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ベニシタヒトリ

2016/06/02


 ギフチョウとヒメギフチョウの飼育のために、ウスバサイシンの葉を取り寄せたところ、オマケで毛虫が1頭ついていました。おそらく葉の採集者も気づいていないと思います。体長4cmていど。ギフチョウたちより大きいです。これは育ててみなければならんでしょう。



 チョウの幼虫に与えるまで、葉は冷蔵庫で冷たく冷やしておいたのですが、毛虫君は元気でした。



 しばらくするとモゾモゾと動き始め、ウスバサイシンを食べ始めました。この植物は毒草です。ジャコウアゲハの幼虫も毒草であるウマノスズクサを食べますが、これは体内に毒を備蓄することによって捕食者から身を守る術であると言われています。毒草も自衛のために毒を生成するのでしょうから、食草にする虫がいるのは彼らにとっては残念なことです。でもそうした虫は例外的で、多くの虫が毒草を嫌うはずです。この毛虫も少ない例外の1つなのでしょうか。



 毛がツンツンしていてサボテンみたいです。



 飼い始めて数日すると、繭を作りました。蛾の幼虫にはスズメガのように地中で蛹化するものもいますから、土を用意しておこうかと思案していたところです。その手間が省けました。



 繭は希薄で、中が透けて見えます。どうやら蛹になったなというところで剥いてみました。



 鱗翅類の蛹はチョウもガも似てますね。尾端のトゲトゲは幼虫の脱け殻です。



 約1週間の蛹期間の後、羽化を確認。たまたま温室で生き物の世話をしていたのですが、見つけたときにはすでに蛹から出ていました。出た直後で翅はまだ小さいままです。



 蛹を収容しておいた容器の壁面を登り始めました。



 10分足らず、目を放したすきに翅がすっかり伸びていました。早っ。



 翅が無事にきれいに伸びて良かったです。



 伸びきったものの、まだとても柔らかくグニャグニャしています。



 2時間ばかりして、ようやく翅が固まってきました。



 頭胸部ズームアップ。



 数時間後、蛾本来の姿勢になりました。



 後翅が綺麗なので、頼んで少し開いてもらいました。



 腹面もきれいな朱色です。背面の黄色とのコントラストが素晴らしいです。




 それでは、ネットで検索して種の同定を行ないましょう。
 ベニシタヒトリに決定。本種の幼虫の食草は、オオバコ、タンポポなどとありました。どのサイトにもそのように記述してあり、ウスバサイシンの名はありません。でも確かに食べているところを見ましたよ、バリバリと。広食性を有し、たまたま手近にあったウスバサイシンで育ったのでしょうか。毒、大丈夫だったのか。

コメント
今年(2019)5月の連休中、長野県東御市の山荘に自生するウスバサイシンにこの毛虫が1匹おり、ウスバサイシンを食べておりました。ヒメギフの幼虫でないことはすぐに解りましたが、ネットで検索してもわからず、もやもやしておりましたが本日このサイトに突き当たり、初めて正体を知りました。ありがとうございました。なおこの幼虫2日程で葉の半分ほど食べ、どこかに消えました。
  • Kuboi Masaaki
  • 2019/07/24 3:13 PM
Kuboi Masaaki様。
幼虫が消えてしまったのは残念ですね。うちでは幸いにも羽化にこぎ着けることができ招待が判明いたしました。なかなか美しい蛾でしたよ。
  • 筆者
  • 2019/07/24 10:32 PM
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