1_萌萌虫雑記帳.png

ニホンヤモリ

2013/10/23


 ヤモリは、人間にとってもっとも身近な爬虫類です。人家にネズミが棲まなくなり、それを当てにしていたヘビも姿を消してからも、ヤモリは人家の壁にくっついて防犯灯などに集まる虫を捕食しています。人家の壁というのは、彼らにとって申し分のない棲息地です。春から秋にかけては灯火に集まる虫を食べて繁殖し、冬は風の当たらない軒下やその辺の隙間にでもひそんで越冬します。雨や夜露で充分な水分補給ができるので、水場を求めて遠出する必要もありません。
 ヤモリたちは、探そうと思えばそうホイコラ見つかる動物でもありませんが、いるところにはかなりまとまった個体数を見つけられます。群生していると言ってもよいでしょう。各個体が数十cmのかなりの近距離で散在しています。筆者が勤めている鉄道の駅は、まさしくヤモリの棲息地で、プラットホームの窓に張りついているものを一晩に20頭以上数えることができます。ホームからだと窓ガラスの向こう側に張りついているので、腹面がよく観察でき、雌雄の判別から持ち腹まで確認できます。こちらから見えない壁面にくっついているものを合わせると、いったい何頭のヤモリがいるのでしょう。ヤモリの四肢の吸盤構造はクリアガラスは登ることができません。しかしこの駅のガラスは、ヤモリの腹面を観察できる程度の弱い並みを付けた形状になっていて、ヤモリが自在に歩き回ることができるのです。まさにヤモリ観察用にあつらえたガラスです。


 ↑ ニホンヤモリの成体。地味だ。

 自然界で群生状態で暮らしていることから、飼育下でも複数飼育が可能です。飼育下では個体間の距離が数cmとひじょうに接近しますが、ケンカするようなことはないです。立体行動するタイプの生き物ですから、高さのあるケージを用意してやります。餌は生き虫を中心にし、昆虫ゼリーもよく舐めます。ただ、花実や花の蜜に集まる習性はないので、昆虫ゼリー主体で飼うことは難しいでしょう。生き虫の準備が必須です。
 人家の壁にくっついているヤモリは、間近に接近して観察しても動かないほどですが、捕まえようとすると俊敏な動作で逃げます。採集しようと思えば、それに負けない動きで手で捕まえるのが手っとり早いのですが、噛みついてきますよ。噛みつかれてもどうってことはないので、平気な人は素手でホイホイ採集しましょう。素手が無理な場合はかなり採集が難しいです。なるべく平坦面積の広いところにくっついている個体を見つけ、鑑賞魚ようの小さな網かプリンカップでも被せて捕まえますか。


 ↑ 飼育中の様子。同種同士の複数飼育も問題ない。

 繁殖は難しくなく、飼育下でもよく産卵します。春から秋にかけて2つずつの卵を何回かに分けて産卵します。孵化した幼体は親と隔離しないと親の餌食になるので、卵のうちに親から引き離しますが、物にくっついた卵は移動できないので、卵をくっつけられた物ごとケージから取り出すしかないでしょう。あるいは親を別のケージに移すとか。


 ↑ コルクバーグのすき間に産み落とされた卵。


 ↑ 生後直後の幼体。


 ところで、ヤモリが鳴くって知ってました。筆者は昨年まで知りませんでした。筆者の家にもヤモリが棲息していまして、夏場は時おり孵化後間もない幼体にも出会います。筆者の家では、おとなたちは人の手の届かない高いところにいることが多いのに、孵化直後のベビーはしばしば玄関先や家の中に現れたりします。安全な場所というのを学習していないせいでしょうか。それとも成体の近くにいると食われちまうので、成体の少ないところに降りてくるせいでしょうか。
 去年の夏ですが、妻が就寝中に小さな小さな小鳥のヒナの様な声が聞こえると言い出すわけですよ。小鳥のヒナはかなり遠くまで聞こえる大きな声を出すので、虫か何かだろうと返事しました。2晩に渡って同じ声を聞いたというので、妻の寝室にどんな虫がひそんでいるのかと調べたところ、枕の下から孵化後間もないヤモリが出てきたどいうわけ。
 妻は、虫だの爬虫類だのが好きな人ではありませんのですが、筆者があれこれ飼っている関係で、それらを過度に怖がる人でもありません。指先に乗る小さなヤモリを、妻は可愛いとおっしゃいましたよ。2晩ベッドを共にした相手ですし。
 ヒョウモントカゲモドキも孵化直後の幼体のみ、ピューンという鳴き声をたてます。これは敵を威嚇するために発する警戒音のようですが、ニホンヤモリのベビーが自分の存在を知らせるように鳴いていたのはどういうことなのでしょう。っていうか、ヤモリって鳴くんだ。
 ニホンヤモリの孵化直後の幼体が鳴くことを知らない人は少なくないと思います。筆者もそれまで知りませんでしたし、飼育下で繁殖した幼体が鳴いたのを耳にしたこともありませんでした。生き物というものはどれだけ長く付き合っても新しい発見に満ちあふれています。


 ↑ 頭部クローズアップ。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

索引


目次

スネさん リーザさん けもの 庭虫
雑虫 クモ 直翅系 半翅系 膜翅系 鱗翅系 鞘翅目 毒虫 魚たち 無脊椎
両生類 カメたち 絶滅動物 くさばな 庭草 雑草 高山植物 飼育と観察 ヒト □飼育動物データ




    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>

サイト内検索

NEW ENTRIES


Amazon Kindle 電子出版のご案内
cover4.jpg


★講読には
Kindle 読書アプリ
が必要です。



sijn.jpg






recent comment

recent trackback

プロフィール

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM