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ヒルヤモリの繁殖

2013/10/22


 問題です。右の写真は誰でしょう? ヨツメヒルヤモリ? ヘリスジ? ヒラオ? ……正解はアマガエルです。ウソです。この写真では少し判りづらいですが、黄色いアイシャドーをしています。つまり、ヨツメヒルヤモリですね。と思ったら、じつはヘリスジヒルヤモリのメスだったりします。ヘリスジ君はオスがブルー、メスはほとんどアイシャドーが目立ちません。黄色のアイシャドーのヨツメ君と見分けるのが困難です。

 では、左の写真は誰でしょう? これは水色のアイシャドーがよく判りますね。ヘリスジ君のオスまたはヒラオ君ですね。頭部の横縞に注目しましょう。横縞は鼻の上を通っていればヒラオ君、鼻の左右にあればヘリスジ君です。えっ? 鼻がどこだか判らん? ……確かに。

 では次の写真ではどうですか? これだと鼻孔の位置が少しは判りやすいですね。ヒラオ君と答えていただければ正解です。じつは上の写真もヒラオ君です。頭部をクローズアップすると、ヒラオ君は上顎部の筋が鼻孔を避けて通り、これが上から見たときの3本の横縞の1つに見えますが、ヘリスジ君の上顎部の筋は鼻孔上を通過するので、目と鼻の間に筋模様を形成するように見えます。




 上の写真は、左からヘリスジ君オス、ヒラオ君、ヨツメ君のオスです。ヘリスジ君メスではアイシャドーがほとんど目立ちません。ヨツメ君はオスだと写真のように水色の点々模様が綺麗ですが、メスでは目立ちません。ヒラオ君の雌雄差はよく判りません。ご存じの方はメールください。

 さてさて、形態の話しはこれくらいにして、生態の話しに移ります。筆者が飼育していたヒルヤモリたちは、生き虫よりも昆虫ゼリーをよく食べました。ペロペロ舐めているだけのように見えますが、けっこう減りが早いです。これだけで飼育できれば生き虫を用意しなくてよいので楽です。
 オオクワガタ飼育用の高タンパクの昆虫ゼリーを使用したり、カルシウム剤や栄養剤を添加することで生き虫なしで飼えるような気がするのですが。ゼリーのみの飼育を奨励するような記事には出会ったことがありません。昆虫ゼリーで充分な栄養補給ができれば、長期飼育や繁殖も可能な気がします。基本は昆虫ゼリーで、時おりコオロギやローチ(ゴキブリだよ)の小さいサイズを与えるといった飼い方でも充分だと思います。
 小鳥用に市販されているミルワームも、筆者のところではよく食べました。サイズ的にとても手頃ですし、ストックがひじょうに楽なので重宝します。ただ虫の動きが悪いので、他のヤモリではあまり食べないものが多かったです。また、栄養価もコオロギやローチほどは期待できないとも聞きます。


 ↑ ペアで仲良く昆虫ゼリーを舐めるヨツメヒルヤモリ。手前がメス。頭部にオスのような水色の点々模様がない。


 ↑ ヒラオヒルヤモリ(左)と、ヨツメヒルヤモリ。どの種類も昆虫ゼリーは大好物だ。



 ↑ コオロギを捕食するヨツメヒルヤモリ。これ以上大きなコオロギはヒルヤモリたちの手に負えない。

 飲み水の問題ですが、ヒルヤモリたちは夜行性のヤモリとちがって、水入れを用意してやるとそれを見つけて水を飲むようです。うちではそうでした。爬虫類は昼行性の動物でも飼育下で水入れを認識できなかったり、認識するのに時間がかかったりするものが多いのに、ヒルヤモリたちはすぐに水入れの存在を覚えました。彼らは乾燥地帯の動物ではないので、水分はたっぷり与えたいです。水入れを覚えてくれるのであれば、数日間の外出で水涸れ死させる心配もありませんね。


 ↑ 水入れの水を飲むヨツメヒルヤモリのペア。

 ヒルヤモリたちは、日本のヤモリのように冬眠しませんので、冬場は加温します。小さな動物なのでどうしてもケージが小さくなると思いますが、そうなると心配なのが温度の上がりすぎです。乾燥地帯のトカゲのような高温は不用なので、30℃を上回るような加温は禁物です。夏場は気温に合わせて温度が上昇するのは仕方ないですが、冬は25℃ていどを目安にしましょう。
 ケージは通気性をよくしなければなりません。水分補給のためにスプレーした水が高温の水蒸気になって、ヤモリたちが蒸し焼きになってしまうというのもありがちな話しです。ヒルヤモリたちはひじょうに頑健な動物で、ずいぶん過酷な条件にも耐えてくれますが、それも長期間続くと体力を消耗し、短命に終わることになってしまいます。湿度を要する爬虫類の管理は注意を要します。乾燥し過ぎも命取りですが、アマガエルを飼うような多湿も危険です。

