■生き物を飼育する■

 幼い頃から、小さな生き物が好きでした。子供の頃は誰でもそうですよね。昆虫やクモやカメやトカゲは、かけがえのない大切な遊び相手でした。なにも知らない子供にとって彼らの生態はまさに驚きの連続。だから彼らの多くが眠りについてしまう冬という季節は恐ろしいものでした。一心不乱に遊んだ仲間たちが、どんなに戸をたたいても家から出て来ようとしない非情は季節は、長く厳しい試練の時間でした。……冬の間は、虫たちの絵を描いたり、テレビ漫画をみているしかありませんでした。
 周りの友だちは、男女を問わずみんな小さな生き物が好きだったように思います。どんな虫を捕まえたかとか、カメやザリガニを飼ってることが、重要な話題でした。
 しかしどうしたことか、人は大きくなるにつれて生き物たちと疎遠になってゆき、やがて多くの人がそれらを嫌うようになっていく。かつての友だちが、あの小さな可愛い方々が、人間にとって不衛生で醜い、恐怖の対象になってゆくのです。
 大人の社会になると、小さな生き物たちへの理解者は極端に少なくなってしまいます。どうしてでしょう。あんな面白いもの。社会人になる頃には、生き物をめぐる話し相手はほぼ皆無になってしまいました。
 それでも人は何らかの形で生き物が好きなんだと思う。ペットという取扱で犬や猫や小動物を"飼う"ことは一般的に認められた普通の趣味てすし、水族館や動物園で珍しい生き物に見入ることが奇異な行動として怪しまれることはありません。
 ひと頃は玄関先や玄関口に水槽や温室を置いて、数々の爬虫類等を飼っていました。訪問客は最初は驚きますが、やがて興味深く見入っていろいろ質問してくるようになります。家族の理解があれば飼いたいのだが、そんなふうにおっしゃる人も少なくありません。
 昨今、文明が進歩して世の中が慌ただしくなって、多くの人が癒し系のアイテムを求めるようになると、小動物がその対象として顧みられるようになりました。クワガタムシブームや爬虫類ブームなんていう現象がおこって、世界中の珍しい生き物がペットトレードに乗ることになりました。おかげで、本やテレビでしか見たことがない生き物が手に入るようになり、良質の飼育器具や飼料もそろえられるようになりました。
 世間的なペットに対する考え方には賛同しかねるところも多いけれど、飼育用アイテムとノウハウの充実は本当にありがたいです。今の時代に感謝です。かつては、捕まえて来たヘビ1匹飼うにも餌を用意するのに苦労したものだが、今じゃショップや通販で良質の餌が容易に手入できます。
 どこも都会化が進み、多くの人々が生き物とじかに触れ合う機会が少なくなってしまいましたが、その分ペットショップがたくさん増えて、諸外国からやって来た珍獣や珍虫がゾロゾロ。野山でカブトムシ1匹捕まえたことのない子供たちが、外国産の巨大なクワガタムシを飼っていたりします。なんだかものすごいですね。
 まぁどんな形にせよ、生き物たちと触れ合うことは重要なことだと思います。癒しと驚異と、そして数々の教訓を、彼らは教えてくれます。
 人間社会は厳しい競争社会であると表現されますが、それは、野生動物を観察した先人たちが、生存競争になぞらえて、そのように表現したからです。我々も地球上の生き物のひとつであるわけですから、人間社会は自然界の縮図なのでしょう。だとしたら、もう一度みなさんの目でじっくりと、その大自然を見つめてみて下さい、競争社会などという宿命論のウソがきっと見えてきますから。

ヘビを飼ってみよう

 爬虫類や両生類、クモやムカデ等の小動物は、ハムスターや小鳥とちがって、静かで臭いも少なく、あまり手間がかかりません。餌代も高くつきません。それは彼らが変温動物だからです。ご存知のように地球上の動植物の中で、高い恒温性を有しているのは、哺乳動物と鳥類だけです。恒温動物は酵素パワーで食物を燃焼させて高い体温を維持しています。だからたくさん餌を食べ、大量の酸素を消費します。それに比べ、代謝が低く体温の維持を周囲の気温に依存している変温動物は、少食で酸素もあまり消費しません。なので糞も少なく飼育環境をあまり汚さないのです。
 変温動物の中でも、ひじょうに魅力的なのがヘビです。手も足も無く、耳もありません。目はありますがまぶたはありません。もともとトカゲの仲間から進化して来たのですが、この風変わりな風貌に関わらず、大変成功した大きなグループで、実にたくさんの種類のヘビがいます。
 そしてその多くをペットとして飼育することができます。愛好家はじつにたくさんのヘビを飼っていたりします。標準的なサイズのヘビでは長さが人間の身長ほどになりますが、その中の多くの種は、頭が人の親指ていどで、胴の太さも庭で使うゴムホースほどです。とぐろを巻くとひじょうにコンパクトに納まり、広い生活スペースを必要としません。いわゆる小動物なのです。ですから40〜50cm幅ていどの容器があれば生涯飼育することが可能で、これなら大豪邸に住んでいなくても、たくさんのケージを家庭に収容することができますね。
 ヘビの餌は、ずばりネズミです。もちろんそれ以外の餌もあれこれありますが、ネズミさえあれば、ひじょうに多くの種類のヘビを飼育できます。しかしながらネズミを飼料としてストックしておくのは容易ではありません。なにしろ生き物ですから。でも専門店や通信販売で餌用に冷凍されたネズミが手に入るので、これを買い求めて冷凍庫にストックしておけば簡単です。便利ですね。必要に応じて解凍してヘビに与えるのです。冷凍ネズミは1ヶ月以上冷凍保存できますから、まとめ買いしておくと良いですね。
 ヘビは脱走の名人です。信じられないような小さな隙間からでも脱走してしまうので、ケージ選びには注意が必要です。この点がクリアできれば、別に高価なモノは必要ありません。
 ケージを手に入れたら、底に新聞でも敷いて、飲み水を適当な容器に入れて置いてやれば、それでOKです。ヘビがすっぽり隠れることができるようなシェルター(隠れ家)を用意できれば、ヘビが落ち着くので望ましいですが、なくても平気なヘビも少なくありません。筆者はよほど神経質な種でなければ、隠れ家は用意しません。ただ底敷きが新聞ではちと味気ないので、ハムスター用のワラ(広葉樹を削ったチップ)を敷いています。
 ヘビの世話は、基本的には飲み水の交換と給餌です。飲み水はなるべく頻繁に交換し、餌はおとなのヘビなら、1週間から10日に1度与え、成長期の子供には3日置きくらいに与えます。筆者はものぐさなので、10日に1度水換えと給餌をするだけで、あとは放ったらかしです。
 ま、これは悪い見本なので、可能な限り世話を焼くようにしましょう。神経質な種の場合は世話を焼きすぎるとストレスになってしまいますが、ヘビの多くはけっこう神経が太くて、人や飼育環境によく慣れます。
 慣れれば、人前であろうがケージの外であろうが気にせずに餌を食べたり、のんきに寝そべって ふぁ〜 なんてあくびしたりする、おちゃめな姿が見れるようになります。
 ってことで、みなさんもこの可愛い動物と仲良しになりましょうね。

