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恐竜周辺

2015/08/20


 原始的な爬虫類である単弓類から進化した双弓類の仲間は爬虫類の主流を成すグループで、中生代の進化的な爬虫類から現生種までを含みます。爬虫綱を大別する単弓亜綱と双弓亜綱のうち単弓類には古生代に繁栄した盤竜類および哺乳類の祖先となる獣弓類が含まれ、双弓類にはそれ以外の数多くの爬虫類が含まれます。
 双弓亜綱の仲間はさらに鱗竜形下綱と主竜形下綱に大別され、前者には首長竜類や現生のヘビ、トカゲの祖先となる有鱗類などが含まれます。後者はより恐竜に近い、言わば典型的な中生代タイプの動物群で、ひじょうに進化的で特殊化が進んだ仲間が数多く含まれます。主竜形類の仲間は中生代では最も進化的な動物群として大きな繁栄を築きましたが、その大半が中生代の内に死滅してしまい、現存しているのはカメ類とワニ類だけです。
 右にごく簡単な爬虫類の分類表を記します。双弓亜綱のうち現存しているのは鱗竜形下綱ではムカシトカゲ目と有鱗目、主竜形下綱ではカメ目とワニ目になります。有鱗目以外の3目は今も中生代の動物とあまり変わらない姿をしていますが、有鱗目に属する現生動物すなわちヘビやトカゲの仲間はずいぶん様変わりしたものが多いです。中生代の有鱗類には全長10mを超えるヒレ足を備えたワニみたいな水棲有鱗類なんてのがいましたし。

 恐竜の仲間は、分類上では恐竜上目に属する鳥盤目と竜盤目の陸生動物ということになりますが、それ以外でも中生代には多くの爬虫類がたいへん大型化しました。鱗竜形類には上述の大型有鱗類の他にも首長竜類はヒレ足と長い首を備えた巨大水生動物を多産しましたし、主竜形類のカメ類やワニ類にもたいへん大きなものがいました。翼竜類の仲間は、現存するあらゆる鳥類を上回る大型の飛翔動物を輩出しました。また、現生のイルカとの平行進化の例としてしばしば取り上げられる魚竜の仲間は、形状もサイズもイルカに似た爬虫類で、中には4m級のものもいて、これも恐竜的な大型爬虫類と言えるでしょう。魚竜目は鱗竜形類や主竜形類とは別系統の広弓下綱というグレードの下に置かれるのがふつうみたいです。
 これらの大型動物が恐竜の名を冠していない事実は、多くの恐竜ファンをガッカリさせることでしょう。学術的な定義では、プテラノドン(翼竜)もエラスモサウルス(首長竜)も恐竜ではないということになってしまいます。しかしながら、たいへんドラマチックな巨大化を遂げた中生代の爬虫類をみんな恐竜と定義してしまうと、モササウルスを産んだ有鱗類も、ワニやカメもみんな恐竜ってことになってしまいます。
 恐竜上目という学術上のグレードを、中生代のドラマチックな動物の代名詞としてクローズアップした結果、その名称ばかりがどんどん膨らんで、なんで翼竜や首長竜が恐竜じゃないねん、という不満を産むことになってしまったのでしょうね。
 中生代の恐竜が繁栄した時代には、ネコより小さな爬虫類はいなかったとも聞いたことがあります。現生のトカゲの仲間の場合はネコ並みの動物となるとたいへん大きな動物ということになりますが。ずいぶん事情がちがっていたわけです。
 中生代の大型動物たちの繁栄を支えたのは、現在よりもずっと温暖だった気候でした。我々人間なら暑さでのびちまうような温暖化が彼らの暮らしを支えていたのです。

 爬虫類は変温動物で、鳥類や哺乳類は恒温動物であると学校で習いますが、この分け方は爬虫類の生態を知るうえでかなり支障があります。爬虫類は確かに自ら熱を発して体温を維持せず、外気温に体温をゆだねており、朝夕や季節の変化によって体温が変化するので変温動物と呼称するのは誤りではないのですが、中生代のような温暖な気候では外気温にゆだねたところで体温はあまり低下しません。巨大な動物になると保温よりも放熱に苦労したほどだと言われています。なので、中生代の爬虫類たちは常に一定以上の体温を維持していたと思われます。中生代と言えども夜間や曇天続きの場合にはあるていど気温は低下したのでしょうが、大型動物は保温性も高く、代謝効率が著しく低下するほどの体温低下はなかったでしょう。外気温が低下しても彼らの体温はそれに即してすぐに低下するわけではなく、かなり温存されていました。動いている物体の動力が絶たれても慣性の法則に従って動き続け、徐々に失速して行くのと同じで、体温も熱源が絶たれたからと言って直ちに冷めてしまうわけではありません。保温性が高ければかなり効果的に体温は温存され、恒温動物のようにふるまうことができます。
 熱慣性によって体温が温存されあるていどの恒温性を維持している動物のことを、熱的慣性恒温動物と呼ぶことがあります。現生の爬虫類や両生類でも外気温より高めの体温を維持している生き物が少なくありません。
 中生代の爬虫類のほとんどが熱的慣性恒温動物であり、かなり高い知能を有するものも少なくありませんでした。恐竜の中には営巣や育児の痕跡が残っているものもありますし、チームワークで狩りをする社会性を有するものもいました。彼らは中生代の温暖な気候に支えられてひじょうに高度に進化し、現生の哺乳類に引け劣らない知性的な暮らしを送っていたのです。

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