野生動物と寄生虫

 野生で生活する動物は寄生虫や病原菌と無縁ではいられません。彼らは餌を消毒したり加熱殺菌したりするわけではないので、これらの侵入者を効果的に防ぐことができません。
 自然界では、彼らはおおむね侵入者と上手く付き合っており、採集したばかりの野生動物はたいていの場合は良好な健康状態を保っています。ところが飼育下に置かれると、急に健康を害してしまったり、若齢の個体であれば発育不全を来たしてしまったりというケースがけっこうあります。
 病気に感染している個体では、細菌の毒性が高い場合は、顕著な症状が見られるので、飼育は避けるべきでしょう。一見して症状が判らなくても、病原菌が潜伏して発病を待っている場合もあるので、野生採集個体は飼育中の動物との同居は避け、その個体が良好なコンディションになるまで単独飼育します。このことを専門家はトリートメントとか言います。
 病気の個体はけっこう短期間に症状が現れる場合が多いですが、寄生虫の場合は発見がひじょうに難しいです。ダニのように体表に着く虫は注意深く観察することで発見でき、ブラシでこすりとったり、温水浴させたりといった方法で駆除しますが、体内の消化器にわく虫は見つけにくいです。

 野生採集動物が飼育下で健康を維持できなくなる最大の原因が寄生虫であるといわれます。野生で暮らしている間は腹の中の寄生虫と上手く付き合っていても、人工的な環境に置かれると、ストレスやさまざまな要因で寄生虫に負けてしまうようです。
 動物は種類や個体の差異によって、飼育環境にすぐ馴化し人にもよく馴れるものと、そうでないものがあります。いわゆる飼いやすい動物とそうでないものがあるわけですが、飼いやすい動物でも寄生虫には負けてしまう場合があります。
 寄生虫が原因でコンディションを崩すていどは様々で、外見上ほとんど問題が認められないまま長く飼える場合もありますし、どんどん食欲をなくし、やがて死に至る場合も少なくありません。餌をたくさん食べる子供がちっとも大きくならないこともよくあります。

 体内の寄生虫と無縁でいたいならば、野生採集個体は飼育しないことです。日本に棲んでいる動物で、飼いやすい種であれば、案外問題なく長期飼育が実現しますが、ショップで市販されている輸入動物の野生採集個体は、飼育を始めて間もなくコンディションを崩してしまうことが少なくありません。餌を食べなくなり、どんどん痩せて行き、やがてそっと息を引き取ります。
 変温動物は、餌を採らなくなっても急に痩せて行くことはありません。痩せ始めたらかなり深刻な事態であると認識すべきでしょう。一度痩せ始めた個体は、充分に餌を食べさせることができてもなかなか回復しません。
 飼育者の知識の低さで命を落とし、もともと弱い個体だったなんて片付けられてしまう動物たちのことを考えると悲しくなります。ショップや情報誌等は、動物の魅力を伝えるだけでなく、傷病に対する知識ももっと広げるべきですね。

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