ヘビの飼い方

 ヘビという動物は、極めて特徴的な動物で、手も脚もなければ耳もマブタもありません。音のない世界を静かに生きています。ミミズほどの小さなヘビから、人を飲むとウワサされる大蛇まで、すさまじい種類のヘビがいます。あるいは高い殺傷能力を持つ有毒動物もひじょうにたくさんいます。そしてその多くが家庭で飼育可能です。人が入れるほどの大きくて頑丈なケージを用意できれば、大蛇だって飼えます。
 ハブやコブラやガラガラヘビの仲間にも、魅力的で飼いやすいものがたくさんいるのですが、危険動物飼養に関する規制があって家庭で飼うのはちょっと面倒です。不可能ではないんですけどね。毒ヘビたちの素晴らしさを多くの人に知って欲しいところですが、なにせ危険が伴うので仕方ないですね。どうしても飼いたいって人には、個人的にこしょ〜り相談にのるですよ、はい。
 ヘビは一般的な悪印象とは裏腹に、飼育者とひじょうに良い関係を持てる、ある意味たいへん人なつっこい生き物です(例外も多いけど)。多くのヘビを、小鳥のように手乗りにすることも可能ですし、餌も飼育者の手から直接食べるようになります。それに騒がしくしないし、飼育環境をあまり汚さないので、手間もかかりません。ペット不可のマンションでも、中型サイズ以下のヘビなら、ひそかに飼えるです。

 サイズも人なつっこさもダントツで、入手しやすく、しかもカラーバリエーション豊かなヘビにコーンスネークがあります。北米原産のこのヘビは、ペットとして大量にブリードされ、様々な色や模様のものが作出されています。雌雄のペアを入手できれば、ご家庭での繁殖も難しくありません。初めてヘビを飼う人には絶対にお勧めの逸品です。
 コーンスネークは、爬虫類を扱うショップならまず扱っています。デパートやホームセンターのペットコーナーでも販売されていることが少なくありません。多くの場合、太さが数ミリ、長さが15センチていどの幼蛇が売られていて、めっちゃラブリーです。
 この程度の子ヘビなら、15センチていどのプラケースで飼えます。ただし、ヘビは脱走の名人なので、フタとケースの間に目の細かいネット(網戸の網とか)を挟むなどの工夫をしましょう。
 ケースの底には、新聞紙やキッチンペーパー、あるいはハムスター用のワラなどを敷きます。パインチップといった針葉樹を原料にしたワラはやめた方がいいです。アルカロイド性毒物を含みますから。
 飲み水はたいへん重要です。餌を切らしても飲み水は切らしてはあきまへん。小さな容器に水を入れて置いてやります。夏場は水に浸かったりもします。水の中に糞をすることもあるので、水は小まめに換えましょう。水入れの中に糞をしても叱ってはいけません。水浴は便秘解消の秘訣ですから。
 新しい飼育環境に子ヘビを落ち着かせるには、シェルターを用意します。数センチの小さなタッパーに加水したミズゴケ(園芸用品です)を半分くらい詰め、コーナーを丸く切ったフタを閉めます。丸く切った部分がヘビの出入り口です。
 飼育環境は以上です。ヘビは基本的に夜行性ですが、夜行性の小動物は案外昼までも餌を食べたり飼育者と遊んだりすることに慣れるものなので、昼間に餌を与えるクセをつければ、それもOKです。飼育者の生活サイクルで、夜間に照明を点けて世話するのもOKです。
 餌はネズミです。ショップに相談して、子ヘビにあったサイズの冷凍ネズミ(専門店ではマウスと呼称)を購入し、冷凍庫にストックしておきましょう。マウスはお湯で解凍して与えます。お風呂のお湯くらいの温度で、チャック付きのポリ袋なんかに入れて解凍するのがよろし。筆者の場合は、朝から常温に放置して自然解凍し、夕方に給餌するというなまくらな方法をとってますけどね。
 ショップで充分に餌付けされている子ヘビであれば、目の前に餌を示すと食いついてくれますが、そうでなければシェルターの上にでもマウスを置いておきます。うまくゆけば食べてくれます。でも、コーンスネークの幼蛇は基本的に小さなトカゲやカエルといった変温動物食なので、マウスは食べないかもです。その時は、強制給餌です。ヘビの口をこじ開けて無理矢理マウスを突っ込みます。
 餌を与えるには竹製ピンセットを使いましょう。金属製だと口を傷つけることがなきにしもあらずです。
 強制給餌の方法ですが、ヘビの首根っこをつかみ、名刺くらいの薄いカードをヘビの口に差し込みます。そうして口を開かせたところへマウスを頭から突っ込みます。カードをさっと引き抜き、竹ピンセットで、マウスをゆっくりと押し込んでゆきます。マウスが完全に押し込まれたら、ヘビの頭を指でつまんで優しくしごいて、マウスを胃まで導いてやります。充分に導かないと、ゲロゲロ吐き戻しちまいます。ところが、この給餌方法はひじょうに難しいので、置き餌で食べてくれなければ、信頼できるショップに行って強制給餌の手本を見せてもらいましょう。ヘビを購入する時に強制給餌について教えてもらっておいても良いですね。
 子ヘビへの給餌は、週に2回ていどマウスを1匹ずつ与えますが、成長に応じて回数を減らし、マウスのサイズを大きくくして行きます。1年もしない内に成蛇になりますが、その頃には10日から2週間ていどの給餌でOKになります。シェルターもヘビに合わせて大きくしますが、飼育環境によく慣れた成蛇では必ずしも必要ありません。
 餌を与える以外の世話としては、掃除ですね。ワラの上に落ちている糞を周囲のワラごとつまんで捨てる。ケージの側面などに糞がついたら、濡らしたティッシュ等で拭き取る。2〜3ヶ月に1度はワラをすべて新品と交換しケージも水洗いしてやる。このていどです。

