1_萌萌虫雑記帳.png

キオビツチバチ

2016/05/28


 ハチには、幼虫を育てるために虫を狩り、自分は花の蜜などの植物質を食べているといった仲間が多いですね。スズメバチの仲間は蛾の幼虫などを狩って肉団子にし、自らはそれを食べずに幼虫に与えます。自分は幼虫の分泌する栄養液を主食にし、花蜜や樹液も食します。ジガバチやドロバチも幼虫のためだけにクモやアオムシなどを狩ります。コマユバチの仲間はチョウや蛾の幼虫に産卵し、幼虫は宿主の体を食べて育ちます。本種もやはり幼虫のために狩りをします。
 5月はたくさんのハチやアリの仲間が子育てを始める季節です。アリは結婚飛行を終えると地下巣の建造に着手しますし、スズメバチやミツバチの仲間はマンション型の育児用の巣を作り始めます。でも社会性を持ち営巣するハチはそれほど多くなく、ほとんどのハチは1頭のメスが子育てを担当します。と言っても狩ってきた虫を毒針で麻痺させ、それに産卵するだけですが。



 ハチは花の上で見かける印象が強いですが、5月の繁殖シーズンには地表近くを飛び回るハチをよく見かけます。ジガバチなどは地中に育児用の巣を作るために地表を飛び回り、ツチバチの仲間は地中の獲物を探して飛び回ります。



 ジガバチは、捕獲した獲物を麻酔で眠らせ、地中に作った巣に閉じ込めますが、本種はもともと地中にいるイモムシ(種にコガネムシ類の幼虫)を狙い、それを麻痺させて産卵するそうです。ジガバチのように地表にいる獲物を地中の巣に運び込まなくても、すでに地中にいる獲物に産卵するので、獲物さえ見つければ、営巣の手間が要りません。本種のようなタイプのハチは、地表にいながら地中の虫の存在を察知する能力を有し、獲物を見つけるとそれに向かって潜行してゆきます。



 いずれにせよ、幼虫の生育のために他の虫に寄生するハチたちは、毒針で獲物に麻酔液を注入して動けなくするものの、けっして宿主を殺しません。孵化した幼虫も宿主を絶命させないように安全な部位から食べてゆきます。コマユバチのような小さなハチでは、宿主は体内にハチの子を宿したまま元気に活動し続け、終令幼虫や蛹になった頃にハチが幼虫を食い破って体外に出て蛹化します。この時点でようやく宿主は絶命を迎えることになります。幼虫の生育に必要な間だけ宿主を活かしておくというところが、どのハチも絶妙ですね。
 ハチの毒針は産卵管が進化したものだそうで、もともとはコマユバチのように卵を産みつけるためのものだったのでしょう。それが獲物を眠らせておく麻酔液を注入する器官に進化し、やがては社会生活の自衛用の武器に変じたのでしょう。スズメバチやミツバチの営巣は目立ちますから、自衛手段は欠かせないのでしょうね。毒針は産卵管が進化した器官であるということは、オスには毒針はないってことです。



 地表を熱心に飛び回っており、飛ぶよりもむしろ歩き回る方が多かったので、簡単に捕獲できました。持ち帰ってゆっくり撮影しようという作戦に出たわけですが、冷蔵庫でちと冷やして動きを鈍らせるという禁じ手を用いました。元気に飛び回られては撮影のために持ちかえる意味がありませんし。
 撮影のあとは窓から外へ放ちました。ご近所にいたハチなので棲息地に放したのと同じことですし。
 逃がしてから思いついたのですが、飼育中のハナムグリの幼虫を1頭供すれば、このハチを飼育して繁殖を観察できたかもしれません。でも、再びハチを探しに行く気力はありませんでした。それでなくても現在たくさんの飼育動物の世話におわれているところですから。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

索引


目次

スネさん リーザさん けもの 庭虫
雑虫 クモ 直翅系 半翅系 膜翅系 鱗翅系 鞘翅目 毒虫 魚たち 無脊椎
両生類 カメたち 絶滅動物 くさばな 庭草 雑草 高山植物 飼育と観察 ヒト □飼育動物データ




    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>

サイト内検索

NEW ENTRIES


Amazon Kindle 電子出版のご案内
cover4.jpg


★講読には
Kindle 読書アプリ
が必要です。



sijn.jpg






recent comment

recent trackback

プロフィール

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM