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ハツカネズミ

2014/10/17


 もともと野生のハツカネズミは背面が黄褐色で腹面が白いのですが、家住性のものでは灰褐色から黒色のものが見られます。ただ今では人家に棲んでいるネズミはほとんど見られなくなりましたが。
 古くからペットとして流通している赤目で体の真っ白のハツカネズミは、アルビノを選別固定したものです。パンだマウスと言われる白地に黒い模様の入る品種も人為淘汰によって生まれた品種です。



 筆者のような爬虫類愛好家にとって本種は、飼育動物の餌です。現在もたくさんの冷凍マウスを購入しますが、それらはほぼすべて白いアルビノマウスです。2005年冬、冷凍マウスに餌づかないヘビのために10頭の活マウスを入手したのですが、あまりに可愛かったので、その一部を飼育動物にしました。



 飼育を始めてちょうど1週間で、最初の出産がありました。上の写真の母ネズミはパンだマウスです。稚児は、筆者にとってはピンクマウスの呼称で見慣れた、幼蛇用の餌です。生後間もないピンクマウスのサイズはピーナッツくらいです。



 母ネズミが複数いたので、なんども出産がありました。上の写真は多産の例です。右側に頭だけ写っている母ネズミが1度にこれだけ産みました。



 稚児たちは母ネズミの母乳を飲んで日に日に成長します。上の写真はピンクマウスLサイズからファジーといったところです。おっと、また餌扱いしちまった。ファジーはうっすらと毛が生えてきたものを言います。



 ファジーまでの成長過程を並べてみました。パンダマウスの場合、毛が生える前に皮膚にメラニン色素が蓄積されます。……可愛いですね。手に乗せると稚児たちはとても温かいです。



 複数の母親がいると、いつの間にか共同子育て状態になってしまいます。さまざまな成長過程の稚児たちが一ヶ所に集められています。とくに巣作りはしませんが、子育ての場所は特定のところに決められます。



 子供を1匹つまんで、別のところに置いてやると、子育て中の母ネズミが子育て場所に運びます。母子で顔が似てますね。



 おお、おお、ファジーから毛並みのしっかりしたホッパーていどに育ちましたよ。まだこうしておしくらまんじゅうしています。成長は唖然とするくらい早いです。ハツカネズミは漢字で二十日鼠と書き、20日ていどで大人になっちまうのだと聞いたことがありますが、実際には性成熟まで2ヶ月くらいはかかります。飼育下では栄養状態が良好なせいかもう少し短期間で育つ気がします。
 野生では春と秋に繁殖しますが、飼育下では年中繁殖しています。そのためには冬場は加温が必要です。



 なかなか自立しようとしない大きな子供たちの中へ、また新たに生まれた稚児が加わり、子育て場は、なんじゃこりゃ状態です。



 ケージ全体の様子。45cmのプラケースの中でマウスたちがひしめいています。2世たちも今では自立し、ケージ内にはたくさんのアダルトマウス(餌用語)がいます。常に新たな稚児が加わり、ケージの隅が子育て場になっています。餌は入れ物に入れて与えますが、すぐに食べ散らかしてしまいます。



 飲み水は、水入れで与えてもこうして仲良く飲みますが、とにかく行儀が悪いので、水入れはすぐに底砂で埋められてしまいます。ケージにはマウスやハムスター用の消臭効果のある砂を敷いています。それでも臭いです。砂はマウスが増えれば頻繁に交換しなければなりません。それでも砂を敷いていると糞尿がほとんど目立たないので良いです。飲み水は、最初の写真にあるような小動物用の給水器で与えるのが良いです。
 餌は、種子やドライタイプのペットフード。ジャンボミルワームなどの活き虫もよく食べます。草花も食べますが、野生のものはバイ菌が怖いので与えない方が良いかもです。野菜も食べますが生野菜は食べ残しを出さない量を与えないとすぐに不衛生なことになってしまいます。



 ハツカネズミは、複数飼育でもハムスターのように傷つけあったりしないのでいいです。それでも過密状態になってくると、稚児が食べられてしまうことが多くなります。
 飼育を開始して2ヶ月半ほどで、2世が最初の子を出産しました。それから3ヶ月後には3世の子すなわち4世が誕生しています。まさにネズミ算式に増えてゆきます。
 大所帯になってくると、人が入れるほどの衣装ケースに移して飼わねばなりませんでした。ハツカネズミはかなりジャンプできるので、うっかりするとケージから飛び出してしまいます。
 どんどん増えるマウスは、爬虫類たちの餌になってゆきました。また、個体数が増えると近親交配が繰り返されることになり、虚弱で病気しやすい子供が生まれたりするようになります。本種を長期的に飼うには、多数のケージにグループ分けを行ない、近親交配を避けるよう配慮が必要です。
 それこそ爬虫類の餌にでもしなければ、増やしてはいけません。単独飼育で良い環境を整えてやれば2年くらいは生きるでしょう。短命多産の小動物は、野生でもその大半が捕食者の餌になる運命にあります。成熟して繁殖に加わるまで生き長らえるのは、稚児のごく一部ですし、成熟した個体でも天寿をまっとうするものは多くないでしょう。増殖し続けるマウスを餌に供することを残酷だとする理屈は、自然の摂理を尊重するという観点からすると大きな矛盾であり、甘い正義感でしかありません。
 手塩にかけて育てた牛を、食肉として出荷する農家の子供たちは、この問題をどのように消化しているのでしょうか? 牧場の子供たちの情操教育はどのように行なわれているのでしょうか?
 この問題は本項で語るには荷が重すぎますね。
 ハツカネズミは、可愛くて飼いやすい動物ですが、飼育下での繁殖が手放しで喜べないというジレンマを孕んでいます。

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