 ヘビは変温動物なので、冬場は冬眠します。なるべく温度変化の少ないところにケージを置き、シェルターは絶対に用意しておきます。あと真冬でも新鮮な飲み水を欠かさずにしましょう。
 多くの愛好家は、冬場も加温して冬眠させないようにしています。とくに幼蛇は冬眠させない方が安心です。暖房器具はフィルムタイプのヒーターが安価で省エネで使いやすいです。
 冬場を加温して飼う場合は、大掛かりな暖房器を用いた温室で飼うようなケースを除き、餌は控えめ(平素の半分くらいの回数)にします。餌を与えたあと数日はとくに充分な温度を維持しましょう。かといって暑くしすぎたり蒸れさせたりは禁物です。できれば大きめのケージで、ミズゴケを入れたシェルターを中心に温め、それ以外の場所は比較的低温になるように工夫すると良いでしょう。ヘビが自由に好みの温度を選びます。
 そうして春が来たら、雌雄のペアを飼っている場合、待望の繁殖が期待できます。ヘビは基本的には、1つのケージに1匹ずつ飼育しますが、コーンスネークは1つのケージでペアを飼うことが可能です。

ヘビの繁殖

 コーンスネークの飼育下での繁殖は、ひじょうに容易です。健康で若いペアを入手できれば、かなりの確率で繁殖に成功できます。ヘビ飼育初心者の多くが繁殖に成功しています。ただ、どうしても交尾しない、産卵しないという悲運もゼロではないので、繁殖の成功をここで保障することはできませんが、失敗例の方が少ないのは間違いないです。
 専門家は、冬場を擬似的に再現させたあと温度を上げて春の到来を体感させて発情を促す、ウィンタークーリングという技術を用いたりしますが、これを雑誌や専門書でよんで実践すると、成功率を下げてしまうことが少なくないです。このような技術は熟達した人の手ほどきを受けられる場合に実践すると良いかと思います。ベテランのブリーダーはウィンタークーリング技術で、季節を問わず繁殖させたりしています。すごいですね。

 自然に繁殖するのは春から夏にかけてです。冬眠から覚めた成蛇は、異性に出会うと交尾し、その後メスは有精卵を産みます。飼育下でも冬眠させた方が繁殖の成功率が上がると言われていますが、筆者の経験では冬場も加温して餌を与え続けていても、やはり春になると繁殖に至りました。
 繁殖させるには、雌雄を同居させて交尾を成功させることが必要で、基本的には、4月末から5月初旬あたりに、1〜2日だけペアを同居させるとほぼ交尾してくれます。後尾を目撃できると確実ですが、飼育者が知らない内に後尾が完了していることが多いです。
 雌雄をずっと同居させておいてもよいですが、その場合はなるべく大きなケージ(60センチ幅以上)で飼うと繁殖しやすいです。
 産卵場所として、加水したミズゴケで満たしたシェルターを用います(シェルターについては前項参照)。成蛇がすっぽり入れる20センチ幅ていどのシェルターを常設しておきます。
 交尾を終えたメスは、急に拒食になり脱皮をしたあと産卵します。メスがオスを追い出してシェルターを独占するようになったら、産卵している可能性が大きいですね。

 産卵を確認できたら、卵を親から隔離します。幼蛇が孵化しても逃げられないように、ネットなどした容器にミズゴケごと卵を収容し、孵化を待ちます。卵は産卵時の姿勢を維持(最初に上だった側を上に)して、ミズゴケの中に3分の2以上埋め込みます。ミズゴケは充分な湿度を維持します。常温で50日くらいで孵化に至ります。

 コーンスネークの卵の卵殻は軟質で弾性があり、孵化が近づくにつれて膨らみます。また、ミズコケの色素が付着して茶色くなってしまいますが、気にしなくていいです。
 また、若いメスの初産では、バナナのような細長い卵を2〜3個しか産まない場合がありますが、ちゃんと孵化しますし、子供もちゃんと健康に育ちますので、あきらめず期待を持って育てましょうね。

