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ヒルヤモリ

2013/10/22


 ヤモリの仲間は、トカゲが夜行性に特化する方向に進化した動物ですが、その中でヒルヤモリの仲間は、昼行性に逆戻りしたやもりで、いくつかの種が知られています。地味な体色のものやシブい色あいのものが多いヤモリの中で、ヒルヤモリ属の仲間は、明るい緑色というひじょうにみずみずしい美しさを呈しています。まるで動くトロピカルフルーツです。
 全長はいずれも8cmていどで、筆者は2001年から2002年にかけてヒルヤモリの代表的な3種を1つのケージで一緒に飼っていました。


 ↑ ヨツメヒルヤモリ。前肢の後ろに青で縁取られた黒紋がある。

 1種類目。ヨツメヒルヤモリ。前足のすぐ後ろに大きな紋が目立ちます。この黒紋は水色のアイシャドーをした目のように見えることから、本物の目と合わせて4つ目の名が付いたようです。本物の目の方は黄色のアイシャドーをしています。鼻先と高等部に水色の点々があるほか、背中に赤い模様があります。そして尾は青みを帯びます。とてもおしゃれですね。

 丸い可愛らしい黒目と相まって、正面から見るとアマガエルみたいです。足の指の丸く膨らんだ吸盤もカエルそっくりです。もっともこの吸盤は微細な剛毛の集まりでできており、カエルのキスゴム状の吸盤とはちがいます。


 ↑ ヨツメヒルヤモリのペア。下にいるのがメス。


 ↑ 昆虫ゼリーを舐めているヨツメヒルヤモリ。

 ヒルヤモリの仲間は、生き虫食いですが、花実や花の蜜も大好きで、飼育下では昆虫ゼリーをひじょうによく食べます。オオクワガタ飼育用に高タンパクの昆虫ゼリーも市販されていますが、これに爬虫類用のカルシウムパウダーや栄養剤を添加してやれば、生き虫を与えなくても良いのではと思うのですが。繁殖を狙う向きには、やはり生き虫を与える方が良いでしょう。


 ↑ ヘリスジヒルヤモリ。体側に黒っぽい筋があるのが特徴。

 2種類目。ヘリスジヒルヤモリ。体側部の焦げ茶色の太い帯が目印。このヤモリも名は体をよく表していますね。目は青いアイシャドーをしています。


 ↑ ヘリスジヒルヤモリのオス。

 ヘリスジヒルヤモリは、雌雄で体の模様がずいぶん異なります。オスは、体側の帯と背中に赤い模様を持ちますが、メスでは背中の模様が消失し、体側の帯の代わりにヨツメヒルヤモリとそっくりの目玉模様があります。メスはヨツメヒルヤモリと見まがうほどですが、背中に赤い模様がないので見分けがつきます。


 ↑ ヘリスジヒルヤモリのメス。

 上の写真は、持ち腹すなわちお腹に卵を宿しているめすで、馴れてくると背面から見てもお腹が大きいことが判ります。お腹が大きくても活発に駆け回ります。


 ↑ 脱皮中のオス。

 ヒルヤモリの仲間は、取り扱いがたいへんです。皮膚が柔らかく、敵に襲われると皮膚の一部を隔離させて逃げます。尾の自切もします。ひじょうに俊敏に駆け回り、ジャンプもしますから、ケージの掃除の時などに追い回すと、皮がはがれたり尾が切れたりします。自切した尾は1度限りで再生します。再生尾はそれと判るほど継ぎ接ぎ状ですし、次の自切以降は尾なし君になってしまいます。
 筆者は、ヒルヤモリたちを自由にハンドリングできるほどに馴れさせる自信がないので、極力捕まえないようにしていました。ケージ内の汚れは、ヤモリたちを驚かさないように濡らしたティッシュで拭くていどにします。


 ↑ ヒラオヒルヤモリ。体全体に花粉を散らしたような模様が鮮やか。

 3種類目。ヒラオヒルヤモリ。太くて偏平な尾を持つことからヒラオの名があるそうですが、筆者の目には、他のヒルヤモリに比べて本種の尾がとりわけ偏平なようには見えないのですが。それよりも、黄色い花粉を散りばめたような模様がひじょうに鮮やかで、キラキラと輝いています。キンプンヒルヤモリとでも付けた方が良かったと思うのですが。
 また、頭部に3本の横縞、腰のところに3条の縦縞があり、ひじょうによく目立つ水色のアイシャドーをしています。ヒルヤモリの中では、本種がいちばんオシャレだと思います。


 ↑ 昆虫ゼリーを舐めているところ。

 ヒラオヒルヤモリの頭部の横縞は、オレンジに見えたり薄い黄色に見えたりします。横縞以外の部分の緑が際だっていて、縞の部分がかすんでいるようにも見えます。また、腰の縦縞は前方が膨らんでおり、3本指の動物の手形のようにも見えます。模様の形状や色あいは、個体によって差異が見られるほか、周囲の明るさやヤモリの体温によってもちがって見えます。





 ヒルヤモリの仲間は、たいへん美しいうえにとても愛嬌があって見ていて飽きません。けっこう物おじしない性格で、人の気配がしても逃げ出すことも少なく、たっぷりとその姿を見せてくれます。馴れてくるとケージのフタを開けると寄ってくるほどです。捕まえようとすると逃げますが。
 また、体も小さいので大きなケージを用意する必要もなく、部屋も机の上に置いても可愛いと思います。熱帯魚用の照明を使うと、ケージ内がとても映えますし。できれば紫外線量の多いUVライトを使う方が、生体にとっては望ましいようです。
 問題は、上述したようにひじょうにすばしこく、餌の交換や掃除といったメンテナンスの際に逃げられてしまうことに注意が必要なこと、とっさに乱暴に捕まえると皮膚がはがれたり尾を自切されたりしてしまうこと。ケージの側面によく糞をするので、インテリアとしてディスプレーしたいのなら、これを小まめに掃除したいですしね。糞の掃除には柄の付いたブラシやスポンジを濡らして使用するのが良いです。手をケージ内に直接入れると脱走されやすいです。
 熱帯魚水槽のガラス面のコケ取りで、マグネット式のものがありますがあれも使えます。ガラス面をマグネットではさみ、外側のマグネットを動かすと、内側のマグネットに付いていつスポンジが糞を拭き取ってくれます。これだとケージのフタを開けずに掃除ができます。たっぷりスプレーしながら作業すること、糞が古くなってごびりついてしまわないうちに作業することがコツです。それとスプレーの水に惹かれて近づいてきたヤモリを巻きこまないように。
 また、ケージのフタは小さい方がよいですね。手がやっと入るていどが理想です。開放面積が大きいとその分脱走の機会も増えます。

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