を持つものがゴーファスネーク、中米を経てメキシコ北部にまで分布する大型のヘビがブルスネークというのが、おおまかで判りやすい区分になるでしょうか。その中でもゴーファの仲間は美しいものが多く、長命であると言われています。ゴーファ自身も多数の亜種に分けられますが、本種サンディエゴゴーファは、カリフォルニア沿岸からバハカリフォルニアに棲息し、120cm〜150cmくらいになります。



 筆者が2003年に入手したペアは、雌雄共にアルビノで、生後半年くらいのアメリカ現地CBでした。そのあまりの美しさに時の経過を忘れて目を奪われたほどです。全身赤と黄色と白の斑模様なのですが、頭部は淡い色で首の後ろ当たりから赤が乗って下半身から尾部は赤が抜け落ちるという、体の部位によって変化があります。気性は荒々しく入手したばかりの頃は人を見ると噴気音を立て、咬蛇ポーズを取りますが、それとは裏腹に体の色調は優美です。



 最初はマウスを差し出しても飛びつきませんでしたが、置き餌にしておくと食べていました。そして人の手から採餌するようになるまで、すぐでした。飼育を初めてからヶ月もすると人を見ると寄ってくるほどに馴化しました。



 パインスネークの仲間は昼行性が強いと聞いたことがあります。そのせいか人の気配を感じて寄ってくる反応が他のヘビたちよりも早い気がしました。目の上にひさしがあるせいで、正面から見た顔は目つきが悪いです。でも臆することなく人に寄ってくる様はなんだか似合ってない感じで、飼育開始の頃のアグレッシブな感じが懐かしかったり。



 ハンドリングは、このヘビに関してはあまりやりたくなかったです。ケージのフタを開けると、給餌を待てない様子で飛び出してきますし、勢いあまって噛みつかれることもしばしば。口器は大きく力が強いので、噛まれると歯形が残り流血します。とりあえず噛みついてみるところは、キングスネークに似てますかね。掃除等で捕まえなくてはならない時は、餌をくわえさせておきました。



 大きくなるヘビなので、最初は手のひらに乗るくらいだったのが、筆者の身長を越える長さになるのに1年もかかりませんでした。コーンスネークたちはすぐに追い越されてしまいました。成蛇になる前にハンドリング自在にしたかったのですが、とにかく噛みつきたがるのでそれはあきらめました。
 それでも気の荒いパイソンの仲間に馴れている人にとっては、このヘビはそれほど扱いにくいということはないはずで、日中によく動き、人にもよく馴れ餌食いも良いので、むしろ扱いやすいのではないでしょうか。



 飼育を始めて2年くらいでメスが突然死んでしまい、繁殖への夢が途絶えてしまったのですが、また機会があれば大きなケージでゆったりと飼って、繁殖にも挑戦したいと思っています。

スペックルドキングスネーク

2013/12/31


 イリノイ州南西部からアイオワ州、テキサス州、アラバマ州の高地から森林、大草原に棲息するキングスネークです。全長90〜120cmていどとそれほど大きくはなりませんが、野生ではキングスネークの名に相応しく多くの毒ヘビを捕食します。ノーマルタイプでは、黒地に細かい黄色模様になりますが、2003年に筆者が入手した幼蛇は、典型的なアルビノで黒色色素はまったくなく、白い体に黄色模様でした。



 たいへん気が荒く、人を見ると猛然と飛びついてくるのは、何年飼っても変わりませんでした。小型のヘビなので飼育するうえでそれが脅威になることはありませんでしたが。そもそもキングスネーク属の多くが、とりあえず飛びついてくるので、無条件でハンドリングしようって気はなかったですけどね。2013現在飼育中のプレーリーキングも、とりあえず飛びついてきますから、給餌以外のハンドリングは面倒なのでやりません。ただ、スペックルドとちがってプレーリーの場合は貪食なゆえに、とりあえず飛びついてくるので、飼育者を恐れる様子はまったくなく、人を見ると寄ってきます。このプレーリーの行動が、キングスネーク属では一般的で、筆者が飼っていたスペックルドのような怒りん坊は例外的だと思われます。