 卵に切れ目ができて幼蛇が顔を出そうとしている決定的なシーンを目撃することができたら(卵が膨らんで来たら毎日早朝から見張っていると、目撃する可能性が高くなります)、ハサミで切れ目を切り開いて孵化を手伝ってもいいですよ。また同時に産卵された卵は一斉に孵化するので、1つ孵化の兆候を見つけたら、残り全部切開してOKです。可愛い子ヘビたちがウジャウジャ這い出して来ます。

 孵化したばかりの幼蛇は数日経ってから餌付けを始めます。餌はもちろんマウスです。孵化したばかりの幼蛇はあまりにも小さいので、最小サイズのマウス1匹を飲むのも無理ですから、最小サイズのマウスをハサミで半分に切って与えます。前項でも書いた通り幼蛇の餌付けは容易じゃないです。自然界では、幼蛇のうちは変温動物食ですから(マウスは恒温動物ですね)。しかし飼育環境に慣れると、すぐに置き餌を食べてくれる場合がけっこう多いです。個体によってはなかなか食べないので、その場合は強制給餌ですね。強制給餌のコツさえつかんでしまえば、幼蛇の飼育も難しくありません。

※ 画像は、コーンスネークの孵化の様子。卵に小さな裂け目を見つけたら、ハサミで切開してやると、幼蛇が出てきます。欄が真っ白じゃなく茶色く汚れているのは、加水したミズゴケの中で管理していたためです。
アルビノと言われる品種では、黒色色素が欠落しているため、画像のような美しい白ヘビや、赤い模様のヘビになります。目もウサギのように赤いです。

トカゲを飼おう【草食獣編】

 爬虫類といえばトカゲなのですが、ご存知のようにトカゲというのは爬虫類を代表する巨大なグループで、飼育方法は千差万別、用意する用具や餌も多種多様です。なので、今回は入手しやすく飼いやすい、爬虫類初心者のための入門編に相応しい仲間について見てゆきましょう。
 何を入門編向きの動物にするかは、爬虫類をよく知る人の間でも意見が分かれるところでしょうが、僕は中型の草食獣を推したいと思います。飼育の手間はじつはけっこうかかるし、それなりに器具も必要になるのですが、動物自体が丈夫で長持ち、人にもよく慣れ、飼育環境にも馴化しやすく、表情やしぐさもおちゃめな種が多いのがたいへん魅力的です。
 野性では、植生が貧困で乾燥した苛酷な自然環境に順応して生きているので、飼育環境作りにもそんなにデリケートになる必要がありません。
 こうした条件に該当するトカゲとしては、中型で荒れ地や砂漠生のイグアナ類とスキンクス類、アガマ類があります。ショップで安価で売られているグリーンイグアナは、たいへん大型になりきちんとしつけないと獰猛で危険な性格に育ってしまうので対象外です。

 餌は、コマツナ、チンゲンサイ、サヤインゲン、ニンジンなどを生のまま細かく刻んで与えますが、じつは野菜だけでは栄養価に不安があるので、市販のイグアナフードやアガマフードを野菜にブレンドします。リンゴやバナナも少し混ぜてやると(毎回でなくていい)喜んで食べます。
 カルシウム不足を補うためにパウダー状のカルシウム剤も使用しましょう。
 餌の与え方ですが、細かく刻んだ野菜に人工飼料をブレンドし、霧吹きで少し加水し、カルシウム剤を振りかけます。餌を入れる容器は犬や猫用の皿が安定感もあって理想的です。
 トカゲは基本的に肉食獣で、進化の過程で植物食へと移行したので、多くの仲間が野菜の他に虫なども食べるので、餌を入れた皿の中にジャンボミルワームなどの生き虫をドカドカッと振り掛けてやるとひじょうに良いのですが、どうしても生き虫は無理という人は仕方ないですね。
 生き虫はトカゲたちの大好物で、駆け寄って来て食いつくさまはたいへん可愛いので、爬虫類専門店とかに通って餌用の虫に慣れて、順次飼料として導入するようにしましょう。また幼体の飼育には動物性タンパク質はひじょうに重要で、発育状態を大きく左右します。
 餌は毎日与える必要はありません。週に2〜3回ていどでOKです。餌と同時に浅いボールに入れた飲み水も用意してやりましょう。

 草食獣はけっこう食べ散らかすので、掃除は小まめに行ないましょう。飼育用のケージはガラス製の水槽が適当です。水槽の底に埃が立ちにくい砂をたっぷり敷きます。掃除の時には、この砂をフルイでシャカシャカして、糞やゴミを取り除きます。砂は動物が食べてしまっても大丈夫な、爬虫類飼育専用の砂が市販されているので利用するとよいでしょう。
 彼らは平面行動が主体となるので、可能な限り大きな水槽を用意します。ガラス面を登ることはないので、充分な深さがあればフタは要りません。通気はひじょうに重要で飼育環境が蒸れることは避けなければならないので、フタをするならネット状(バーベキューの網とかも利用できる)のものにしましょう。
 地形効果として流木や岩などを入れると良いです。生体が隠れることができるシェルターもあれば良いでしょう。地形効果を複雑にし過ぎて、トカゲが挟まって死ぬなんてことにならないよう注意しましょう。あまりモノを置くと掃除も大変です。

 トカゲは日光浴をします。岩か流木の地形効果の頂上付近を白熱ライトで照らします。ライティングされている場所が熱くて長く触ってられないほど高熱にするのがコツです。トカゲは50℃近くになる高温でしかもたいへん明るい場所で日光浴をしたり、日陰に行ったりを繰り返すので、ケージの中は高温の場所と涼しいところが必要で、その理由からもケージにあるていどの面積が必要になります。白熱ライトとは別に紫外線を多量に照射するタイプのライトを併用するのが一般的で、こうすることによって太陽光を浴びながら暮らすのに近い光環境を再現します。
 トカゲたちは太陽とお友だちなので、光環境の整備は重要です。発育盛りの幼体は紫外線を浴びることで体内のカルシウムを確保するので、これが不十分だとクル病とかになって生涯足を引きずってあるくハメになることも少なくありません。ただ、カルシウムは前述のサプリメントでもかなり補填できます。1日に数十分天日で日光浴させるのも有効です。
 太陽とお友だちの、いわゆる昼行性のトカゲは夜間はグースカ眠るので、ライトは日没と共に消灯する必要があります。これを自動的に管理するタイマーを用いると便利ですね。
 夜間、日本の冬はたいへん低温になるので、サーモスタット付きフィルムヒーターなどで、底面を加温します。ヒーターは底砂に埋めてしまうとよいのですが、底全面を加温してはいけません。涼しい場所も残しておきます。

