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プレコ

2013/11/14


 吸いつきナマズの異名を持つなかなか変わった魚です。一般的な魚とちがってお腹が幅広くて背中に行くほど狭まり、前から見ると三角おにぎりみたいな形状をしています。口器は頭部の下に付いていて、これで吸盤のように張りつきます。吸盤状の口には小さな剃刀のような歯列が備わっていて、これで石や流木に付着した苔を削り取って食べます。水槽内では茶苔を綺麗に食べてしまうので、掃除屋さんとして重宝しますが、雑食性が強く動物質も好んで食べます。
 水槽内では、茶苔のほかに水草も食べてしまいますし、魚が死ぬとそれも食べます。筆者は熱帯魚の水槽では常にプレコを飼うようにしているので、小さな魚が死去するとそのままにしておきプレコの餌にします。


 ↑ セルフィンプレコ(幼魚)

 ひじょうに多く種類がいます。わずかセンチの小型種から1メートルを越えるものまで大きさも様々で、色彩や形も千差万別です。正式にはプレコストムス。ナマズ目ロリカリア科に属する南米産の魚です。豊富なバリエーションのわりにはまとまったグループで、分類的にも同科にアンキストルス亜科とヒポストムス亜科を置くだけです。形状も一見してそれと判り、どんなプレコでも他の魚と見間違えることはないでしょう。
 オトシンクルスの仲間はかなりプレコに似ていますが、大型種でもせいぜい5cmていどと小さく、プレコと見分けが付くでしょう。ロリカリア科ヒポプトポマ亜科に属します。
 また、ロリカリア科ロリカリア亜科に属するファロウエラの仲間は、プレコを細く引き伸ばしたような魚で、ヒモナマズという和名が付いているそうです。
 オトシンクルスやファロウエラには、水槽内での繁殖が期待できるものもいますが、ひじょうに大所帯のプレコには繁殖が容易なものはほとんどいません。専門家は繁殖を手がけ、CB個体が流通しているものもいますし、家庭の水槽での繁殖例もなくはないようですが容易ではありません。


 ↑ セルフィンプレコ(成魚)

 ナマズの仲間は長命の頑健種が多いのですが、プレコはデリケートなものが多く、注意深く水質や水温を管理する必要があります。また精神的にデリケートなものも多くて、物陰に隠れたまま餌も摂らずに死んでいったり、同種間で激しい縄張り争いをしてボロボロになったりすることも少なくありません。
 プレコを入れておけば、みずぼらしい茶苔を綺麗に食べてくれるので水槽が美しく保てるなんてソップの人の話しを耳にすることがありますが、プレコを適切に飼うための労をかけるくらいなら、せっせと苔取りの汗を流した方がましなような気がします。


 ↑ セルフィンプレコの正面。

 とは言え、プレコはひじょうに魅力的な魚で、多くのファンがいて、ショップにも様々なプレコが泳いでいます。なんじゃこりゃというような見栄えのよろしくないものから、宝石のようなものまで。どうしても飼いたい方は、ショップの方に適切な水質および水温をしっかり聞いて、それを確実に維持するようにしましょう。水の管理さえできれば、思いのほか飼育は上手くゆき水槽の中で長生きしてくれます。
 水温25℃、水質PH7(中性)を維持できればたいていのプレコは大丈夫です。溶存酸素を確保するために弱くエアレーションしてやるのも有効です。水質を計測するためのPHや亜硝酸塩濃度の測定キットや、PHを調整する薬剤が市販されていますが、それらは一時的に水質を管理するだけのものです。水質は悪化し始めると忽然と変わりますし、PH調整薬剤も一時的に水質を改善するだけです。残餌を残さないようにすること、小まめに水換えをすること、この2点で水質を維持するのが一番です。


 ↑ セルフィンプレコ(アルビノ)

 また、水温の管理は冬場はサーモ内蔵型のヒーターに任せておけばよいですが、夏場は25℃を越えるのを防ぐのはひじょうに困難です。エアレーションを多めにして、水面に扇風機の風を当てて水の蒸発を促し、気化熱を奪うことで水温上昇を防ぐ方法があります。それでも30℃くらいにすぐなってしまいますが、その程度の高温であれば魚にとって危険なのは温度よりも溶存酸素の欠乏です。そのためにもエアレーションは有効です。