 スペックルドはもともとがヘビ食いなので、入手した当時はマウスに餌づいていませんでした。強制給餌によってマウスに餌づかせるのに、3ヶ月くらいはかかりました。咬蛇ポーズをとり、猛然と飛びかかってくる幼蛇を、ピンセットでつかみとり、首根っこを押さえてホールドします。幼蛇のサイズが小さくピンクマウスのいちばん小さなものでも飲めないありさまだったので、最初のうちはマウスの尻尾や、ピンクマウスの頭を与えていました。これでは栄養的に充分ではない気がします。幼蛇の成長を待つよりも、徐々に大きなものを飲むことに馴れさせながら、なるべく早いうちにピンクマウス1頭を飲ませるようにしてゆきました。


 ↑ 強制給餌によりマウスの尻尾を食べさせているところ。

 強制給餌というのは、あまり楽しいものではありませんよ。気の荒い幼蛇を押さえ込むのにまず一苦労。押さえ込んでからでも幼蛇は胴の長さにものをいわせて必死に抵抗します。排泄口から糞尿を出すこともしばしば。アオダイショウの幼蛇などでは、悪臭を伴う液を排出して攻撃してきます。筆者的にはそれにはまったく動じませんが、押さえ込んだ頭を胴部でグルグル巻く抵抗には難儀します。あまり強く押さえつけると窒息させるか頸椎を傷めるかしてしまいますし、手をゆるめると逃げられてしまいます。
 口を開けさせるのも一苦労。名刺かなにかを差し入れて開けさせるのが良いと、専門書等にはありますが、筆者の場合はマウスの頭を押しつけて無理やり開口させ、一気に押し込んでしまいます。幼蛇は首を曲げたりねじったりして抵抗するので、多くの場合やわらかいマウスの皮膚が破れて内臓が飛び出します。大切な栄養が……。
 幼蛇の口器や喉を傷つけないように、竹ピンセットや割り箸を使うのが良いとも専門書にありますが、筆者の経験では、先の細い金属製のピンセットがいちばん使いやすいです。ただし先の尖ったものは不可です。容易に幼蛇の喉を突き破ります。先が丸いピンセットでマウスの首根っこをしっかり押さえ、先端がマウスの頭部になるようにし、そのまま喉の奥まで導きます。この方法が内臓飛び出し事件を最小にできます。ただし、幼蛇の喉を傷つけないように細心の注意が必要です。


 ↑ 咬蛇ポーズ。写真で見ると愛嬌があるが、実際にはひじょうに荒々しい。

 この荒々しい幼蛇との付き合いは、筆者を強制給餌の名人にしてくれました。おかげで様々なヘビへの強制給餌を手早く安全にこなせるようになり、たくさんの子ヘビが生まれても、1頭の強制給餌に2分もかからないので、幼蛇の世話が憂鬱ではなくなりました。いろんな器具や方法を試しましたが、結局のところはごくありふれた小型のピンセットがベストアイテムでした。



 このヘビに関しては、マウスに餌づいてからの方が注意が必要でしたね。とりあえず飛びついてくるので、マウスにうまく命中してくれないと手を噛まれることになります。無事にマウスをくわえこんでからでもまだ抵抗を試みようとするので、それでマウスを落としてしまって噛みついてくることもありました。なんでこんなに怒りん坊なんでしょうか。
 マウスに餌づいてからでも飼育者を寄せつけない偏屈者は、筆者の経験ではバイパーボアやモイラヘビ、ゴールドベリーツヤヘビ、ブラッドパイソンなんかがそうでしたね。それでも嫌いになれないところがツラいというか……。

