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コーンスネーク

 むかし筆者がまだ若造だった頃、知人の釣り師に「釣りはフナで始まってフナで終わる」という言葉を聞いたことがあります。フナは魚釣りの入門魚にして、釣りを究める魚でもあるというわけです。なんかカッコイイなと思って、齢50を数えて久しい今になっても思い出すのですが、爬虫類飼育においてコーンスネークはまさに釣り師のフナに当たる動物じゃないかと、最近つくづく感じています。
 爬虫類を飼ってみようという初心者の方に、筆者が入門動物としてお勧めするのがコーンスネークです。飼育しやすいトカゲやカメなんかもいるのですが、あえてヘビを推したい。カメだけを飼いたいって方にヘビの飼育を勧めたりはしませんが、様々な爬虫類を飼うには、多くの爬虫類が他の動物を捕食することを肌で感じていただきたい。ヤモリなどは飼いやすいものの餌として生きた虫を用意する必要があり、そのストックはなかなか大変です。餌として生き虫を安定供給しなければならないというのは、趣味で昆虫を飼うよりも大変であったりします。頻繁に購入するのであれば管理も楽ですが、ランニングコストを考えると虫を繁殖させ続けることを考えなくてはなりません。多くの爬虫類飼育者が生き虫の繁殖と管理なんて楽なものだとおっしゃいますが、そうなるまでに数々の失敗を経験しておられると思います。
 その点、ヘビは冷凍マウスをストックしておけばよく、しかも週に1〜2度と、給餌回数も少ないので餌を購入でまかなってもそれほどのコストにはなりません。
 そしてコスト面よりも飼育者がクリアしなければならないのが、飼育動物を可愛がることの代償として他の動物の命を奪わねばならないというジレンマです。哺乳動物であるネズミを餌としてご家庭の冷凍庫にストックすることは、初心者にとってはいささか困難なことかもしれません。とくに同居人がいる場合は、難易度はさらに高くなるでしょう。この店を克服できれば、ヘビの飼育はうんと身近なものになります。
 爬虫類は、以前に比べるとずいぶん身近なペットになりつつあるものの、餌の問題、爬虫類そのものへの周囲の人間の感情の問題が障壁となり、なかなか一般家庭に浸透しません。まぁ、どこのご家庭でも普通にヘビを飼ってるなんて絵柄もなんだか変な気がしますけどね。
 コーンスネークは、ネズミのストックと家族や同居人の理解がクリアできれば、爬虫類飼育入門編として申し分のない動物です。人や飼育者に馴化しやすく、丈夫で長生き、頻繁に触るような可愛がり方でも、ほったらかしで週1で水換えと給餌するだけという管理法でも問題ありません。模様や色のバリエーションが豊富でコレクションするのも楽しいですし、繁殖も容易で生態観察にも理想的です。そして比較的安価で、ショップでの取り扱いも多く入手しやすいです。
 筆者の場合は、最初のコーンスネークを自家繁殖させた方から譲り受けたのですが、その最初の個体で繁殖にも成功しています。
 コーンスネークは飼育者を見ても逃げようとしないし、むしろ寄ってくるくらいだし、触っても噛みついたりしない、そんなふうに認識していましたが、最近、多数の個体を管理するようになり、1匹1匹をじっくり面倒みなくなりました。そうしたところ、触られるのいやがったり、噛みついてきたりする個体も出てきて、コーンスネークの認識を新にせざるをえなくなりました。長く爬虫類に付き合ってきたにもかかわらず今さら知るコーンスネークの実態です。神経質で飼育者を警戒する傾向はメスに多いような気がしますね。断言できるほどはしっかり観察してませんけど。また飼育者の管理の状況によってはオスの方が神経質であると感じる場合もあるでしょう。ハリネズミなどでは、おおむねメスが神経質ですが、ヘビはよく判りませんよ。筆者の経験ではセイブシシバナヘビは、俄然メスの方が扱いやすかった。
 現在、うちで飼育しているコーンスネークたちは、いちおうすべての個体が人を見ると寄ってきて、人の手から餌を採りますが、触ろうとすると拒絶したり、脅かすと噛みついたりする個体がじゃっかんいます。まめにかまってやればそれらの個体もベタ馴れになるのでしょうが、そうならなくても別にかまわないと思い、放っておいています。数年も飼い続ければさすがに馴れてくれるでしょうし。
 また、わけあって爬虫類の飼育を少数の個体にとどめ、ショップや専門書とも疎遠な時期があったのですが、久しぶりに復帰してみると、コーンスネークの色柄のバリエーションがすさまじく増えているのに唖然としました。生態的にも形態的にもヘビは奥が深いです。ということで、様々な爬虫類の飼育を手がけてきて、最近またコーンスネークにハマッているわけで、30年ばかり以前に知人の釣り師に教わったフナの名言をつぶさに思いだしたような次第です。その釣り師は、今は故人ですが。





