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ボア・パイソン

 ボアやパイソンというと一般的に大蛇のイメージがあろうかと思います。ボアの仲間のアナコンダは7メートル以上、まれに9メートルを超える個体もいると言われる巨大でひじょうに獰猛なヘビです。パイソンの仲間では、アミメニシキヘビが9メートルを超えます。
 両者は近縁のグループで、以前ははボア科にまとめられていました。ボアの仲間はアメリカ大陸に主なものが棲息し、南太平洋にナンヨウボアの仲間が、アフリカとアジアにスナボアの仲間は棲んでいます。一方パイソンは和名でニシキヘビと言われ、アフリカ大陸からアジア、フィリピン、オーストラリアに棲息します。
 両者は、進化系統的には原始的なヘビの仲間と共にムカシヘビ上科に属し、ナミヘビやクサリヘビ、コブラといったヘビ上科の仲間たちよりも古いタイプになります。と言っても新しいタイプが分化してからも彼らも進化し続けているわけで、種ごとには極めて進化的なものも少なくありません。
 例えば中生代の恐竜をはじめとする大型爬虫類は、進化系統的には現生の爬虫類よりも古いタイプですが、今よりはるかに進化的な動物たちでした。知能も発達していて子供を含む群れで暮らしたり、チームを組んで狩りをしたりする動物がたくさんいたのです。
 定行進化の法則的に見るとボアやパイソンの仲間は、その後のニュータイプたちよりもサイズの上で優性を誇っています。
 最大級の大蛇は、特定動物に指定されており許可なく飼うことはできませんが、ボア・パイソンの仲間のほとんどは、じつはナミヘビと同サイズの温和で飼いやすいヘビだったりします。猛然と飛びかかってきてハンドリング不可というものもいますが、そのへんの事情はナミヘビだって同じです。じゃあ何がちがうのかと言われると、系統が異なるとしか言いようがないのですが、とにかく目で見てあるいは飼ってみて、その魅力を理解するしかないですね。
 筆者的には、パイソンの代表的な種が、風格があってかっこ良くて大好きですね。それらのヘビはまたありがたいことに、よく流通していて入手しやすく丈夫で飼いやすかったりします。

ロイヤルパイソン

2013/12/21


 北アフリカの草原やサバンナに棲息する徘徊性のヘビです。人の身長くらいまで成長します。長さ的にはアオダイショウ等と変わらないかむしろ負けるくらいですが、胴部はひじょうに太く体重があり、かなり大きな動物に見えます。
 ニシキヘビの代表みたいな種で、色形がロイヤルの名を冠するにふさわしい風格を放っています。ほんとうに美しくてカッコイイです。しかしながら、流通量が多く比較的安価に手に入ることから軽んじられることも多く、悔しいというか残念というか。その反面で、アルビノをはじめひじょうに多種多様の品種が作出されており、品種によってはひじょうに高価だったりします。
 丈夫で飼いやすく、飼育者にもよく馴れてくれます。飼育下での繁殖も難しくなく、日本でも多くの飼育者が繁殖を手がけています。こうした事情はニシキヘビにおけるコーンスネークの位置づけと言ってよいでしょうか。


 ↑ 生後間もない幼蛇。

 国内CBも充実しており、生後間もない個体が安価で入手できます。初心者の方はショップで餌づけ済みのものを購入するとよいでしょう。繁殖を目指す場合も、国内CBが断然有利です。生後間もない個体でも上の写真のようにそこそこの大きさがあり、成蛇の長さが同等のコーンスネーク等と比べるとかなり大きいです。コーンの幼蛇は頭が小指の先ほどもありませんからね。



