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自然保護のこと

2014/02/11


 ナチュラリストを自称する筆者は、当然のことながら自然が大好きです。都会暮らしにうんざりして今の山岳地に住まいを求めました。とは言うものの筆者が自然あるいは野生の達人かというとけっしてそうではありません。若いころはよく山歩きをしましたし、虫や小さな生き物を採集して飼育するといったこともたくさん経験しています。しかしながらそれらの経験はけっして他人に自慢できるほどのものではなく、サバイバルチックなレジャーが大好きってほどでもないです。

 重装備で俊嶺に挑む山男(女性も含む)はすごいと思いますし、海や渓谷で釣りをする人、ログハウスに住んでいるような人を見ると感服します。飯盒で飯を炊いてテントで寝る経験くらいはありますし、釣りもやったことはありますが、筆者の数少ない経験なんてお試していどのものです。
 また、さまざまな虫や小動物の飼育繁殖を手がけ、独自の飼育法を確立し、そのためのツールを開発しているような人も筆者にとっては畏敬の対象です。
 筆者くらいの歳になると、そうした数々の達人たちの多くが年下でして、自分は年下の達人たちに感動をもらっているばかりです。歳の分だけたくさんの生き物の飼育を手がけてきましたが、その多くが単にストックするだけに終わっています。本物を自分の目で見て触った経験は、写真や動画の情報とはまったくちがいますが、まぁそれだけです。
 さまざまな生き物を見ていると、それだけで大自然の脅威を満喫できます。人間は自分の都合のいいように自然を開発し、自らの生活環境を自然から遠ざけてきましたが、将来的には大自然と人造物が絶妙に融合し調和した都市と社会が実現するといいな、なんて思います。
 筆者は自然が好きですよ。でも、日々自然と触れ合って生きている人、レジャーや研究で野山に分け入り自然を熟知している人たちからすると、下手の横好きみたいなもので無知もいいとこです。いろいろ生き物を飼っていて、その生態についていくらか知っていることで、自然の達人のように思われるのは正直本意ではありません。SF作家じゃないけれど、筆者の自然に対する考察はそこそこの学識に基づいた想像であったりします。生き物の生態の一面を見て、その生態系における役割がどんなものであるかを想像してみるわけです。ガイア理論によると地球上の生態系がひとつの生命であるそうですが、そうした想像が生まれるのもよく判ります。それほどに自然のネットワークは絶妙であり、地質年代のさまざまな惨劇に耐えて今日まで生命を維持してきたのですから。大自然の奇跡の歴史は、知れば知るほど単なる自然の産物ではなく大きな意志の介入を想像させます。
 自然における生態系のメカニズムを生物学の知識だけで考察するのには限界があります。理論物理学における統一理論や相対論の考え方が、考察の助けになります。個々の生き物を観察し飼育するには、学術的知識や飼育ノウハウを細目に分けて承知することが必要ですが、その生物が本来属する生態系という話しになると、想像力が必要不可欠になります。そして生態系におけるその生物の果たす役割というアプローチからその生物を振り返ると、また新たな側面が見えてきておもしろいものです。
 筆者のこのようなものの見方考え方は、実用性に欠けることが多いので、筆者がいつまで経っても素人のままで業界の達人になれないのは道理といえます。
 電子工学におけるサイバネティックの考え方では、人も電脳システムの一部とされますが、これも自然の考察にたいへん役に立ちます。人は多くの人造物を製造しましたが、それらも突き詰めれば人が生活をするためのツールであり、サルが手の届かないものを取るのに使う棒の延長にあるものです。こうした考え方では、都会よりも自然が好きという理屈は成り立たなくなります。人工の環境も自然の一部に過ぎないからです。それに都市の中にも人が制御しきれない自然はたくさんあります。雑草も生えれば病原菌も繁殖しますし、人がいじったおかげで増長するような自然さえ少なくありません。自然が好きというなら、手つかずの自然という条件づけをしなければ、話しは成り立ちません。
 自然保護という言葉をよく耳にしますが、人間にできる自然保護とはいかほどのものなのでしょう。神だか宇宙人だかの高次元の存在が地球を見降ろした場合、そこにはヒトという支配的な立場をとる生物が繁栄していて、営巣のために星ひとつの気象にわずかな影響を及ぼす程度の開発を実践するだけの能力があるといった評価をするでしょうか。自然に優しいとかなんとか言っても、じつは優しくしてもらっているのは人間の方ですし。どんなに立派な建造物でも経年疲労や腐食といった自然現象をまぬがれませんし、大規模な災害が起きると多くの人造物が自然に帰します。