上の画像をクリックすると拙著コーンスネークのページが閲覧できます。

クリームシクルの産卵

2013/08/17


 コーンスネークとエモリーラットスネークを掛け合わせたハイブリットのうち、親が両方ともアルビノのものです。アルビノとは、メラニン色素が欠乏する色素変異のことで、アメラニスティックとも言われます。同じようにメラニン色素が減退する変異で、ハイポメラニスティックでは、メラニン色素がまったく失われているわけではないので、体はアルビノっぽいけれど、目は頃っぽかったりします。アメラニとハイポメラニの差異は、目が赤目か黒目かという判断でおおむね良いかと思います。
 クリームシクルという品種には、どちらかがハイポメラニまたはノーマルといったケースは含まれないのでしょうか? あるいはノーマル同士の混血には品種として規定されていないのでしょうか。デザイナーズブランドと呼ばれる改良品種は、美しさが追求されますから、いろいろやてみうようなんて素人くさい思考は論外でしょう、たぶん。もちろん美品種の作出に至る経緯で幾多の実験を経験されているのでしょうが。とりあえず、通常ショップで入手できるクリームシクルは、コーンとエモリーのアルビノ同士のハイブリットです。
 エモリーラットに比べてコーンが有名であるせいか、クリームシクルはコーンスネークのバリエーションとされているようです。ショップによってはクリームシクルコーンスネークという名称で取り扱っています。エモリーラットにしてみればムカつく話しでしょうね。筆者もクリームシクルがいなければ、エモリーラットスネークの存在を知りませんでした、すみません。


↑ クリームシクル

 筆者が幼少の頃、某動物園で、ライオンとヒョウのハイブリットが誕生し、レオポンと名づけられたというニュースを耳にしたことがありました。ただ、レオポンには生殖能力がない一代雑種なので、クリームシクルのことを知った時、ショップの方に生殖能力の有無を質問しました。ずいぶん素人な質問だと苦笑しながらも、生殖能力があることを教えていただきました。さらに筆者はクリームシクルとアルビノコーンとの交雑についても質問したところ、飼育下では盛んに交配されているだろうが、品種としてペットトレードに乗ることはないとのこと。
 アルビノに様々なカラーバリエーションがあるのですから、クリームシクルにも色あいの個体差はあるでしょう。しかし筆者が知る範囲では、クリームシクルとは美しいオレンジという印象が強いです。そして筆者の素人な質問にも耐えて付き合ってくださったショップの方のおっしゃるには、クリームシクル同士の交配が一番美しい色あいを得られるとのことでした。これに惹かれた筆者は、とりあえずクリームシクルのペアを用意し繁殖に挑んだわけです。
 そして、本年2013年の6月28日、めでたくも産卵を確認しました。1つ残念だったのは、入手したペアが生後2年経つのに筆者の怠慢で充分なサイズに育っていなかったこと。おかげで産み落とされた卵7個はどれもひじょうに小さく、あきらかに無精卵と認められるものもありました。


↑ クリームシクルのメスと卵。

 不安を抱えながらも、卵を取り上げて管理していたところ、3個が死去し、4卵が健康状態を維持しました。小さすぎると心配していましたが、胚の成長に問題ないと思われる大きさまで膨らみ、本日現在で50日が経過しました。筆者の予想では間もなく孵化するはずです。
 両親とも綺麗なオレンジ色ですが、メスの方が白の部分が鮮明で、オスは白い部分が少しだけ黄色みを帯びています。
 間もなく孵化してくる幼蛇は、どれほど美しいのでしょう。期待に胸が弾むわけですが、孵化せずに死んでしまったという報告にならないように頑張らねば……です。

