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恐竜以前

2015/08/18


 大むかしの爬虫類と言いますと、恐竜に代表される大型動物を想像しますが、爬虫類はもとから大型だったわけではありません。両生類から進化したばかりの初期の爬虫類は、古生代中期の石炭紀前期に出現し、その大きさは全長15cmていどだったそうです。現生のニホントカゲみたいな感じの腹這いでチョロチョロ動く生き物です。
 初期の爬虫類が進化してきた頃は、陸地は両生類の天下でした。彼らは現生のカエルやイモリとはまったく別物で、全長1〜3mというサイズは当たり前、4〜5mに達するもの、9mという破格サイズのワニみたいな生き物、そんなのがノッシノッシと歩いていたそうです。
 古生代は両生類が支配的地位を獲得した時代で、ニュータイプの爬虫類は両生類の勢いに圧されて原始的な形態をとどめたままでした。
 両生類は、最初に地上に上がった脊椎動物ですが、体内受精と有羊膜卵を確立しておらず、繁殖は水の中で行なうという制限に縛られていました。羊膜は卵の中身を外界から隔絶すると共にガス交換も行なう器官として発達し、爬虫類が地上卵を実現するのになくてはならないものでした。地上卵を実現していない古生代の両生類たちが繁殖の時にだけ水の中に戻るというのは、ウミガメが産卵の時だけ地上に戻るのと真逆で、なんか面白いですね。
 交尾による体内受精と羊膜の外側をさらに卵殻で被った地上卵を実現した爬虫類は、地上の乾燥した土地に進出し、危険な両生類から逃れて細々と暮らしていたのでしょう。

 現生の両生類は、古生代の進化的な両生類に比べると原始的な仲間から進化した系統で、羊膜で被われた卵も持っていませんし、呼吸方法も原始的です。皮膚も爬虫類ほど強靱ではなく疎水性も弱く、皮膚呼吸や皮膚からの水分吸収といった機能を活用しています。それでも擬似的な交尾器を有して体内受精を行なうものや、卵胎生あるいは胎児が胎内で母親からの栄養供給を受けて成長する真の胎生のものが存在します。なので古生代の進化的な両生類が繁殖のために絶対に水域を必要としたとは言い切れない、そんな気がします。
 ただ、現生両生類の卵胎生や胎生、胎内受精は、小さな動物であるから実現可能な特性であるかもしれないとも思えます。現生の両生類は変態を経て水生動物の幼生時代から陸生動物の成体へと変貌を遂げますが(明確な変態が見られないものもいる)それも含め、新時代の両生類として獲得した新しい機能なのかもしれません。
 それにしても全長1〜5mあるいはそれ以上の獰猛なワニのような両生類の無羊膜卵ってどんなだったのでしょう。羊膜で被われない水中卵はある種のカエルやサンソウウオのそれのようにゼラチン質で被われた卵塊になっていたりしたのでしょうか。そこからオタマジャクシ様の幼体が孵化し、やがて変態してワニのような成体になったのでしょうか。それもなんだか想像しにくいですね。グッピーのように魚でさえ胎内受精を行ない卵胎生を実現している種があるくらいですから、古生代の両生類も多くが卵胎生で、いきなり陸生の幼体が生まれてきたのでしょうか。
 古生物の化石は硬質の骨の部分しか残っていないので、彼らの繁殖や成長過程がどのよなものであったのかを知ることはひじょうに困難でしょう。また、彼らの中から有羊膜類が分化したということは、古生代の両生類にも有羊膜卵あるいはその原型となるような皮膜を有する卵が発達していたのかもしれません。
 いずれにしても古生代の両生類と現生の両生類はまったく別物で、現生種を見て古生代の両生類がどうだったかを決めつけることはできないでしょう。化石証拠から判っていることは、彼らのうちの多くはひじょうに大型の動物に進化しており、陸地において支配的な地位を古生代を通して維持していたということです。

 繁栄を極めた両生類が衰退し、爬虫類が劇的な進化を遂げるきっかけとなったのは、地質時代が古生代から中生代へ移り変わることになったP-T境界と称される異変でした。異変の原因は解明されていないそうですが、海洋生物の95%が死滅するという壮大な絶滅劇が生じ、連鎖的に多くの陸生動物も失われました。こうした異変に最も弱いのは、大型で進化的な、いわゆる環境への適応度のきわめて高い生き物で、当時隆盛を誇っていた両生類が最も大きなダメージを受け、このことが中生代の爬虫類の爆発的な躍進のきっかけになったわけです。
 ところが、P-T境界以前の古生代において、両生類の大繁栄のスキを突いて大型化を実現して爬虫類の一派がありました。爬虫綱盤竜目の仲間には、全長4mにもなる大型動物に進化したものがいたのです。その代表格であるディメトロドンとエダフォサウルスは、背中に大きな帆を持つたいへん特徴的な動物でした。脊柱骨が伸長して大きな帆になったこの器官は、ひじょうに優れた体温調節器官であったと言われています。そしてこの仲間からやがて哺乳類に進化する獣弓類が分化することになります。
 盤竜類の仲間は爬虫類としては初期の原始的な系統であったにも関わらず、当時の大型両生類と競合しつつ大型化を成功させた驚異的な動物群でした。しかしながら彼らが成功者の一員であったことが敗因となり、P-T境界の異変では大型両生類たちと運命を共にすることになったのでした。

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