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サンドフィッシュスキンク

2013/12/05


 サハラ砂漠やアラビアの砂漠地帯に棲息するスキンクです。サイズ的にはニホントカゲと同程度の可愛らしいトカゲですが、砂漠での暮らしに特化したユニークな形態をしています。サンドフィッシュというは名はひじょうによく体を現していると思います。鉛筆のようにとがった顔と、砂の中をスイスイと泳ぐように移動するさまは、まさに砂を泳ぐ魚です。



 同属に何種類かのサンドフィッシュがいるようですが、いずれもよく類似していて、単にサンドフィッシュとして市販されることが多いようです。昼行性ですから、焼けるような暑さの砂漠にはいないと思われます。オアシス近辺の餌となる虫が豊富なところを住み処としているのでしょう。
 サラサラの砂を満たした浅いケージで飼えば良いのですが、できれば広めのケージにバスキングライトを設置し、紫外線ライトもあった方がよいでしょう。本種が小型だからと小さな入れ物で飼育するならバスキングライトを用いるとケージ全体が過度に高温になって危険です。


 ↑ 頭部はとがっており、四肢は砂をかく構造に特化している。

 砂漠性の生き物ですから乾燥に強く、高温多湿は苦手です。飲み水は浅い容器で与えるか数日おきにスプレーしてやるのが良いですが、人にはなかなか馴れず、人を見ると砂に潜ってしまうので、スプレーで水を与えるのは難しいでしょう。スプレーするなら、砂漠の自然環境にまなんで朝に行なうと良いかもです。昼夜の温度差がある砂漠では夜露が発生し、それを飲み水として利用する生き物はたくさんいます。ライトで高温の場所を作り、飲み水も設置しますが、多湿にならないようにするには、充分な通気性が重要になります。
 砂自体がシェルターですから、とくにその手のレイアウトは必要ないでしょう。小さなコオロギやミルワームを入れておけば、地上に顔だけ出して辺りを伺い、飛び出してきて捕食します。人が見ているとなかなか出てきません。


 ↑ まるで魚のような顔つき。ウロコまで魚のそれに見える。


 ↑ 四肢の指は長く大きい。爪は目立たず代わりに砂をかくのに適した偏平な指をしている。


 サンドフィッシュは、胎生であると聞いたことがありますが、別の情報では産卵した例があるとも。どうやら飼育下での繁殖例はあまりないようですね。流通量は少なくないようですが、CB個体は少ないと思われます。



 乾燥地帯の生き物は、基本的に頑健です。ところが昼行性で小型のトカゲは思いのほか飼育が難しかったりします。ずっと調子がよく餌食いも良好だったのに、ある時から徐々に痩せて来てやがて死に至る、そうしたこともしばしばです。筆者も、本種のようなトカゲは長期飼育させる自信があまりありません。頑健で飼いやすいことで定評のある乾燥系のアガマでさえ、小型種の飼育難易度は高くなります。
 調子がよいサンドフィッシュは、日中に餌を与えると、すぐに反応して砂から出てきて餌を追いますが、弱ってくると食欲が落ちて姿を見せなくなります。


 ↑ 餌を感知して砂上に頭を出したところ。

 日本での飼育では、砂漠性の生き物の生活環境を再現するのがけっこう難しいものです。乾燥系小型種の飼育の敗因がここにあると思われます。湿度の極度に低い砂漠のような地域では、昼夜の温度差が大きくなります。日中は30℃以上、夜間は20℃以下という温度が再現できれば、かなり砂漠の自然状態に近づけられますが、夏場では夜間でもかなり高温でしかも多湿です。昼間の高温には耐えても、夜になっても高温のままというのは、小型種にとってはかなりのダメージになります。
 冬場は、照明器具のワット数を上げれば日中の温度を確保できますが、夜間の温度が低すぎるのでヒーターを使用することになり、けっきょく適性温度をキープするのはなかなか困難になります。外気温の影響を受けない気密性の高い建物の中で、照明や飼育温度を完璧にコントロールし、夜明け頃にスプレーしてやるといった大がかりなシステムを構築できるなら、長期飼育や繁殖への期待も大いに高まりますが、一般家庭で砂漠環境を再現するのは容易ではありません。



 栄養不良にならないように餌を調整するのも意外に難しいものです。ガットローディングという餌虫に高栄養の飼料を与えて太らせて与えるという手法が効果的でしょう。ミネラル分やカルシウムの豊富な餌をたっぷり与えたコオロギなどを与え、栄養の偏りがないように配慮することも、小型種の飼育には重要になります。ガットローディング用の餌というのも市販されているので利用すると良いでしょう。
 日本国内のCBであれば、飼育環境への馴化はひじょうに高くなりますが、そうした個体の流通も期待できません。また、WC個体の場合は寄生虫の心配もあります。頭が痛いですね。



 飼育が難しい乾燥系小型種はほかにもいろいろいます。サバクツノトカゲやピグミーカエルアタマアガマなどもそうです。可愛らしいルックスでじつに魅力的な生き物ですが、長期飼育に失敗しがちな生き物です。ゼノガマなんかも意外に短命で終わらせてしまうことが多いです。サバクツノトカゲなどは、食性も特殊でアリ食いだったりするので、いっそう難しく、一頃はワンシーズンものなんて言われていました。
 それでも、こうした種を一般家庭で上手に飼っている方はいらっしゃるわけで、そうした方々に飼育のコツを教わりたいものだと思っているのですが……。

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