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カメレオン

 アフリカ大陸からユーラシア大陸の南西部に棲息するひじょうにユニークなトカゲです。中型から大型のものでは体が縦偏していて、まるで足の生えた魚のようです。俊敏さはなく、樹上をゆっくりと歩きます。ミトンのように分かれた足の指と、長くて巻き付けるのに適した尾が、この仲間が樹上生活に特化した生き物であることを示しています。
 カメレオンが周りの環境に応じて体色を変化させる保護色名人であることは有名ですが、実際に飼ってみますと、保護色の用よりも体のコンディションや気分に応じて色を変えるように思えます。びっくりするほどいろんな色に変わります。
 基本的には緑色のものが多く、アマガエルのように周りに合せて褐色になったりしますが、仲間同士の争いに敗北すると、濃い灰色に変じて地表に横たわったりします。エボシカメレオンのメスでは紺色に黄色の縞模様という奇抜な婚姻色を発色します。

 マダガスカル島にはひじょうに多くのカメレオンが棲息していて、体長で60cmを超えるものから、3cmに満たないものまでいます。最小のカメレオンであるミクロカメレオンは、あらゆる陸棲脊椎動物の中で最小です。
 カメレオンはひじょうに飼育の困難なトカゲとされてきましたが、多くのCBが出回り、飼育ノウハウも確立され、ずいぶん飼いやすい動物になりました。ただし、充分に勉強して適切なメンテナンスを怠らないようにしないと、飼育は短期間で終わってしまいます。
 基本的には森林性の生き物として飼育しますが、充分な通気性の確保、貯まっている水は飲まない、生き虫および植物質も必要といった諸条件を熟知して飼育に臨む必要があります。
 筆者は数日から1週間以上も飼育動物の世話をしないことがあるほどのなまけものなので、カメレオンのようなデリケートな動物は苦手です。ある時、懇意にしていたショップで生後間もないエボシカメレオンのちびすけを分けてもらうことになり、飼育に挑みましたが、本種はカメレオンの中ではもっとも飼いやすく、世話をなまけやすい種です。それでもカメレオンの飼育がどんなものかずいぶん勉強になりました。
 カメレオンは俊敏に動き回らないので、ハンドリングが容易なのですが、だからと言ってそれを人に慣れていると勘違いしない方が良いと思われます。手に乗せて可愛がっているつもりが、じつは大変なストレスを与えており、そのことがカメレオンの寿命を縮めることにもなりかねません。
 もっとも良いのは幼体から飼い続け、飼育者に馴らしてゆくことでしょう。慣れると餌を期待して寄ってくるようになります。餌入れを決めておくと、その前で待っていたりします。筆者はノズルのついたボトルで飲み水を与えていました。ひじょうによく水を飲みます。ノズルから容器に水を注入するのを見せて、貯め水を覚えさせようとも試みましたが、だめでした。

 国内でも多くのファンがいて、様々な種類がブリードされています。筆者はあまり特異なトカゲではありませんが、カメレオンにハマる人の気持ちはよく判ります。メンテナンスの大変さを思うと憂鬱になりますが、見ていて飽きない動物ですよね。

エボシカメレオン

2014/09/19


 高湿度と風通し、適切な日光浴と温度管理が必要でおまけにひじょうに神経質な生き物であるカメレオンは、飼育が難しい動物の代表選手と言われ、筆者もこれまでずっと避けて来ました。ショップでは大人気で、確かに見ていて飽きないのではありますが、充分にかまってやる自信がないので自分には無理だと決めつけていました。
 そんな筆者が1度だけ飼育に手を出したことがあるカメレオンが本種で、マダガスカルの森林に棲む種と異なり、雨量および餌となる昆虫の少ない環境で暮らしているせいで、乾燥や高温にも強く、比較的飼いやすいとのことです。アラビア半島のイエメンの高地の高湿度の森林に棲んでいます。



