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ランドゲッコー

 地上性とは、陸棲動物のうちの地面を這い回るものを指します。これに対して土中に潜るものは地中性、木の登るものは樹上性と呼びますが、ヤモリの場合、樹上性の多くが人家の壁などに貼り付いており、マニアの人たちは壁チョロと呼んでいます。ニホンヤモリなどはまさしくその名に相応しく、壁がひじょうによく似合っていますね。
 地上性のヤモリにもユニークなニックネームが欲しいところですが、あいにく聞いたことがないですね。ちなみにヤモリには地中性あるいは水棲のものはいないようです。
 ヘビでは地表性の種を徘徊性とか言ったりします。徘徊種であってもその多くは木登りがかなり得意なのですが。ただ、樹上の獲物よりも地表性の動物を当てにして暮らしている種なので、たいてい地表を這っているところに出くわします。
 ヤモリの場合、樹上性のものは、一般的な樹上性トカゲとは異なり、四肢の吸盤構造でモノに貼り付いて立体行動を行なうので、壁チョロみたいな芸当が可能なわけですが、地上性種ではこの機構を持たないため、壁チョロ行動ができず、木に登ることも得意ではありません。ニホントカゲのようなスキンク類は、壁チョロは上手ではないものの、木登りは難なくこなしますが、ヤモリの地上性種はせいぜい地表の起伏を乗り越えるていどで、木に登ったとしても高みを目指したりすることはありません。
 地上性ヤモリはおおむね乾燥地帯に適応した種で、荒れ地や砂漠での生活を得意とします。棲息地には砂と岩場が多く、木はあってもわずかでしょう。そして彼らの多くは飼育環境や飼育者への馴化が早く、餌づけやハンドリングが容易です。人に馴れてくれない地上性ヤモリを探す方が困難なくらいです。
 ヤモリは虫食いの動物であり、とくに地上性ヤモリは例外なく虫食いです。飼育には生き虫の準備が不可欠になるのですが、この点をクリアできればこれほど飼いやすい動物はいないくらいです。

 余談になりますが、トカゲの仲間やヘビ類でも、地上性種は人に馴れやすいです。樹上性種は人から餌をもらうことを覚えるまでに馴化してもなかなか触らせてくれません。また、半樹上性のパイソン(ニシキヘビの仲間)では、飼育下で登り木を設けると気が荒くなります。樹上生活者は敵から逃げ隠れする暮らしに適応しすぎているということでしょうか。逃げ隠れすることに関しては地表生活者でも同じたと思うのですが。
 これとは別に、俊敏な動物ほど人に触られるのを怖がる傾向にあります。その点で樹上性種は運動能力が高いのでその傾向が見られるのかもしれませんね。幼体の内は人になかなか馴れないけれど、成長して敏捷性が失われるにつれて人馴れする種も多いです。もちろん例外もいますけれど。
 樹上性種のヤモリでも擬態が得意で運動性能の低いものは、ハンドリングがしやすいですね。本当はおびえているけれど逃げる術がないだけかもしれませんが。この例でゆくとカメレオンの仲間もそうです。擬態名人の彼らも素早く逃げることは苦手で、しばしばハンドリングの餌食になっていますが、じつは恐怖に身をこわばらせストレスを溜めているのかもしれません。筆者は、樹上性の爬虫類はあまり触らず、人の手から餌をもらうのに馴れさせることしか望まないようにしています。
 それに比べて地上性ヤモリの多くは、大いにかまってやっても、放ったらかしでも、どちらの飼い方にも馴化してくれます。ハンドリングを臨むならせいせいかまってやってください。放置飼育の個体はやはり触られるのが苦手にそだってしまいます。

クモヤモリ

2013/12/04


 西アジア原産の、乾燥した荒れ地に棲むヤモリです。四肢がひじょうに長い上に指も長くてよく広がっているのは、砂上生活への適応でしょう。この形態はひじょうにユニークです。図鑑等の写真でも本種の個性はよく伺えますが、実物を目の当たりにするとますますそれを実感します。高さのある頭部に大きな目玉。細長い足でスタコラ走る様は、他に類似したヤモリがいません。



 全長で10cmそこそこのヤモリですが、四肢が長いせいかもっと存在感を感じます。こんなにおもしろい動物が、なぜか日本での人気はいまいちで、筆者自身も自分を除いて飼育経験者を知りません。原産国の治安がよろしくなく、危険をおかして輸入しようっていう物好きな人がいないのでしょうか。爬虫類先進国の欧州では人気者らしいですよ。



