タガメ
2014/01/02
タガメが庭虫なのか雑虫なのかは、迷うところでしたが、本種をはじめコオイムシやタイコウチ、ミズカマキリといった水棲カメムシの仲間、あるいはゲンゴロウ、ヤゴなどがショップで市販されることがあるので、庭虫としました。まぁ、この区分は筆者の勝手な分け方で大した意義もないと言われればそうなんですけど。
2004年の夏、千葉県の某氏に卵塊を送っていただきました。親タガメは、茨城県で採集し間もなく産卵に至ったのこと。タガメの飼育経験が豊富な方で、産卵後1週間〜10日くらいで孵化すると教えていただきました。
タガメやコオイムシはオスが卵を守る習性があり、タガメの場合は水面から突き出した植物の茎などにメスが産みつけた卵をオスが擁護し、時折水をかけるという世話まで焼くそうです。オスを一緒に送っていただいても、そのオスが卵塊をメンテナンスするかどうか判らないので、卵塊だけいただいて、オスの代わりに自分で時々水をかけてやりました。
7月16日に産卵された卵塊とのことでしたが、それから1週間後の7月23日に一斉に孵化しました。卵から飛び出すように孵化した幼虫たちは、そのまま水の中に散ってゆきます。
卵に対して幼虫はずいぶん大きく、こんなのがどうやって卵の中に収まっていたのか不思議です。100個ばかりの卵はほぼ全てが無事に孵化を迎えました。
孵化した幼虫は、最初は白っぽい弱々しい体をしていますが、数時間で黒っぽくなり、通常生活ができるようになり、翌日メダカを与えたところ、すぐに捕食活動を開始しました。
幼虫たちのハンターとしての腕前は素晴らしいです。物陰から素早くメダカに襲いかかると、前脚で挟み込み、ストロー状の口器を突き刺して体液を吸います。このあたりがセミやカメムシの仲間ですね。地上性のカメムシにも肉食のものがいます。
そして7月27日。前夜から朝にかけて一斉に脱皮が始まりました。孵化して4日目でもう2令幼虫に昇進です。これにはビックリでした。上の写真で右下にいるのが2令幼虫。左上のものが初令です。
そしてさらに数日後、3令に加令するものが現れ、8月初頭にはほとんどが加令しました。タガメの幼虫は数日ごとに成長するんですね。上の写真で下にいるのが3令、上の数匹は脱け殻。
大型の衣装ケースでまとめて飼育していたのですが、死亡率もたいへん高く、3令までに8割りが死去しました。共食いも頻繁で死亡原因の多くがこれなので、ブリードしたい向きにはそれぞれ個別に飼うことをお勧めします。
水棲カメムシの仲間は獲物の体液を吸うので、死骸は放置されます。これは水質悪化の原因になるので早々に取り除く必要があります。多数を飼育するとなると必要な生き餌の数もたいへんな数になるうえ、メンテナンスもたいへんです。大量のメダカのストックと延々と続く世話に疲弊してしまいますね。