性格のちがい
2013/10/19
コーンスネークは、基本的に温厚で人によく馴れるヘビです。ハイブリット種のクリームシクルもそれは同じです。しかしながら、たくさんのコーンを飼っていると性格に個体差が見られ、大胆なものや臆病なものなどさまざまな個性が見えてきます。同じように飼っているのに性格の差が出てくるのには、なにか原因があるのでしょうか。
生後間もない幼蛇は、当然ながら人に馴れていません。捕まえようとすると大急ぎで逃げ出します。コーンの場合は他のラットスネークのように飛びかかって来る幼蛇はあまりいません。
飼育するうちに人の気配がすると、餌を当てにして近づいて来るようになります。そして餌を人の手からもらうようになり、安心してハンドリングができるようになるのはそのあとです。

↑ クリムゾンのオス。フロリダ州マイアミの地域変異種をマイアミバイスと言い、クリムゾンはそのハイポメラニスティックです。

↑ キャンディケインのメス。マイアミバイスのアルビノです。上のクリムゾンと同居させていますが、どちらかと言うと、このメスの方が人懐っこいです。オスの方は、採餌に積極的じゃないこともしばしばです。

↑ ラベンダーのオス。藤色の色あいが、コーンとしては珍しいですが、ラベンダー自体は今ではかなりありふれた品種になりました。

↑ バターのメス。キャラメルという赤がほとんど出色せず、成長するにつれて黄色みがます品種のアルビノです。上のラベンダーと同居させていますが、このメスの方が明らかに人懐っこいです。まったく問題なくハンドリングできますが、オスの方は注意深く捕まえないとすぐに逃げようとします。

↑ ラベンダーのオスとバターのメスのペアリングの様子です。

↑ ブラッドレッドのオス。血のように赤いという意味のアルビノ品種。写真では光の加減でかなり明るく見えますが、実際にはもっと濃い赤でひじょうに美しいです。この個体は単独飼育中ですが、とてもよく人に馴れていてハンドリングも問題ありません。

↑ スノーコーンのオスと、レッドコーンのメス。どちらもアルビノ品種。ともに1999年に幼蛇を入手し、幼蛇のうちからずっと一緒に飼っていました。両方ともひじょうによく人に馴れ、ハンドリングもまったく問題ありませんでした。
筆者のところのコーンスネークを例にとると、雌雄をペアで同居させている場合の3例のうち2例が、メスの方が人によく懐きました。オスの方がずいぶん引っ込み思案です。1999年から飼育を始めたペアの場合、当時はコーンスネークが珍しくて毎日のように触っていましたから、雌雄とも幼蛇のうちから人をまったく警戒しなくなりました。
クリームシクルもペア飼育していますが、じゃっかんメスの方が人懐っこい感じがあります。
性格の差異と性差は関係あるのでしょうか? また、品種による性格の差異というのはどうなのでしょう。ロイヤルパイソンの場合は、アルビノやシナモンは大きく育ち、ひじょうに人に馴れましたが、パイボールは成長が遅れがちで人への馴化も遅かったです。
コーンの場合でも、性差や品種のちがいによる性格の差異は多少あるのかもしれません。しかしながら、人への馴化のていどは、それよりも飼育者がどれだけかまってやるかに依存すると思われます。ハンドリングをまったくせずに餌だけ与えている状況では、人の手から餌をもらうまでの馴化は順調でも、触ろうとすると怖がります。
また、ケージ内にシェルターを設けると、これまで人の気配にすぐに反応していたのに、出てこなくなるような例も多かったです。コーンスネークの飼育では、筆者は繁殖期以外はシェルターを設けません。5月頃からウェットシェルターを設置し、産卵が終わると撤去します。
また、安心してハンドリングできる個体にも注意が必要です。ピンセットでマウスをつまんで差し出したとたん、手に噛みついてくるなんてこともしばしばあります。コーンにとっては、冷たいマウスよりもマウスの匂いをさせた暖かい人の指の方が美味そうに見えるようです。採餌の時に、マウスを素手でペタペタ触る筆者は、何回痛い思いをしたことやら。置き餌を食べようとしているところに手を出したとたんに向きを変えて噛みついてきたこともあります。
元気の良い食欲旺盛のコーンは、餌に飛びつき、そのままグルグル巻きついて絞め殺そうとします。すでに死んでるのに。その時、ケージを開けたまま水換えなどしていると、自分が締めているマウスを忘れて飼育者の指に飛びついてくることもあります。それとも締めた餌はとりあえず置いといて、もう1匹しとめようとでも言うのでしょうか。
すっかり人に馴れた個体でも、油断は禁物ですね。でも、心配は噛まれた指よりも噛んだ本人だったりします。噛まれても驚いて振り払ったりしないように。すぐにまちがいに気づいて放してくれますから。無理に引き離すと、ヘビの歯は口の内側に向いていて獲物をしっかりホールドするようになっているので、歯が折れたり口の中を切ったりすることもないとは限りません。口内感染症はヘビにとってはひじょうに恐ろしい怪我で、口の中が腫れ上がり、場合によってはそれがもとで死に至ります。どうしても噛んだまま放してくれない(コーンに限ってはそんなことはないと思いますが)場合は、頭ごと水に沈めてやりましょう。そのうち息苦しくなって放してくれます。