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シリケンイモリ

2014/02/08


 奄美大島、沖縄、渡嘉屋敷島、渡名嘉島等に分布するイモリです。本州のニホンイモリ(アカハライモリ)とは同属でたいへんよく似ています。ニホンイモリは筆者の家の近くの山の水域にもたくさん棲息しており、採ってきて飼ったこともありますが、シリケンイモリはもちろんうちの近くにはいません。たまたまショップに入荷があったものを買いました。背中には個体によって差異がある黄色系の斑紋が現れます。アマミシリケンイモリ(基亜種)、オキナワシリケンイモリなどの地域亜種がいるようです。



 水から上がったところ。背面からでは本州にいるニホンイモリと目立ったちがいがありませんが、よく見ると背中の中央の隆起と平行するように小さな点刻が並んでおり、これが本種の特徴です。個体によってはこれがひじょうによく目立つものもいます。



 腹面は、ニホンイモリのように真っ赤ではなく、朱色から濃いオレンジです。



 ニホンイモリの飼育の経験から、本種も頻繁に陸地に上がることを想定し、30cmのガラス水槽に浮島をいくつか設けるというレイアウトにしました。また、底には大磯砂を敷き、水作君で濾過とエアレーションを施すという魚類の飼育と同じにしました。



 上の写真は水の中にいるところです。成体はもちろん肺呼吸ですが、泳ぐのが得意ですし水底を歩行しながら餌を漁ったりもします。生きた魚を捕まえるのはあまり得意ではないようです。自然界でも水棲昆虫やミミズを食べているようです。
 飼育下では、冷凍アカムシや人工飼料によく餌づいてくれます。カメ用や魚用の水に浮くタイプの小さなスティック状の餌を喜んで食べます。うちでは試していませんが、沈降性の餌ももちろん食べるでしょうし、自然界での生態を考えるとむしろこの方が良いと思われますが浮上性の餌の方が、食べ残しの処理も容易ですから水を汚さなくてすみます。



 正面から見るとカエルみたいです。上の写真の個体は、腹面の色がかなり明るくて黄色に見えます。



 シリケンイモリは、ニホンイモリ同様に丈夫で飼いやすいです。それと飼育下での繁殖も容易です。筆者の飼育経験ではニホンイモリよりも本種の方がよく増えました。冬から翌年の夏にかけてが繁殖期だそうですが、このあたりが南国の生き物ですね。ニホンイモリのように越冬ののち春に繁殖期を迎えるというのとはずいぶんちがいます。



 卵は水中に植えた水草にも産みつけられますが、加水した水草をタッパーに入れて水面上に配置しておくと、そこにもよく産卵しました。透明なゼリー状の卵は胚が大きく、中で幼生が発生してゆく様をよく観察できるので、学校教材にうってつけだと思います。



 卵は、カエルのそれのように卵塊になっておらず、個々に独立していますから、拾い集めて親と隔離して管理します。親と同じように仕立てた水槽に入れておけばよいですし、じっくり観察したいなら、小さな容器に集めておき、観察の時に容器ごと水槽から取り出すようにします。



 孵化した幼生は、けっこう大きくて取り扱いが楽です。冷凍アカムシを最初から食べれます。外鰓がよく目立っています。とても頭でっかちで四肢は細く小さく頼りなげです。歩くよりも泳ぐ方が得意な水棲動物です。



 成長はけっこう早いですよ。外鰓が目立たなくなり、四肢がしっかりしてくると陸地に上がるようになりますが、成体と同様の浮島では上陸がきついので、成長した幼体には、大磯砂に傾斜を付けて浅く水を張ったアクアテラリウムを用意してやります。



 イモリの幼生は複数を一緒にしておくと共食いすると聞いたことがありますが、そんなことはなかったです。たくさんの個体を一緒に飼っていましたが、共食いによってどんどん数が減ってゆくようなことはなかったです。共食いしないと断言はできませんから、石や水草を用いてレイアウトを複雑にしたりするとよいでしょう。



 とにかく旺盛な繁殖力に驚かされました。成熟した成体では、メスがよく太ってしっかりした体つきです。雌雄の明瞭な差異は、尻尾の形状と総排泄孔で、メスは尻尾が先端へ向けて一様に細くなって行きますが、オスの尻尾は先端近くから急に補足なり、総排泄孔のところが膨らんでいます。上の写真では左がオス、右がメスです。メスの方は背中の点刻模様が顕著ですね。
 また、このイモリはニホンイモリもそうですが有毒です。フグと同じ成分の毒を持っているそうです。それによる被害はまずありませんが、触ったら手を洗う方がよいでしょう。噛まれて負傷するタイプの動物でもないし、まず噛まれることがないので筆者はまったく気にしていませんでしたけど。 お腹を見ると確かに有毒動物っぽい警戒色ですよね。上から見ると目立たない黒色で、下から見ると強烈な色をしているのは、上からだと鳥などに見つかりにくい保護色系で、上陸のために水面近くを泳いでいるところを下から魚食魚に狙われた際には有毒であることを示す警戒色になっているといった効果があるのでしょう。

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