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アリジゴク

2013/11/07


 別項で記述したウスバカゲロウの幼虫編です。この虫の幼虫は、アリジゴクの異名を持ちその方が有名ではないでしょうか。砂地にすり鉢状の巣というかトラップを作り、その底に隠れて小さな虫が落ちてくるのを待ち構える肉食昆虫です。



2004年の夏から飼育しましたが、この虫の飼育は難しくなく、観察しやすい容器にサラサラの乾いた砂を入れてやり、そこへ虫を置いておけば勝手に巣を作ります。砂の深さは体長10mm(大腮を除く)ていどの幼虫の場合で5cmていどはあった方がよいでしょう。


 ↑ アリジゴクの腹面。長い肢があるが歩行は緩慢で、歩き回るよりも砂を掘削するのに適しているようだ。

 砂の上に幼虫を置くと、しばらくすると砂に潜り始めます。この時お尻から潜って行くのが特徴ですね。巣作りよりもとりあえず身を隠す方が先決といった感じですね。身を隠したあとは下へ下へと掘り進み、砂を肢で蹴りだしながら器用にすり鉢状の巣を作って行きます。巣が完成すれば、その底の部分に身を隠し、獲物が落ちてくるのをひたすら待ちます。
 アリジゴクに巣を作らせるには、砂の質と湿度調整が難しく、これが適切でないと巣を作れずにうろうろするばかりだと、あるサイトで読んだことがありますが、筆者のところではとりあえずきめ細かい乾いた砂を用意してやれば巣を作っていました。


 ↑ 砂に潜ろうとしているところ。尾端から後ろ向きに潜って行く。

 アリジゴクを採集するのは難しくありません。巣を見つけたら、中央部に向かってストローで息を吹きかけ、その部分の砂を吹き飛ばすと、やがて幼虫が露出します。巣は雨の当たらない乾いたところに作られ、多数の巣が不規則に並んでいることが多いです。狙い目は山間にある神社やお寺ですかね。その軒下の雨の当たらない砂地を探すと見つかることが多いです。
 アリジゴクは3年ばかりを幼虫の姿で過ごします。小さな幼虫を採集した場合は、羽化まで長い歳月を付き合わされることになります。


 ↑ ミルワームを捕らえたところ。アリジゴク本人は砂中にいて姿は見えないが、ミルワームを挟み込んでいる大腮の先が見える。

 アリジゴクの食事はいささかユニークで、大腮で捕らえた獲物に消化液を注入して肉を溶かし、それをチルチルと吸うらしいです。吸いつくした脱け殻は巣の外に放り投げるとか。
 獲物の体液から水分を吸収するので、水を飲みません。かつては糞尿もしないと言われていましたが、微量の尿の排泄はあるようです。また、蛹化の際に貯まっていた糞を硬い固まりにして排泄すると何かで読んだことがあります。
 飢えや乾きにたいへん強く、長期間食べ物が得られないと、腹部がしぼんで小さくなりますが、死ぬこともなくひたすら獲物の到来を待っています。じつに気が長いです。もちろん絶食があまりに長期に渡ると餓死しますが。飼育下では逆に過剰なほど餌に恵まれることの方が多いのではないでしょうか。その場合はやはり成長も促され早期に大きくなります。それで加令が早まり幼虫の期間が短縮されるのかどうかは未確認ですが、短縮できる可能性はあると思います。


 ↑ アリジゴクの体表は細かな毛で覆われていて砂が付きやすい。いつも砂まみれだ。

 アリジゴクの餌は、アリンコとは限りません。小さな虫ならなんでも良いですが、運動能力の高い肉食の虫だとアリジゴクのがご馳走に転じてしまうでしょうし、ゾウムシのように硬質のものも持て余してしまいます。ダンゴムシがもっとも理想的ですね。あと小鳥用に市販されているミルワームは入手もストックも簡単で便利です。
 獲物が射程範囲に来ると、アリジゴクは狙いを定めて砂を飛ばします。獲物の虫は砂まみれになるわ、巣の斜面を流れ落ちる砂に足をとられるわで、ジタバタともがくわけですが、やがてコロコロと巣の底に落下し、アリジゴクの強靱な大腮ではさみ込まれてしまいます。
 この様子を動画に撮ってネットにアップされている方もありますが、筆者の場合はなかなかこれを観察することができませんでした。獲物を巣の縁に置いてやると、アリジゴクが気づく前に獲物の方が巣の底に勝手に転がり落ちてしまうことも多く、うまく巣の縁にとどまっていてもアリジゴクの方がそれに気づかないのかなにもしなかったり。不器用な飼育者と笑ってください。


 ↑ 飼育下での巣の様子。

 筆者の経験では、1つの浅いプラケースに10頭ばかりのアリジゴクを同居させていましたが、問題なく暮らしていました。巣は不規則に点在し、隣り合ったすがひじょうに近い場合でもとくに問題は起きませんでした。
 ところが、1つの容器に複数を同居させると共食いが発生すると聞いたこともあります。自然界では、多くの場合群生状態で1つのところに多数の巣が並んでいますから、飼育下で共食いが生じるというのは意外でしたが、飼育下と自然環境ではどうしてもかなり条件がちがいますから、何が起きるかは判りません。不安な方は個別に飼育する方が良いでしょう。
 小さな虫ですが、いろいろ面白い生態を見せてくれるので、ぜひ飼ってみてください。

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