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動物の恒温性

2015/09/05


 動物の恒温性と変温性については、当ブログでも折に触れ述べてまいりましたが、生物の生態を知るうえで重要なことだと思われるので、ここで改めてまとめておこうと思います。
 動物の体温について、僕たち私たちは小中学生の頃に、恒温動物と変温動物あるいは温血動物と冷血動物といったことを学んだと思いますが、その概要は、恒温動物あるいは温血動物と言われるものは、自ら熱を発生して体温を維持し、変温動物または冷血動物は、体温が周りの温度に応じて変化する、つまり自力で維持する体温というものを持たず、体温は周りの温度と同じで、気温が変われば体温も変わる、そういうことだったと思います。
 我々が義務教育で習った恒温動物とは、哺乳類と鳥類のことで、それ以外のすべての動物は変温動物ということでした。哺乳類と鳥類以外の動物たちの体温は周りの温度と同じで、陸棲動物なら気温と共に体温が変化し、水棲動物では水温と体温が同じであると。
 しかしながら、魚類にも爬虫類にも自ら発熱して周りの温度よりも少し高い体温を維持するものがいます。マグロは周りの水温より高い体温を維持しますし、ニシキヘビの中には発熱して卵を温めるものがいます、鳥類ほど高温ではありませんが。マグロもニシキヘビも変温動物にはちがいありませんが、変温動物の体温が周りの温度と同じであるという認識にはいささか語弊があります。
 クマは哺乳類なので恒温動物ですが、寒冷地に棲み冬眠の習慣を持つ種では、冬眠の間はかなり体温を下げ代謝を低くします。代謝率が高いと体内のエネルギーは見る見る消費され、栄養補給のできない冬眠中を乗り切ることができません。
 動物は体温が高いほど代謝効率が上がり、体内の栄養素をエネルギーに換え、活発に活動することができますし、体温の低下に伴って代謝効率も下がり、活動に必要なエネルギーを捻出しにくくなります。この点はあらゆる生物で共通です。
 人間の体温は35℃以上にもなり、季節に関係なく普通に活動できますが、魚類では10℃以上低い体温で快適に暮らしています。観賞魚の飼育では水温が30℃を越える夏場は魚の健康を維持するのが大変になります。渓流に棲む魚はさらに低い温度で活動し、25℃を越える水温では命の危険にさらされます。
 昼行性のトカゲの多くは、日光浴によって必要以上に体温を上げ、それを温存して活発に動き回ります。温められた物体は寒気にさらされても瞬時に温度が下がるわけではありません。運動しているて物体が慣性によって運動し続け、重力や空気抵抗によって徐々に速度が落ちて行くのと同じで、熱にも慣性が働きます。トカゲは熱慣性によって長時間体温を温存することができ、その間は恒温動物のようにふるまうことができます。そして夜間は体温を気温並みに下げて休眠します。休眠時はエネルギーロスがひじょうに少なくなります。トカゲたちは体温の維持を太陽光にゆだねることで、発熱のためのエネルギーが必要なく、夜間もエネルギーロスがないので、恒温動物の10分の1以下の食物摂取量できげんよく暮らしています。彼らの暮らし向きでは、わざわざ恒温動物に進化する必要性がありません。
 かつて恐竜が栄えていた中生代は、現在よりも気温がずいぶん高く、爬虫類たちは自ら熱を発することなく恒温性を維持していました。とくに大型動物では体温の低下も小さく、恒温動物と変わりはなかったでしょう。むかしは、恐竜は爬虫類の仲間だから冷血で頭の血の巡りも悪く、知性に乏しい愚鈍な生き物だったと想像されていました。しかし、彼らが営巣して育児したり、集団生活していたりした証拠が見つかるようになり、彼らが高度な知性を有していたことが判って来ました。

 哺乳類や鳥類のみならず、爬虫類の仲間にも恒温性を維持し活動時と休眠時で体温の高低をうまく使い分けているとしたら、我々は動物の恒温性というものに対して認識を改めなければなりません。そうでなければ動物の生態を正しく理解することはできませんし、恐竜を冷血動物だったと誤解するような間違いを招くことになります。それに温血動物とされる哺乳類であってもクマの例のように休眠時には体温を変化させ、変温動物の特性をりようするわけです。
 高温性や変温性という表現に変えて、専門家は内温性、外温性という言葉を用います。内温性とは代謝熱によって自ら体温を作り出すことで、外温性とは体温の維持を日光や外気、水温といった外的温度に委ねることです。これは恒温性や変温性、温血動物や冷血動物に比べるといくらか適切な表現のように思えます。
 日光浴をするトカゲなどは、外温動物であるけれども日中は高い恒温性を維持している、そんな表現をすると、生き物の生態の本質に少しは迫ったような感じがしますよね。外温動物であってもその多くが恒温性を発揮するわけですから、学校教育でもそのように教えて欲しいものです。トカゲは日光を利用して恒温性を維持する外温動物で、哺乳類や鳥類は自ら発熱して恒温性を発揮する内温動物である、そんなふうに教科書を書き換えてください。

 近年、恐竜が恒温動物だったということが、専門家でさえ口にするようですが、彼らが内温性を備えていた可能性はあると思います。でも中生代の温暖な気候環境であれば、大量のエネルギーを費やして代謝熱を発生しなくても、熱慣性で充分恒温性を維持できたのではないでしょうか。筆者が若い頃に読んだ恐竜についての文献には熱的慣性恒温動物という表現が用いられていました。外温動物なら食事量もひじょうに少なくて済みますから、全長20mを越えるような巨大生物でも森を食べつくさなくて済みます。
 恐竜たちが外温性の恒温動物であったとしたら、体温の維持には充分な外気温を期待しなくてはなりません。ジュラシック・ワールドが設営されたコスタリカ地方がむせ返るような猛暑の熱帯雨林であることを切望します。

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