 本種の飼育で注意が必要なのは、乾燥した環境では脱皮不全になりやすこと、獲物に飛びかかる習性が強く噛みつかれることが多いこと、季節ごとに採餌状況が変化することですかね。
 多湿の環境で飼えば脱皮不全は防げますが、もともと乾いた草原に棲むヘビなので熱帯雨林を想定したような飼育環境はだめです。通気性のよいケージで飼い、大きめの水入れを用意します。飼い始めは臆病なところがあり、かつてはそのことがクローズアップされシェルターは必須みたいに言われていましたが、筆者の経験ではシェルターを使用するとかえって飼育者に馴れにくく、神経質な状態が長く続く気がします。成長は早く重量級のヘビに育ちますが、やたら広いケージも不向きです。
 ヘビがとぐろを巻いた面積の3〜4倍の広さで高さも20cmくらいのケージが適しています。彼らは馴れるとケージ全体を自分の住み処として認識するようで、そこにいることで安心するようになり、飼育者とも友好的な関係を築きます。
 大きなピット器官を頭部に備え、熱分布で周囲を認識しますから、マウスを触った人間の手は、彼らにとっては体温+臭いで餌そのものということになります。マウスを見失うと人の手に飛びついてくるほどです。飼育者は噛まれて痛い目をするていどですが、あわてて引き離すとヘビの方が負傷し、口内感染症の危険にさらされます。これは本種にとってはひじょうに深刻で、回復に至らず死んでしまう場合もありますから、噛まれないようにしましょう。



 本種は、日本ではボールパイソンの名で呼ばれることがほとんどで、その名の由来が上の写真のように護身のために丸くなる様子を表現したものらしいのです。日本に輸入されたばかりのころは、WC個体やヨーロッパCBが多く、神経質な面が目立っていたのでしょう。ボールのように丸くなる臆病者のパイソンなんて不名誉な呼称が今なお常識的に使われ、その名の由来を知った人の多くが臆病なヘビだと認識し、ブログやサイトでそのように記述しているのはじつに残念なことです。
 実際、上の写真のような状況を飼育下で見る機会はほとんどありません。筆者もたまたま撮れたものの、今後こんな写真を撮る自身はありませんし、飼育下で神経質になってしまうような環境を作るつもりもありません。


 ↑ 脱皮不全。

 幼蛇を入手した場合は、最初は30cm長ていどで高さの内ケージで飼い、目に見えて育ってきたら60cmていどのものに移すとよいでしょう。60cmで生涯飼うことも不可能ではありません。多くの飼育者がこれを否定しますが。まぁ個体によっては2メートル前後まで育ち、胴回りも人の腕ほどになるものがいますから、そんな場合はもう少し大きなケージを考えた方がよいでしょうね。あと、繁殖を考える場合も早い内から90cmていどのケージに馴れさせておくと、ペアリングするのに好都合です。それに繁殖には水入れと共に産卵床になるウェットシェルターも必要ですし。


 ↑ 水浴するロイヤルパイソン。

 風通しのよいドライな環境と共に高温が望ましいです。日本の場合は10月から翌5月頃までは加温するようにします。とくに幼蛇の場合は充分な加温が重要になります。性成熟に達した個体は秋から春にかけて寒冷期は半年近く採餌しなくなりますが、幼蛇は年間を通じて採餌し、充分な食事量が成長と体力作りにとって重要になります。
 高温乾燥を維持すると脱皮不全になりがちです。それを防ぐにはヘビがゆったりと水浴できる水入れの設置が重要になります。幼い幼蛇のうちから充分な大きさの水入れに新鮮な水を満たしておくようにします。大きな水入れは、飼い始めで神経質な個体のシェルターの役目もします。



 本種ていどのニシキヘビの仲間は、幼蛇の頃からマウスにすぐ餌づいてくれます。ナミヘビのように幼蛇のうちはトカゲやカエル食いという傾向はありません。また、飼育者によっては常に高栄養のマウスばかり与えるよりも、たまにはウズラやヒヨコを与える方が良いという人もいますが、マウスオンリーで生育や健康に支障があるとは思えません。最初はヘビの頭のサイズていどのマウスを、できれば一肌くらいに温めて与えるようにしますが、馴れてくれば大きめのマウスを与えてゆきましょう。ヘビの胴回りくらいのマウスでも飲めます。ヘビの口器はそういう構造になっています。
 成長期の幼蛇には週2回は給餌します。成長してからでも寒冷期のインターバルを考えれば多めの給餌が必要だと思います。