ネルソンミルクスネーク

2013/12/31


 キングスネーク属の中でもミルクの名のつくものは神経質なものが多い、それが10年前では定説でした。しかしこうした説は月日の経過と共に覆ります。かつては飼育が困難で長期飼育はもとより餌づけすら容易でないとされていた種が、今ではCBが出回り、飼いやすいヘビの仲間入りという例さえあるほどです。多くのマニアや専門家のたゆまぬ努力が、日々常識を塗り替えてゆくというわけです。



 ミルクスネークは、他のキングスネーク属とは異なり、ミルクと名のつくものすべてが1種の中の亜種になります。赤黒黄のトリカラーが基本で、バンドの幅や形状にさまざまなバリエーションがあります。1種にして25ばかりの亜種が生じるのは、本種が広域に適応放散した結果です。彼らはまた猛毒を有するサンゴヘビに擬態しており、一見しただけでは見分けがつかないほど似ているものがいます。そのせいで毒ヘビと間違えられて人間に殺されたりしないのでしょうか。



 2002年に、CBのあるていど育ったペアを入手したのですが、飼い始めた頃は当時の定説にたがわず雌雄とも臆病で、シェルターの中に入りっぱなしでした。でも置き餌を食べるようになるのにそれほど時間がかからず、やがて人の手から採餌するようになり、しまいには人を見ると寄ってくるうえハンドリングもまったく問題がないという、臆病という表現がまったくのウソに聞こえる馴化ぶりを見せました。まぁ、今ならシェルターなんて使わずに飼うでしょうけど。その方が荒療治ではありますが人への馴化も早いですし。



 そうそう、写真はアルビノですよ。黒色素がなく、その部分は白に置き換わってます。綺麗ですね。ミルクは赤と黄の発色が強烈ですから、ほんとうに色鮮やかです。まるで宝石のようなヘビです。ミルクスネークの品種の中には、溜め息がでるような美種がたくさんいます。


 ↑ ペアリング。矢印のところで交接している。

 マウスに餌づいたと言えども、根っこはヘビ食いです。ペアでもコーンのように常時同居させておくと、共食いの危険性があります。同サイズをそろえ空腹にさせないことでペアの同居を成功させているという記述を読んだことがありますが、その飼い方に挑戦する勇気はないです。しかし、繁殖させるためにはペアリングは必要で、雌雄を一時的に同居させねばなりません。
 基本的に夜行性ですが、飼育下では昼間でも活動するようになります。飼育環境に充分に馴化し、飼育者にも馴れたペアを春以降に一時同居させることによってハンドペアリングは成功します。午前中にメスのケージにオスを入れ、夕刻までに再び隔離します。その間に刺激せずに観察していると、交尾行動を見ることができるでしょう。



 隔離したメスのケージにはウェットシェルターを設置し、産卵を待ちます。ミルクスネークに抱卵の習性があるのかどうかは判りません。そうした記述が見当たらないからです。飼育下での繁殖に臨む場合は、卵は親と隔離するのが普通なので、それについて論じる必要もないのでしょう。ただ、忘れてならないのは、本種がヘビ食いであること。幼蛇も悪くすると母親の餌食になります。また、小鳥の卵を食べる習性もあり、筆者は一度これで失敗しています。ウェットシェルターの中に母親と一緒に卵を見つけたまでは良かったのですが、母親の体内にまだ卵が残っている気がして、そのままにしておいたわけです。すると翌朝までに母親は自ら産んだ卵を全て飲んでしまいました。初めてのネルソンミルクの産卵だったので、あの時は目の前が真っ暗になりました。

