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ミカドアリバチ

2016/07/29


 もうずいぶん昔のお話しですが、とある物知り博士のおじさんに、アリはハチの仲間から進化したものであり、その進化の過程をになう生き物にアリバチというのがおる、そ教わりました。むちゃ言うたらあきまへん。子供の頃の筆者は騙せても、インターネットという味方を得た今の筆者は騙されまへん。アリンコがハチから進化したのは事実ですが、アリバチがハチからアリへの移行型の虫というのはデタラメです。
 ハチの仲間では、大規模な営巣生活を営むスズメバチやミツバチの仲間が目立ちますが、それよりももっともっと多くのハチたちは単独行動をする寄生性の生き物です。アリンコはスズメバチの仲間から分かれましたが、最初のアリが出現した1億年以上前には、今のような派手な巣を造形するスズメバチはいなかったのかもしれません。少なくともアリを分化させたスズメバチの仲間は、派手な社会生活を送るものではなく、もっと原始的な寄生動物だったでしょう。現生のスズメバチ科の仲間にも寄生性の種がいます。アリは、地中に営巣することに特化することで翅を退化させたハチの仲間ですね。



 アリバチの仲間はオスは飛翔能力を備え、メスだけが無翅です。地表を徘徊するメスの姿から、アリバチと命名されたのだと思われますが、メスが無翅になった経緯については、なかなか想像が及びません。



 アリバチの仲間は、他の多くのハチと同じく、他の虫に寄生します。すなわち他の生体に卵を産みつけ、孵化した幼虫はその体を食べて育つというものです。産卵はメスの役目なので、飛翔能力を失うことは索餌能力の低下にはならなかったのでしょうか。飛翔して広範囲を偵察するよりも、有木回って動きの鈍い幼虫を見つける方が有利だと判断したのでしょうか。



 本種は、コマルハナバチやトラマルハナバチの地下巣に侵入してその幼虫に産卵しますが、宿主がほとんど動かないので、毒針で麻痺させる必要がなく本種自体が無毒なのだそうです。小型の寄生性ハチであるヒメバチやコマユバチの仲間の場合も宿主を麻痺させませんが、彼らの宿主は活発に動き回っています。自分に対して相手がひじょうに大きいので、動き回っていただいて問題ないのでしょう。



 翅がないのでメスですね。胸部が赤くなることと、腹部に白毛束が見られることが特徴です。これも虫取り名人様からのいただきものですが、毎度貴重な生き物をありがとうございます。



 昆虫ゼリーを与えてみた。モリモリ食べました。自然界では成虫は花蜜を食べるそうです。幼虫が肉食で成虫が植物食なところは、多くのハチと共通ですね。



 アリバチとはよく言ったもので、ずんぐりしたアリといった容姿をしています。



 大きな大腮を持っていますが、優秀なハンターではないし、硬質のものをかじる習性もなさそうです。口器は翅のように退化しなかったようです。
 成虫をただ飼育するだけなら、昆虫ゼリーをよく食べてくれるので容易ですが、飼育下での繁殖は本種よりも宿主の巣の管理が必要になってくるのでひじょうに困難になります。アリバチの仲間には蝶や蛾、甲虫類の幼虫に寄生するものもいるので、そうした種であれば、飼育下での繁殖も難しくないかもしれませんね。


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