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ハナカマキリ

2014/01/07


 地球には極めて限定的な環境に特化した生き物が時折います。日本でもアリと共生するシジミチョウの幼虫や、特定のハチに寄生するスズメバチの仲間、あるいは枯れ葉や樹皮、小枝に擬態する虫など。特定の生物に寄生または共生する生き物は別として擬態の名人である場合は、必ずしも擬態対象がなくても飼育することができます。



 東南アジアに棲息するハナカマキリ(ランカマキリとも)は、特定のランの花に擬態した昆虫で、そのあまりにも見事な擬態ぶりは、他の植物上ではまるで役に立ちません。


 ↑ ハナカマキリの頭部。

 孵化したばかりの初令幼虫は、花とは似つかない赤と茶色の小さな虫で、アリかカメムシの一種みたいです。それが脱皮して2令以降になると、ランの花そっくりに変身します。



 日本に棲息するカマキリたちも、イネ科植物の草の間では目立ちにくく、葉を食べにやって来る虫を襲うのに適していますが、本種の場合1つの植物にしか似ていないという極めて限定的な特化ぶりで、おかげで別のところではかえって目立ってしまうので、ランから離れることができません。



 このように1種類の植物とほぼ共生状態にいるものの、その花を訪れる特定の虫のみを餌にしているのかというとそうでもないようで、飼育下では何でも食べてくれるので助かります。



 上の写真と下の写真は、造花のランの花にとまっている幼虫です。たまたま本種そっくりのランの造花が市販されていたので買ってきて飼育ケースに入れてやったのですが、造花だから当然香りがありません。そしてハナカマキリが視認によってランの花を識別するのかどうかも判らないので、造花を入れることによってこの虫が落ち着くのかどうかは判らないところですが、とりあえず良く似合っているので導入してみました。



 下の写真は、幼虫の腹部背面ですが、縦縞模様がいかにもランの花っぽいですよね。また前胸背板の後縁部だけ緑色になっているのも、花の額を表現していてそれらしいです。中後肢は腿節が膨らんで花びらになっていますし。



 ピンクのひじょうに上品な容姿とは裏腹に貪食で、目前の虫は何でも襲って食べます。同種間では共食いもしますから、個別に飼育しなければなりません。幼虫から成虫まで育てるのはひじょうに容易ですが、雌雄を交配させて繁殖させるには少々苦労するでしょう。


 ↑ 脱皮後の脱け殻さえも花っぽい。

 成虫は、メスが約7cm、オスは少し地味な色あいをしていてメスの半分以下のサイズです。オスは小さくても翅が腹部を覆っていますから幼虫と見まちがうことはないです。


 ↑ メスの成虫。

 雌雄の成虫が得られたら、繁殖に挑戦しましょう。オスのいる飼育ケースにメスを放ちますが、このときメスがオスの存在に気づかないように注意します。オスはメスに気づくと自身が食べられないように注意深く近づいて交尾しますが、必ずしも成功するとは限らず、交尾に至る前にメスに食べられてしまうこともあります。繁殖を成功させるには複数のオスのストックがあるといいですね。
 昆虫ブームに乗って、本種もたくさん輸入され、国内での繁殖も盛んです。また本種以外にも様々なユニークなカマキリが流通しているようです。餌には生き虫が必要なのでそのストックが可能な方は、飼育繁殖にチャレンジしてみてください。

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