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マツカサヤモリ

2013/12/13


 インダス川下流域に分布する小型のランドゲッコーで、岩や砂礫ばかりの荒れ地に棲息しています。夜行性の昆虫食。茶色の体に明るい色の縦筋が入り、それと格子を成すように斑紋がほぼ等間隔に並んでいます。一見すると地味な色合いのヤモリですが、個性的な模様はなんだかファッショナブルです。そして何よりも頭部よりも大きくなる立派な尻尾が特徴的で、それが本種の名前の由来にもなっています。
 英名はキャロットテールバイパーゲッコー。全長は7〜8cmくらい。ひじょうに小さなヤモリというイメージがあります。



 筆者が初めて本種を入手したのが2002年で、あの頃はWC個体がけっこう安価で出回っていて、小さくて場所いらずということもあって2ペア4頭をまとめて購入しました。他の乾燥系のランドゲッコーにたがわず丈夫で飼いやすいうえに、物おじせず扱いも容易です。
 最近はCBが出回り、ずいぶん値が上がってしまいましたが、本種に関してはワイルドものでもけっこう丈夫なうえ繁殖も可能なので、CBの流通は善し悪しな気もします。もちろんCBの方が生育状況も繁殖もよい結果が得られることはまちがいありませんが。



 小さなケージに砂を敷き、流木でも入れて地形効果を作ってやり、浅い水入れを用意します。たまに水浴もします。餌は小さな生き虫になります。餌コオロギでもフタホシコオロギはいかつくて、逆に本種をかじることもあるので、ヨーロッパイエコオロギの小さな幼虫の方がよいでしょう。筆者は今だなレッドローチ(ゴキブリの一種)を使いますね、


 ↑ 脱皮の様子。

 丈夫で飼いやすいのですが、脱皮不全を起こしやすいです。湿度が低すぎるとこの傾向が見られるので、小まめにスプレーをしてやとよいです。ただ、多湿になりすぎないようにすることと、スプレーした時は高温に注意が必要です。小さなケージで飼う場合はとくにです。


 ↑ 右の個体は脱皮した旧皮を食べているところ。

 雌雄の判別も容易で、ショップでペアを求めることができます。繁殖も容易で、初心者でもその様子を観察できるでしょう。成熟したペアを同居させておくと、飼育環境に馴化してくると繁殖行動を始めます。
 筆者の2002年の記録によると、2月に2ペアを入手、3月末に産卵が始まり、5月下旬に最初の孵化がありました。その後12月までに80ばかりの卵が産み落とされ、30頭ほどの幼体が孵化しました。あまり孵化率はよくないですが、これは筆者の卵の管理の仕方のせいもあったのでしょう。


 ↑ 左がオス、右がメス。尻尾の付け根腹面の総排泄孔のところに、オスではクロアカルサックが見られる。

 卵を見つけると、別容器に移し常温で管理していました。秋口からは成体の飼育温度と同程度に加温し、湿度を加えたりはしませんでした。2〜4週間ごとに2個または1個を産卵し、孵化には50〜60日を要するので、卵を収容した容器はすぐにいっぱいになりました。


 ↑ 産卵するメス。


 ↑ 隔離した卵。黒い点は卵の上を示すための目印としてマジックで書いたもの。

 爬虫類の卵は、弾性のあるものが多いのですが、本種や壁チョロの卵はけっこう硬質です。小さな卵ほど硬質な気がするのですが、これは表面積が大きくなる小さな卵の内部を外気温の変化から守るためでしょうか。ヘビのように卵が避けて幼体が出てくるのではなく、ニワトリの様に割れて孵化します。下の写真は卵殻が割れて中の幼体が見えたところです。



 そして孵化。感動の瞬間ですが、指先サイズのベビーはとっても可愛いです。小さな幼体の世話には少々気をつかいます。親よりも乾燥に弱いはずですから、小まめなスプレーを行なうものの、蒸れは禁物で、通気性はよくしておきます。通気性と温度変化は諸刃の剣です。通気性を確保しながらも温度変化を小さくします。秋以降のヒーターを使用する季節の幼体の管理がとくに難しくなります。



 つい先日、ショップでハッチライトという魔法の砂を見つけました。この砂を使用することで、あらゆる爬虫類の孵化率がずいぶん向上するそうです。多孔質の砂に、保湿ジェルの粒子が配合してあり、理想的な湿度を維持するそうです。これは孵化間もない幼体にとっても有益だと思われます。
 さらにCBのペアを用いれば、孵化率、幼体の生存率共に向上することでしょう。 



 孵化した幼体は、1日中に最初の脱皮を行ない、その後に採餌を始めます。ヨーロッパイエコーロギの初令、レッドローチの初令が餌として適しています。頭も口器もそこそこ大きいので、もう少し育った虫でも食べれます。



 幼体は、尻尾がほっそりしていることを除くと成体とよく似ています。体の色あいや模様もあまりちがいはありません。充分に餌を食べた幼体は、マツカサヤモリの名に相応しい丸く太った尻尾になって行きますので、それを成長のバロメーターとして頑張って育てましょう。
 充分に採餌させて育てれば、生後3〜4ヶ月で性成熟に至り繁殖に加わります。


 ↑ 左は生後1ヶ月以上経過し、尻尾も立派になってきた個体。右は生後間もない幼体。

 小さなケージで飼育から繁殖まで観察できる素晴らしいヤモリです。日本ではそれほど人気がありませんが、爬虫類飼育の入門編としてもっと流通するといいと思います。

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