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ヤビー

2013/12/01


 オーストラリア原産のザリガニです。原種は青黒い色彩をしていますが、ひじょうに鮮やかなブルーの改良品種がペットトレードに出回っており、甲殻類愛好家の間で人気がたかいです。自然界では20cmていどに成長するようですが、飼育下では12〜13cmていど。8cmていどで成熟して繁殖に加わります。
 丈夫で飼いやすいと言われていますが、日本に帰化しているアメリカザリガニほど強靱ではないでしょう。水温については下は氷点下にならなければ大丈夫で、上は35℃ていどまでと広い耐性を持ちますが、水質は中性以上を維持する必要があります。弱アルカリ性が望ましく塩分にも強いそうですから汽水域が得意そうですね。原産国の野生個体の棲息状況はどうなっているのでしょうか。



 デトリタス食いだという記事を読んだことがあります。いわゆる生物の破片等が水底に堆積し、そこに微生物がいい感じに繁殖した状態のことですが、それを確保するには底砂を敷くことは不可欠です。しかし川砂や荒磯砂で弱アルカリ性の水質を維持することは困難だと思われます。
 筆者は、アルカリ性にはこだわらず、とにかく小まめな水換えで、pHダウンしないように心がけました。食べ残しなどで水質が悪化するのも怖いので底砂も使用しませんでした。これは水量の少ない容器で飼うための苦肉の策でして、決して推奨できるものではありません。大きな水量の多い水槽で飼育する方が絶対に良いですし、魚を飼うのと同じようなレイアウト、すなわち底砂を使用し、フィルターを設置してやるのが望ましいです。本来はそうしたレイアウトが水質を維持するのに重要だからです。ただし、ヤビーがpHダウンに弱いことを考えると、水量の多い水槽であっても水換えは小まめに行なうことが重要であると思われます。


 ↑ ヤビーの飼育環境。浅くて水量の少ないケースにフラットタイプのフィルター、重りを付けた水草、シェルターというレイアウト。底砂は使用せず、餌は主食として生きたメダカを与えた。大きな容器を使用できない場合の苦肉の策だ。

 ヤビーはたいへん大きく強靱な前肢を持っています。上の写真では未成熟個体なのでそれほど大きくありませんが、成熟するとじつに見事なハサミになります。これは生きた獲物を捕らえたり、土に穴を掘ったりするのに適したツールであり、自然界でもそうした生態が見られるようです。
 飼育下では、穴堀り用の土を用意してやることは無謀でしょう。代わりにシェルターを多用します。本種は共食いもしますから、単独飼育でない場合にはシェルターをたくさん用意する必要があります。とくに成体については複数飼育は避けた方が良いでしょう。
 デトリタス食いであるというものの、それを参考にした餌を与えるよりも、沈降性の人工飼料や生きメダカを与える方が良いでしょう。筆者のところでは、小さな幼体でも果敢にメダカを襲っていました。


 ↑ メダカを襲う幼体。まだ体色は白い。上が下から抱きつくようにしてメダカを捕獲したところで、下が食べているところ。

 以上のようにヤビーの飼育について記述してみましたが、筆者が本種を飼っていたのは2004年頃からでした。現在は特定外来生物の指定を受けてしまい、日本では販売も飼育も禁止されています。これは外来生物法の定めによるもので、日本の自然環境を帰化生物から護るためのルールです。個人的な意見としては、アメリカザリガニが帰化して野放しになっている日本の水域に、本種を放したところで、大繁殖に至るのは難しいと思うのですが。ただ、汽水域ではあるていど定住できるかもしれませんね。
 水棲動物の外来種被害と言えば、ブラックバスやブルーギルの話しを最近はあまり聞かなくなりましたが、現状はどうなっているのでしょう。日本の川魚たちはことごとく絶滅危惧種になってしまったのでしょうか。それともある程度バランスしてお行儀よくしているのでしょうか。筆者は野生のタイリクバラタナゴを淀川水系で採集して飼育していたことがあり、その際にブルーギルの猛威によってタナゴが激減してしまったのを目の当たりにしています。タナゴは一切採れずにブルーギルがイヤほど採れるという状況の中でも、タナゴの稚魚が水面近くの藻の入り組んだところを泳いでいました。稚魚がいるということは成魚も絶えたわけではないということですから、ブルーギルの脅威を逃れてどこかに隠れ棲んでいたのでしょう。ただ、タイリクバラタナゴ自身ももともとは外来種なんですけどね。


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