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稲穂の話し

2014/01/25


 どんな業界にも業界をリードする権威が存在します。誰もがその実力を認めるような人、伝説を築くような人というのは、普通の人間とどうちがうのでしょうか。
 筆者は凡人なので、社会的地位の高い人や世間的に知名度の高い人に知り合いなんていませんが、それでもペット業界のすごい人、スポーツで全国レベルの人を目にしたり話しをしたりしたことがあります。筆者が出会った、誰もが権威と認めるすごい人というのは、一見すると普通で、威光を放っているわけでもありませんでした。何も知らずに気やすく話しをしていて、あとでその人が伝説の達人だったと聞かされてびっくりするようなことに何度か遭遇し、偉人のそうしたおくゆかしさがカッコイイと思いました。
 もうずいぶん以前のことなのですが、筆者に様々な外国産の昆虫を紹介してくれた友人と、昆虫展を見に行った時のことです。世界中の珍虫奇虫の標本を目当てに、様々な人々が集まっていたのですが、その中には自称スペシャリストもたくさん来ていて、昆虫採集や標本作りのツールをひけらかし知識を自慢していました。筆者も幼少の頃から昆虫標本は作っていましたが、最新のツールというのは確かになかなか素晴らしいものでした。スペシャリストたちの得意気な専門用語山盛り解説を、筆者はほとんど傍観状態で聞いていたわけですが、筆者と同じように話しに耳を傾け、感心しているひとりの老人こそが、じつは昆虫研究の第一人者にして今回の素晴らしい標本の数々を展示されたその人だったんですね。彼が発見し彼の名を関する虫も多数にのぼり多くの著書を著している業界の超大物は、じつに物腰の低い謙虚な人でした。我こそがこの道の権威と言わんばかりの自称スペシャリストたち、少年が持ってきたクワガタムシを鼻で笑っていた彼らが、じつに薄っぺらく見えました。
 話しは変わって、筆者が所属していて会社のテニス部の部長は、社会人テニスの世界では全国レベルの腕前の、業界の有名人でした。運動が苦手で、長らくテニスを続けてもなかなか上達せずに、後から入ってきた新人たちに技術で追い越され、多くの嘲笑を受け続けていた筆者に対して、彼はけっして侮辱するようなことは言いませんでした。ある時、筆者が同人誌を作っていることを聞きつけた彼は、そんな才能があるなんて尊敬するとおっしゃいました。同人誌活動などと言うと、とくに体育会系の人からは「それって楽しいの?」なんて一笑されることが多いのに、彼はまったくちがっていました。才能なんて認められて初めて価値があるものと思っていた筆者は、作品も見ずに創作活動をしていることだけを指してそれを才能と表現した彼の言葉は、まだ若かった筆者には痛烈でした。
 実るほどこうべを垂れる稲穂かな、という有名な俳句がありますが、これは偉大な人ほど態度が謙虚であることを歌っており、人はかくあるべきだと言っている句であると思うのですが、その通りだと思います。真の実力者は自らの業績を自慢したりはしないもののようです。自分の努力や労苦、業績を吹聴する人は、あんがい大した人間ではなく、真の実力者は自分で言わなくても周りがそれを認め、称賛してくれるものなんですね。
 すべての偉人達人が謙虚なのかどうかは知りませんが、少なくとも才能と人格を併せ持つ人は、いばり散らしたり自画自賛に終始して他人を認めなかったりということはないようです。
 ある時、そのことについて文学の先輩と話していると、謙虚で人の教えに耳を傾けるような性格じゃないと真の実力は身につかないだろう、という答えが返ってきました。なるほど、素直で謙虚な態度と生き方こそが、才能を伸ばす秘訣なのかもしれませんね。

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