 手のひらに乗る小さな幼蛇も、飼育者と友好的な関係を築き充分に食事を摂ることによって次の春までには、ひと抱えもあるような重量級のヘビに育ちます。大きくなった本種はロイヤルの名にふさわしい風格と美しさを備え、飼育者はこのヘビがますます好きになり飽きるようなことはないでしょう。寿命は15年ていどとよく言われますが、さらに10年ていど生かすことは困難ではないと思われます。
 翌年の秋から拒食が始まるかもしれませんが、それは性成熟の証でもあります。飼育者によっては寒冷期の拒食は飼育者の管理不足で、温暖な飼育環境と餌を加温するようにすれば年間を通じて食べ続けるという人もいます。筆者は、それが本種にとって有益かどうかは疑わしいと思っています。ヘビが季節感を感じ取ってインターバルに突入するのは自然なことですし、その間は代謝がていかして目立って痩せることもありません。拒食状態になった場合は加温のていどを25℃かそれ以下にとどめることによって代謝を抑えて痩せることを防げます。
 また、繁殖行動も寒冷期に行なわれますから、この期間だけは雌雄を同居させると良いでしょう。寒冷期に交尾を果たしたメスは、次の春から繁殖を開始します。メスの負担と健康な卵ということを考えると、生後最初の寒冷期に交尾を促すよりも、2度目以降の寒冷期にペアリングする方が良いです。
 ペアリングの方法や、繁殖のための環境作りについては、ネット上に様々な情報がありますが、最も肝心なことは、ヘビたちが飼育環境と飼育者に充分に馴化していることと、メスの体重が充分であることだと思われます。飼育者をすっかり信頼し、ハンドリングも容易な個体にまずは育て上げること、そうすれば繁殖もきっとうまくゆきます。
 産卵をできれば、メスから卵をとりあげ、隔離して管理しますが、充分に加水したミズゴケを満たしたケースで、できれば30℃くらいの温度を維持するのが望ましいようです。市販の孵化器のように温度と湿度を自動制御する装置を用いるのがベストですね。
 卵をとりあげたあとのメスは、たっぷり水浴させるか温水で充分に洗って繁殖時の臭いを消してそれを忘れさせると、普段通りに採餌するようになりますが、飼育者にベタ慣れの個体であればそうした処置をしなくても通常モードに戻ってくれる場合も少なくありません。



 本種は、優雅さと風格を兼ね備えた素晴らしいヘビであるうえに、高い知能も持っており、それだけに飼育者との友好関係というのは飼育するうえで重要になります。充分に馴れ、元気な個体はケージのフタを開けたとたんに飛び出してきて噛まれることも多いです。こればかりはヘビの本性として避けられません。そうした個体には餌をフタの隙間から差し入れる等の工夫をしましょう。
 噛まれた場合は、じっと我慢です。ヘビの方でまちがいに気づいて離してくれますから、それに委ねむやみに引き離さないことで口器の負傷を防げます。
 暴れん坊の個体は、餌をくわえさせておいて触るというのも手です。この方法を奨励する人は少ないですが、筆者は当たり前のようにこの方法を常用しています。あるいは寒冷期によく触ってハンドリングに馴れさせるのも手です。
 すっかり馴化した個体は、飼育者がフタを閉め忘れて脱走しても、自分のケージの上に舞い戻り、飼育者を待っていることも少なくありません。可愛いですね。

 本項では、本種の様々な品種については触れませんでしたが、拙著「すねらぼ」の本種の項に一部記載していますので、併せて参照いただければと思います。


http://momo.punyu.jp/damdam/hebi/04/00.htm

グリーンパイソン

2013/12/22


 インドネシアからパプアニューギニア、オーストラリア北部にかけて棲息するニシキヘビです。全長は2メートルを越えるほどになりますが、徘徊性のニシキヘビのように太くなりません。典型的な樹上生活者で、基本的に樹上で綺麗なコイルを巻いてじっとしています。夜間に主に活動し、叙情生活の哺乳類や鳥類に忍び寄って捕食します。背部が屋根のように隆起するのが目立ちますが、これは樹上で体を支えることと、獲物に飛びかかるためのバネ力を得るための構造でしょうか。
 鮮やかな緑色は、熱帯雨林生活への適応でしょうが、隆起した背部を中心に個体差の著しい斑紋が見られます。ベースの色の濃淡や青みにも個体差があります。また幼蛇では鮮やかな黄色、赤レンガ色といった体色が見られ、これが成長過程で緑色に変じて行きます。