 そうした中で、我々はどう自然保護をしたら良いのでしょう。自然保護とか自然に優しくとかいった考え方は、ともすればそれ自体が人間の奢りなのではないでしょうか。……なんてことを言ってたらまったく前に進めませんね。人が自然保護を大事に思うのは、自然破壊のしっぺ返しを恐れるからでしょう。山を削ってアスファルトで埋めたら洪水や地滑りが起きた、地下水をくみ上げたら地盤沈下が起きた、生産のために大量の燃焼を行なったら気候が温暖化して異常気象が起きた。数々の失敗が授業になって自然保護という考え方が発達したのでしょう。
 筆者のようなナチュラリストにとっては、数々の獣虫類が安息する手つかずの自然を、人家の身近なところに残しておいてほしいというのが理想なのですが、それでも害虫や病原菌はやっつけて欲しいです。筆者の大好きなスズメバチも人家の近くで営巣して隣人に被害が及べば撃退したいです。これは身勝手というものでしょうか? ならば人の存在、人間の営みこそが身勝手そのものです。
 科学技術の進歩は大好きです。パソコンやスマホのない暮らしなんて考えられないですし、スポーツカーに乗ってガソリンをまき散らしたくもあります。自然破壊や資源の浪費には賛成はできないものの、科学技術の進歩の代償としてそれが伴うなら、あるていどは仕方がないと思いますし、そうして得られた科学技術で、失った自然の回復や自然破壊の少ない技術の進歩を追求すればいいと思います。ちょっと誤解を招きそうな発言ですが、破壊も殺生もなしに生きて行ける人間はいません。
 で、今後の自然保護に望むことですが、破壊に対するしっぺ返しからの学習だけではなく、進んで自然と調和する方向で新しい都市構想を考えて行くべきだと思いますよ。使った分だけ還元する、奪った分だけ返還するというサイクルを構築しながら、生態系に与える影響を可能な限り小さくしつつ自然の中に進出して行く。高速で大容量の交通機関と情報ネットワークを活用して地域格差を少なくし、都市への人口集中を解消して行き、汚染や公害を逓減する。ひとむかし前なら、筆者の住んでいるような山岳地なら、木に抱きついているくらいしかすることがなく文明生活ってなに? みたいな状況でしたが、今ではインターネットもケーブルテレビも思いのままですし、通販で何でも届きますし、外国の珍しい生き物まで居ながらにして入手できます。科学技術の進歩がこれほどまでに田舎暮らしを文明的にしてしまったのです。
 これからの文明社会は、都会という概念を小さくして行き、すぐそばに自然が広がる生活環境を目指して行くべきだと思います。平野部に四角く区画した都市を築くのではなく、六角形の組み合わせの区画はどうです? ボードゲームのマス目のヘックスや、蜂の巣のハニカム構造みたいな感じです。
大小の六角形を組み合わせた区画なら、山の稜線や河川の蛇行にもフィットした街づくりができますし、理想的に自然に溶け込めると思いませんか? 合わせて家やビルも六角柱にしましょうか。六角形という構造体はひじょうに強靱で安定してますし正三角形の組み合わせで構築できますから組み立ても容易で確実です。道路は基本的に三叉路で交わりゆるやかに蛇行しますね。
 ……話しが支離滅裂で飛び飛びですか? それでいいんです。筆者がどのように自然というものを認識し、人との関わりをどのよに考えているのか、何となく分かる気がしていただければ。
 守る、壊さない、節約する、自粛する、といったお行儀よくするという考え方だけでは、人が着手する自然保護は何も前に進まないと思います。これまでの科学技術の進歩は自然破壊を伴うものでしたが、破壊を減らし消費したものを還元する方向での進歩と、自然との調和を人間は考え得るはずです。自然を知りそれを征服するという考え方は、今や幼稚で古い考え方です。多くの人々がそう思っているはずです。技術によってより豊かな自然を身近なものにする、それがこれからの開拓です。
 人はこれからも前に進みます。だんだん利口になって、少しずつ仲よくなって。そしてまた失敗を重ねます。それでもくじけずに前を向いて歩みを止めないでしょう。そのための話し合いをもっともっとしましょう。強力なネットワークが個人と世界をつなぐ時代です、規模の大きな実のあるコミュニケーションが可能のはずです。

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