 いかにも俊敏そうなスタイルをしていますが、意外にそうでもありませんでした。運良くペアの入荷があった際に、たまたまショップを訪れて入手することができたのですが、雌雄とも人を怖がらず、最初から容易にハンドリングできました。夜行性種で昼間はボーッとしているせいもあったのかもしれませんが、その後の飼育環境への馴化もスムーズで、とても飼いやすいヤモリでした。



 乾燥地帯に棲息するヤモリは、頑健種が多く飼いやすいのですが、本種もその例に漏れず、よく食べとても元気にしていました。飼育環境に慣れてくると、昼間でもシェルターにこもったりせず、シェルターに寄りかかってうたた寝していたりしていました。


 ↑ 総排泄孔付近の性差。左がオス。

 また、ペアで仲よくしていてしばしば寄り添っている姿が伺えたので、繁殖も期待していたのですが、残念ながら産卵することはなかったです。
 餌が豊富でない砂漠や荒れ地にする種は、飼育下で充分に給餌するとよく太ってくるものですが、本種はずっと痩せたままでした。そういう種類なのかもしれませんが、野生採集個体のため寄生虫を抱えていたのかもしれません。WC個体の多くは寄生虫を腹に持っていて、野生生活では支障ないのですが、飼育下ではそれが暴れ出して宿主を栄養不良に陥らせてしまうことはありがちなことです。それでも元気な個体はなんとか健康を維持できるのですが、食べても食べてもなかなか肥えないといった症例はつきまといます。



 他に飼育例を知らず、比較個体がいないので飼育中の個体の健康状況について知る術は、元気そうに見えるといった手がかりしかなかったわけですが、約2年の飼育期間でほぼ同時期に雌雄とも死去しました。このペアが若かったのか老齢だったのかさえ、筆者には知りようがありませんでした。


 ↑ ものにもたれてうたた寝しているところ。すっかりリラックスしてストレスもまったく感じていない様子だ。


 ↑ 雌雄はこうして寄り添っている姿がよく伺えた。


 ↑ 一見、威嚇しているように見えるが、夏場の暑さで口を開けて放熱していると思われる。


 本種は、ほんとうに可愛らしヤモリです。30cmかそれ以下のケージで充分に飼えますし、他の温厚なヤモリとの同居も問題なく、筆者は半年ばかりの期間をヘルメットゲッコーや、マツカサヤモリ、ヒョウモントカゲモドキの生後間もない個体と同居させていました。
 筆者が本種を飼っていた2003〜2005年も、2013年現在も日本での流通事情は変わっていないようで、相変わらずレアなペットのままです。ヨーロッパで人気なら、欧州CBの輸入を期待したいところですが……。人工繁殖個体なら、一般家庭での長期飼育や繁殖にも期待が持てるでしょう。


ヘルメットゲッコー

2013/12/12


 小さなランドゲッコーです。ずんぐりとした短い胴体に大きな頭がついていて、後頭部がわずかにフリルになっています。このフリルがもっと大きければ、さながら中生代の草食恐竜である角竜の仲間みたいだったところですが。頭胴長で5〜7cmていど、尻尾も長くはありません。恐竜の赤ちゃんみたいだって意見を耳にしたことがありますが、これでおとなです。



 可愛いですね。これで温厚ですばしっこくなく物おじせずハンドリングも容易なら申し分ないですね。で、その申し分ない条件をすべて満たしています。さらに丈夫で壁も登らず取り扱いが楽だとあればさらに申し分ないのですが、それも満たしています。爬虫類が苦手って人でも、これならOKでしょう。筆者の知り合いには爬虫類は絶対にダメだけど、カメは平気って言う方がけっこういますが、カメだって歴とした爬虫類ですって。カメOKなら本種はもっとOKでしょう。ジタバタもしないし。



 ある知人(女性)が、小さなカメを金魚鉢で飼っていたことがあるのだが、そのカメが今はもういなくて、空いた金魚鉢で本種を飼えるかって尋ねてきたことがあります。金魚鉢でヤモリってところがなかなかユニークで、爬虫類マニアが気づかないところを突いてるって言うか、飼えるんじゃないですか。底に厚めに砂でも敷いて、シェルターを入れてやれば、金魚鉢の中で機嫌よくしていると思いますよ。