 樹上性のパイソンは信じない方がいいです。とにかく飛びついてきます。それは噛みつかれることを意味します。古くから本種はハンドリング不可のヘビと言われてきました。ただし、飼育者への馴化は充分に期待でき、飼育者を見ると寄ってくるほどになることも珍しいことではありません。それでも信じちゃだめです。噛まれます。
 半樹上性のパイソンでも、飼育環境をとまり木を用いたレイアウトにするとなぜだか気が荒くなるようです。とまり木がなくてもよい種は使用しない方がよいです。ただ、本種に関してはとまり木なしのレイアウトは考えられません。絶対に必要です。
 筆者が長年飼い続けた個体は、極めて友好的でハンドリングも可能でした。とにかく人を見るとじっとしておらず、首を伸ばし、本種独特の綺麗なコイルを巻いている姿を見るのが難しかったです。思うに、本種が飛びかかってくるのは飼育者に敵対するからではない気がします。飼育者に対して警戒心がなく、ストレスも感じていなくても、ハンドリングは苦手なのでしょう。モニター(オオトカゲ)類と同じですね。なので、半樹上性でおとなしくなるからと木を使わないことがヘビにとって必ずしもよいことかどうかは解りません。


 ↑ ケージを開けたところ。飛びかかる準備はできている。

 グリーンパイソンは、夜行性がかなり強く、昼間はじっとしていて動きません。いつ見ても樹上でコイルを巻いているのが健全な姿です。夜間は動き回ったり水浴したりすると思われますが、気温が下がる夜間に水浴する気になるかどうかは疑問です。中にはまったく水に入ろうとしない個体もいるでしょう。そこで、ケージ内の湿度を維持するためにも大きな水入れを用意してやりましょう。飼育者によっては幼蛇の飼育に、水を溜めたプラケースに横木を渡して飼っている方もいます。ケージの床面全体が水入れです。あるいは毎日ヘビにスプレーしてやっている方も。体に突いた水滴をなめて水分補給することも野生生活では多いでしょう。そして湿度の維持は脱皮不全を防ぐのに重要です。かといって群れた状態は厳禁で、通気性はよくなければなりません。


 ↑ 昼間に水浴中。かなり珍しい光景だ。

 筆者が長年飼ってきた個体は、昼間でも水浴することがよくありました。夜行性動物の多くが、飼育者に合わせて昼間に採餌してくれたりするようになるものですが、本種はそれがなかなか難しく、個体によってはなかなか餌を食べてくれなかったり、ウズラしか食べないといったケースも少なくありません。写真の個体のように昼間も活動するようになると、拒食はまずありませんし、ハンドリングも容易になるのかもしれません。



 とにかく性格に個体差のあるヘビです。多くの個体は昼間は動かないけれども、飼育者が忍耐強く接することで昼間でも人の手からマウスを食べてくれるようになりますが、置き餌を夜間に食べるもの、ウズラしか食べない偏食家、食べたり食べなかったりと気まぐれな個体、環境が変わったとたん食べなくなってしまうものなど様々で、個体に合わせた対処が必要です。採餌に積極的でない飼育者泣かせのくせにハンドリングはOKという変わり者もいます。
 飼育者との友好を築くとひじょうに飼いやすいヘビなんですけどね。



 以下に色変わり前の幼蛇の写真を記載しておきます。


 ↑ ↓ 茶色タイプ。写真ではかなり明るい茶色に見えるが、実際には赤レンガ色といった感じだった。



 ↑↓ 黄色タイプ。



 ↑ 色変わりが始まった初期の段階。斑紋の色が消失して灰色になっている。


 ↑ うっすらと緑色がのってきた。


 グリーンパイソンにハマッてしまうと、産地別の個体を集めたり、様々な色あいのものを集めたりしたくなります。ひじょうに青みの強いものはかなり高価です。ハンドリングも困難な、取り扱い注意なヘビを、馴れた飼育者は何頭も苦もなく世話し、繁殖も手がけています。大きなケージに長いとまり木を設置して、複数飼育している方も。あれってどうやって個別に給餌するんでしょう。
 ショップの店員さんですら扱いに手を焼くくらいなのに、ササッとケージを開けて噛まれる前につかんでしまう人もいます。これができれば多くの個体をハンドリングに馴らせそうですね。
 どうしてもハンドリングしたいというので、何度も噛まれながらそれに耐えて、ついに問題なく持てるようになったという方もいました。その人曰く、手を出すと餌と間違えられるから、頭ごと突入すると、熱源のサイズが大きすぎて餌とは認識されない。確かに発達した大きなピット器官を有する本種は、熱分布で周囲を認識してますからね。でも、顔を噛まれたりしないんでしょうか。

