タイワンリス
2018/12/25
中国からマレー半島にかけてひじょうに広い生息範囲を有するクリハラリスの台湾固有亜種だそうです。日本では伊豆大島に持ち込まれ、飼育個体が逃走し野生化したのが最初で、それ以降各地の公園等で観光用に放たれているのだそうです。
日本在来種のニホンリスがこれより少し小型のため競合に負けて減少しているほか、木の穴で子育てする鳥のヒナが襲われる被害が出て、現在は特定外来種に指定され飼育も禁止されていますが、各地における観光目的の飼育は現在も続いています。
東京の町田リス園で放し飼いされているタイワンリスです。本来成体は単独で行動するそうですが、ここでは群れを成しています。大きなしっぽが大変ボリュームがあります。
放し飼いスペースは金網で外界と隔絶されていますが、おそらくリスはそれをやすやすと乗り越えて逃げ出します。多数の巣箱も用意されていて繁殖が促進されています。
齧歯類(ネズミ目)の仲間としては大型で、進化的にもかなり高等な動物に見えます。多くのネズミのような平面行動ではなく立体行動が得意で、動きも素早く複雑です。
同園のケージ内で飼われているシマリス。シマリスはペットとしても有名ですね。これに比べてもタイワンリスは高等動物に見えます。
人間をまったく怖がず、エサを当てにして駆け寄ってきます。放し飼いスペースに入る際に手袋を渡されます。誤って噛まれるのを防ぐためですね。
園内で売っているリスのエサはヒマワリの種でした。硬い皮を割ってその中身を食べます。
大勢の観光客がせっせと与えても過食にはならないようです。リスたちは満腹を知らないようにいくらでも寄ってきて食べます。ヒマワリの種だけでは量的には大したことないのでしょうね。
動きがひじょうに複雑で、思いもよらない場所から飛びついてきたり、エサを持っている人に飛び乗るのに別の人の体を利用したりと、高度な技を使います。爬虫類の飼育を手掛ける筆者はヘビやトカゲの直線的な動きばかり見ていますから、哺乳動物の複雑な動きには目を見張ります。とっ捕まえることもできません。
後足で立ち上がったり、前足を手のように用いるさまは、霊長類的で、原始的なサルのなかまメガネザルやロリスを思わせます。これまでリスを間近で観察する機会はあまりありませんでしたから、その驚くほど知的な行動パターンに驚かされました。