 以上のような飼育レイアウトで、筆者はオーストラリア産のフトアゴヒゲトカゲ、アオジタトカゲ、インドから中東産のトゲオアガマ、アフリカ産のトゲオアガマなどを10匹くらい一緒に飼っていました。あまりお勧めできる飼い方ではありませんが、サイズや性格を考慮しながら順次増やして行けば、問題なく同居させることができます。乾燥地帯の動物の中でもいくらか高湿を好むものもいるので、夜間に頭に霧吹きしてやるのが有効です。砂漠でも夜露が降りたりするので、夜間の霧吹きはできればやる方が良いです。ひじょうに乾燥した地域の動物にも霧吹きしていいです。
 砂漠生の動物は、水入れの水を見つけるのが下手な場合も少なくないので、昼間でも顔に霧吹きしてやると喜んでこれを舐めたりします。また、これとは別に週1ていどで温水浴させるのもひじょうに有効です。ぬるま湯の中に飼っているトカゲたちを全員まとめて突っ込んでやります。水浴時間は20分ていど。便秘がちな個体もすっきりです。

 上述のトカゲたちは、日本の小さなすばしこいトカゲとまったく趣がちがい、小さな恐竜みたいで大変かっこよくしかも愛嬌があります。動きもけっこうのんびりしていて、飼っている内にすぐに飼育者に慣れます(種類や個体差で手ごわい場合もある)。充分に馴れた個体は、人が触っても平気ですし、人の手から餌を食べたり、人を見たら寄ってきたりします。
 爬虫類は変温動物なので餌も毎日食べなくても平気で、ほったらかしでも大丈夫なのですが、たっぷり可愛がってもOKで、そうすることによってさらに人に馴れて可愛くなります。あとはあなたが生き餌に馴れるだけですね。そして虫が絶対ダメな人でも、飼育動物が可愛いければ克服できるものです。釣り用の餌と一緒です。克服できなかった人を筆者は今のところまったく知りません。

トカゲを飼おう【肉食獣編】

 前項で草食獣の飼い方について見てまいりましたが、爬虫類の場合はほぼ完全な植物食動物というのは、大型スキンクス類のオマキトカゲくらいで、あとは動物質もたいへん好みます。飼育下では、餌用に市販されている生き虫をストックしておいてこれを与えるようにします。
 そして、生き虫の扱いが平気になったら、今度は肉食獣の飼育に挑戦しましょう。一般家庭での飼育に向いている肉食爬虫類といえばやはり虫食いの小型のトカゲということになり、その中でもヤモリの仲間は取り扱いも楽なうえに丈夫で長持ち、実のところ前項で紹介した草食獣よりもさらに入門向きなのです。ですから生き虫平気って方は、こちらから始めた方がよいくらいです。
 日本のヤモリといえば、家の壁なんかに張り付いている昆虫食の小さな動物ですが、手足に吸盤機能を持つこの仲間はすばしっこくて取り扱いが大変です。そこへゆくと、外国産の地上生活の種類は、おっとりしているものが多く、吸盤機能もないので、水槽等に収容してしまえば逃げられる心配もありません。
 ヤモリは一部を除き夜行性です。なので昼行性のトカゲのように照明装置を使用する必要がありません。綺麗に見せるための熱の低い蛍光灯などでライティングするのはOKです。
 飼育レイアウトは、砂を敷いた水槽に、生体がすっぽり隠れられるシェルターと、飲み水を入れる浅い容器を置くだけです。飼育環境が蒸れないように通気性の高いフタを用いるのと、冬場はフィルムヒーターで底面の半分ていどを加温するのは、昼行性の草食トカゲの場合と同じです。
 餌は、飼育者が気が向いた時に生き虫を放り込んでやればOK。飼育環境に慣れると、シェルターから飛び出して来て食いつきます。ピンセットでつまんだ虫を直接与えることもできます。
 どれくらいの分量を与えるかは、あまり気にしなくてよいです。何日も与えなくても平気だし、毎日与えてもいい。筆者は虫が逃げ出せないていどの深さの入れ物に入れて置きっぱなしです。なくなったら補充します。
 冬場は加温していても食欲がなくなり2〜3ヶ月やそれ以上食べないこともあります。それでもまったく心配には及びません。
 虫にカルシウム剤を振り掛けてやると、とくに育ち盛りの若い個体にはたいへん有益です。もちろん成体にも与えてよいです。

 地上生活のヤモリも平面行動動物ではありますが、あまり歩き回る方ではないので、それほど大きなケージは必要ありません。1匹だけで飼うなら、その個体の体長(尻尾を除いた身長)の倍くらいの幅の入れ物で問題なく飼えます。体長10cmていどのヤモリを4〜5匹飼うなら、60cmの水槽で充分です。45cm水槽でも問題ありません。

 夜行性の動物は飼育下ではけっこう昼行生活に慣れます。人間が餌をくれることを覚えると人の気配がするとシェルターから出てきたりしますし、環境にすっかり馴化した個体では昼間でも歩き回っていたり、雌雄が交尾行動をとることすらあります。

