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両生類

 脊椎動物のうち最初に陸に上がったのが両生類であることは周知の事実ですが、現生の両生類が幼生時代を水中で過ごし、成体になってから肺呼吸に切り替わって陸棲生活者に転向することからこの名が付いたと思われますが、太古のむかし両生類が陸上生活を目指して華々しい進化と多様化を展開した頃はどうだったのでしょう。
 古生代デボン紀に陸生動物に進化を遂げた両生類の祖先たちは、浅い貧しい水域から陸地という新天地を目指して旅立って行った開拓者たちでした。当時の陸生動物は昆虫をはじめとする節足動物で両生類にとって彼らはあまり脅威ではありませんでしたし、それどころか水域よりも豊富な餌でした。両生類の直接の祖先は、強力な遊泳能力を有する進化的な魚たちの脅威から逃れるために浅い水域に逃れてきた魚たちで、そこは乾期には干上がってしまうようなこともしばしばで、天敵は少ないものの豊かな漁場ではありませんでした。両生類たちは、そうした水域を見限って、新たな餌場を求めて陸地へ進出して行ったのです。
 宿敵となる爬虫類が進化してくるのはまだずっと先になる古生代に、両生類は爆発的な進化を遂げ、さまざまな四足動物を輩出しました。陸上で支配的な地位にのし上がった動物群の常として、あらゆる環境に適応放散しましたから、その一部は再び水域にも進出しましたが、当時の主流は大形の陸生動物で、中には全長3〜4mに達し、植物質を摂っていた可能性を指摘されているものすらいました。そうした巨大で極めて進化的な両生類を原生動物に中に見ることはできませんが、古生代の両生類の中には硬くて厚い皮膚を持ち生活史の中でほとんど水域を必要としないような仲間もいたでしょう。
 現生の両生類は、生殖に水域を必要とする体外受精を行ない、幼生はエラ呼吸して水中で暮らしますが、古生代の進化的な両生類では、交尾をして胎内受精を行ない、肺呼吸の子供を産むものもいたかもしれません。強靱な骨格を持ちかなりの体重になった両生類の中には、その肥満した体型が植物食を示唆するといった説明をしている学者もいますが、大きなお腹はじつは卵胎生で胎内孵化した幼生がそのまま母体の中で変態して肺呼吸なるまでとどまるためのものだったと推測するのは、まったく見当外れでしょうか。
 現生種でも胎内受精を行なって卵胎生を実現しているものがいますし、一部のカエルのように卵の中で発生から変態までを済まし、肺呼吸のカエルとして孵化してくるものもいます。これらは古生代の進化的な両生類とはまったく系統がちがうので、これらの例をして古生代の両生類の卵胎生や肺呼吸する幼生の出産の証拠とすることはできませんが、より陸上寄りの暮らしを求めた開拓者たちが、同じような生殖方法を進化させた可能性はあったと思われます。ちなみに魚類でも胎生メダカの仲間のように胎内受精と卵胎生を実現しているものがいるのです。
 両生類の定義は、生活史に水域と陸地の両方を必要とするという意味ですが、それは現生の代表的な両生類に言えることで、古生代の進化的な両生類たちは、もっと乾燥した環境にも適応したでしょうし、水域に進出したものの多くが、原始的なゆえではなく、新たな適応放散先として水域を選んだというものも少なくないでしょう。
 爬虫類や哺乳類でも、進化して水中生活に戻ったものがたくさんいます。カメや中生代の魚竜類、首長竜類、哺乳類ではクジラやイルカがそれです。ウミカメ類は繁殖のためだけに陸地を必要とするという、まるで両生類と逆のような生活史を持ちますが、中生代の水棲爬虫類の魚竜類や首長竜類は胎生で繁殖にも陸地を必要としなかったかも知れません。
 現生の両生類は、古生代の進化的な仲間と比べるとかなり原始的な系統の生き残りであると言えます。その多くは繁殖や幼生の生活に水域が欠かせませんし、皮膚の耐性が充分でないために乾燥に弱く水辺を離れられない種が多いです。皮膚の耐性が充分でないことは、塩分にも弱く、現生の両生類は海にも進出できず淡水域で暮らしています。
 したがって現生の両生類の飼育は、アクアリウムまたはアクアテラリウムが主流になります。完全に陸棲の種でも極一部を除き水場が必要です。これらの飼育に慣れている人が、軟体動物や多湿を好む爬虫類を飼う時にやらかす失敗が過度の多湿です。自然界では似たようなところで暮らしている動物であっても両生類と爬虫類では、飼育環境の仕立て方が基本的にちがってきます。おもしろいものですね。

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