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デザートヘアリースコーピオン

2013/09/25


 奇虫や毒虫のマニアはたくさんいます。それらに詳しい人たちの中では、世界3大奇虫は、ウデムシ、ヒヨケムシ、サソリモドキなのだそうです。でもサソリだって充分に奇虫ですよ。尾を背中の方に曲げて、その先端が自分の顔の前に届き、そいつで敵や獲物に一撃を食らわせるなんて、神のデザインセンスには驚かされます。そしてそれがまたカッコイイ。サソリが奇虫と呼ばれないのは、世界中にひじょうに数多くの種類が棲息していてそれほど珍しくないからなのでしょう。
 サソリは筆者が幼少の頃からの憧れの動物でした。それが日本にも輸入されショップで入手できるようになったのは大変ありがたいことです。その背景にはオオクワガタブーム、そこから派生した外国産のクワガタムシやカブトムシのブームというものがあったわけで、これら輸入昆虫のブレイクに続いて珍虫奇虫がいろいろと紹介されるようになり、数多くのサソリたちも日本のショップにやってまいりました。
 筆者もこれまでに20種類ばかりのサソリを入手し、何種類かが繁殖して、現在もうちで生まれた幼虫を育てています。サソリの中には、人を死に至らしめるほどの毒性を持つものもいるのですが、ほとんどの種はそれほど危険な動物ではありません。かなり毒性の高い種でも、飼育にそれほど危険がつきまとうわけではありません。けっこうおっとりしていて、とくに昼間はボーッとしており、取り扱いも容易です。刺されて負傷しないように注意するのがそれほど難しいわけではないのです。これは毒グモと呼ばれるタランチュラなどもそうなのですが、実際に飼ってみると取り扱いに窮するようなことはありません。よほど刺激しない限り、ほんとにボーッとしています。
 でも、世間一般の風評はまるで悪魔のように言われておりますし、その危険性を誇大に表現する方が刺激的で興味深いわけで、サソリなんぞ飼っていますと、殺人生物兵器をストックしているように思われます。まぁ、種によっては高い殺傷能力があるので、安全性をアピールするのも虚しいのですけどね。毒虫が安全だと言って変わり者呼ばわりされるのも不本意ですし。筆者はいたって平凡な、没個性的な絵に描いたような一般人ですから、念のため。
 そして2005年の外来生物法の改正により、サソリの輸入が規制されると決まった時には悲しかったですね。飼育下で増えたサソリがゾロゾロ逃げ出してご近所を震撼させるなんて事件が、この改正の背景にあったと聞きます。飼育が禁止されれば、すでに飼育中のものも処分しなければ犯罪になります。でも実際に、特定外来生物の指定を受けたのはサソリの中でも、強い毒性の種を含むキョクトウサソリ科のみで、多くの種が除外され、筆者もすべてのサソリを失うことはまぬがれました。

 そして、無事に規制対象から除外され、今も輸入のあるサソリのうち、大型でプロポーションも美しく見た目にも危険そうなのが、本種デザートヘアリースコーピオンです。本当に綺麗でかっこいいサソリです。コガネサソリの仲間ほどの大きさはありませんが、飴色というかバター色というか、鮮やかな黄色のボディが神秘的です。コガネサソリの仲間が黒くてザリガニみたいな外観なのに対して、本種はじつに優美です。この黄色は砂漠の環境に適応した色あいなのでしょう。デザートとは砂漠の意味です。
 見た目はいかにも強毒そうですが、毒性はそれほどではありません。ただし刺されれば腫れと激痛を伴うらしいです。
 現在も流通しているサソリの中でも有名で、流通量も多く入手しやすいです。丈夫で長持ち、たいへん飼いやすいのですが、本種の飼育下での繁殖はあまり聞いたことがありません。上手く飼うと10年以上は生きるので、繁殖に挑戦するより長く親しむタイプの生き物ですね。
 広めのケージで小枝やシェルターといった地形効果を作ってやれば、ペアの飼育も可能です。筆者も長らくペアで飼ってました。共食い等の事故もありませんでした。雌雄が交配行動の際に見せるサソリダンスも観察できましたが、繁殖には到りませんでした。
 有名で、マニアにとってはありふれたサソリですが、筆者は大好きな種です。亜種や近縁種もいるようなので、同じ名前で入手してもじつはちがっていたってこともあるかもです。サソリは種類はたくさんいますが、見た目がひじょうに似ているものが多くて、種の同定が困難です。日本の専門店における種の同定は、多くの場合ひじょうに正確ですが、誤認が皆無というわけにはゆきません。
 サソリが一般に流通するようになってから、もうかなりの歳月になりますが、新種や流通していない種もまだかなりいると思われます。分類について詳しく解説されている文献やサイトもなかなか見つかりません。なので、種の同定についても正確を求めても虚しいかななんて考えています。亜種が見つかったり、亜種や近縁種が統合されたりってことも今後もあるでしょうし。




 ↑ 飼育下でサソリダンスと呼ばれる交配行動をとるペア。(下2枚も)





 ↑ ソノラデザートヘアリースコーピオン(ブラックトランクデザートヘアリー)と呼ばれる近縁種。ソノラ砂漠に棲息するデザートヘアリーの地域亜種ではないのだろうか。

コメント
デザートヘアリーの飼育について調べていたらこの記事にたどり着きました笑
現在本種を飼育中なのですが、幾つか質問があります。
1:真冬など極度に乾燥しやすい時は、どのように湿度を保ちましたか?
2:脱皮を全て終えて最大サイズになるとそこからどのくらい生きますか?
3:砂漠に生息しているということで、昼夜の温度差はあったほうがよいですか?

長文になり申し訳ないです。 ご教授いただければ幸いです。m(_ _)m
  • KIZUNA
  • 2016/05/25 2:28 PM
KIZUNA様。
コメントありがとうございます。
自分の判る範囲でお答えいたします。

1:冬場は加温が必要ですが、そのせいで極度に乾燥するのも事実です。筆者は昆虫マットを敷き、2〜3日おきに水をスプレーしていました。水はサソリにかけてやるとよいです。砂漠でも夜露を飲む習性があると思われます。飲み水用の浅い皿も用意していましたが、利用しているのかどうかは確認できませんでした。スプレーが有効だと思われます。
筆者は20℃に調節した温室に飼育ケースを収容していましたが、ケースそのものをフィルムヒーターなどで温める場合は、底面の半分だけを加温します。冬場は温度が低めで丁度よいと思います。

2:デザートヘアリーはひじょうに長命で知られており、20〜30年も生きるとのことですが、そのためには充分なスペースにたっぷりと土を敷き、サソリが自在に穴を掘ったりできる環境が必要だと思います。土は昆虫マットが便利です。ミミズが好みそうな庭土等は絶対にだめです。

3:砂漠に棲息する生き物は昼夜の温度差の激しい環境に棲んでいることはまちがいありません。でもそれが彼らに適しているかどうかは疑わしいと思います。多くの飼育者が生き物の故郷の気温条件をなるべく再現しようとしますが、飼育下でそれを再現することは難しく、飼育下という特殊な条件も考え合わせ、穏やかな気温条件を維持すればよいと思っています。バスキングライト等を用いてあえて過酷な高温状態を演出するのは、むしろ危険ではないかと考えます。夏場は常温で、冬場は適度に加温してやり、風通しをよくして蒸れないようにすることが重要だと思われます。蒸し焼きがいちばん寿命を縮めます。

日本でましてや我々素人の家庭で、砂漠環境を忠実に再現することは不可能ですから、サソリの方に飼育環境に慣れてもらうしかありません。言わば新天地に帰化させるようなものですね。風通しのよいなるべく広い容器とたっぷりの土、これらがサソリを長生きさせる好条件であると思われます。
デザートヘアリーは体形もサイズもひじょうにカッコイイですよね。ぜひ長生きさせてください。
また本種は飼育下での繁殖が難しいと言われています。筆者も繁殖経験はありません。でも絶対にあり得ないわけではないと思います。
  • 筆者
  • 2016/05/25 10:37 PM
回答ありがとうございます<(_ _)>

初めてのサソリの飼育なので色々不安だったのですが、具体的なコメントで分かりやすく不安も解消されました。 
サソリライフ頑張ります!笑
  • KIZUNA
  • 2016/05/26 10:28 PM
KIZUNA様。
頑張ってください。
なにか分かったら教えてください。筆者もまだまだ勉強が足りません。
  • 筆者
  • 2016/05/27 1:39 AM
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