 ヒルヤモリの繁殖は難しくありません。雌雄のペアで適切に管理していれば、メスは2つずつの卵を数回に分けて産みます。筆者のところでは、夏場から秋にかけて、あるいは早春にも産卵していました。卵はいたるところに産みつけられますが、なるべく物の隙間のようなところに産むみたいです。ケージの壁面のようなところに無防備な状態で産むことは少ないです。
 問題は卵の管理です。親とは隔離して管理したいところですが、物にしっかりと癒着し、取ろうとすると割ってしまいます。平面に無防備に産みつけられたものなら、小さなキャップでも被せて、孵化子が親に食べられるのをガードできますが、物の隙間やケージの角に産みつけられるとそれが困難です。模造の植物なんかを入れておくと、葉の生え際などに産むことが多く、植物ごと取り出せば親から隔離できます。
 卵は乾燥には強いようです。逆に多湿すぎるとダメな気がします。


 ↑ 持ち腹のメス。ヘリスジヒルヤモリ。2つの卵が透けて見える。


 ↑ 卵は1度に2つずつ産むが、1つ1つ別々の場所に産むことが多い。


 うまく管理できれば、産卵後50日ていどで孵化に到ります。孵化直後の幼体は親のように鮮やかな緑色ではなく、かなりくすんだ緑です。それが徐々に色づいて行きます。微細な生き虫と昆虫ゼリーを与えて育てましょう。幼体の発育にはやはり動物性タンパク質は必要だと思われます。孵化直後でも頭胴長で2cm以上あるので、コオロギやローチの初齢幼虫が用意できれば問題ないです。ヤモリの発育に充分な栄養が得られるヤモリ用ゼリーが開発されれば、壁チョロの飼育も楽になるのですが。なかなかうまい話しはないですね。





 ヒルヤモリは、たいへん美しく愛嬌があり鑑賞価値の高い動物です。丈夫で長生きし、繁殖も期待できます。ただ、ひじょうにすばしこいうえに乱暴に扱うと体が傷つきやすいこと、生き虫を用意してやらねばならないことが飼育上のネックになるでしょう。驚かさないようにそっと扱えば、ハンドリングにもあるていど馴れるとおっしゃる人もいます。根気よく付き合って取り扱いが上手くなるように頑張るしかないですね。

コメント
こんばんは。
夜遅くにすいません。
私もヘリスジヒルヤモリという、マダガスカルヒルヤモリを飼っている者です。
オスメスでペアで飼い始めてから、今日、卵を発見しました。どうやって卵を管理したら良いのか分からないので教えて頂きたいです。よろしくお願いします。※今は卵だけとって、水苔を引いたパックで保管しています。
  • ゆか
  • 2014/11/08 12:15 AM
ゆか様
返事が遅くなりました。
産卵おめでとうございます。

卵はそのままで大丈夫ですが、孵化したベビーが脱走したり親に食べられたりする可能性が高いので、卵を透明なカバーで覆って保護します。昆虫ゼリーの空きカップなどが使いやすいですね。カップを卵が固着している場所に合わせて加工してセロテープなどですき間なく覆ってください。
このままでは照明やヒーターの熱で卵が蒸し焼きになるので、カップには通気孔をたくさん開けておきます。
卵が植物などに産みつけられている場合は、植物ごと取り出して別のケージに移してやるのが良いです。
ケージのコーナーなどに産卵し、カバーで覆うことが困難な場合は、親を別のケージに移して、卵だけにしておきます。
ベビーが孵化したら、大きくなるまで親とは一緒にできないので、いずれにせよケージは複数必要です。
カバーをかけることができた場合は、孵化が確認できしだい、親やケージ内のものを取り出して、ベビーをカバーから取り出します。樹上性ヤモリはひじょうに素早いので、逃がさないように作業するのは容易ではありません。
もっとも安全なのは親たちを別ケージに移動して、卵のあるケージを育児用のケージにすることですね。
育児用のケージはシンプルなレイアウトとし、小さなベビーが植物などのすき間に潜り込んで出られなくなるような事故を防ぐようにします。また、ベビーの餌となる小さな虫もストックしなければなりません。
レッドローチが管理が容易でよく繁殖するので断然おすすめです。僕は最近ではそれ以外の生き虫を使いません。

ベビーの飼い方は餌の虫を小さくしてやる以外は親と同じですが、虫以外には昆虫ゼリーが嗜好性も強くひじょうに有効です。クワガタムシ繁殖用の高タンパクゼリーなどがお勧めです。

産卵は初めてでしょうか。しばらくするとまた産卵するかも知れません。
マダガスカルの生き物は日本では冬場はヒーターによる加温が必要ですが、それでも冬場より春から夏が主に繁殖シーズンになると思われます。今年はもう産卵しないかもしれませんが、しないとも限りません。
充分に成熟したメスであれば、1シーズンに何度か産卵します。

ベビーを育てるのはなかなか大変ですが、頑張ってください。
苦労はベビーの可愛らしさで報われると思います。
  • 筆者
  • 2014/11/08 5:14 PM
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