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絶滅

2017/02/09


 生物は、とどまることなく進化を続けて行くものです。そして進化に伴う形質の変化は、環境の変化に対応しています。環境に応じた生活様式をまっとうするための器官の発達を、形質の特殊化とか表現します。ゾウの鼻が長いこと、ウマが駿足ランナーであること、サルが木登りに長けていること、それらは特殊化であり、特定の環境に適応するために特化した器官の発達です。
 しかしながら、自然環境の変化はひじょうに複雑で、短期間のうちに寒冷化が進んだり年によって変わったりします。別の場所から移動してきた生物が定住するようになることも環境の変化のひとつです。
 こうした刻々と変わる変化に適応するのは、1生物の進化では無理で、生物はひじょうに多くの種類が同じ環境に棲息することで、変化への適応を実現しています。様々な生物が同じ環境で共存していることは、食う者と食われる者の相関関係だけというわけではなく、刻々と変化する環境への適応の形でもあるのです。
 捕食者が寒さに弱い動物1種だけだったとしたら、寒冷化が数年続けば捕食者は衰退してしまい、被捕食者である草食動物が増殖し、植物が足りなくなってしまうかもしれません。でも、同じ環境に寒さに強い捕食者がいて、低温が続く時期に彼らが頑張れば生態系は維持できます。
 ですから、たくさんの種類の生物がいること、似たような虫が同じ林で同じような暮らしをしていることは、生態系の維持にとって思いのほか重要なのです。

 生物はとどまることなく進化を続けて行くものでありますが、種の形質を確実に子孫に伝えるという種の保存についても日夜努力を怠りません。進化はひじょうに長い歳月をかけて生じるもので、周りにいる動植物が目に見えてどんどん変って行くというものでもありません。
 地球の自転に伴って風が吹き、大陸や海域を載せた近くプレートもゆっくりを動き続けています。それにともなって造山活動が活発化したり、陸地の集合により寒冷化が促進されたりします。その自然環境の変化に生物の進化が追いつけなくなった時、生物は大型化や特殊化の進んだもの(つまり進化的なもの)から順に衰退が始まり、数万年からそれ以上の歳月の間に深刻な絶滅にさらされます。
 氷河期のような寒冷化、深刻な酸欠状態、そのような地殻変動にともなう異変により、生物の多くの種が絶滅を迎えることが、地球の歴史の中で何回か繰り返されました。そして再び暮らしやすい環境が回復してくると、生物種は元通りに復元されるのではなく、新たなタイプの生物群による繁栄を迎えることになります。中生代が終焉を迎え新生代に代わったあと、恐竜の時代は永遠に失われ、鳥類や哺乳類が栄える時代へと変わったのはそのためです。

 そして今から約258万年前に始まったとされる更新世(第4紀)以降、環境に応じて形質を特殊化させるというこれまでの生物がたどって来た進化のメカニズムから逸脱する生物群が地球上に進出し始めました。原人以降のヒト属は、形質の特殊化ではなく汎用化によって様々な環境に適応するようになり世界中に分布を拡大しました。彼らは高木の果実を採るのに長い首や鼻を用いるのではなく棒を使い、狩りをするのに必要な爪や牙を発達させるのではなく斧や槍を使いました。寒冷地に適応するために厚い毛皮を発達させることもなく衣服を考案しました。
 爬虫類も哺乳類も、様々な環境に適応するために様々な種の動物を産み出しましたが、人類はいつまで経っても同じような裸のサルばかりが輩出され、最後にはたった1種の人類が世界を網羅することになりました。
 人類は、道具と文明によってあらゆる環境に適応するのみならず、技術で環境を作り替えることにも着手し、環境の変化に追いつけない多くの種を絶滅に追いやりました。新生代(第3紀)に繁栄した進化的な哺乳類がことごとく衰退してしまったのは、原人の時代の人類があらゆる環境で先回りして餌を横取りし、哺乳類の住みにくい環境に地上を変えて行ったからかもしれませんね。
 そして科学技術時代、人類はさらに大きな地球環境の開拓に着手しました。
 人類は、地球の生態系にとっての癌なのでしょうか。そう考えると悲しくなりますが、人類には知性があり、研究し真理を発見し善処して行く能力があります。
 経済を主体にした社会論理では、人類は文明に押しつぶされて自滅してしまう暗澹とした未来予想が拡がるのみですが、人類の思考はそればかりではありません。ひじょうに多くの人びとがそのことに気づき、電脳ネットワークを通じて議論を始めています。
 数々の失敗を経験し、痛い教訓を学んだ人類は、滅びに向かって転落して行くだけではないでしょう。より多くの人たちが明るい未来を思い描くことによって、時代は確実に好転してゆきます。そうでないならば、人類はもっとむかしに滅亡していたはずです。




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