クリームシクルの卵60日経過

2013/08/31


 クリームシクルが産卵してから、60日以上が経ちました。本当ならもう孵化していてもよさそうなものなのですが、いまだにその兆候がありません。それどころか、4つのうち1つが死去してしぼんでしまい、もう1つも色が悪くなっています。持ち上げるとずっしりと重く、もしかすると中身は健康を保っているのかもしれませんが、見た目ではひじょうに不安です。あとの2卵は元気な真っ白な色をしているのですが、孵化の兆候はまったく見られません。この分だと数日以内に孵化する見込みもなさそうです。
 2001年に、同じように初産で母親のサイズも充分でなかったケースでは、産卵数が3つと少なく、1つ1つの卵がバナナのように細長い状態でした。それでも産卵から53日で3つとも無事に孵化し、その時のコーンスネークは今でも筆者のところで元気にしています。長さも筆者の身長くらいになりました。



 この2001年のケースに比べると、今回は産卵数が多かった分、1つ1つの卵のサイズが小さく前回の60パーセントていどでした。産卵後周りの水分を吸ってどんどん膨れましたが、それでもまだ少し小さいていどです。胚の成長に時間がかかっているのは、卵の容量が小さいせいでしょうか。
 他の飼育者の例では、母親のサイズが充分であったため、産卵数が20個以上とたいへん多く、けっきょく1つ1つの卵の大きさは小さかったそうです。繁殖を狙う場合、よく言われるのが母親のサイズが充分であることが重要であるということです。未熟な母親から生まれた子供は虚弱になるとも聞いたことがあります。しかし筆者の経験では、これはあまり関係がないような気がします。ブリーダーにとってはとれる個体数が多いことが重要でしょうが、それほど多くの孵化子を望まないのであれば、母親の成熟度と孵化子の健康状態とはあまり関係がないような気がします。

 筆者の経験からすると、コーンスネークの卵の期間は50〜60日という認識があったのですが、それは飼育下で安定した温度と湿度を維持している条件下のことなのかもしれません。インターネットで検索してみると、卵の期間は60〜75日という記述を見つけました。
 孵化に要する期間は、温度に関係し、高温を維持するほど胚の成長が早まり短期間で孵化すると専門書で読んだことがあります。毎年多数の繁殖を手がけているブリーダーは、電子制御によって温度と湿度を管理する孵化器を使用するそうです。でも、卵のサイズも期間に関係があるように思えてなりません。また、充分に成熟したメスに、産卵数を減らして1個の卵の大きさを稼ぐような方法はないのでしょうか。……あったとしてもあまり興味ないんですけどね。

 最近は、鳥類の孵化器で爬虫類にも使えるもの、爬虫類専用に改良されているもので、けっこうお手軽な価格で信頼度の高いものが市販されているようです。それをうまく使えば卵の管理に失敗することも少なくなるでしょうね。筆者のようにミズゴケで卵をコテコテに汚してしまうようなこともないですし。ただ、孵化器のメーカーは個々の爬虫類の適切な温度条件湿度条件まで説明してくれてはいないでしょうから、そうした知識は必要になります。
 孵化器を使用する場合、設定温度は高めの方が安心できるでしょう。27〜28℃くらい。湿度も高めがよく90%とかで問題ないと思います。筆者は計器にはほとんど頼らず、自分の体感温度で管理してますけどね。
 それと、孵化器を使用してもこまめな観察は重要です。無精卵や死卵はやがて腐敗し、カビや寄生ハチの餌食になりますから、健康な卵に類が及ばないように取り除かないといけません。また、観察を行なって幼蛇が孵化しているのに何日も気づかず、幼蛇を蒸し殺してしまったなんて事態も避けたいものです。



