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スズムシ4

2016/08/12


 懇意にしていただいている虫取り名人様からスズムシが届きました。長年累代飼育しているスズムシに4年ほど前から明るい色合いのものが羽化するようになり、それが毎年少しずつ増えてきているのだそうです。その貴重な個体を送っていただきました。日本の昆虫専門誌としては最も権威のある月間「むし」にも記載されたひじょうに珍しいもので、おそらく他に例はありません。
 飼育下のスズムシにこのような色素変異が生じる原因は解明されていないそうです。



 通常のものより明らかに色がちがうオスの個体です。色の変化の原因は、メラニン(黒色色素)の減退のように思えます。6肢腿節の白い部分が通常個体よりも大きいですし、頭部や胸部もやや淡い色になっています。もっとも顕著なのが前翅で、通常個体とは異なるたいへん明るい色合いをしています。羽化直後の多くの昆虫の翅は真っ白で、体が固まるにつれて色が出てきますが、色素変異の場合、通常個体ほどには出色せず、こうした色合いになるのでしょう。



 同時に送っていただいた別の個体です。やはり前翅がたいへん明るい色をしています。メラニン欠乏いわゆるアルビノでは、黒色色素はほとんど存在せず、目も血管の色が透けて赤色に見えるものですが、この変異では黒色部分が多分に残っており目も黒いので、黒色色素の欠乏ではなく減退として知られるハイポメラニスティックという色素変異ではないかと思います。
 爬虫類等でよく見られるハイポメラニスティックでは、黒色色素が減少することによって体が赤みを帯びることが多いです。



 ノーマル個体(左)との比較です。ちがいは明らかですね。虫取り名人様によると色素変異の発生はほとんどがオスで、メスはきわめて稀とのことです。スズムシのメスは前翅が小さく脱落しやすく、オスのように色素変異が顕現しにくく、色素変異が生じてもほとんど見分けがつかなかったりするのかもしれませんね。
 毎年発現が見られるということは遺伝的に形質が継承されているようですが、こうした変異型は劣性遺伝で、ノーマル個体との荒廃によって次第に希釈されてしまうと思われますが、毎年発現が増えつつあるというのが興味深いです。色素変異が発現しない多くの個体にもその遺伝子がヘテロとして存在するのでしょう。従って劣性遺伝が発現している雌雄のみを掛け合わせることができれば、ハイポメラニスティックのスズムシを選別固定することができるかもしれませんね。



 ところで、筆者ん家の卵から育てたスズムシたちですが、気づけばいつの間にやら啼いておりました。いつの間にやらオスが何頭か羽化していたようです。



 現在のところ、まだ幼虫の数の方が多いですが、これから続々と羽化を始めることでしょう。



 ざっと見渡しましたところ、羽化したのはオスばかりのようです。



 先に羽化したオスたちがせっせと啼いているのに、メスはまだ幼虫のままです。



 それにしても孵化してほぼ2ヶ月で羽化に至り啼きだすなんで、スピード成長ですよね。これから秋にかけて繁殖行動が行なわれ、次世代の卵が産み落とされることになります。そして卵は来年の6月まで、長い長い休眠に就くわけです。
 スズムシの成虫は、どうしてオスの方が先に羽化するのでしょうか。メスが先に羽化して胎内で充分に卵を育ててからオスを迎え入れる方が合理的のように思えるのですが。それとも長期の乾燥にも耐える丈夫な卵殻を有するため、卵が成長するまでに受精しておかねばならず、メスはお腹が小さいうちにオスと交尾する必要があるのでしょうか。

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