ビブロンボア

2013/12/26


 バイパーボアという徘徊性のボアがいますが、本種はそれと同属でありながら、樹上生活に適応しひじょうに細長い体型になりました。全長1.5メートルほどになりますが、体が細いので小さく見え、45cmていどのケージで充分飼育できます。フィジー、ソロモン諸島、サモアに棲息し、WC個体が時おり流通するていどのマイナーなヘビです。



 マイナーなうえに色あいが大変地味で、知名度も人気もけっして高いとは言えません。でも、よくみるとなかなか綺麗な模様が伺えますし、バイパーボア(こちらは有名)の親戚にしては形態があまりにユニークで、なかなか見どころがあります。



 背面は暗色で、あずき色に近い色あいですが腹面は鮮やかな黄色で、このコントラストはなかなかです。こんな色あいのヘビは他にいません。どれが似ているかと思いめぐらしてみてもちょっと思いつかないです。また、光の当たりぐあいでところどころ白く輝きビロードみたいに見えるところが、ボアっぽいなと筆者は思うのですが。



 夜行性で、昼間は木にとまってボーッとしています。それでも飼育者と環境に慣れると、昼間でも人の手から採餌してくれるようになるのは、ありがたいです。1頭しか見たことも飼ったこともないので、この飼いやすさが種としての特徴なのか、たまたま飼いやすい個体を手に入れたのかは判りませんが、様々なヘビの飼育の経験からすると、種として飼いやすいヘビであると断言して良い気がします。みなさんもぜひ飼ってみてくださいと言いたいところなのですが、マイナーなヘビゆえ、入手は容易ではないでしょう。
 高温多湿を好むヘビなので、幼蛇で入手した最初の頃は、水を満たしたプラケースに横木を渡した状態で飼っていました。つまり床材の代わりに水を張っておいたのです。そして成長してくると、床材を敷き、2つの水入れにとまり木をのせた状態で飼うようにしました。たまに水浴もしていましたから、水入れは大きい方がよいでしょう。



 採餌のときは、マウスに飛びつくと素早く巻きついて締め上げるところは一般的なヘビと同じです。このとき、たいてい上半身が地上に降りていました。グリーンパイソンのように樹上生活に徹しているというわけではなさそうです。たいていはとまり木の上にいますが、ひとつ上の写真のようにケージの底でとぐろを巻いていることもたまにありました。



 何回か脱皮を繰り返すうちに、体色に劇的な変化が現れました。上の写真のようにひじょうに明るい色あいに変わってしまったのです。暗色は幼蛇の特徴だったのかもしれません。それにしてもかなり劇的な変化です。グリーンパイソンのように幼蛇と成蛇とで色が大きくちがうヘビはけっこういるので、それほど驚くことではないのでしょうが。



 ところが、ある時ヒーターの故障で冬期に温度が急激に下がってしまったことがあり、その時は体色が以前の暗色に戻ってしまいました。これにはビックリです。餌も食べなくなり、皮膚のツヤもなくなりました。飼育温度を回復してからも暗色のままで、ふたたび明るい色に戻ったのは次の脱皮のあとでした。

コースタルロージーボア

2013/12/26


 数多くの大型種を含むボア科の中にあって、ひじょうに小さなヘビです。せいぜい50〜60cm、よほど大きな個体になると1mに達するていどあるそうです。近縁のスナボアと同様に乾燥した砂地に棲息しますが、スナボアのうように砂に潜ることはあまりなく、徘徊性で小さな哺乳類を捕食します。首はあまりくびれず、小さな頭部に小さな口器があるのですが、哺乳類食いです。
 アリゾナ、カリフォルニアの半砂漠地帯に棲息しますが、メキシコに住むメキシコロージーボア、アメリカ南部の砂漠地帯のデザートロージーボアなどの亜種がいます。