クリームシクルの卵死去

2013/09/10


 クリームシクルの卵が、産卵から70日を迎えました。ここに至って異変が起こりました。これまで順調に見えていた卵たちが色が悪くなり寄生ハチの幼虫がわいていたのです。ひじょうに小さな寄生ハチは、クリームシクルの卵を管理しているケースのわずかな通気孔から侵入し、卵を産みつけます。爬虫類の卵は生きているうちは、ダニや寄生ハチを寄せつけません。巧妙な免疫システムのようなものがあるようです。そして死去するやいなや、免疫力は失われ、寄生性の虫やカビの害に見舞われます。
 前回60日経過の記事を記述しましたが、そのあと間もなく卵たちは死去したようです。死んだ卵の中に幼蛇の死骸は見つかりませんでした。つまり全て無精卵だったというわけです。無精卵であてもこうして2ヶ月ばかり常温で生き長らえるということですね。
 今回、クリームシクルのメスは初産だったわけですが、受精は成功しなかったようです。これまでコーンスネークの繁殖ではあまり失敗がなかったので、ペアであると信じて飼育していた個体の雌雄同定をもう一度きちんとやる必要がありそうです。
 ただ、筆者の経験では、単独飼育のメスが産卵に至ることはほとんどありませんでしたので、やっぱ雌雄のペアだったのかなぁ、なんて首をかしげる次第です。ヘビのメスがお腹に卵を宿すメカニズムはどうなっているのでしょう。昆虫などの場合は、成熟したメスは速やかに卵を孕み、オスとであって受精卵を生成するみたいですが、爬虫類はどうなのでしょう。調べてみる必要がありそうですね。
 ちなみに、知人からの預かりもののヒョウモントカゲモドキのメスは、単独飼育で春を迎えもう秋ですが、産卵に到りませんしお腹に卵を抱えた様子もありません。爬虫類ではオスがいないと妊娠しないのでしょうか。
 とにかく、コーンスネークの繁殖は久しぶりだったうえにクリームシクルというブランドの子供を楽しみにしていただけにひじょうに残念です。また来年度に挑戦です。


 ↑ 70日近く腐敗せずにいたのに、死去してしぼんでしまった。中に幼蛇の死骸はなかった。

性格のちがい

2013/10/19


 コーンスネークは、基本的に温厚で人によく馴れるヘビです。ハイブリット種のクリームシクルもそれは同じです。しかしながら、たくさんのコーンを飼っていると性格に個体差が見られ、大胆なものや臆病なものなどさまざまな個性が見えてきます。同じように飼っているのに性格の差が出てくるのには、なにか原因があるのでしょうか。
 生後間もない幼蛇は、当然ながら人に馴れていません。捕まえようとすると大急ぎで逃げ出します。コーンの場合は他のラットスネークのように飛びかかって来る幼蛇はあまりいません。
 飼育するうちに人の気配がすると、餌を当てにして近づいて来るようになります。そして餌を人の手からもらうようになり、安心してハンドリングができるようになるのはそのあとです。


 ↑ クリムゾンのオス。フロリダ州マイアミの地域変異種をマイアミバイスと言い、クリムゾンはそのハイポメラニスティックです。


 ↑ キャンディケインのメス。マイアミバイスのアルビノです。上のクリムゾンと同居させていますが、どちらかと言うと、このメスの方が人懐っこいです。オスの方は、採餌に積極的じゃないこともしばしばです。


 ↑ ラベンダーのオス。藤色の色あいが、コーンとしては珍しいですが、ラベンダー自体は今ではかなりありふれた品種になりました。


 ↑ バターのメス。キャラメルという赤がほとんど出色せず、成長するにつれて黄色みがます品種のアルビノです。上のラベンダーと同居させていますが、このメスの方が明らかに人懐っこいです。まったく問題なくハンドリングできますが、オスの方は注意深く捕まえないとすぐに逃げようとします。


 ↑ ラベンダーのオスとバターのメスのペアリングの様子です。


 ↑ ブラッドレッドのオス。血のように赤いという意味のアルビノ品種。写真では光の加減でかなり明るく見えますが、実際にはもっと濃い赤でひじょうに美しいです。この個体は単独飼育中ですが、とてもよく人に馴れていてハンドリングも問題ありません。


 ↑ スノーコーンのオスと、レッドコーンのメス。どちらもアルビノ品種。ともに1999年に幼蛇を入手し、幼蛇のうちからずっと一緒に飼っていました。両方ともひじょうによく人に馴れ、ハンドリングもまったく問題ありませんでした。

