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肺魚

2013/11/15


 肺魚は、その名のとおり肺呼吸をする魚で、水槽に水を筒一杯にしてフタをして水面を作らなくしてやると溺死してしまいます、魚なのに。幼魚のうちは両生類に見られるような外鰓があったり、成長してからも小さな鰓穴がありますが、酸素吸収はほぼ肺呼吸に依存しています。いつも水底にいますから、そんなに深度のある水域には棲みません。数時間おきにモソモソと泳ぎ出して水面に口を出して空気を取り込みます。
 肺魚は、鑑賞魚として市販される古代魚の1つで約4億年前の古生代デボン紀の化石が100種以上見つかっているそうですが、現生のものは6種で、そのうち4種類がアフリカ産、残りは南米とオーストラリア産です。


 ↑ プロトプテルス・アネクテンス

 筆者が飼育した肺魚はアフリカ産の中でも比較的小型のもので、大きくなっても80cmていど、大きな種では1mを越え、中には2m近くになるものもいます。現生の肺魚はなぜだかヒレが長い鞭状になっており、これでは泳ぐのも水底を這うのもままならないといった感じです。ヒレは4本ありますが、古生代に陸生動物へと進化した魚類と肺魚は別系統です。



 視力は弱く、にごった浅瀬で小魚や甲殻類などを捕食します。古生代は硬骨魚類が大繁栄した時代ですが、同じ魚類との競合を避けるために餌は少ないものの安全な浅瀬に逃げ延びた種がたくさんいます。淀んだ浅瀬では溶存酸素も少なく、雨が少ないと干上がってしまうこともあります。そうしたところは魚の棲息にはまったく適していません。そんなところに適応するために、肺呼吸を発達させたのが肺魚の仲間です。


 ↑ 威嚇行動。

 なかなか愛嬌のある顔をしており、口元は笑っているようにすら見えますが、こういう魚に限って気が荒かったりします。棒で突ついてやったりすると口を大きく開け顔をプルプルと小刻みに振って威嚇します。生きたメダカやエビなどを入れてやると猛然と襲いかかります。生き餌が大好きですが、人工飼料にもよく餌づきました。小型の熱帯魚用のフレークや沈降性の餌だと底砂も一緒に飲み込みそうなので、水に浮くスティックタイプの餌や小エビを乾燥させたクリルを与え、いずれもよく食べました。嗅覚は鋭いようです。



 肺呼吸のため、あるいは採餌のために浮上するときは体をうねらせてバタバタと泳ぎます。決して上手な泳ぎ手ではありません。肺呼吸がメインなので溶存酸素量は気にしなくてよく、従って夏場の高温も平気です。冬場はヒーターを使用するものの20℃を切るような水温でも元気にしています。


 ↑ 全体像。写真では尻ビレを背中の方に回しているのでベルトでもしているようだ。移動のための水力は主に尾ヒレに依存する。

 肺魚は乾眠(夏眠)する魚です。野生では乾期になると干上がってしまうような水域に棲息しています。それで彼らにはそういう習性があるわけです。日本ではカエルが中に土に潜って冬眠し、低温で動けない季節に乾燥から身を守りますが、肺魚はもう少し高度な休眠方法を持ちます。すなわち泥を粘液で固めて繭(まゆ)を作り、その中で休眠します。カエルとちがって水棲動物ですから、土に潜っているだけではダメなんでしょうね。
 水族館では肺魚の乾眠の実験が行なわれるようですが、家庭で飼育しているものでも実験は可能かもしれませんね。自然界では水が干上がるのをどうやって知るのでしょう。それとも干上がり始めた水が泥と化してから繭をこしらえるのでしょうか。
 また、肺呼吸ができるので、水から上げても保湿さえしておけば長期間生きているかもしれませんね。


 ↑ 採餌のために浮上する様子。水面に浮いたスティックタイプの餌を食べようとしているところだ。

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