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クジャク君

2013/10/03


 筆者が本種を手に入れた西暦2000年、あの頃はそこそこ珍しいトカゲだったように記憶しています。専門書等で紹介されていて写真は見たことがあるものの、実物を取り扱っているショップはなかなかなくて。入荷も安定していませんでしたし、養殖個体(CB)の流通もなかったのでしょう。筆者が懇意にしていたショップにたまたま入荷があり、値段的にもお手頃で、大喜びで買い求めた覚えがあります。



 クジャクトゲオアガマの和名は、このトカゲの特徴をよく表現していると思います。体は全体的に緑色で、背中に美しい斑紋が並びます。性格もひじょうに温和で、他の同居者たちともすぐに仲よくなりました。当時、暴れん坊だったサバク君も、なぜだかこのトカゲだけには好意的で、一緒に日光浴していました。色物同士波長があったのでしょうか? こんな見解はあまりにもバカバカしいですが、ハイになると誰彼かまわず追い回していたサバク君が、クジャク君にだけ気を許していた理由は今もまったく解りません。


 ↑ 左がメス、右の頭部が赤い個体がオスということで入手したが、メスはもっと地味な茶色だという記述もあり、よく判らない。

 雌雄ペアということで2頭を購入しました。雌雄とも美しい色彩をしていますが、オスはさらに美しく頭部を中心に濃いオレンジ色が乗っていて綺麗でした。もちろん個体差があってすべてのオスにオレンジ色が乗るとは限らないでしょうし、またメスは地味な茶色であるという記述を読んだこともあって、メスとして購入した個体もじつはオスだった可能性もあったと思われます。当時は原産地からドドーンと送られてくる野生採集個体が時折流通するだけで、きちんと性別を判定して売られていることも少なかったように思います。
 また、情報も錯綜していて、クジャクトゲオアガマのオセラータ種、オルナータ種といった具合に、ニシキトゲオアガマの名で知られる種と混同されることもありました。クジャクトゲオアガマとされる種はオセラータトゲオアガマで、オルナータの方はニシキトゲオアガマとされるのが正しい区分です。オセラータとオルナータは、学名をカタカナ表記したものです。両者は近縁種で、共に美しい斑紋を有します。


 ↑ オスの頭部。

 最近では、養殖個体(CB)も出回っているのでしょうか。この美しいトゲオアガマのCBが流通することは、トゲオアガマファンにとっては悲願です。2000年当時はCBの流通はなく、入荷した野生個体はコンディションが悪いものが多く、たいていは飼育下で長生きできなかったと思われます。筆者のところでも、立ち上げが上手くゆかず数ヶ月の命でした。野生採集個体(WC)であっても、きちんと駆虫して餌づけしてやれば、本種はそれほど脆弱で飼いにくいトカゲではないはずです。トゲオアガマとしては比較的小型の種であるものの、飼育下ではそれほど物おじもせず、よく食べよく日光浴をしていましたし、飼育者を警戒することもあまりなかったです。それでも肥えるどころか徐々に痩せて行き、最後は衰弱死してしまったのは、お腹で寄生虫が大暴れしたせいだと思われます。
 野生では寄生虫とうまく付き合っていたのに、人に飼われるようになったとたんに寄生虫が猛威を振るい、宿主を衰弱させてしまうということは、爬虫類の飼育では頻繁に起こることです。野生採集個体を市販するに当たって、きちんと検便して正しい投薬を行なってから販売するといった規定を設けるべきではないでしょうか。動物愛護の観点からも、そのために少々価格が上がっても必要なことだと思うのですが。寄生虫の恐ろしさは、爬虫類の飼育経験者なら誰でも知っていることです。
 当時の筆者は、まことに残念なことに寄生虫のことを通り一遍の知識として知っているていどで、ショップの方のアドバイスに従えば、弱っている個体も立ち上げられると信じていました。


 ↑ クジャク君(上)と、オルナータことニシキトゲオアガマ(下)。

 本種は、その美しい色あいも特徴的ですが、体がスマートで、体に対して尻尾が長いのもエジプト君やマリトゲ君と大きくちがっています。学名の ocellata はクジャクの羽の目のような模様のことらしいですが、筆者ならクジャクホソトゲオアガマと、スマートなプロポーションも名前に入れたいところです。
 ショップでは、他のトゲオアガマよりも多湿を好むと教えてもらい、スプレーによる水分補給や温水浴を心がけましたが、寄生虫の駆除という根本的なケアに思い至らず、可哀そうなことをしました。


 ↑ 同居中のエジプト君と共に日光浴しているところ。

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