 筆者のところのコーンスネークを例にとると、雌雄をペアで同居させている場合の3例のうち2例が、メスの方が人によく懐きました。オスの方がずいぶん引っ込み思案です。1999年から飼育を始めたペアの場合、当時はコーンスネークが珍しくて毎日のように触っていましたから、雌雄とも幼蛇のうちから人をまったく警戒しなくなりました。
 クリームシクルもペア飼育していますが、じゃっかんメスの方が人懐っこい感じがあります。
 性格の差異と性差は関係あるのでしょうか? また、品種による性格の差異というのはどうなのでしょう。ロイヤルパイソンの場合は、アルビノやシナモンは大きく育ち、ひじょうに人に馴れましたが、パイボールは成長が遅れがちで人への馴化も遅かったです。

 コーンの場合でも、性差や品種のちがいによる性格の差異は多少あるのかもしれません。しかしながら、人への馴化のていどは、それよりも飼育者がどれだけかまってやるかに依存すると思われます。ハンドリングをまったくせずに餌だけ与えている状況では、人の手から餌をもらうまでの馴化は順調でも、触ろうとすると怖がります。
 また、ケージ内にシェルターを設けると、これまで人の気配にすぐに反応していたのに、出てこなくなるような例も多かったです。コーンスネークの飼育では、筆者は繁殖期以外はシェルターを設けません。5月頃からウェットシェルターを設置し、産卵が終わると撤去します。

 また、安心してハンドリングできる個体にも注意が必要です。ピンセットでマウスをつまんで差し出したとたん、手に噛みついてくるなんてこともしばしばあります。コーンにとっては、冷たいマウスよりもマウスの匂いをさせた暖かい人の指の方が美味そうに見えるようです。採餌の時に、マウスを素手でペタペタ触る筆者は、何回痛い思いをしたことやら。置き餌を食べようとしているところに手を出したとたんに向きを変えて噛みついてきたこともあります。
 元気の良い食欲旺盛のコーンは、餌に飛びつき、そのままグルグル巻きついて絞め殺そうとします。すでに死んでるのに。その時、ケージを開けたまま水換えなどしていると、自分が締めているマウスを忘れて飼育者の指に飛びついてくることもあります。それとも締めた餌はとりあえず置いといて、もう1匹しとめようとでも言うのでしょうか。
 すっかり人に馴れた個体でも、油断は禁物ですね。でも、心配は噛まれた指よりも噛んだ本人だったりします。噛まれても驚いて振り払ったりしないように。すぐにまちがいに気づいて放してくれますから。無理に引き離すと、ヘビの歯は口の内側に向いていて獲物をしっかりホールドするようになっているので、歯が折れたり口の中を切ったりすることもないとは限りません。口内感染症はヘビにとってはひじょうに恐ろしい怪我で、口の中が腫れ上がり、場合によってはそれがもとで死に至ります。どうしても噛んだまま放してくれない(コーンに限ってはそんなことはないと思いますが)場合は、頭ごと水に沈めてやりましょう。そのうち息苦しくなって放してくれます。

性格のちがい2

2014/01/11


 複数のコーンスネークを同じように飼っていても、性格に個体差が生じる点について、前回は性別による差異に着目してみましたが、それよりももっと確からしい差異を見つけることができました。それは品種によるちがいです。
 筆者は、生き物の飼育経験が長いにもかかわらず、ヘビの性別の判定すら満足に身につけていないダメッ子で、購入したショップでの表記を手放しに信じていたりします。そりゃあるていどは知ってますよ。ヘビのオスにはヘミペニスを収納するクロアカルサックという器官があって、それを確認する方法やツールがあるなんてことくらいは。でも、それって多少経験を積んだ多くの飼育者が知っていることですし、技術も持っていらっしゃるので、筆者があえてそれを習得しなくてもいいじゃないか、なんてナマクラな発想にいたってしまうわけです。
 そこで、前回の性差による性格のちがいがじつのところどうなのかを確認するために、飼育中のコーンたちの性別判定を確実にしようと考えたわけです。でも筆者が自信を持って判別できるのが成熟したトカゲモドキや一部のランドゲッコーぐらいだという、そんなんでヘビの繁殖とかよくやってるなぁと呆れられそうな状況なので、これは専門家の診断に委ねるしかないと考え、いつもお世話になっている愛知県のペポニさんにコーンたちを持ち込んだわけです。