 地上生活ヤモリの中でも、最も飼いやすく初心者でも繁殖させることができる種に、ヒョウモントカゲモドキというのがいます。ヤモリには一般的に目にまぶたがないのですが、こいつはトカゲと同じようにまぶたがあります。
 たいへん丈夫で人にもよく馴れ、飼いやすいのですが、成熟したオス同士は激しく争うので同居させられません。オス1頭に対しメス数頭のハーレム状態で飼うのが一般的です。雌雄1頭ずつだとオスの性欲が1頭のメスに集中するのでメスにとって負担になります。
 繁殖に成功した場合、兄弟たちを1つのケージにまとめて飼えるのは翌年の春までです。春の繁殖期には成熟したオス同士の争いが始まります。
 ヤモリは小さな入れ物で飼えるので、ケージをいくつも用意して、たくさんの種類の飼育と繁殖を手掛ける人が多いようです。上述のヒョウモントカゲモドキなどは、ブリーダーたちが様々な模様の個体を作出しているので、いろんなタイプをコレクションし、異なるタイプ同士を掛け合わせ、どんな模様の子が生まれるか実験するのも面白いです。

大型トカゲの飼い方

 大型のトカゲの仲間で、一般家庭でも飼いやすいのは、テグーやモニターの仲間です。ただし種類や個体差でなかなか人に馴れないものもあるので、専門店に相談してみると良いでしょう。
 大型トカゲを飼育する最も重要な条件は、飼育者がどれだけ動物に馴れているかということになると思います。爬虫類は初めてという方でも動物との接触が平気な人は、いきなり大型トカゲやワニ、巨大ニシキヘビをたいへん上手に飼ってしまったりします。
 テグーやモニターの仲間は肉食です。小型の肉食獣とちがって、生き虫ていどの餌では飼えません。そこそこのサイズのネズミや鳥などを与える必要があります。ただし、生きてなくてもよいので、餌は冷凍ストックしておくことができます。
 大型の肉食獣を上手く飼うには、動物がどれだけ人間に馴れるかが鍵になります。基本的には小さな子供を買ってきて、よく世話をやき人間にベタ馴れするように育てます。
 子供の間はたいへん警戒心が強いですが、飼育環境に馴れて落ち着いてくると、人の手から餌を食べたり、人を見ると近づいてきたりするようになります。ここまではけっこう簡単にクリアでき、ショップにいる間にすでにここまで馴れている個体もすくなくありません。
 しかしこでだけではダメです。大人になって大型化したトカゲを安全に飼うには、人に触られても平気で、抱きかかえたりできるくらいにする必要があります。でないとケージを掃除したり水を換えてやったり恐くてできません。

 テグーやモニターを人に馴れさせるためには、子供の頃は小さめのケージで飼い、餌を人の手から食べるようになったら少しずつトカゲに触るようにします。竹製のピンセットでマウスをつまんでトカゲに与え、餌に食いついたら反対の手でトカゲののどのあたりに触れる、これを繰り返します。触れている間ピンセットをしっかり握って餌を奪い取られないようにします。
 少しずつ触れる面積を増やして行き、そのうち手に乗らないと餌が取れないように、手のひらに餌を乗せて与えたりしてゆき、やがては給餌以外の時でも触られることに馴れさせてゆくのです。

 飼育者の努力次第で大型トカゲは大変よく人に馴れ、リード(胴輪)をつけて家の中に放しておくような飼い方も可能になります。完全に戸締まりができて絶対に逃がさない自信があるなら、リードなしで放し飼いもできます。180cmていどの水槽にしっかりとしたフタができるなら、基本的には生体をその中に入れたままの状態で飼い、飼育者の好みで出して遊んだりすることができます。
 小型のワニの仲間も上手に飼えばよくなつきます。ただワニには大きなプールの設備が必要ですが。

 大型トカゲ類は、多くの地域の条例で飼育が規制されています。市役所等に問い合わせ、危険動物の飼養に関する条例について教えてもらい、飼育許可を取得しましょう。頑丈で鍵がかかるケージに収容する等の条件があり、お役人が飼育状況を確認しに家まで来て写真を撮り、有料で許可証を発行してくれます。ツリーモニターの仲間は小型でおとなしいのに、オオトカゲの一種というだけで危険動物扱いしている地域もあり、お役所仕事の愚かしさが伺えます。
 それでも専門店にゆくと、じつにたくさんの大型トカゲが市販されています。子供で売られている場合が多いですが、いずれ大きくなることを考慮し、お店の人によく相談して購入しましょう。あと、グリーンイグアナの子供なんかがホームセンターのペットコーナーで安価で売られていたりしますが、このトカゲはひじょうに大型化するうえに上手く育てないと獰猛で手に負えない猛獣と化します。お店の人も知識がなかったりするので、買わない方が良いです。
 そしてこの獰猛な動物はオオトカゲ類ではなくイグアナ類なので、危険動物の指定を受けることもなくたくさんの子供が市販されています。

冬を乗り切ろう

 熱帯魚を飼育している人にとって、冬場の水槽の管理というのはたいへん容易なものですね。水量に応じた出力のサーモスタット内蔵型ヒーターを水槽の中に入れておけば、それで水温は適性に管理されます。水棲動物の飼育はむしろ夏場の方がたいへんで、過剰な水温上昇を防ぐにはけっこう手間がかかります。

 これに比べて陸棲動物の冬場のメンテは極めて困難です。日本や北米の動物であれば冬眠させちまうという手もありますが、寒季を知らない熱帯産の動物は、気温が一定以上低下すると死に至ります。安全に飼育するためには20℃を維持しなければなりませんし、15℃を切ると大きなダメージを受けるか死に至ります。