 ランドゲッコーと言えども、けっこう木登りもします。太めの木を入れておいてやると、それにつかまって休んでいたりします。とまり木などのちょっとしたレイアウトがあればシェルターは必要ないでしょう。ない方がいつでも見れていいですしね。筆者のイメージとしては、地表を歩いているよりも木にとまっている方がしっくり来るのですが。


 ↑ 下で鼻先を舐めているところ。

 西アフリカの乾燥地帯の生き物です。当然のことながら生き虫を食します。スプレーで水を与えるとペロペロ舐めます。水入れを用意するよりも、数日おきでよいのでスプレーしてやるのがよいかもです。棲息環境のことを考えると早朝にスプレーするのがよいのでしょうが、べつにいつでもいいです。



 飼育温度は高めが良いでしょう。昼夜の温度差があった方が良いとも言われますが、筆者はあまり「こだわってません。夏場の熱帯夜ではメリハリ付けられないですし、わざわざエアコンで冷やすこともないです。



 可愛いとか飼いやすい扱いやすいとか、メリットばかり挙げるのも褒めすぎな気がするので、欠点も少々述べておきましょうか。夜行性が強く、昼間はボーッとしています。物おじせずハンドリングが容易なのは、じつはこのせいだと思います。ヒョウモントカゲモドキなどでは、夜行性でも飼育者に合わせて昼間でもよく採餌するようになりますが、本種は日中はあまり活発に採餌しません。食べているところを見ることはできるでしょうが、餌を与えるとコンスタントに飛びつくかと言うとそうは行かないです。昼間でもせっせと虫を追いかけてくれるといっそう可愛いんですが。
 欠点ついでに、本種にとってあまり見られたくない写真を。すなわち脱皮シーンです。↓


 ↑ 左の個体が脱皮中。↓頭部の旧皮が脱落した。


 基本的には茶色い色あいをしていますが、個体差もかなりあって色の濃淡が見られます。明るいグレーのリューシスティックや、パターンレスといった品種もあるそうですが、あまり見かけません。



 筆者は一時期、ヒョウモントカゲモドキの生後間もない幼体や、マツカサヤモリ、クモヤモリと同居させていましたが、まったく問題なかったです。


 ↑ 左がオス、右がメス。

 成体では雌雄の判別が付けやすい方で、ショップでもペアを求めることができます。飼育下では時折産卵するのですが、なかなか孵化に至りません。筆者が下手クソなのかもしれませんが、繁殖が容易であるとは言いがたいです。卵の期間は90日以上と長く、孵化した幼体はたいへん脆弱で刺激に弱いと聞きます。せっかく生まれたのに死んでしまったのでは悲しすぎますから、孵化した状態をそのまま維持しショックを与えないようにして管理した方がよいですね。温度は卵も幼体も高めが良いでしょう。


 ↑ ヘルメットゲッコーの卵。下はマツカサヤモリの卵(左2つ)との比較。

マツカサヤモリ

2013/12/13


 インダス川下流域に分布する小型のランドゲッコーで、岩や砂礫ばかりの荒れ地に棲息しています。夜行性の昆虫食。茶色の体に明るい色の縦筋が入り、それと格子を成すように斑紋がほぼ等間隔に並んでいます。一見すると地味な色合いのヤモリですが、個性的な模様はなんだかファッショナブルです。そして何よりも頭部よりも大きくなる立派な尻尾が特徴的で、それが本種の名前の由来にもなっています。
 英名はキャロットテールバイパーゲッコー。全長は7〜8cmくらい。ひじょうに小さなヤモリというイメージがあります。



 筆者が初めて本種を入手したのが2002年で、あの頃はWC個体がけっこう安価で出回っていて、小さくて場所いらずということもあって2ペア4頭をまとめて購入しました。他の乾燥系のランドゲッコーにたがわず丈夫で飼いやすいうえに、物おじせず扱いも容易です。
 最近はCBが出回り、ずいぶん値が上がってしまいましたが、本種に関してはワイルドものでもけっこう丈夫なうえ繁殖も可能なので、CBの流通は善し悪しな気もします。もちろんCBの方が生育状況も繁殖もよい結果が得られることはまちがいありませんが。



 小さなケージに砂を敷き、流木でも入れて地形効果を作ってやり、浅い水入れを用意します。たまに水浴もします。餌は小さな生き虫になります。餌コオロギでもフタホシコオロギはいかつくて、逆に本種をかじることもあるので、ヨーロッパイエコオロギの小さな幼虫の方がよいでしょう。筆者は今だなレッドローチ(ゴキブリの一種)を使いますね、


