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昆虫マットと菌糸ビンの劣化

2015/09/03


 カブトムシやクワガタムシ、ハナムグリといった甲虫類の繁殖を手がけるのに、最近は土から餌まですべて市販されていて便利ですね。こういうものがない時代は、山へ行って腐葉土や朽木を採ってきてそれを利用したわけですが、ほぼ確実に幼虫の生育に害を及ぼす雑虫が混入していて、育てている幼虫が全滅してしまうようなことは普通でした。それを防ぐために腐葉土を天日干しにしたり、朽木を数日水に浸けこんだりしたものです。幼虫を食べてしまうものや寄生するものがウヨウヨいて、それを火攻め水攻めで死滅してから使ったわけです。
 ところが、現在市販されているマットは雑虫の心配がまずないうえに、育てようとする幼虫に最適な内容になっていて、幼虫が元気に大きく育ちます。幼虫の死亡率が格段に減少したうえ、大きく立派な虫に育てることができるのです。筆者がまだ中学生の頃にも市販の昆虫マットは存在しました。今から考えると40年いじょうもむかしにそういう製品があったなんて、日本は昆虫先進国ですね。でも当時のマットはおがくずを発酵させたような感じのもので、カブトムシを大きく育てることはできませんでしたね。クワガタムシに関しては、繁殖が難しい虫ということになっていました。

 現在は、マットも進化し、虫の種類に応じで様々なものが出回るようになりました。発酵の度合いを飼えてあったり、原料にこだわったり栄養分が添加されていたり。虫に合った市販品さえ使用すれば、産卵数も多く、幼虫も大きく育つ、今はそういう時代です。
 ところが、そんな状況でホイホイ失敗を繰り返す筆者は、なんなのでしょう。筆者は熟達した飼育者のように虫の種類に応じてきめ細かい飼育環境の調節を行なうということをしません。多くの種類に応用できる飼育環境を何にでも流用する、繁殖に成功したとして大きさや形なんてどうでもよい、そんなずぼらな姿勢で育てています。同じ飼育環境でそれぞれの虫がどんな生態を見せるのか、それに興味がありますし、たくさんの種類を飼ってそれぞれの個性を発見することにも興味があります。
 一度にたくさん飼っていると、世話を忘れてしまったりすることも少なくなく、汚れたり劣化したりしたマットの交換が遅れてしまったりということもしょっちゅうです。生き物の夢を見ると、決まって長らく世話を忘れていた動物を見つけ、反省するという内容です。
 なので、管理が遅れて虫を死なせてしまうこともよくあります。つい最近まで、筆者はマットの劣化についてほとんど考えたことがありませんでした。マットが糞だらけになったら交換してやる、菌糸ビンの中身が食べつくされたら交換してやる、そんな感じでいいと思っていました。
 ハナムグリなどは、幼虫が孵化したら安心してそのまま放置して忘れてしまい、あるとき気づいてみればマットがほぼ完全に幼虫の糞と置き換わっていた、そんなことも少なくありません。そんな状況になってもマットを交換すれば無事に済むので、あまり反省もしないわけです。
 クワガタムシの幼虫の菌糸ビン飼育でも、去年は十数年ぶりにそれを手がけたわけですが、そろそろ交換してやろうと思い立った時には多くの幼虫が前蛹や蛹になっていて、けっきょく成虫まで交換なしで育てた、そんな感じでした。それでもアマミヒラタなどは75mmという立派なオスに成長しましたけどね。これではまた反省しないですね。
 それで、今さらながらマットや菌糸ビンの劣化について少し勉強しました。

