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爬虫類の進化

2017/01/04


 爬虫類は古生代の石炭紀には進化してきたようです。両生類がその直接の祖先であるわけですが、初期の爬虫類である単弓類の仲間は、多くの文献で爬虫類の仲間とされず、両生類でも爬虫類でもない宙ぶらりんな有羊膜類とされています。有羊膜類というグループは、羊膜卵を持つ仲間で、私たち人間もその一員でありますが、両生類以前の動物の卵は羊膜を持ちません。ただ、両生類の中でも爬虫類移行型の種では羊膜卵を確立しつつあった可能性があり、有羊膜類イコール爬虫類以降の脊椎動物と割り切れないらしいんですね。ゆえに有羊膜類は分類学上のグレードではありません。
 爬虫類は、大きく単弓類と双弓類、無弓類に大別されますが、これらの3グループはかつてはそれぞれ爬虫綱を3分する下綱という階級が与えられていましたが、現在は無弓類は系統がよく判らないグループとされています。
 単弓とか双弓とかいう表現は、頭骨の側面にある穴(側頭窓)を縁取る弓状の骨のことで、ひとつ穴なら単弓、ふたつ穴は双弓ということになり、双弓類は明らかな爬虫類とされています。比較的新しく進化してきたカメの仲間には側頭窓がありませんが、これは進化の過程で消失したものとされており、カメも双弓類の一員で、無弓類ではありません。
 双弓類は、中生代に大いに栄えた恐竜や現生のあらゆる爬虫類を含みますが、単弓類は古生代型の動物で、古生代と中生代を決する生物大絶滅を乗り越えられずその大部分が滅びています。
 古生代の単弓類は、大型の両生類たちが健在な時代に大いに栄え、大型化や草食化を実現しています。進化的な単弓類には、異歯性(役割ごとに異なる形状の歯を持つこと)や育児といった哺乳類的な形質を備えるものが出現しており、それが哺乳類の祖先型にもなっています。

 哺乳類は鳥類と共に爬虫類から進化してきたというのが通説ですが、単弓類を爬虫類に含めないのであれば、この説はまちがいということになります。
 双弓類も単弓類と同じく古生代の石炭紀には出現しており、その祖先は竜弓類という単弓類と姉妹群を成す有羊膜類であるとする考え方があります。すなわち、両生類から羊膜卵を持った2つのグループ、単弓類と竜弓類が分岐し、単弓類からは哺乳類が生じ、竜弓類からは無弓類と双弓類といった爬虫類が生じたというわけです。
 では、両生類のうち、単弓類の祖先となったのはどんな動物なのか、竜弓類の祖先となったのはいずれなのか、ということになるとなかなか文献が見当たりません。爬虫類移行型の両生類については記述があっても、単弓類や竜弓類それぞれの祖先型が見つからないのです。

 単弓類は古生代後期にひじょうに繁栄した仲間です。そして多くの文献で哺乳類型爬虫類という表現がなされています。であれば、爬虫綱は単系統ではなく、竜弓類と単弓類をまとめた多系統に与えられたグレードだということになります。あるいは爬虫綱と姉妹群となる単弓綱という表現をしている記述もあります。こうなると四肢動物上綱に属するのは、両生綱、単弓綱、哺乳綱、爬虫綱、鳥綱の5綱だということになりますが、四肢動物上綱を5綱に分ける文献は見当たりません。
 思うに、初期の竜弓類から単弓類と双弓類が生じたのではないでしょうか。単弓類は爬虫類と別綱とするにはあまりにも爬虫類的な生き物です。その後は哺乳類タイプの動物へと移行してゆくにしても、古生代に最初の繁栄を迎えた時の進化的な単弓類は極めて爬虫類的な形質を備えています。双弓類と別綱を成す動物とはとうてい思えないのです。
 竜弓類から単弓類と双弓類が生じたとし、竜弓類移行を爬虫類と定義すれば、爬虫類の分類は単系統でうまくまとまります。
 初期の有羊膜類であった竜弓類の仲間から派生したばかりの単弓類と双弓類は形質に明瞭な差異のないよく似た動物だったのでしょう。その中で最初に繁栄を獲得した仲間が単弓類で、古生代後期に数々の大型動物を輩出したものの中生代までに衰退してしまい、わずかな哺乳類移行型動物を残した、一方双弓類の仲間は、中生代に子孫を残した後にその特徴が顕著になり大型化と多様化を果たした、そういうことなのではないでしょうか。

 古生代と中生代を決する生物大絶滅は、地質学的にはP-T境界と呼称されていますが、この際には地球規模で深刻な酸欠が生じたようです。それで大型動物は生き長らえることができず、進化的な単弓類と大型両生類は絶滅してしまいました。単弓類の中でもより哺乳類的で小型の仲間は地中生活で細々と生き長らえ、双弓類はまだ大型化を果たさずにこれも細々と生き長らえ、中生代に子孫をつなぎました。
 中生代に入って温暖化と酸素量の回復が実現すると双弓類はようやく大型化と多様化を果たすわけですが、中生代初期の双弓類の多くが水生動物です。ということは、双弓類はもしかすると、水生生活でP-T境界をしのいだのかも知れませんね。水域も同じように酸欠であったのですが、そこでは多くの溶存酸素を必要とする大型魚類やエラ呼吸に依存していた両生類の幼生は生きてゆけなかったものの、双弓類は肺呼吸で水上のわびしい酸素を呼吸しながら、強敵の少なくなった水域での生活を耐えしのいだのかもしれません。
 そして中生代における爬虫類(双弓類)の大躍進はご存じのとおりです。恐竜という史上最大の陸生動物や数々の巨大水生動物、そして空飛ぶ動物を次々に輩出してゆきました。

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