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先カンブリア時代

2016/11/27


 地球は約46億年前に誕生したとされていますが、最初の約40億年以上の間は生命の目覚ましい進化はありませんでした。約5億4200万年前になって初めて肉眼で見えるサイズの硬質の殻を持った生物が化石として残り、それから1200万年ばかりの間に生物の急激な進化と多様化が起こりました。この間に動物では分類学上のすべての"門"が出そろい、この大躍進はカンブリア爆発という呼称で知られています。
 生物の目覚ましい進化のドラマが展開される5億4200万年の歴史は、ご存じのように古生代、中生代、新生代の地質時代に区分されていますが、これをまとめて顕生代とも呼称します。これに対して先カンブリア時代は隠生代です。

 隠生代すなわち先カンブリア時代には、灼熱の火の玉であった地球表面が徐々に冷めて地殻ができあがり、地中より噴出した水蒸気が雨となって降り注いで、地殻をさらに冷ますと共に海洋が形成され、有機物が生成され、生命の元が誕生した時代でした。
 初期の生物は、水に浮かべた油のような有機物の液滴(顕微鏡サイズ)のものや、核酸を有して自己増殖するウイルスであったと思われます。原核生物と呼ばれる細胞と核酸から成る原始生物は、有機液滴とウイルスの両方の特性を備えたような存在で、有機液滴とウイルスの共生によって生じたのかもしれません。
 ウイルスは細胞を持たず、他の生物に感染し自己増殖をする原始生命で、生物の最小単位である細胞を持たないことから生物ではなくその前段階であるといった言われ方をよくします。しかしながらウイルスは核酸(DNAまたはRNA)を有し、自己増殖には遺伝情報を利用できるので、それを持たない有機液滴よりも増殖(自己複写)という点では機能的です。
 一方、有機液滴の方は外界と体内を隔てる皮膜を持ち、高等な者では近くの有機物を取り込んで栄養にしたり、原始的な光合成によって滋養を形成したりといったことができるようになったものの、自己増殖は、あるていど成長すると体積的な限界に達して2つに分裂するといった乱暴な方法に依っていたのでしょう。
 ウイルスはそうした大型の有機物の集合体を見つけてはそれに感染し、自己増殖をしていましたから、やがてウイルスが感染した状態の有機液滴が、初期の生物細胞へと進化したのかもしれません。
 以上は筆者が想像する生物誕生の1つの仮説に過ぎませんが。

 細胞と遺伝子を持つ最初の生物であるバクテリアが誕生したのは、今から約35億年前よりも古いと言われています。バクテリアは明瞭な細胞核を持たない原核生物ですが、やがて細胞核に遺伝子を格納した真核生物が進化すると生物細胞はより大型で多機能になりました。そして真核生物は複数の細胞から成る多細胞生物へと進化しました。
 現生の生物の中には、原核生物でありながら簡単な多細胞構造を持つものがいたり、真核生物であっても単細胞のものが存在したりします。ただ、多細胞であっても同じ細胞が寄り合っているか、機能が異なる細胞が集合して1個の生物を構成しているかには大きなちがいがあります。
 動物の場合は、完全な多細胞生物を後生動物と呼んでいます。後生動物の中でももっとも原始的な海綿動物は、どこからどこまでが1匹なのかよく判らないようなコロニー状をしていますが、それ以降の動物は真正後生動物としてくくられ、1匹1匹がはっきりした動物です。
 いずれにしろ、原核生物が誕生しそこから多細胞生物が導かれるのに25億年以上を要したと言われています。

 先カンブリア時代は、化石証拠も不充分なよく解らない時代であるわけですが、その長い歴史の中で生物の基礎が構築されました。そして先カンブリア時代末期には、海洋のかなり深いところまで凍結し、地球丸ごと氷に覆われる大規模な氷河時代が到来し、やがてそれが氷解すると多細胞生物の最初の躍進がありました。
 スノーボールアースというユーモラスな表現がされる大氷河時代のあと、地球は海洋で埋めつくされ、そこで様々な生物が一気に進化しました。オーストラリアで見つかったエディアカラ生物群には、先カンブリア時代末期に花開いた様々なユニークな生物が含まれます。そしてこの生物群の登場は、動物の躍進的な進化が導かれたカンブリア爆発を誘致するたいへん貴重なできごとでした。
 エディアカラ生物群以前の生物の歴史は、ウイルスからバクテリア、そして真核生物、多細胞生物という生物の基礎を構築する長い長い準備段階でしたが、35億年前頃から活躍した藍藻類すなわちシアノバクテリアは、大量の遊離の酸素を製造し、後の好気性生物の歴史の基礎を築きました。
 生物はもともと酸素のない世界で暮らしていたのですが、初期のバクテリアである藍藻類の光合成によって大量の酸素がもたらされたおかげで、大型で酸素を呼吸する生物が住める環境が整ったのでした。

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