 じつは筆者はかなりのプレコ好きです。これまでに20種類以上のプレコを飼ってまいりました。その経験からも水質と水温の管理が最重要課題であることを学びました。これはまぁすべての魚に言えることなのですが。また、プレコは食い溜めのできない魚です。四六時中食べています。なので餌の不足はプレコを衰弱させます。充分な量の餌を与えつつ食べ残しを出さないようにする。これをクリアするには少量の餌を何回も与える必要があります。プレコ専用の沈降性の餌もあり、これはプレコが長時間かけて食べるようにできていてひじょうに有効なのですが、水をにごらせがちです。
 プレコの餌量が適当かどうかを見るには、プレコのお腹の観察が判りやすいです。餌が足りていない個体はお腹が明らかにへこんできます。お腹がへこんでいなければ餌が足りているということで、現状の給餌を維持すればよいです。
 神経質でなかなか飼育環境に馴れてくれず、採餌に消極的なためにお腹がへこんでくる個体もいますが、このメンテナンスが最もたいへんです。プレコが落ち着けるシェルターを設けてやり、あまり他の魚を入れないようにして徐々に水槽に馴らして行くしかありません。ひじょうに神経質な個体でも馴れてくれれば昼間から堂々と泳ぎ回り、他の様々な魚との混泳も可能になります。


 ↑ なんじゃこりゃプレコのバタフライプレコ。

 プレコは基本的には同じ種類のものを1つの水槽に入れない方が良いです。激しい縄張り争いそsたり、気の弱い方が拒食状態になったりします。これは大型種ほどその傾向にあり、数センチの小型種では群生も可能なものもいます。
 他の魚や種類の異なるプレコとの混泳は上手く行きます。ただ体長数十センチになる大型種では、異種同士のプレコが闘うこともあります。
 プレコ同士を同居させていてしばらく上手くいっていたのに、ある日突然ケンカを始めるというのもよくあるパターンです。飼育環境に馴化するほど縄張り意識が強くなりますから。たまに全く別の魚を追い回す個体もいますが、深追いはしません。また、体長数十センチのプレコとメダカのような小魚の同居は基本的に可能です。プレコは泳ぎ回る魚を捕食するタイプではありません。
 逆に大型魚との同居が上手く行かないケースがあります。筆者がガーパイクという大型の魚食魚を飼っていた時、その水槽の苔取りにプレコを入れたところ、悲劇が起こりました。ガーにプレコが食べられないか心配だったのですが、結果は真逆で、一夜のうちにガーがプレコに舐め尽くされてしまいました。夜行性のプレコは、ガーにくっつくと、せっせと舐めまわし、剃刀状の歯で表面を綺麗に削り取ってしまったのでした。翌朝、ガーは真っ白な魚と化し、数日のうちに死去しました。

 いささか神経質なプレコの中でも、本項に写真を記載したセルフィンプレコとバタフライプレコは水質や水温の変化に強く、飼いやすい種です。前者は飼育環境への馴化も早く、よく姿を見せてくれます。また成長がはやくかなりの大きさになります。数年で20センチを越えるくらいになり、なかなかの見応えです。セルフィンプレコは例外的な頑健種で、少々の水質の悪化をものともしません。様々な魚との混泳も可能です。
 これに比べてバタフライプレコの方は、あまり姿を現さず飼っていることを忘れる魚です。ルックスもよろしくなく、偏平な体でものの隙間に隠れています。長く飼っていくらか馴れてくると給餌の時などに姿を見せるようになり、その時は太いバンド模様が目立ち、なかなか美しく見えます。

 プレコに関してはたくさんのエピソードがあり話しは尽きないのですが、とりあえず飼育の勧めのさわりだけ、今回は書いてみました。


 ↑ プレコと言えば、水槽のガラスに張り付いた腹面の図は欠かせない。


 ↑ バタフライプレコ追加画像。

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