 ↑ 脱皮の様子。

 丈夫で飼いやすいのですが、脱皮不全を起こしやすいです。湿度が低すぎるとこの傾向が見られるので、小まめにスプレーをしてやとよいです。ただ、多湿になりすぎないようにすることと、スプレーした時は高温に注意が必要です。小さなケージで飼う場合はとくにです。


 ↑ 右の個体は脱皮した旧皮を食べているところ。

 雌雄の判別も容易で、ショップでペアを求めることができます。繁殖も容易で、初心者でもその様子を観察できるでしょう。成熟したペアを同居させておくと、飼育環境に馴化してくると繁殖行動を始めます。
 筆者の2002年の記録によると、2月に2ペアを入手、3月末に産卵が始まり、5月下旬に最初の孵化がありました。その後12月までに80ばかりの卵が産み落とされ、30頭ほどの幼体が孵化しました。あまり孵化率はよくないですが、これは筆者の卵の管理の仕方のせいもあったのでしょう。


 ↑ 左がオス、右がメス。尻尾の付け根腹面の総排泄孔のところに、オスではクロアカルサックが見られる。

 卵を見つけると、別容器に移し常温で管理していました。秋口からは成体の飼育温度と同程度に加温し、湿度を加えたりはしませんでした。2〜4週間ごとに2個または1個を産卵し、孵化には50〜60日を要するので、卵を収容した容器はすぐにいっぱいになりました。


 ↑ 産卵するメス。


 ↑ 隔離した卵。黒い点は卵の上を示すための目印としてマジックで書いたもの。

 爬虫類の卵は、弾性のあるものが多いのですが、本種や壁チョロの卵はけっこう硬質です。小さな卵ほど硬質な気がするのですが、これは表面積が大きくなる小さな卵の内部を外気温の変化から守るためでしょうか。ヘビのように卵が避けて幼体が出てくるのではなく、ニワトリの様に割れて孵化します。下の写真は卵殻が割れて中の幼体が見えたところです。



 そして孵化。感動の瞬間ですが、指先サイズのベビーはとっても可愛いです。小さな幼体の世話には少々気をつかいます。親よりも乾燥に弱いはずですから、小まめなスプレーを行なうものの、蒸れは禁物で、通気性はよくしておきます。通気性と温度変化は諸刃の剣です。通気性を確保しながらも温度変化を小さくします。秋以降のヒーターを使用する季節の幼体の管理がとくに難しくなります。



 つい先日、ショップでハッチライトという魔法の砂を見つけました。この砂を使用することで、あらゆる爬虫類の孵化率がずいぶん向上するそうです。多孔質の砂に、保湿ジェルの粒子が配合してあり、理想的な湿度を維持するそうです。これは孵化間もない幼体にとっても有益だと思われます。
 さらにCBのペアを用いれば、孵化率、幼体の生存率共に向上することでしょう。 



 孵化した幼体は、1日中に最初の脱皮を行ない、その後に採餌を始めます。ヨーロッパイエコーロギの初令、レッドローチの初令が餌として適しています。頭も口器もそこそこ大きいので、もう少し育った虫でも食べれます。



 幼体は、尻尾がほっそりしていることを除くと成体とよく似ています。体の色あいや模様もあまりちがいはありません。充分に餌を食べた幼体は、マツカサヤモリの名に相応しい丸く太った尻尾になって行きますので、それを成長のバロメーターとして頑張って育てましょう。
 充分に採餌させて育てれば、生後3〜4ヶ月で性成熟に至り繁殖に加わります。


 ↑ 左は生後1ヶ月以上経過し、尻尾も立派になってきた個体。右は生後間もない幼体。

 小さなケージで飼育から繁殖まで観察できる素晴らしいヤモリです。日本ではそれほど人気がありませんが、爬虫類飼育の入門編としてもっと流通するといいと思います。

ヒョウモン君

2014/04/19


 ヒョウモン君は、爬虫類の飼育者で知らない人がいない超有名なヤモリでして、今さら筆者ごときが語ることもないと言えばないのですが、2000年からけっこう長きに渡って累代飼育し、それなりに思い入れのある動物ではあります。



 ヒョウモントカゲモドキの和名で流通している、ランドゲッコーの代表選手です。物おじしない性格と、頑健種で飼育繁殖も容易、壁チョロのように脱走の名人でもない、まさに理想的なペットです。サイズは標準的なもので20センチ未満、俊敏に行動する動物でもないので小さな入れ物でも飼えます。バスキングライト等の設備も不用です。