 青みのある灰色に暗いオレンジのストライプが入る、たいへん美しいヘビです。ストライプは日本のシマヘビほど顕著ではなく、ギザギザに入り組んでいます。そもそもシマヘビほど見事なストライプを持つヘビは、他に例がありません。



 小さなヘビ徘徊性なので、30cmていどのフラットケースが飼育に適しています。きめ細かな砂を敷いてもよいですが、砂に潜る習性がないので床材はそれにこだわる必要はありません。とても飼いやすいヘビで、人にもよく馴れ、人の手から採餌したりハンドリングに馴れたりするのにそれほどの歳月を要しません。野生では、薄明時に活動したり夜行性が強くなったり季節ごとに変化すると言われていますが、飼育下でそれを観察することはできないでしょう。



 たまたま雌雄のペアで入手できたので、何度かペアリングを行ない繁殖を期待したのですがダメでした。雌雄共に飼育者への馴化は良好でした。卵胎生でメスはちょくせつ子供を産むらしいです。



 口器が小さくても、獲物に飛びついて締め上げる動作は他のヘビと同じです。こうした動作が観られないヘビの方が珍しいのですが。毒ヘビの仲間は、あえて絞め殺さなくても毒殺できるのでこの習慣がないようです。毒ヘビは飼育に制限があって基本的には飼えませんが、普通に飼育できる後牙類のシシバナヘビも締め上げる動作はしません。



 砂に潜らないし木にも登らないので、飼育レイアウトはなにも要らないです。人への馴化も良好なのでシェルターも必要ないです。ただ、水入れは忘れてはなりません。乾燥地帯の生き物でも水は飲みますし、飼育下では水浴する姿も観られました。水入れはひじょうに浅いものにした方が良いでしょう。ヘビが水を見つけられずに脱水症状になることもあり得ると思われます。

アカオパイプヘビ

2014/06/07


 ボアやパイソンの仲間と共にムカシヘビ上科に属するヘビです。ボアやパイソンは進化系統的にはナミヘビ等より古いものの、現生の多くの種はひじょうに進化的な動物に到達しています。ところが本種は、原始的な形態をとどめる少数派のヘビです。パイプヘビ科(ミジカオヘビ科)という少数グループに属します。インドネシアや中国南部等けっこう広範囲に棲息しています。



 小さな頭に小さな目、小さな口器を有し、爬虫類食です。水辺や水田の近くといった高湿度の場所で地中生活をしているようです。ヘビを専門に捕食するとの情報もありますが、けっして俊敏そうでないこのヘビが、どんな魔法を使ってヘビを捕らえるのか、ちょっと不思議です。



 体の後半は、背がやや隆起しお腹が偏平なので、うすっぺらい形状をしています。なんか不思議な感じです。全体的に黄色のバンドが入る個体もいるとも聞きますが、筆者が飼っていた個体は全体的に黒かったです。



 腹面の模様はこんな感じでけっこう派手です。背面とのギャップが大きいので、敵が近づいた場合に腹を見せると、その変わり身に相手が驚くかも知れません。また、尻尾を振り上げると先端腹側に赤みのある部分があって、そのせいで尾の方が頭部に見えます。



 爬虫類食でも飼育下ではマウスに馴れ、環境への馴化も悪くなく比較的飼いやすい……のだそうですが、筆者はこのヘビの飼育にはかなり苦戦し、けっきょく長生きはさせられませんでした。
 とにかくいろいろ変わったヘビです。飼ってみるとその個性に驚かされると思います。飼育は難しくないということですが、多湿を好む生き物の飼育環境の湿度管理は思いのほか難しかったりします。熟練の飼育者にお勧めしたいです。

ジムグリパイソン
(カラバリア)

2014/06/07


 アフリカのカッコよろしくないパイソンです。といいつつボアです。かつてはボア科の中の亜科の位置づけだったパイソンの仲間が、最近では独立した科として分類されるようになり、その際にボアの方に入れられたようです。なので従来より使われているジムグリパイソンの名は適当とは言えません。混乱を避けるために俗名をカナ表記して、カラバリアと呼称することもあります。



 ボアとパイソンの特徴を併せ持つというか曖昧な感じの原始的な種です。全長1メートルくらいの小型種で、地中生活をしながらモグラや小さなネズミを捕食するそうですが、とてものんびりとしたヘビなので、こんなんで生きた餌が採れるのかって不安になってしまいます。
 とりあえず土の中から出てきません。掘り返すといつもこんな感じで丸まっています。むしろからまっているといった感じです。ほどけるのでしょうか。



