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強制給餌

2014/01/08


 幼蛇の繁殖飼育には強制給餌がつきものです。マウス食いのヘビでも多くの場合が幼蛇のうちは変温動物食で、最初からマウスに食いつくことは少ないものです。強制給餌反対派の方は、様々な手を尽くして餌づけようとします。ケージを暗くしてシェルターの近くにマウスを置いたり、マウスの脳髄を切開してみたり、カエルやトカゲをこすりつけてマウスに臭いづけを行なったり。
 しかし、強制給餌は確実で近道の餌づけですし、飼育者にも早期に馴れてくれます。まれに餌づけには成功したものの、飼育者を怖がるようになってしまう個体もいますが、それは餌づけ後に馴れさせることもできます。
 以下は、筆者流の強制給餌手順です。参考にしてみてください。


 用意するものは、お水、竹ピンセット、金属ピンセット。竹ピンは20cmくらいのもの。金属ピンセットは、その半分くらいで先が細くて丸くなっているもの。とがっている物は使えません。幼蛇の喉を突き破ってしまいます。


 今回は、先日生まれたトランスペコスラットスネークの幼蛇に給餌してみます。


 竹ピンセットで、幼蛇を素早くつかみます。可能な限り頭部近くを捕らえましょう。素手じゃなく竹ピンを使うのは、人に馴れておらず猛然と抵抗する幼蛇に噛まれないための策です。こんなに小さな幼蛇に噛まれても人の方はこそばいくらいのものですが、人の指に歯を引っかけた幼蛇の口器が傷つく場合があるので、それを避けるためです。


 右利きの方なら、右手に持った竹ピンで捕らえた幼蛇を左手に持ちかえます。写真の赤い矢印のところの3本指で首根っこを押さえ、黄色矢印の2本指で胴部を押さえます。


 こんな感じに幼蛇をホールドします。右手の竹ピンの役目は終わりです。空いた右手で、ケージ内の水換えとかやりましょう。


 金属ピンセットに持ちかえてマウスをつかみます。この時もマウスの首根っこをしっかり押さえます。しっかりですよ。つぶすくらいしっかり。


 マウスを水に通します。これが重要かどうかは不明ですが、給餌の際に滑りがよくなる気がして。


 マウスの頭を幼蛇の口に押しつけます。なんかチューしてる感じですが、こうしてグリグリ押しつけて口を開かせます。口を開かせるのに名刺やカード類を差し込む方法を用いる人もいますが、けっこう面倒なので、マウス押しつけ方式をマスターしましょう。


 幼蛇が口を開けたら、すかさずマウスを頭から押し込みます。躊躇したら負けです。幼蛇は顔を背けたり、胴部をマウスに巻き付けてきたりして抵抗しますが、上記のように幼蛇をしっかりホールドしていれば、なんとか抵抗に耐えられるはずです。


 マウスの首根っこを押さえたまま、ピンセットごと幼蛇の喉の奥に押し込みます。ピンセットが幼蛇に対して平行になっていればかなり深く入れても大丈夫なので、一気に押し込みます。マウスを握る手は決してゆるめないように。ピンセットを幼蛇の口内で開くと、幼蛇が怪我をする恐れがあり危険です。


 マウスだけ押し込んでピンセットのみ引き出すのはかなり難しいです。何度か出し入れを繰り返しながら、幼蛇を押さえている3本指で幼蛇の皮膚の上からマウスをつかみ取る感じで、なんとかマウスだけを幼蛇の喉に残します。


 ピンセットを徐々にマウスの交尾にずらす感じで、マウスだけを幼蛇の口器の中に収めて行き、マウスがほとんど収まったら、ピンセットを一旦引き抜いてお尻からマウスを押し込みます。上の写真の緑矢印のところまでマウスの頭が入りました。ピンセットでマウスのお尻を押すときに、しばしばマウスを突き破ってしまい、内臓が吹き出します。でもメゲてはいけません。内臓もみんな押し込んでしまいましょう。馴れてくるほど内臓ブチューの確率は減って行きます。


 マウスが完全に収まったら、ピンセットを手放し、右手で口を閉じさせ、左手で幼蛇の喉を優しくしごきながら、マウスを胃へと導きます。上の写真の黄色のしるしのところにマウスがありますね。


 幼蛇の上から、指で触ってマウスが奥へ奥へと送られてゆく感触がよく判ります。右手で頭を押さえ、左手の親指で幼蛇の腹側をさすりながら、マウスを送って行きます。


 幼蛇の口さえ閉じてしまえば、マウスを胃の方へ導いてやるのは簡単です。どんどん下の方へ送ってゆくと、やがて幼蛇の胸郭がじゃまになってそれ以上送るのが困難になります。この辺りでマウスは無事に胃へ送られたはずです。


 幼蛇の胴部が太くなっているところまでしっかり送ります。これ以上は指では送れません。黄色の矢印の当たりまで送ってやれば、強制給餌は完了です。ここまでしっかり送ってやらずに作業を終えると、かなりの確率でマウスを吐き戻してしまいます。苦労が水泡に来します。

 一連の作業は馴れると2分もかかりません。しかし早くやるだけが能ではなく、肝心なのは幼蛇を傷つけないこと。ピンセットは幼蛇に対して平行に挿入する、口器の中でピンセットを開かない、あくまで優しく、怪我をさせないように作業します。そのためには左手で幼蛇の首根っこをしっかりホールドすることも重要です。つかむ位置は幼蛇が頭を動かせないくらいのところ、つまり首根っこといっても顎に指がしっかり当たっているくらいのところになります。
 幼蛇の頭をしっかり固定するためにも2本ではなく3本の指でホールドし、残る2本の指で胴部を確実に押さえておきます。ピンセットで口器を傷つけないことと共に、幼蛇の頸椎を損傷しないことも重要ですから、幼蛇をつぶさない程度にしっかり押さえておきます。

 強制給餌を順調に回を重ねれば、やがて幼蛇の抵抗が少なくなり、マウスを近づけると自ら口を開けるようになります。週に2回の強制給餌を実施するとして1ヶ月もするとそれに対する慣れが見えてきます。自らマウスをくわえ込むようになれば、ピンセットで押し込む作業を徐々に控えるようにしてゆきます。そのうち自分で飲み込むことを覚えます。そしてさらに1ヶ月くらいでマウスを目の前に近づけると食いつくようになり、やがて人を見ると餌を期待して寄ってくるほどまでに馴れてきます。

 強制給餌はマウスに餌づけることと、人に馴れさせることの近道だと思われますが、デメリットとしては、強制給餌のせいで人を怖がるようになってしまう個体もたまにいることでしょうか。作業が幼蛇にとって苦痛である場合はそうなる確率も高くなるでしょう。作業は優しく素早くが理想です。
 また強制給餌はヘビ以外の動物には禁物です。それが原因で死なせることもあります。あるいは拒食中のヘビにも極力行なわないようにします。長期間の拒食によって痩せてしまったときの最終手段です。実行した場合は飼育温度をなるべく高くしたり、ウェットシェルターを使用したりして代謝を促します。ヘビは代謝が低下している場合は何ヶ月も食べなくても痩せたりしないものです。また低代謝の時は食物を消化しきれず、そのことがダメージにもなります。衰弱したヘビに対する強制給餌には状況を見極めて正しい対処をする必要があります。
 強制給餌は、健康な幼蛇に対する餌づけの方法としてひじょうに有効で、生後間もない幼蛇の飼育に際してぜひ身につけておいてほしい技術ではありますが、他への流用は基本的にやらないということも知っておいてください。

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