 ↑ 2000年当時の飼育の様子。餌皿の中身はミルワーム。

 飼育のネックは、活き虫を与えねばならないことでしょう。それさえクリアできればリスやハムスターよりも扱いやすいし可愛いし、長生きするし(飼育下では15年以上は生きます)、初心者でも子供をとれます。
 学校の教材として飼うべきだと思うんですけどね。容易に飼えて学ぶところも多いです。カエルやカメなんて世話が面倒なものを飼うくらいなら、ヒョウモン君を飼う方がずっと楽です。
 活き虫の扱いやストックが無理という方でも、小鳥用に市販されているミルワームならなんとか馴れることができるでしょう。プリンカップに満たしたフスマの中でうごめいている状態でストックできますし、安価ですし。これを餌皿に入れて与えればよいです。
 ミルワームオンリーでの飼育に賛成する爬虫類愛好家は皆無だと思いますが、ガットローディングをマスターすれば、問題ないです。トップブリーダーの中には、この方法で多数の健康な子供をとっている方もいらっしゃいます。
 餌虫を理想的な栄養で太らせて、それをヒョウモン君に与えるガットローディングの方法については、専門ショップでお尋ねください。
 と言いつつ、筆者はコオロギとかゴキブリとか与えていましたけどね。



 ヤモリなのにまぶたがありますよ。トカゲの仲間からヤモリへ進化した際の過渡的な動物の特徴を継承しているらしいです。まぶたがあるけれど瞳はヤモリタイプの縦筋状で、鳥のような目をしたトカゲとは異なります。


 ↑ 産卵直後のメスと卵。

 飼育下では、春以降から産卵が始まります。乾燥系の動物なのでケージ内は通気性と乾燥を保ちますが、シェルターの中に湿度のある砂や土を入れておくと、そこを掘って産卵します。
 卵は親から隔離して管理し、高温多湿を維持します。常温でも高い孵化率が期待できます。



 50〜60日くらいで、親とは似つかないバンド模様の子供が生まれます。ピューンとか鳴きます。



 1回に2卵ずつの産卵を年間に数回繰り返し、1頭のメスから10匹くらいの子供が得られます。



 子供と大人はサイズ差が大きいので、分けて飼育しましょう。翌年の春には性成熟し、そうなるとオス同士が激しく争います。性成熟以降はオス同士を同居させることはできません。理想的なのは、1頭のオスと複数頭のメスのハーレム飼育です。
 上の写真では中央にいる特徴的な色彩の個体がオス。リューシスティックという品種です。



 上の写真はアルビノです。瞳も赤いです。皿の水を飲んでいるところです。



 お昼寝中の図です。飼育環境にすっかり馴化したヒョウモン君たちは、こうしてシェルターに隠れることなく昼寝します。弱いUVライトを使用すると日光浴すると言う人もいますが、筆者もほぼ同意見です。ただし、飼育に照明は必須ではありません。年がら年中照明なしで育てている人も少なくありません。
 基本的に夜行性ですが、飼育下では昼間もかなり活動的になります。採餌や水飲み、脱皮、求愛行動等を日中に行なう例を何度も目撃しています。採餌については、人が餌を与えることを覚えるようで、採餌行動は普通に観察できます。



 多くの爬虫類は単独飼育に向いていて、複数飼育が可能かどうかが問題になりますが、じつは複数飼育の方がよい結果が得られる種もいます。自然界でも集団で営巣する爬虫類も少なくないのですが、人は爬虫類イコール冷血動物すなわち単一行動という認識を持ちがちですが、同じ種の仲間と一緒の方が安心する動物もたくさんいます。
 本種も自然界では集落を作るとは聞いたことがなく、基本的には単独で暮らしているのでしょう。日差しの下で目を守るためのまぶたを持ちながら、彼らは警戒心が強く、日中は物陰に潜み、夜間に活動する暮らしを送っているにちがいありません。しかし、飼育下で同胞と暮らす生活を覚えると、用意してやったシェルターもあまり利用せず、日中も仲間と共にケージ内を自由に動き回るようになります。
 この理屈の是非についてはまだ確信がありませんが、筆者の飼育経験では単独飼育よりも複数飼育の方が餌食いも良く、飼育者の馴化も早いです。