 陸棲動物の飼育環境の保温とは、すなわち空気の保温です。水とちがって保温効率の極端に悪い空気は、どんなに手を尽くしても飼育環境全体を一定に保つことはできません。上等な暖房装置を用いても、上手く空気を循環させても必ず温度ムラが生じます。一時的に上手く行ったように見えても、外気の変化がそれを妨害します。

 いったいどうすれば良いのでしょう。問題は保温することよりも、飼育者の理解度だったりします。考えてみて下さい。我々自身が外ならぬ陸棲動物なのです。空気中で暮らすことの温度ムラについては身を持って体験しているじゃないですか。
 動物の活動に必要な温度を確保するために手を尽くすあまり、過剰な加温及び保温対策をしてはいけないってことなのですよ。じゃあどうすれば良いかというと、上手く温度ムラを作ってやることを心掛ける、ということになるかと思います。
 これは夏場の温度管理でも言えることで、ケージの中の温度勾配を、動物たちは上手く利用して暮らしているんですね。昼行性のトカゲなどは50℃を超えるようなところで日光浴をして、しばらくすると冷所で休んでを繰り返しています。このように温度勾配があれば、彼らは自分で適切な場所を見つけて移動するのです。
 充分な温度が確保できたと安心していると、外気温の変化で、ケージ内が過剰な高温になってしまい、動物がダメージを受ける、なんてことはよくあることです。
 ですから、陸棲動物の飼育環境の温度管理は、大きいケージほど容易で適切になるわけです。ちっこい入れ物の方が温めやすいというのは間違いなんですね。大きいケージなら1ヶ所にヒーターを設置すれば、そこが高温になりすぎた場合でも、少し距離をおけば理想的な温度が得られます。
 とは言え、飼育者の諸事情によりそうそう大型なケージばかり用意できないですよね。では小さなケージをヒーターで理想的に加温するにはどうしたら良いでしょう。答えは小さいなりにも温度勾配を設けてやるということになります。
 長径が30cmやそれ以下のケージの中に、強い熱を放射するタイプのヒーターは使えません。サーモスタットを内蔵したフィルム状のヒーターが理想的です。様々なサイズのものが市販されているので、とても便利です。小さなケージのヒーティングは、フィルムヒーターの上にケージを載せるという方法で行ないます。この時、ケージの底面の半分がヒーターの上にあり残りの半分は加温しない状態にします。そうすることによって温度勾配を作ることができるわけです。
 あとはケージを設置する場所も考えましょう。時間帯によって直射日光が当たったりすると、その時だけケージ内が過剰高温になってしまいます。また、日の当たる時間帯は日を追って変化するので、飼育者は常にケージの設置条件を監視していなければなりません。
 小さなケージは、室内での管理がやはり理想的で、直射日光への配慮さえきちんとしていればけっこう容易です。反対に屋外で管理するとなると、そのこと自体がすでに無謀で、どうしても家に入れられないなら、専用の温室を容易するとか、ビニールハウスのような設備を設けるとかして、なんとか外気と戦ってゆかねばなりません。そして温室やビニールハウス自体が外気と日光によって熱せられたり冷却されたりしていることを把握していなければなりません。
 空気の保温というのは大変ですね。24時間冷暖房完備の室内で年中管理できれば苦労はないのですけどね。

冬季対策の実際

 冬季の大きなケージの加温はそれほど難しくありません。ペットショップで市販されている加温用のライトを使用すれば、充分な温度が確保できますし、部分的に暑くなりすぎても広いケージ内には温度勾配ができるので飼育動物が自分で居場所を選択します。昼行性のトカゲのように日光浴をする動物では、日光浴用のライトがそのまま暖房器具になります。
 日中は日光浴用ライトで加温できますが、夜間には光をほとんど出さず熱だけを出すタイプの加温用ライトを使用します。また、加温装置以外の防寒処置も併用しましょう。防寒処置とは、ケージを発泡スチロール等の断熱材で覆うことによって外気温の変化の影響を受けにくくすることです。
 樹上性の動物やどこへでもよじ登ることができる動物に対して加温用ライトを使用する場合は、火傷防止のネットとサーモスタットを必ず使用します。ネットはそれ自体は高温にならない特殊な素材のものがライトと共にペットショップで市販されています。
 サーモスタットはケージ内の温度が過剰に上昇しないようにするために必要で、これによって外気温が変化しても加温装置の出力を変える必要がなくなります。ケージを断熱材で覆って防寒処置をほどこしても、外気温の影響をまったく受けないわけではありません。それに完全密封の形で防寒処置をすると、ケージ内が蒸れて、動物が蒸し焼きになることがあります。とくに上部の覆いは3分の2から半分ていどにとどめ、一部を開放しておく必要があります。
 昼行性の動物の飼育では、夜間は日光浴用ライトを消灯しますが、代わりに光をほとんど出さずに高熱を発するタイプの加温用ライトを使用すると良いでしょう。ライトの昼夜の切り替えには複数の電源のオンオフをコントロールするタイマーを用いると便利です。
 長径30〜40cmていど、あるいはさらに小さなケージの加温には加温用のライトは設置できません。この場合はケージを発泡スチロール等で覆うなどの防寒処置をするとともに、サーモ内蔵のフィルムヒーターを用いると良いでしょう。フィルムヒーターはケージの下に敷いて使用しますが、加温するのは底面の半分にします。また大きなフィルムヒーターで複数のケージをまとめて加温することもできます。

