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クモヤモリ

2013/12/04


 西アジア原産の、乾燥した荒れ地に棲むヤモリです。四肢がひじょうに長い上に指も長くてよく広がっているのは、砂上生活への適応でしょう。この形態はひじょうにユニークです。図鑑等の写真でも本種の個性はよく伺えますが、実物を目の当たりにするとますますそれを実感します。高さのある頭部に大きな目玉。細長い足でスタコラ走る様は、他に類似したヤモリがいません。



 全長で10cmそこそこのヤモリですが、四肢が長いせいかもっと存在感を感じます。こんなにおもしろい動物が、なぜか日本での人気はいまいちで、筆者自身も自分を除いて飼育経験者を知りません。原産国の治安がよろしくなく、危険をおかして輸入しようっていう物好きな人がいないのでしょうか。爬虫類先進国の欧州では人気者らしいですよ。



 いかにも俊敏そうなスタイルをしていますが、意外にそうでもありませんでした。運良くペアの入荷があった際に、たまたまショップを訪れて入手することができたのですが、雌雄とも人を怖がらず、最初から容易にハンドリングできました。夜行性種で昼間はボーッとしているせいもあったのかもしれませんが、その後の飼育環境への馴化もスムーズで、とても飼いやすいヤモリでした。



 乾燥地帯に棲息するヤモリは、頑健種が多く飼いやすいのですが、本種もその例に漏れず、よく食べとても元気にしていました。飼育環境に慣れてくると、昼間でもシェルターにこもったりせず、シェルターに寄りかかってうたた寝していたりしていました。


 ↑ 総排泄孔付近の性差。左がオス。

 また、ペアで仲よくしていてしばしば寄り添っている姿が伺えたので、繁殖も期待していたのですが、残念ながら産卵することはなかったです。
 餌が豊富でない砂漠や荒れ地にする種は、飼育下で充分に給餌するとよく太ってくるものですが、本種はずっと痩せたままでした。そういう種類なのかもしれませんが、野生採集個体のため寄生虫を抱えていたのかもしれません。WC個体の多くは寄生虫を腹に持っていて、野生生活では支障ないのですが、飼育下ではそれが暴れ出して宿主を栄養不良に陥らせてしまうことはありがちなことです。それでも元気な個体はなんとか健康を維持できるのですが、食べても食べてもなかなか肥えないといった症例はつきまといます。



 他に飼育例を知らず、比較個体がいないので飼育中の個体の健康状況について知る術は、元気そうに見えるといった手がかりしかなかったわけですが、約2年の飼育期間でほぼ同時期に雌雄とも死去しました。このペアが若かったのか老齢だったのかさえ、筆者には知りようがありませんでした。


 ↑ ものにもたれてうたた寝しているところ。すっかりリラックスしてストレスもまったく感じていない様子だ。


 ↑ 雌雄はこうして寄り添っている姿がよく伺えた。


 ↑ 一見、威嚇しているように見えるが、夏場の暑さで口を開けて放熱していると思われる。


 本種は、ほんとうに可愛らしヤモリです。30cmかそれ以下のケージで充分に飼えますし、他の温厚なヤモリとの同居も問題なく、筆者は半年ばかりの期間をヘルメットゲッコーや、マツカサヤモリ、ヒョウモントカゲモドキの生後間もない個体と同居させていました。
 筆者が本種を飼っていた2003〜2005年も、2013年現在も日本での流通事情は変わっていないようで、相変わらずレアなペットのままです。ヨーロッパで人気なら、欧州CBの輸入を期待したいところですが……。人工繁殖個体なら、一般家庭での長期飼育や繁殖にも期待が持てるでしょう。


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