 上の写真は、交尾行動です。ケージのいちばん手前の明るい場所で平然と交尾しています。このように警戒心がないのも複数飼育のおかげだと筆者は信じているのですが、本種は性成熟したオス同士を一緒に飼えないところが難点で、オスの数だけケージを用意しなければなりません。もっともこれは多くの動物に言えることで、それが本種ではひじょうに顕著だというだけです。
 複数のオスを同居させても比較的争いの少ない種もたくさんいますが、それらの中には飼育者が気づかないところで序列ができ、弱いオスはストレスを貯め込み餌もあまり摂れず疲弊しているかもしれません。衰弱した個体を単に虚弱な個体と思い込む前に注意深い観察が必要です。
 また本種の場合、オスはメスに対して盛んに求愛しますから、そのことがメスにとってはストレスになることも少なくありません。雌雄1頭ずつのペア飼育では。メスがオスを避けて隠れるようになり衰弱してしまうこともあります。これを解消するためには複数のメスを投入するしかありません。少なくとも2頭以上、ブリーダーによっては10対1ていどの飼育を当たり前にしているようです。



 ヒョウモン君は、成長に従って体の模様が激変します。上の孵化直後の個体が、どのように変貌するか、下の枚の写真と比較してください。



 生後2ヶ月ていどの個体です。



 夏に生まれ、翌年の春、ほぼ成熟した状態です。



 上の写真はまた別の個体ですが、尻尾の付け根にオレンジ色がのっているのが顕著ですね。また、胴部の黒い斑紋が極度に減少して、本種独特の豹紋が失われています。幼体の名残のようにうっすらとバンドが残っています。
 ヒョウモン君は、多くのブリーダーの手によってじつに様々な品種が作出されています。前掲のアルビノやリューシスティックもその一例ですが、ほぼ真っ白の個体やひじょうに強い赤みを呈する個体、黄色がなくなって白に黒い斑紋など千差万別です。
 ヒョウモン君の色素変異は、コーンスネークとよく似ています。コーンもヒョウモン君も青色の発色がほとんどありません。ただコーンの場合はラベンダー系の藤色というユニークな発色がありますが。代わりにヒョウモン君では尻尾だけが藤色です。尻尾だけ別の生き物のように色が変わっていることは、尻尾の自切という自衛手段を有するヒョウモン君にとっては身を守るのに有効なのかもしれませんね。



 ヒョウモンコレクターを目指すと、それこそキリがありません。大きなケージを用意すれば多数の個体を収容できるわけですが、そこにオスは1頭しか入れられないので、魅力的なオスを見つけた場合は、複数の連れ合いのメスを用意しなければならず、どんどん数が増えます。
 ヒョウモン君は、卵を管理する際の温度によって性が決定するTSD(Temperature-dependent sex determination)の好例として有名です。ハーレム飼育が望ましいことからメスの需要が増えますから、ベテランのブリーダーは、絶妙な温度管理によって雌雄の発生率を調整できるそうです。
 ヒョウモン君のTSDによると28℃以下ではほとんどがメス、30℃か〜31℃で半々、32℃で管理するとほとんどがオスになるそうです。34℃を上回るとまたほとんどがメスだそうです。
 筆者が繁殖を手がけていた頃は、卵の温度管理を常温に委ねていましたから、一定温度を維持することは無理でしたが、それでもよく増えました。



 ここ数年は飼育を手がけていませんでしたが、最近になって知人の飼っていた個体を預かることになり、久々にこのおちゃめなヤモリに触れることになった次第です。上の写真および以下はすべて、その居候君の写真です。



 筆者が知る品種からするとずいぶん赤みが強い個体です。あの頃にこんな個体を買い求めたら、すごい値段がしたと思います。当時はアルビノというだけで何万もあるいは10万円以上しましたから。筆者が目を離しているうちにまたどんどん新しい品種が作出されているのでしょうね。



 うちへ来たときはまだ成熟には至っていなかったと思います。それとハンドリングに全然馴れていませんでした。加温状態の環境で冬を越え、今では成体に達しましたが、いまだに思うように触らせてくれません。他に多数の生き物を飼っていて、この子に触れる時間があまりないままだったので、現在に至るも触るとバタつく状態です。



 この子は、女子ですね。性成熟に達したヒョウモン君の性別の判定は困難ではありません。ランドゲッコーの多くは、総排泄項の直下のオスのクロアカルサックの膨らみが決め手になりますが、この方法では本種の場合は誤認となることが時折あります。クロアカルサック以外に本種のオスでは前肛孔が顕著になるので、それも合わせて確認するとよいでしょう。