 2003年の11月、懇意にしていたショップで生後約1ヶ月の個体を4頭を入手しました。日本国内でブリードされたものです。指先サイズです。カメレオンは虫食いとして有名ですが、こんなに小さいと自分が餌になってしまいそうですね。



 左右個別に動かすことができる目と、樹上暮らしに特化した脚の指に注目ください。



 飼育レイアウトは、こんな感じ。キッチンペーパーを敷いた小型のプラケースに鉢植えの植物を入れ、その中に棲んでいただきました。



 幼体は基本的には明るいきれいな緑色をしています。ストレスを受けたり危険を感じたりすると色を変化させます。



 筆者が知る限り、よく言われるような周りの色に同化するような色彩変化はあまり見られません。基本的には明るい緑色から茶色っぽい暗色への変化で、イグアナ科のグリーンアノールなどとあまり変わりません。



 脱皮中です。旧皮が浮いてボロボロになって脱落してゆきます。カメレオンの脱皮は爬虫類の中ではけっこう見苦しい方です。



 このポーズは、体をとても細長く見せますね。虫を見つけて忍び足をしているところです。



 これは、飼育者に気づいてこちらを振り返っているところ。飼育を始めて1ヶ月もすると、かなり人にも慣れてきて、生き虫をピンセットで与えたり、スポイトで水を飲ませることができます。



 目があっちゃこっちゃ向いて口を開いて、ひょうきんな表情を作っているように見えますが、これはたぶん怒っています。危険を感じて威嚇しています。目が方々に向けられているのは周囲への注意を怠っていないということでしょうか。もっと危険を感じると体色が暗い色に変化します。あっという間に変化してしまうので、天敵は彼を見失うかもしれません。



 2003年12月末。幼体の成長はひじょうに早いです。とくにオスでは体長が3倍近くにもなり、オスの特徴である頭頂の隆起が目立ってきます。そして体も深い緑色になり、いっそう綺麗です。
 メスにも頭頂の隆起は見られますが、オスよりも明らかに小さく、そして体色が小さな頃とあまり変わりません。
 この頃になると、生き虫に加えて植物もよく食べるようになります。ポトスやフィカス・プミラといった葉の柔らかい観葉植物を入れておいてやると、喜んで食べます。本種はカメレオンの中でも植物食への依存が高い方だと思われます。飼育には植物質の供給は不可欠です。

エボシカメレオン2

2014/09/


 カメレオンはコロニーを作って暮らすタイプの生き物ではありません。単独飼育が基本です。ヒョウモントカゲモドキが性成熟後のオス同士の同居が不可であるように、カメレオンも成長すると複数飼育はできません。ペアであっても常時同居させるのはよろしくないようです。
 1頭のメスが発育不全で、大きくならずにやせ細り、年明け早々に死去してしまいました。



 2004年1月、手のひらサイズにまで成長しました。60cmのガラスケージに4頭を収容し、観葉植物をたくさん入れました。カメレオンの飼育には通気性がひじょうに重要です。しっかりと加水した土に植えた観葉植物に時折スプレーで水をかけてやり、多湿でありながら空気がよく流通してこもらないようにし、少しでも森林に近い環境を仕立ててやります。



 オス同士が、お互いの体に付いた水滴を舐め合っています。和やかな光景ですが、こんなふうにしているのも今のうちです。間もなく互いに敬遠し合うようになります。
 カメレオンは植物などに付いた水滴を舐めて水分補給するので、水入れを用意してやってもそれを飲み水だと認識しません。飼育には、水滴がポタポタと落ち続ける装置を使用するようです。



 メスが仲間を威嚇しています。幼い頃から一緒に暮らしてきた仲間たちとの同居もそろそろ終わりです。筆者がこれまで飼育してきた様々なトカゲの中に、メスが同種を威嚇するようなケースはありませんでした。