 判定結果、クリームシクルのペアは雌雄でしたが、バターとラベンダーのペアは“ゆり”であることが判明しました。つまり、メスの方が馴化しやすいのかもという仮説は、バター&ラベンダーペアをして正しくないという結果になったわけです。
 ペポニ・インター店のマネージャーがサラッと言いのけたことには「ラベンダーは臆病な子が多いですからねぇ」
 種として同じDNAを持つコーンスネーク同士でも、性差よりも品種のちがいによって性格が変わるというのです。そう言えば、ロイヤルパイソンがそうでした。アルビノは拒食しやすかったり人や飼育環境への馴化が遅れがちだったりしたものです。それは虹彩が赤いせいで目がよく見えないからだなんて聞いたこともありましたが、夜行性のヘビってもともと視力をそんなに当てにしてないじゃないのかという疑問を抱いたものでした。
 その後、アルビノ個体がどんどん作出されるようになり、最近飼育したアルビノ品種では、馴化も餌食いもノーマルとまったく遜色なかったです、オスメスとも。アルビノも強くなったものです。
 ところが、ロイヤルパイソンのパイボールという品種は、馴化が遅れがちであるほか成長も目に見えて遅かったです、オスメスとも。馴化が遅いと餌食いも悪いわけで、成長が遅いのは多分にそのせいなのでしょうが、この品種もいずれはアルビノのようにたくましくなるのでしょうか。

 そもそも種として同じDNAを持つもの同士に性格の差異が現れるのはどうしてなのでしょう? 品種は人の手によって交配を繰り返すことによって作出されます。その過程で、特定の品種がたまたま神経質な個体であったものだから、その性格を子孫たちも受け継いでしまったのでしょうか。パイボールという変異が生じた元個体が図太い神経の持ち主だったなら、その子孫たちも活発な子たちになっていたのでしょうか。それともパイボール(まだらハゲ)という色彩変異が生じると、ロイヤルパイソンは弱気になってしまう、つまり性格は色彩変異に依存するのでしょうか。
 最近のロイヤルパイソンの飼育経験では、ノーマルやシナモン、アルビノは活発で、ゴーストは少し弱気またはむら気、パイボールはかなり神経質ということが観察できました。
 このようにロイヤルパイソンで品種の差異による性格のちがいというものを見ていながら、コーンスネークにそれを当てはめることを思いつかなかったことが、我ながら笑えます。

 ちなみに筆者のコーンスネークの飼育経験では、その大半がアルビノで、いずれも活発でよく馴化する子たちでした。ラベンダーはアルビノではありません。まさかコーンはアルビノの方がノーマルより人への馴化が良好なのでしょうか。その可能性は無きにしも非ずです。コーンのアルビノ品種はひじょうに美しいものが多く、様々なアルビノ品種が古くから作出されており、その数はアルビノ以外の色素変異品種を上回っています。コーンに関してはアルビノの方が人との関わりが深かったわけです。
 性格のちがいが生じる理由については、じつのところどんな要因があるのでしょうね。同じ種類の動物でもこうして性格がちがうというのはおもしろいものです。

 ということで、ゆりペアであることが判明したバター&ラベンダーは、同居を解消することになり、バター(メス)&ブラッドレッド(オス)という新たなペアで同居させることにしました。
 内気なラベンダー(メス)は、とりあえずシングルです。そのうち良縁を見つけましょ。シングルになってから、ラベンダーは少し元気がいいです。また、ブラッドレッドは、勝気なバターに遠慮している感じがします。バター(メス)強し。

