カラスアゲハ3
2019/07/18
蛹化から10日あまり、一部の蛹が急に色づいてきました。羽化が近いようです。羽化の準備をしなければなりません。小型のチョウであれば、ケージの中に蛹を転がしておいても問題ありませんが、大型種は環境によって羽化不全が起きやすいので注意が必要です。
色づいてきた蛹。腹部はあまり変わりませんが、胸部より前は黒ずみ、成虫の体が形成されつつあるのが判ります。翅に模様の多いアゲハだともっと顕著ですが。
今回はタオル式というやり方を思いついたので試してみました。以前ジャコウアゲハ他で用いた観賞魚のフィルター用のマットを用いた方法よりもさらに簡単です。写真は蛹をタオルに枝ごと縫い付けたところ。
1本の糸でこれくらいの数は一気に縫い付けられます。簡単です。
ケージの壁面やフタの裏側で蛹化する個体も少なくなく、それらは引きはがして転がしておきます。
トールタイプのプラケースに蛹をつけたタオルをかけます。底にははぎ取った蛹たちが転がっています。
プラケースを外から見るとこんな感じ。あとはフタをしますが、フタはかっちり閉まらなくても大丈夫です。
いよいよ羽化が間近に迫った蛹。
背面から見ると腹部も黒くなっています。いよいよ今夜ですね。
色づいた蛹と、羽化までまだ日がある蛹。ずいぶんちがいますね。飼育中に寄生バチの姿を目撃しているので、羽化を前に死んでしまう蛹がいないか心配です。チョウの飼育は寄生バチとの戦いです。でもハチにも営みがあるわけで、寄生が成功した場合はそれはそれで受け入れるしかありません。色づいた蛹に関しては大丈夫でしょう。
全部の殻が裂けています。羽化直前です。じつは蛹を縫い付ける作業中に筆者が誤って破いた可能性があります。
裂け目から頭部や触角、肢を出して動かしていますが、この子はこの状態で2日間待機したままでした。
仕事の都合で羽化の瞬間を見逃しました。脱皮してから翅が伸びるまではあまり時間がかかりませんが、ここから翅がピンと張って固まるまで時間がかかります。
タオルは羽化の足場として申し分ないようですよ。
これから翅が張ってゆくわけですが、この段階つまり翅が伸びてゆくプロセスで充分なスペースとしっかりした足場がなければ羽化不全になることが多く、この状態から空間を確保してやっても手遅れです。
ゆっくりと翅の開閉を繰り返しながら、翅が張り固まってゆくのを待ちます。脱皮が短時間で済むのに対し、翅が固まるまでには何時間もかかります。
タオルに縫い付けた蛹も、転がしておいたものも、すべて問題なく羽化しました。飼育用のケージに移したところ。なんか重なり合ってるし。
メスです。オスよりも緑色っぽいです。性差の特徴をこんなふうに言うと専門家やベテランが顔をしかめそうですが、専門的なことは専門家に任せておきましょう。
浅いトレーにアクエリアスを見たし、スポンジを浮かせておきます。カラスアゲハは水たまりの水も飲むので、こんなセットでも吸汁してくれるでしょう。ピンクの花をかたどった紙片でも置いておくと、エサの認識が高まります。
メスの後翅のクローズアップ。黒字に緑の点々を散りばめた様子が鮮やかですね。カラスアゲハはため息が出るほど美しいチョウです。
翅の裏面はグレーの前翅と黒い後翅、シンプルです。後翅はアゲハ類特有の赤紋が見えます。
オスです。メスに比べて青みが強いです。みなさんはどちらが好みですか?
オスの後翅のクローズアップ。美しい! 今回はオスが圧倒的に多かったです。自然界ではどうなのでしょう。オスの数が多いのでしょうか。あるいは飼育下では飼育環境や食草によって雌雄の出現率が変わるのでしょうか。
蛹はあと数個残っていますから、引き続き観察します。