ダンゴカマキリ(サバクカマキリ)
2018/02/08
砂漠地帯に棲息する徘徊性のカマキリです。タランチュラじゃあるまいし、カマキリが地表を歩き回るというのは聞いたことがありません。カマキリは植物の上で獲物を探すもの、クモで言えばハエトリグモのような暮らしをする虫だと相場が決まっています。
ところが、これは地表を徘徊しながら獲物を狙い、木や草に登るようなことはないというのです。不思議ですね。
デザートマンティスあるいはサバクカマキリの名でペットトレードに乗ることがまれにありますが、なかなか入って来ないレア種です。近縁種がいくつかあるのか、これのみなのか情報がないので判りませんが、今回はデザートマンティスの名称で入手しました。ところが検索してみると、同じ名前で異なるカマキリがヒットしました。
愛知の大型店ペポニさんのブログで、ヨルダン産のダンゴカマキリの記事を見つけ、写真を見比べ、これじゃないかな、ということでダンゴカマキリということにしました。ペポニさんでは、以前にもオマーン産のものが入荷したことがるとのことで、今回のヨルダン産は Eremiaphila ammonita、オマーン産は Eremiaphila cerisy とありましたから、やはり近縁種がいくつかあるみたいですね。
オスの成虫です。ずんぐりとした体に小さな翅がついています。中後肢がひじょうに長く、これで素早く地表を駆け回ります。
正面図。大きな複眼をしているのですが、カメラのピントが合わせられません。
横から見ると、けっこうカマキリらしいですね。前肢は太短くて力がありそうです。触角をピンと立てて気を張っています。
水をかけてやりました。水入れを用意してやってもそれを見つけて水を飲むとは考えにくいので、たまに水をかけてやることにしましょう。水をかけてもジタバタしませんでした。
威嚇ポーズ。前翅を開いています。黄色矢印のところが前翅で、これを開くと翅の裏側の黒紋が飛び出す仕掛けになっています。
威嚇ポーズを上から見たところ。前翅を開き、後翅はたたんだ状態です。
威嚇を終えました。まだ前翅は完全に閉じてません。他のカマキリもそうですが、威嚇ポーズはなかなか見せてくれませんから貴重です。でも筆者のカメラ技術の低さでよい写真が得られないのが悔やまれます。
これはメスですよ。腹部がオスに比べてかなり肥大しています。
昆虫マット上のメス。砂漠性の生き物なので、本来は砂を用意してやるべきなのでしょうが、乾燥した昆虫マットを流用することにしました。砂は重いうえに使わなくなった時の後始末が大変です。
多くの飼育者は、生き物の野生環境を考慮し、それに近い飼育環境を仕立てるものですが、筆者は可能な限り何でも同じ環境で飼うようにしています。そもそも飼育すること自体が、生き物にとっては異常事態ですから、飼育すると決めたからには、飼育環境に適応してもらうしかありません。
横から見てもメスは大きなお腹が目立ちます。
トンボのように大きな目で、地を這う獲物を補則し、太短くて強そうな前肢で捕らえます。
メスにも水を与えました。やはり嫌がったりしませんでした。ただし水を飲んだかどうかは確認できていません。
飼育開始3日後のオス。地面にピッタリと伏せて休息しています。餌として与えているレッドローチが近づいてもまったく動きません。平素はこんな状態で休んでいるようですね。
今回はペアを入手することができたのですが、飼育は別々のケージで行なうことにします。ひじょうに動きが素早いので、当初予定していた小プラケースは使わず、30cmのフラットケースを用意しました。体長20mmほどの本種には充分な広さだと思います。
レッドローチを数匹与えておきましたが、いつの間にかなくなっていました。捕食の瞬間は見ていませんが、夜間に狩りを行なうのではないかと思います。
本種の飼育温度は35〜40℃という情報を得ましたが、常にそんな恒温を維持することが望ましいとは思えません。生息環境が過酷だから飼育環境も過酷にしなければならないという考え方にはあまり賛成できないので、これより低い温度で管理する予定です。冬場は温風ヒーターの吹き出し口の近くに置き、25℃以上をキープ。夏場は常温で大丈夫でしょう。その他の基節はフィルムヒーターを用います。
もっとも、長生きさせることができればの話しですけどね。