 空気の保温はひじょうに難しく、今日は上手く行っても明日は充分な温度が確保できないかも知れません。外気温は日ごとに、時間ごとに刻々と変化しているからです。つまり飼育環境の温度管理には限界があるのです。
 大きなケージなら大出力の加温装置を使えますが、小さなケージの場合はそれは無理なので、きめ細かい観察と経験でコツをつかんで行くしかありません。加温が不十分なことも危険ですが、高温になりすぎることや、昼夜で温度変化がありすぎることも危険です。
 爬虫類や両生類は変温動物です。彼らは代謝も外温に依存しています。昼間の高温時に餌を摂取した個体が、夜間極度の低温にさらされると、食物を消化できなくなり、未消化の食物がお腹の中で腐敗することがあります。これは大変に危険です。なので、餌を与えた時には夜間の温度を充分に確保する、それができなければ餌を与えないといった配慮も必要です。
 飼育環境の平均温度が低くなると、変温動物は著しく食欲が低下します。ヘビの仲間では、冬眠しなくても秋以降から春まで、何ヶ月も拒食する種が少なくありません。変温動物が秋以降に餌を摂らなくなるのは心配なことではありません。また、与えれば食べるような個体に対しても、給餌量を減らしてやると良いでしょう。1回に与える分量を減らすよりも、与える回数を減らし給餌間隔をあけるようにします。2〜3週間から1ヶ月あけても問題ありません。ただ、飲み水だけはいつでも充分に用意するようにし、数日おきには新鮮なものと交換しましょう。

虫の世話

 爬虫類や両生類の飼育に欠かせないのが、餌となる生き虫の管理です。オマキトカゲのような完全なベジタリアンや、ヘビのように冷凍マウスのみで飼育できる動物であれば、生き虫の準備は無用ですが、トカゲや両生類のほとんどが虫や小さな動物を捕食します。野菜が主食のトカゲであっても、生き虫を喜んで食べますし、幼児期から成長期には、動物性タンパク質を必要とします。
 筆者は、動物の飼育に費やす労力とコストをいかに軽減するかということばかり考えているので、ストックできる生き虫も安価で手間のかからないモノを求めてまいりました。その結果、ミルワームおよびジャンボミルワームの名称で市販されている甲虫類の幼虫をもっぱら使用するようになりました。
 ミルワームやジャンボミルワームは、市販の生き餌としては安価で入手も容易、しかも管理がたいへん楽です。フスマと言われる麦のヌカの中に入っている状態で売られており、このフスマがそのままミルワームたちの餌になっています。なので、フスマごと適当な容器に入れておいて、必要な時に必要なだけ虫をつまみ出せばよく、あとはとりあえず放っておきます。
 ミルワームは、ほとんど水分を必要としないので、買って来た状態でそのままストックしておきます。高温になるとダメージを受けたり、とっとと成虫になってしまうので、冷所(20℃前後)で管理すると長持ちします。夏場は冷蔵庫に入れてのとくも有効です。
 ジャンボミルワームは、若干の水分が必要ですが、買って来たばかりのフスマに加水すると発酵して高熱を発することがあります。高温にはたいへん弱いのであっけなく全滅ってことも少なくありません。なので買って来てから1週間から10日は加水は禁物です。生き虫を購入後、日を置いてから2リットルのフスマにコップ1杯ていどの水を1ヶ所に固めてちょろっとたらします。万遍なく散水しないのは、万一加水による発酵が生じても被害が全体に及ばないためです。
 水分は少量の水を加えてもいいし、水分の多い野菜を入れてやってもいいです。野菜は虫の餌にもなります。ただし野菜は腐敗に気をつけましょう。あと野菜の水分でフスマが発酵することおあるのでご注意を。
 ジャンボミルワームは、フスマの中にいるかぎり何ヶ月でも幼虫のまま機嫌よくしているのでストックに便利です。フスマから出しておくと、とっとと成虫になりやがります。成虫は硬くて臭くて餌として使い物になりません。

 ミルワームは太さ1〜2mm、長さ1cm強の細長い幼虫で、けっこう硬いです。爬虫類飼育の専門家の間ではあまり歓迎されません。栄養価も片寄っていて動物性タンパク質の飼料として充分じゃないと指摘されています。
 ジャンボミルワームは、長さが3〜5cmになる大型の幼虫で、普通に市販され需要も多いのに、これも専門家に栄養価の片寄りが指摘され、理想的な飼料とはあまり言われないみたいです。
 しかし筆者は、ジャンボミルワームだけで何年も飼育動物を健康に維持していますし、飼料として問題を感じたことはありません。
 栄養価の片寄りはガットローディングという方法でかなり解決できます。この方法は、餌になる虫に足りない栄養分を食べさせ、その状態でその虫を飼育動物に食べさせるというものです。よく言われるのが、昆虫に含まれるカルシウム分の不足ですが、パウダー状の爬虫類用カルシウム剤が市販されているので、これをフスマに混ぜてミルワームたちに食わせると良いです。
 でも、筆者の場合はカルシウム剤は、ガットローディングではなく、小皿などに入れて直接飼育動物に与えたり、餌入れの中に投入したミルワームたちに振りかけて一緒に食べさせたりしています。
 ミルワームたちにガットローディングするなら、小鳥用に売られているサプリメントを使用するのが効果的です。幼鳥の発育不善を防いだり、傷病個体の回復にもちいるサプリメントは、滋養強壮効果に優れており、これを食べさせた生き虫を飼育動物に与えると元気バリバリです。
 サプリメントは、パウダー状になっていて水を加えて団子状に練って使用するタイプのものを選びます。団子に練ったものをフスマの上に適当に転がしておくと、虫たちがこれに食いつきます。ただ、ミルワームの場合は団子の水分が気になるので、少量のパウダーをそのままフスマに混ぜると良いです。ジャンボミルワームの場合でも、団子の水分でフスマが発酵して高熱を発する場合があるので注意が必要です。ジャンボミルワームに対しても、パウダーをそのまま混入してやるのも良いでしょう。配合分量は適当でいいです。筆者の場合は2リットルのフスマに対して200〜300ccのサプリメントを配合します。といっても普段はあまり使わないかな。繁殖シーズンとか幼体の飼育時に利用することが多いですね。

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