バロンコダマヘビ

2013/12/31


 南米産のナミヘビで樹上性が強い種です。鼻先に肉質の突起があるのが特徴。後牙類です。奥歯に毒腺が発達していているので、深く噛まれると腫れや痛みといった症状に見舞われます。野生では基本的には変温動物食のようです。
 一般によく流通しているヘビは北米のものが多く、南米のヘビはなんだか珍しい感があります。本種はまた、北米には少ない緑色のヘビであるうえに細長い三角の頭部に小さな突起を持つというユニークな特徴があります。樹上性のヘビで、飼育下でも立体行動がとれるレイアウトが望ましいのですが、多くの樹上性種のように気難しくありません。温厚でのんびりしています。



 変温動物食なので、幼蛇や餌づけされていない個体を入手すると、餌に難儀します。後牙類なので噛まれないように注意して、強制給餌に望みマウスに餌づかせます。性格は荒くないので取り扱いに窮することは少ないと思いますし、噛まれる心配もあまりないでしょう。幼蛇はやはり警戒心が強く逃げ回りますが、徐々に馴れてきます。



 個体にもよるのでしょうが、筆者が飼っていたものは、ハンドリングにもすぐ馴れ、人の手からマウスを食べるのにも比較的早く馴れましたが、人を見ると寄ってくるほどにはなりませんでした。樹上性のヘビやトカゲには、人を見ると寄ってくるくせにハンドリングは拒むという気難し屋が多いというのに。


 ↑ マウスを食べているところ。鼻先の突起が判るだろうか。写真だとなぜだか目立たないが、実物では突起はけっこう判りやすい。

 スタイリングも緑という色あいも、いかにも樹上性って感じですが、グリーンパイソンのようにずっと木の上にいるわけでもなく、床を這ったり水浴したりする姿もよく見かけました。最初は高さのあるケージで飼っていましたが、その内フラットタイプのものに、模造の樹を入れて飼うように変更しました。もしかすると(とくに成蛇は)床材と水入れだけでも問題ないかもしれません。


 ↑ 水浴中。色あせているのは脱皮前のため。

 南米のヘビというだけで、あまり流通しない気がするのは筆者だけでしょうか。アマゾンの熱帯魚の流通はひじょうに盛んですから、それに合わせて爬虫類も流通していると思うのですが、本種はそれほどよく見かける種でもありません。欧米あるいは国内でもCB化が進んでいるとも聞くのですが、そのわりには流通量が多くない気がします。

マレースジオナメラ

2013/12/31


 マレー半島原産のスジオナメラの仲間です。英名のケーブラットスネークが示すように、洞窟に生息しコウモリ等を食べているようです。アジアのスジオナメラの最高峰とも言われるほどの美しさを誇りますが、洞窟の暗がり生活が長いせいか、飼育下では最初はかなり神経質です。



 かつてはレア度で入手が困難でしたが、最近では特定外来生物法による規制によって輸入ができなくなり、基本的にはすでに国内に持ち込まれたもののCBが流通するのみだとか。熱帯の洞窟に棲むヘビが日本の自然にどんな悪さをするというのでしょうか、よく判りません。



 2004年にオーナーと仲よくなったショップでCB個体を入手しました。神経質そうだったのでシェルターを設置し、その入口のところにマウスを置き餌するという飼い方から始め、比較的早期にマウスに餌づきました。原産国では洞窟でコウモリを襲っているとしても、そこはCB。マウスへの馴化は意外にスムースでした。



 ところが、飼育者への馴化が思うようにはゆきません。パンパン飛んできます。スペックルドキングやテキサスラットスネークといい勝負です。可愛い顔をしてじつに可愛くない。



 飼育環境に慣れてくると、シェルターにはあまり入らなくなりました。そして獰猛さはさらに増すばかり。ヘビの中には、飼育開始の頃は温和に見えても環境に慣れて気が荒くなるものがけっこういます。どうやら本種もその傾向があるようです。すなわち、ケージを自分のテリトリーと判断すると、そこからあらゆる他人を追い出そうとするわけです。コーチウィップスネークやアカマタもそうでした。この手のヘビは、小さい間はまだしも、成長すると初心者には手に負えないかもしれません。


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