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クツワムシ

2015/09/15


 筆者は子供の頃、夏休みになると福井県の両親の里に長期滞在しまして、存分に自然を満喫したわけですが、その折に大人たちに連れられて九頭竜川の河岸にクツワムシ採りに行ったことが何度かあります。この虫はひじょうに大きな声で啼きます。とてもじゃないですが一般家庭で飼うのは常識的であるとは言えません。啼くのは夜ですからたいへんな騒音公害をご近所にまき散らすことになります。
 そんな虫を筆者は生きたまま持ち帰り、あまつさえ大阪の住家まで持ち帰って繁殖を試みたわけです。今から思い出しても迷惑小僧はなはだしいわけですが、むかしは子供のこういうことに目くじら立てる大人もいなかったのでしょうね。近所の子供たちに得意げに見せびらかし、雑誌か何かの付録の小さなプラケースに数匹の成虫を閉じ込めて飼い、繁殖に成功しました。
 孵化した幼虫は、記憶では1頭しか羽化に至らなかったと思います。日本最大のキリギリス科の虫ですから、充分に広いスペースで飼わないと脱皮不全を来します。
 自然界では、タンパク質の多いクズの葉を専食し、動物質はあまり採らないのだそうですが、筆者はコオロギ類と同じ飼い方をしていました。野菜と煮干しやかつおぶし、たまに虫をつぶして与えるなどですね。本種はサイズの割には動物質の摂取が少なく、その分高タンパクのマメ科植物を選択的に食べているようですね。
 大阪では淀川の河岸で群生しているのを目撃しました。樟葉の花火大会の会場では、花火の合間に本種の大合唱がよく聞こえていました。



 大きな虫です。バッタの仲間ではこれを上回るのはショウリョウバッタのメスくらいのものでしょう。同じキリギリスの仲間ではクビキリギスが同じくらいの体長がありそうですし、カヤキリはさらに大きいですが、6肢の大きさや体つきは本種が他に勝っています。つまり日本では最重量のキリギリスでしょう。でかい声で啼くわけですよ。



 メス。剣のような立派な産卵管があります。



 頭部はそれほど大きくなく、けっこう細面です。



 緑色タイプの個体。生息地には褐色形と緑色型が混在して生息しています。



 オスはメスよりも体高がありますが、これは前翅が広いからです。背面からだと騒音の原因である発音板が見えます。



 緑色型のオスです。後肢が大きく立派で、すごいジャンプ力を発揮しそうですが、実際には大したことありません。本種を捕獲するのはキリギリスの他の仲間よりも楽です。けっこうおっとり屋です。



 褐色形オスの発音板。



 飼育レイアウト。突然のいただきものだったので、応急処置としてこんな感じにしました。庭に生えているヨモギの茎で適応に足場を組み、餌は昆虫ゼリーです。野菜でもいいのですが、高タンパクの昆虫ゼリーの方が餌として優れているでしょう。



 オスの羽を開いたところ。黄色いラインの部分が発音板ですが、左右の前翅にあるこの部分の片方をハサミで切除します。これで騒音を出せなくなります。啼かないクツワムシはメスとの出会いの機会を失いますが、狭いケージの中に2ペアを入れておくので、出会いは頻繁です。



 片方の発音板を切除したオス。パッと見では判らないでしょ?

 数日中にクズの葉を採ってきてやることにしましょう。本種にの餌はやはりクズの葉が一番です。とくに成虫の場合はそれだけでも充分だと思われます。バッタ以外の直翅目の昆虫では、本種は動物質の依存度が最も少ないようですが、爬虫類でも哺乳類でも大きなものほど植物食になるのと同じなんでしょうか。

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