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人工蛹室

2015/06/20


 人工蛹室はある意味昆虫愛好家の理想であり夢でした。地中や繭の中の蛹を間近で観察したい、蛹室から取り出してしかも無事に羽化させたい。筆者にもそうした思いが子供の頃からありまして、中学生の頃、カブトムシの発育不全の小さな幼虫が地表に蛹室を作ったのをヒントに、地中の前蛹や蛹を掘り出して、地表にくぼみを作ってその中に入れて観察しようとしました。ところが、その試みはことごとく失敗に終わり、ある時、紙等で筒を作り、前蛹や蛹がその中で立って姿勢を維持できるようにしてやればどうかと思いつき、画用紙で作った人工蛹室を試みました。この簡単な工夫が大成功でして、子供が作ったお粗末な細工の中でカブトムシたちが次々と羽化して行きました。

 それから月日が流れ、オオクワガタから始まった空前の昆虫ブーム。憧れの外国産の甲虫類や様々な生き物がどんどん輸入されるようになりました。16年前、まだ外国の甲虫の輸入が始まったばかりの頃、筆者の友人にすでにその道の権威みたいな人がいました。彼と人工蛹室の必要性と可能性について、あれこれ熱く語り合った覚えがあります。
 ところが愛好家の思いは同じで、それからほどなくして人工蛹室が市販されるようになりました。オアシスという園芸用品を加工して作ったゴージャスなものです。フラワーアレンジメント等に用いるスポンジみたいな素材で、水を含ませるとしっかりと保水してくれます。ひじょうに加工もしやすく、まさに人工蛹室にはうってつけの代物でした。オアシス製人工蛹室は大ヒットしたと思われます。でも、ホームセンターなどでオアシスそのものを買ってくれば、自分で簡単に人工蛹室が作れます。
 人工蛹室は地中に蛹室を作る甲虫類の蛹化や羽化を観察するもので、カブトムシの場合は縦型のものを、クワガタムシやハナムグリでは横型のものを作ります。あるていどの湿度が重要であるとよく言われますが、脱皮の際に乾燥状態だとうまくゆかないのでしょうか。



 ハナムグリのために自作した人工蛹室です。小さな容器にオアシスを隙間なく詰め込み、指で押しつぶしてくぼみを作ります。たっぷり水を含ませます。蛹室内に水がしみ出るくらいだと加水しすぎです。



 普通は人工蛹室の中に直接、前蛹や蛹を置きますが、筆者は虫が作った蛹室を半分残した状態で、そのまま人工蛹室にはめ込むというやり方を採りました。蛹室にはカビや雑菌の繁殖を抑える能力があると思われるからです。



 保湿のためにラップをかけます。完全密封にならないように隅っこを折り返して小さな隙間を設けておきます。あとは観察の度にラップを剥がします。蛹が汗をかいているようならしばらく開放状態にして過剰な水分を蒸発させます。



 カブトムシの縦型蛹室の場合は、透明なセルロイドを筒状に丸めてテープで留め、それを充分な高さのあるプリンカップ等の中に立てます。筒が倒れないように昆虫マットで回りを固めます。昆虫マットを使うのは、飼育に使っていた手近なもので保湿もできるものだからです。



 前蛹や蛹を筒の中に入れます。筒の直径は虫が寝ころんでしまわないていどにします。カブトムシですと3〜4cmていどですか。



 容器にフタをしておきます。完全密封にならないように通気孔を設けておきましょう。



 筆者が用いたコカブト用の人工蛹室はもっと簡単で、工作時間は1秒です。幼虫の飼育に使用してきた昆虫マットに、小指でプスッと縦穴を穿ち、この中に前蛹や蛹を入れるだけです。これで保湿もバッチリ。簡単すぎて笑えますが使えます。この方法はカブトムシには使えません。大きなカブトムシは身をよじってたちどころに穴を崩してしまいます。



 まるで自然蛹室みたいに見えますが、人工的なものです。コカブトは羽化までの期間も短いので、こんなもので充分です。万一途中で穴が崩れたら、またやり直せばよいだけです。

 筆者のものぐさ仕事に呆れられた読者も少なくないかと思われますが、高級な道具でも結果が同じならあまり必要性を感じません。
 現在飼育中のヒラタクワガタ南方亜種たちの場合は、菌糸ビンの底に作られた蛹室の上部のマットを取り除き、天井を開放して中が見えるようにし、そのままで観察するようにしています。最初はビンをルーターか金切りバサミで切り開いて、蛹室を露出してやろうかと考えていたのですが、そうするまでもなく蛹室の内部が見られるようにできたので、楽な方を採りました。

 チョウやガの飼育では、蛹や繭を画用紙やプラケースに両面テープで貼り付け、ティッシュやスポンジなどで足場を設けてやるといった方法で羽化の様子を観察しました。観葉植物に貼り付けるってのもやりましたね。
 みなさんもいろいろお試しください。

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