 メスの威嚇を受けて応戦するオスです。大きく口を開け体が黒く変色しています。すごい迫力ですが、体の小さなメスにいささか圧され気味です。この時はメスの方が高い場所を占め、オスは地表付近にいたので、地の利でメスが優位に立ったようです。



 オス同士の闘争に敗北した個体です。地表に横たわり、死んだようにじっとし、目だけを動かしています。互いに傷つけ合うようなことはありませんでしたが、負けを認めた個体は勝者に恐れをなしてまったく動けなくなってしまいます。ケージの中では逃げ場がありませんから、これでは生きて行くことができません。



 2004年4月。頭胴長20cmていどに成長したオスです。模様の美しさ、大きな頭頂の隆起、立派に育ったものです。頭頂の隆起は専門家たちはクレストと呼んでいます。このクレストが烏帽(えぼし)に似ていることが本種の和名の由来です。神主さんとかが被っているあれです。外国の動物なのに、ジャパニーズトラディショナルなネーミングですね。



 成熟したカメレオンたちはそれぞれ個別に管理しました。安定した飼育環境を考えると大きなケージが理想的ですが、1頭1頭に大きなケージを設ける場所もありませんから、鳥かごを利用しました。動きが緩慢な動物ですから、熱や空気がこもったり蒸れたりしなければ、広いスペースも必要ないですし。鳥かごは通気性という点では抜群です。
 成熟したオスは、メスさえも威嚇して寄せつけません。繁殖を期待してメスを同居させても、オスの威嚇に怯えたメスは、どす黒い色に変色し地表にうずくまってしまいます。

 ある時、メスが婚姻色を発色しました。かなり強烈な色でした。体色は黒色になりひじょうに鮮やかな黄色の斑紋が全身に出現しました。残念ながらその写真が残っていません。
 婚姻色は一時的でしたが、雌雄の鳥かごを近づけてやると、オスは威嚇することなくメスに興味を示したようなので、しばらく同居させてみました。



 2004年5月。メスが環境植物の根元に産卵しました。数個の卵を毎日少しずつ産みました。雌雄の同居はごく一時的でしたし交尾も確認していません。



 エボシカメレオンは土を掘って地中に産卵すると聞いていたのですが、卵はいずれも地表に放置されていました。卵は11月下旬まで管理したのですが死滅し、繁殖には至りませんでした。
 上の写真は変なポーズをしているメスですが、数回の産卵の後あたりから様子が変になりました。地表に寝っころがったまま採餌もしません。木に登ろうともしません。



 後ろ足で、前足首をつかんだ状態で地表に横たわっているメスです。朝、見るたびにこの不思議なポーズで横たわっているようになりました。
 産卵は6月上旬まで続き、その後はメスの状態も回復し、木に登っていることもあったのですが、かつてのようには元気にならず、地表に横たわることもしばしばでした。そして10月上旬に死去しました。



 2頭のオスはその後も元気に暮らしていましたが、2005年3月下旬に小さい方のオスが死去しました。性成熟したばかりの頃は、2頭のオスにかなりの体格差がありましたが、この頃にはほとんど差がなくなっていました。元気にしていたのに突然死んでしまいました。



 大きな方のオスです。頭部のクレストがひじょうに立派です。このオスは2006年1月末まで生きていました。生後2年半です。

 カメレオンの飼育は容易ではないとされて来ましたが、最近では飼育下でもかなり長く飼うことができるようになってきたようです。小型種で3年ていど、中型種で5年ていど、大型種では5〜8年くらいいきるそうです。本種は大いものでは60cm以上にもなる大型種で、カメレオンとしては長生きする方です。上手く飼えば野生のものよりも長生きするそうですから、厳しい自然環境で生きているカメレオンたちは、もう少し短命で生涯を閉じるのでしょう。
 うちで繁殖したコーンスネークは生後13年あまりで今なお元気ですが、同じ爬虫類でも寿命に差があるものです。

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