・マットについて。
 現在市販されているマットの多くは、甲虫類の好む広葉樹を細かく砕いて発酵させたもので、発酵が浅いものは色が明るく、よく発酵しているものほど色が黒くなります。基本的に色の明るいマットはクワガタムシの産卵用および幼虫の餌、黒いマットはカブトムシやハナムグリの産卵および幼虫飼育用です。もっとも種によってクワガタなのに黒マットを好むものもいますし、ハナムグリの種類によっては明るい色のマットの方が良い場合もあります。
 マットは未開封のまま長期保存があるていど可能ですが、使用中のものは劣化が進みます。幼虫の糞だらけになったマットは、交換が必要だと一目で解りますが、マット自身の劣化は見えないうちに進行し、あるとき急に目に見えた劣化が始まる感じです。劣化したマットは水分過多の状態になります。それがさらに進むと泥状になり、中の虫は水没したような状態になって大きなダメージを被ります。
 筆者がこれまでに経験した、前蛹または蛹まで育てて死滅させてしまうという失敗は、マットの劣化によるものかも知れません。
 成虫を飼育中のマットも劣化します。とくに大食いの成虫はたくさん尿を排泄し、それがマットの劣化を招くようです。カブトムシを成虫を飼っていてマットが水分過多になってきたら速やかに交換しなければなりません。メスがいた場合産卵しなくなってしまいますし、すでにマットの中に卵があった場合は、卵が死んでしまいます。
 筆者の経験では、カブトムシやハナムグリ類のあらゆる虫の飼育でマットの劣化がみられました。マットの表面が乾いたら水をかけてやったりしていますが、そのせいでいつの間にか水分過多になってしまうのだろう、そんな認識をしていましたが、マットの湿度には気を配り、泥状になってしまわないよう新しいものと交換しなければなりません。

・菌糸ビンについて。
 ボトルにマットを硬く詰め込んでカワラダケの菌糸を繁殖させた状態のものが菌糸ビンで、大型になるクワガタムシの幼虫の飼育に大きな効果を発揮しますが、これも劣化します。未使用のものはあるていどの長期保存が可能なようですが、幼虫を育てていると次第に劣化して行きます。カワラダケは白色の菌糸でマットを覆っていますが、これを幼虫がどんどん食べて行きます。幼虫が食用旺盛でないと、菌糸の繁殖に負けて、幼虫の方がカワラダケの栄養になってしまうこともあります。
 あまり高温の季節の使用は避け、25℃以下で幼虫を飼育する方が良いですね。幼虫に食べられて菌糸は減ってゆきますが、白い部分がなくなりマットが変色して行くのは、幼虫による消費だけではないようです。マットの劣化は菌糸が養分を吸いつくしたから生じるという説明を読んだことがありますが、よく解りません。とにかく劣化が始まると部分的にクリーム色やキャラメル色に変色し、水が出てドロドロになってゆきます。
 充分に育ったクワガタムシの幼虫は、こんな状態でも耐え、蛹室を作って羽化に至る場合もあります。筆者の去年から今年にかけてのヒラタクワガタ類の飼育がそうでした。でも、前蛹や蛹の死亡率は高まりますし、羽化不全や羽化直前の死亡にもつながります。筆者の経験ではクワガタムシではハナムグリよりもマットの劣化に強いように思えましたが、あえて危険を冒す必要はないでしょう。
 8月末に菌糸ビンに幼虫をセットしたとすると、11月下旬に交換し、次の交換は3月中旬から4月上旬あたりになりますかね。3ヶ月スタンスにはなっていませんが、幼虫が冬眠している時期は避けないといけません。
 ものぐさな筆者の場合は、9月中旬以降に菌糸ビンをセットして、4月中旬あたりに交換って感じです。これだと交換は1度だけということになります。
 大きな成虫を得たい、冬場もあるていど加温して管理する、そんな場合は筆者のやり方は通用しません。

 マットにしろ菌糸ビンにせよ、劣化による湿度過多や液状化は恐ろしいです。マットがドロドロになるまで劣化していなくても、急に白カビが大繁殖して前蛹や蛹を死なせてしまうケースがあります。筆者はまさに今年、シラホシハナムグリの蛹と活動前の新成虫を大量に失いました。
 甲虫類を飼うことは、土を飼うことです。土を元気に保つことが成功の秘訣ですね。
 菌糸ビンの場合は、幼虫が越冬に入る前に1度交換し、越冬後に様子を見てもう1度交換するていどが望ましいでしょう。大量にブリードされている方は、ビンごとに劣化の度合いを確かめたりせず、3ヶ月経ったら一斉に交換するといった手法をとっているようです。

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