 うちへ来たばかりの頃は、少し痩せた感じがしましたが、今はこのように尻尾もブリブリです。いつでも繁殖に参加できる状態ではありますが、目下のところ単独飼育です。
 そのうち雌雄1頭ずつていどを加えて複数飼育にしてもよいかなと考えています。前述したように本種の場合は複数飼育の方が精神的にも落ち着く気がしますし。それに、久しぶりに可愛いベビーの姿を見るのも悪くないかなと思ったり……。

テラトスキンク

2014/09/03


 中国西部からアラビア半島に棲息する砂漠性のランドゲッコーです。地表性で日中はかなり深く穴を掘ってその中にいるようで、乾燥系のヤモリですが、穴の中はかなりの湿度が保たれており、それが皮膚呼吸にとって重要になるのだそうです。体や四肢はかなり大きな鱗に覆われ、尾の背面はさらに大きな鱗になっています。大きな目玉にはひさし状の鱗が発達していて愛嬌があります。適切な環境を飼育下で再現するのが難しく、飼育困難な種と言われてきましたが、飼育ノウハウも蓄積されCBも出回り、ずいぶん飼いやすくなったようです。



 ヤモリなのにトカゲみたいな名前が付いていますが、これはおそらくよく目立つウロコのせいでしょう。別名はトルキスタンスキンクヤモリです。2002年から2年間飼っていました。



 危険を感じると四脚で直立し、とつぜん猛然とダッシュします。飼育を始めたばかりの頃は、ひじょうに神経質で、扱いに難儀しました。一見のんびり屋に見えて、逃げるときにはすごいスピードが出ます。あわてて捕まえるとウロコが落脱します。ウロコはとてもはがれやすいです。



 それでも飼い込むうちに徐々に慣れてきて、人に対する警戒心も薄れてきました。愛嬌がある顔だちをしているので、慣れるとたいへん可愛いです。



 すっかり環境に馴化した頃に、ヒョウモントカゲモドキやヘルメットゲッコーと同居させてみましたが、他のヤモリをとても怖がりました。単独飼育向きです。



 飼育環境に馴化し、人にも慣れると、ケージの中で寝そべっている姿をよく見かけるようになりました。



 砂漠性のヤモリということで、細かい砂を敷いてやりましたが、シェルターには市販の素焼きで上部に水を入れられるタイプのものが役に立ちました。このシェルターは内部の湿度を保つのに適した構造になっています。しかしながらすぐに水がなくなってしまうので、しょっちゅう補給してやらないといけないのが欠点でした。本人は愛用してくれていましたけどね。砂を掘ったりせず、素直にこのシェルターを活用していました。
 とにかく最初はひじょうに神経質です。慣れてからでも慎重に扱わないと、もがいてウロコが大量に脱落したり、尻尾を自切したりしてしまいます。


キャットゲッコー

2014/09/10


 東南アジアの森林地帯の奥地に棲息する半樹上性のトカゲモドキです。筆者が飼育していた2003年頃は、現地の交通事情が極端に悪いため入荷がひじょうに少なく入手はたいへん困難だと、ショップの人が言っていました。神経質な性格のうえ、高湿度を好むので飼育も容易ではありません。ゼンマイのように巻いた尾が特徴的で、ヤモリとしてはもっとも原始的な種とされています。



 懇意にしていたショップでペアを入手。マレーで採集したワイルド個体です。細長い体躯に柔らかくてプリッとしたしっぽがユニーク。動きはゆっくりしていて、カメレオンのよう。捕まえるとかなり鋭い爪でしっかりと手に貼りつきます。



 最初の黒っぽい個体がメス、上の色の明るい個体がオスです。胴と首の長い、ちょっとアンバランスなプロポーションをしています。ハンドリングは容易ですが、カメレオンと同じで、動きが緩慢だから臆病でないように見えるだけかもしれません。