 性格のちがいの要因について考えることもさりながら、飼育者の接し方もヘビの性格を左右します。飼育者がヘビたちをしっかりかまってやることが、なによりも馴化にとって重要であることをまず忘れてはいけません。
 それと、古くから言われてきた、ヘビを落ち着かせるために有効とされるシェルターですが、これは飼育者や環境への馴化という点ではあまり有効ではないということが、判ってきました。筆者の経験でもそうでしたし、上述のペポニさんも同じ意見でした。
 ヘビを飼育環境や飼育者に馴化させるには、大きすぎないケージにシェルターなしで飼うのがコツです。限られた広さのケージに馴れると、ヘビはそれ全体を巣あるいはテリトリーとして認識して安心するみたいです。そこを頻繁に訪れて餌をくれる飼育者の存在も、彼らの生活にとって当たり前の存在になり、彼らは飼育環境や飼育者にストレスを感じなくなります。
 ヘビは環境に慣れると不必要な動きはしなくなりますから、大きすぎるケージを持て余してしまいます。筆者が飼っている野生採集個体のアオダイショウ(メス)は、飼い始めて1年以上経つのに、いまだに大きくて重い水入れをケージの奥へ運び、その裏に隠れています。人の手からマウスを食べるていどには馴れましたが、置き餌しか食べようとしないことも多いですし、人の気配に寄ってくることはありません。成体まで野生で生きてきたわけですから仕方ないですね。でも、ケージ内を不安げに動き回ることはなくなりましたし、拒食もしません。アオダイショウはけっこう知能が高いとも聞きますから、気長に馴れさせてゆこうと思います。


 ↑ バター&ラベンダーのペアが“ゆり”と判明し、バター&ブラッドレッドを新たに同居させることにした。


ジャングルコーン

2014/05/10


 ジャングルコーンは、コーンスネークとカリフォルニアキングスネークのあいの子です。別項で紹介したクリームシクルの場合は、同じハイブリットでもコーンと同属のエモリーラットスネークとの交配で、しかもアルビノ限定という品種条件がありました。ジャングルコーンでは、キングスネーク属のヘビを使いますから、異種交配としてもかなり遠い種との交配になります。また、ジャングルには品種条件はないようで、コーンとカリキンの交配なら何でもジャングルコーンと呼ぶようです。
 そしてハイブリットでありながら生殖能力を持つので、ジャングル同士の交配、ジャングルとコーンあるいはカリキンとの交配も可能になり、コーン25%:カリキン75%とといった血統の配分も可能なわけで、それらすべてをジャングルコーンと呼ぶようです。



 上の写真は、拙著「すねらぼ」のコーンスネークの項でも使用した使いまわしです。すみません、資料が少なくて。アルビノです。コーンやカリキンになり独特の模様が出ていますね。



 これは、あるとき給餌しようとしたら脱皮中だったという写真です。脱皮中にも関わらず餌に飛びついたので、撮っとこうと思ってカメラを取りに行ったのですが、もうほとんどマウスを飲んじまっていました。わずかにマウスの足が見えます。ジャングルコーンも、このように飼育者にベタ慣れにすることができます。貪食なところはキングスネーク譲りかもですね。



 頭部の形状は、どちらかと言うとキング譲りだと思うのですが。筆者の知る多くのジャングルコーンがキングっぽい頭の形をしてました。でも、ジャングルキングとは言わず、ショップでもたいていコーンスネークのバリエーションとして取り扱われているようです。



 キングがヘビくいの習性を持つことを考えると、交配時にコーンが食べられてしまうリスクがあると思うのですが、新品種作出に賭けるブリーダーの執念はすごいですね。もしも筆者がジャングルコーン作出に挑もうとするなら、一回り大きなコーンのメスと小さなカリキンのオスを使うとしましょう。それが安全な取り合わせな気がします。逆に大きなカリキンのメスに小さなコーンのオスの組み合わせは考えたくもないですね。
 ジャングルコーンも生殖能力を持つわけですが、ヘビ食いの習性は受け継いでいないのでしょうか。ジャングルのペアであっても、ハンドペアリング以外では同居させない方が無難かもです。

クリームシクル産卵再び

2014/06/22


 今年もクリームシクルが産卵しました。去年はけっきょく孵化しませんでしたから、今年こそはと思っていたのですが、そろそろ産卵用のウェットシェルターを入れてやろうとケージを覗いてみますと、すでに産卵が終わっていました。他のコーンたちのペアはまだいずれも産卵に至っていないのに。