 小さな眼と口器は、優秀な捕食者のそれとは思えないですね。飼育下ではマウスに餌づきやすく、比較的飼いやすいという人と、飼育困難と断じる人とに分かれます。個体差が大きいということなのでしょうか。筆者が飼っていた個体は、困難の方でした。置き餌のマウスもなかなか食べてくれません。生きたマウスを置いてやってもなかなか食べませんでした。



 ボア科に属するも、卵胎生種が多いボア科にあって珍しく卵生です。その辺りがパイソンという名のボアたるゆえんですね。
 昆虫マットを深く敷き、水入れを半分埋め込むというレイアウトで飼っていましたが、とりあえず普段は姿を見ないです。クワガタムシの幼虫を飼っているみたいなものですね。

ジャングルカーペットパイソン

2014/06/07


 カーペットパイソンの亜種のひとつ、黒と黄色の模様がひじょうに鮮やかな美種です。もっとも模様や色あいには個体差が大きく、それによって価格もかなり変わってきます。



 コーンスネークやキングスネークでは、生後間もない幼蛇の販売が多いのですが、本種では幼蛇はあまり人気がないようです。どんな個体になるか成長してみないと判らないからですかね。筆者が飼っていた個体は、幼蛇でもすでに美人の相がハッキリしていましたね。



 美人でしょ? でもというかゆえにというか気まぐれです。素直にハンドリングに応じてくれる場合もあれば、ポンポン飛びついてくる時もありました。でも、餌づけは意外に早かったです。飼育を始めて2ヶ月くらいでコンスタントに人の手から採餌するようになりました。



 幼蛇のうちは、メリハリのある黒と黄色の模様ですが、成蛇になると黒紋の部分がウロコごとに黄化し、そのせいで網目模様のようになります。それがまた美しいのですが、冬期の暖房器具の故障で
死なせてしまいました。飼育期間は1年に及ばず、成長と共に見られる変化を観察することはできませんでした。



 たいへん魅力的なヘビなので、また機会があればぜひ飼ってみたいのですが、けっこう大きくなりますし、立体行動の得意なヘビでもありますから、大きめのケージが必要と思われます。ボールパイソンのように小さくコイルになって木に止まっているヘビなら、それほど場所はとりませんが。実際に成蛇を飼ってみないと判らないですね。

ノーザンカーペットパイソン

2014/06/07


 オーストラリアからパプアニューギニアにかけて分布するカーペットパイソンの亜種のひとつです。アフリカのパイソンも素晴らしいですが、オーストラリアのそれはまた赴き異なり、ちがった風格があります。大きな個体では2メートルくらいになりますが、アフリカのパイソンほどには太くならないので、あまり大きくないケージでも飼えます。



 生後間もない幼蛇を入手しました。これからどんな風に成長するか楽しみです。って、10年前の話しをしてるんですけどね。現在は飼ってません。



 樹上性が強い種のようですが、立体行動がとれるようなレイアウトにすると気が荒くなるとよく聞きます。それはイヤだなと思ったので、コーンスネーク等と同様にフラットタイプのケージで飼い始めました。



 ヤモリのような縦筋眼、ピット器官の目立つ顎、よくくびれた頸部と大きな頭、カッコイイです。これがパイソンの魅力ですよね。



 成長するにつれて、模様のコントラストがハッキリして美しくなって来ました。
 なかなか人の手からマウスを食べてくれませんが、置き餌はコンスタントに食べるようになりました。ここまで馴化するのに半年以上かかったと思います。
 ヘビは気まぐれですが、パイソンの仲間はことさら気まぐれです。充分に馴れたと思っても、また拒食が続いたり、飛びついてくるようになったり。ヘビのこうした性格と上手く付き合うには、根気よくかまってやり、相互に馴れて行くしかなく、その苦労はきっと報われます。



 扱いやすくなったと感じるくらいに馴れた頃、ケージの中にとまり木を入れてやると、よくその上に乗っかっているようになりました。
 今から思えば、ヘビが馴れたのか、こちらがヘビの個性に馴れたのかよく判りませんが、飼育者がヘビの扱いに馴れるというのも、飼いやすさの1つの要因なのでしょうね。