 オスの尻尾は、途中から色が変わっているのでおそらく再生尾でしょう。これだけ再生されれば、ほぼ完璧です。



 メスの尾は完品です。完品というのは業界用語で、再生尾であったり体のどこかに欠損があったりしない状態のことですね。



 メスの顔はこんな感じ。口吻がとがって三角頭です。トカゲ同様にマブタがあります。瞳はよく見ると瞳孔が縦筋状をしていて、トカゲと異なることが判ります。



 オスの頭。この角度からでもマブタがよく判りますね。トカゲのようにマブタがあるのに、ヤモリのような縦筋瞳をしているのがトカゲモドキの特徴です。



 体側の色の変わり目は、地味ながらけっこう綺麗です。
 ヤモリはトカゲの一部から分化したトカゲモドキを経て進化したとされています。本種はその中で最も原始的すなわちトカゲに近い種の子孫ですが、トカゲモドキ独特のフカフカの手触りをすでに有しています。ベルベットのような、とよく表現されるこの手触りは、一部のヤモリにも受け継がれていますが、トカゲには存在しません。このことは、おおむかしにトカゲモドキが分化してきた当時すでにこの特徴を備えていたことを意味すると思われます。現生のトカゲモドキとヤモリの収斂現象というわけではないでしょう。
 トカゲモドキ以外でフカフカ手触りのヤモリとしては、ニシキビロードヤモリやハスオビビロードヤモリ、モリニスビロードヤモチといったビロードヤモリや、ジャイアントゲッコー(ツギオミカドヤモリ)などがいます。

ゴマフウチワヤモリ

2014/10/15


 スマートな体形に長い肢という形態はクモヤモリに似ていますが、がまったくの別種です。指の趾下薄板がウチワのように広がっているのが特徴。乾燥した岩場や荒れ地に生息しています。アジア南西部からエジプト北部に分布しています。同属の L ragazzi (オビウチワヤモリ)では、体の模様が黄色や灰色の帯状になります。
2005/1-7



 2005年の1月からペアで入手して飼い始めたのですが、半年ほどで雌雄とも死んでしまいました。神経質なところもなく、頑健そうに見えたのですが。乾燥地帯の生き物は比較的飼いやすいものが多いのですが。最近のネット上の文献を見ますと、飼育繁殖が容易という記述が多いです。



 図鑑や専門書ではよく目にしますが、ショップでは意外と見かけないヤモリのように思います。おそらく輸入される時期にかたよりがあるのでしょう。
 基本的にランドゲッコーの飼い方で良いようですが、立体行動も得意で半樹上性といった感じです。棲息環境を考えると、観葉植物を使用するよりも、流木やコルクバーグを組んでやるのがよいでしょう。岩を使用すると倒壊してその下敷きになるといった事故が心配です。標高の高いところに棲んでいるものは冬眠もするらしいですが、飼育下では冬場も加温して冬眠させない方が安全だと思われます。

マレーホソユビヤモリ

2016/04/21


 マレー産の指の細いヤモリです。まんまの名前ですね。筆者が入手した2012年当時は希少種となっていましたが、最近ではそれほど珍しい動物でもないようです。ランドゲッコーの代表格ヒョウモントカゲモドキに感じがよく似ています。人に臆することがないところも同様で、扱いやすいです。



 ヒョウモントカゲモドキに比べると指が長く、木登りも得意です。半樹上性といったところでしょうか。壁チョロのように人家の壁をスタコラ歩き回るような芸当はできません。動きはゆっくりで、ハンドリングも容易です。



 かなかかイカすバンド模様でしょ? ココア色の色調も個性的です。餌は生き虫ですが、入手した個体が野生採集ものであったせいか、食欲はそれほど旺盛ではありませんでした。コオロギやジャンボミルワームを与えていました。ブリード個体が流通するとペットとしてより飼いやすいのでしょうが、現在でもWCものの流通が主流のようです。どこかのショップにドイツ便で入荷とありましたが、あれはCBでしょうか。



 柔らかい体をしているので、乾燥にはそれほど強いようには見えません。足場を入れてやるとよく登ります。シェルターはあまり利用しません。こういうところは樹上性っぽいのですが、形態的にはランドゲッコーですね。



 ケージ内が乾燥しきらないように、加水した昆虫マットやヤシガラ土などを敷き、植物の枝などをレイアウトしてやるとよいでしょう。筆者は模造のクネクネ枝をいれていました。中に針金が通っていて、自由に折り曲げられるやつです。水皿も用意してやりましたが、自分で水を見つけて飲むことはしない可能性もあるので、時々顔に水をスプレーしてやりました。
 小さなケージでも飼えますし、個体によって色合いに変化があるので、なかなか面白いヤモリだと思います。もっともヤモリの色彩に個性があるのは本種に限ったことではないですけど。ブリード個体をたくさん流通させてほしいヤモリですね。うちでは繁殖は実現しませんでしたけど。

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