 筆者が産卵を確認したのは6月8日のことで、発見したときにはすでに数日が経過しているらしく、ドライな環境に放置されていたせいで、しぼんでしまっていました。救いようのないほどのヘコみようです。筆者もヘコみました。ってシャレを言っている場合ではないのですが、これは今さらどうしようもなさそうです。
 卵の数は13もありました。これは筆者が飼育してきたコーンたちの産卵数に比べて多い方です。しかも大きさもまずまずでした。去年よりもメスのキャパシティが格段に高くなっています。ちなみに去年は同じペアで5卵を産卵しています。
 もっと早くに見つけていたら、救えた子たちです。こうなってしまってはもう救いようがないのでしょうか。卵の中の胚はすでに死去してしまっているのでしょうか。ダメもとでたっぷり加水したミズゴケで覆って管理してみることにしました。



 2週間後、卵たちは見事にふくらみました。一見して健全な卵に見えます。1個の卵だけが充分にはふくらんでいませんが、以前よりはかなり回復しています。
 ヘビの卵はひじょうに高湿の状態で管理できます。この状態を維持すれば、すべては無理でも一部の胚を救うことはできないでしょうか。やってみる価値はあると思います。
 去年はすべて無精卵でしたが、それでも70日近く腐敗することなく細胞は生きていました。結果が出るまで長い付き合いになりそうです。
 ベテランの飼育者であれば、検卵して生死を明らかにするところでしょうが、今回の場合は受精卵と判ったところで生死を判定するのは難しいかもしれません。日にちをカウントしながら外観を観察して行くことにしましょう。

バターコーン産卵

2014/07/04


 久しぶりにコーンスネークが産卵しました。バター(メス)とブラッドレッド(オス)のペアで、バターにとってはこれが初産となります。



 初産にしてじつに17個も産みました。これが性成熟して最初の春だったらこうは行かなかったでしょう。今年で生後3度目の春を迎えた、ひじょうに人に馴れたコーンです。



 あらかじめウエットシェルターも用意してあって、準備万端であったにも関わらず、どうやら受精卵ではなかったようです。たいへん残念ですが、処分するしかありません。



 ヘビは雌雄がそろわないと卵を宿すことはないのでしょうか。うちでは単独飼育やメス同士の同居で産卵した例はまったくありません。バターは去年までラベンダー(メス)と同居させており、その感は産卵に至っていません。今回はオスと同居させて初めて産卵しました。
 また、今回受精が上手く行かずすべて死卵だったのは、去年のクリームシクルで同じ例を経験しています。去年は無精卵にもかかわらず長期間腐敗せずに卵細胞が生きていましたが、今回のバターが産んだ卵は、産卵後間もなく腐敗し、一部の卵にウジが涌いていました。
 繁殖が容易とされるコーンスネークの繁殖が、最近はなかなか上手くゆきません。うちでは永続的にペアを同居させており、熟練のブリーダーにはその点を指摘されそうですが、かつてはこの方法でことごとく上手くいっていたので、現状を変えようとは思いません。

 たくさんの卵を産んだバターは、さすがにやせ細っておりました。しっかり給餌して体力をつけさせましょう。

クリームシクル産卵再び2

2014/07/24


 6月8日に確認したクリームシクルの卵ですが、その時点で産卵から数日経っていたとすれば、7月24日で産卵から50日くらいになるかと思われます。13卵のうち11卵が健康な状態を維持しているように見えます。



 7月24日の卵の状況です。2つの卵が死去し腐敗が始まりました。他の卵への悪影響が心配なので引き離したいのですが、すべての卵が強固にくっついており引きはがすことができません。無理にはがそうとして健康な卵を傷つけるのも怖いので、しばらくこのまま様子を見ることにします。
 それにしても産卵後発見した時にはあんなにぺっちゃんこになってしまっていたのに、よく回復したものです。もっとも孵化するかどうかは不明ですが。去年の例では70日間腐敗せずに生きていた卵がけっきょく無精卵でしたから、産卵後50日現在では何とも言えません。


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索引


目次

スネさん リーザさん けもの 庭虫
雑虫 クモ 直翅系 半翅系 膜翅系 鱗翅系 鞘翅目 毒虫 魚たち 無脊椎
両生類 カメたち 絶滅動物 くさばな 庭草 雑草 高山植物 飼育と観察 ヒト □飼育動物データ




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