ブラッドパイソン

2014/06/08


 タイからマレー半島、スマトラ島辺りにまで分布する大型のパイソンです。大型といってもビルマニシキヘビやアミメニシキヘビほどではありませんが、太さがあるのでひじょうに大きく見えます。体長2メートルを越えるくらいの個体になると、その太さは人の大腿部よりも太くなると言いますから、力もたいへん強そうです。って言うか、ものすごく強いです。



 生後間もない個体を入手しました。大蛇と恐れられるビルマニシキヘビも生まれたてはまだこんなものでしょうね。本種の成蛇も体の太さや頭のサイズでは彼(か)の大蛇に負けていませんから。体つきも頭部に対してほっそりとしています。そして体が短いです。



 かなり神経質なヘビで、人を見るとポンポン飛びついてきましたが、餌食いは悪くなかったです。飼育を始めてしばらくすると置き餌をコンスタントに食べるようになりましたし、上手く行けば人の手から食べることもありました。おかげで1ヶ月もすると少し体つきに風格が出てきました。そして体が短いです。



 お食事中の顔を写真にすると、なかなかいかついですね。すでにアダルトマウスを飲めそうです。ご覧のように下顎は中央で歯列が途絶えています。顎骨もここで左右が切れているので、下顎は左右に大きく開くことができ、口のサイズがたいへん大きくなり、自分の頭より大きな獲物を飲み込むことができるのです。針ののようは歯は内側を向き、獲物をホールドして放しません。ヘビの口器はいずれもこんな感じです。



 この個体は、本種としては色が明るい方です。もっと黒っぽいものもいますし、本種の名の由来になっている緋色(血のような赤)を呈する個体もいます。ブラッドパイソンはヒイロニシキヘビとも呼ばれ、ブラッドは血のことです。鮮やかな緋色の個体は人気があり高価です。



 これはあくびをしているところではありません。餌を飲み下しているところです。頸椎というか背骨というか、背中の方がうねってますよね、こうやって食べたものを胃の方へ送ります。



 飼育を開始して半年以上経ちました。どんどん成長してどんどん太くなり、今では胴回りが人の男性の上腕くらいあります。このところ拒食がちだったので、そのころストックがあった生きたマウスを与えたところ、このように絞め殺しました。小さな相手でも全力で向かうって感じです。残酷な絵柄ですが、ヘビは捕食動物なので割り切るしかありません。



 ヘビはおおむね気まぐれなのですが、とくに本種はそうであるともっぱらのウワサです。確かに友好的に見える時と、猛然と攻撃を仕掛けてくる時があります。ロイヤルパイソンのように、人を見ると餌を期待するようなしぐさはあまり見られないです。だから、ハンドリングはかなりの勇気を要します。噛まれるのを回避するには、ヘビには迷惑がられますが首根っこを押さえるしかありません。小さいころは可愛かったのに、今や力もたいへん強いです。
 幼蛇の頃に比べると、体色に赤みが乗ってきて綺麗です。ヘビは無駄な運動をしないので摂取した栄養の大半を体の成長に回すことができるそうです。



 ここまで大きくなると、ニワトリやウサギくらい飲めそうです。マウスではヘビにとってあまりにも小さいおやつみたいなものです。せめてラットを与えるべきなのでしょうが、大きな動物のストックがたいへんなのと、小まめに給餌してヘビと友好な関係を維持したいので、ずっとマウスで通しました。1回の給餌で2〜3頭のマウスを与えます。



 ブラッドパイソンはマレーブラッドパイソンと呼ばれることもあり、スマトラ島周辺の固有種であるブラックブラッドパイソンという別種で、こちらは最大でも2メートルていどで、3.5メートルを越える個体もいる本種に比べると少し小柄です。小柄といえども見れば大蛇の風格と力がありますから、きゃしゃなケージでの飼育は不安です。

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索引


目次

スネさん リーザさん けもの 庭虫
雑虫 クモ 直翅系 半翅系 膜翅系 鱗翅系 鞘翅目 毒虫 魚たち 無脊椎
両生類 カメたち 絶滅動物 くさばな 庭草 雑草 高山植物 飼育と観察 ヒト □飼育動物データ




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