タイワントゲアリ
2014/03/20
日本の宮古島以南から台湾にかけて普通にみられるアリらしいです。働きアリで5〜6mmあり、しかもずんぐりとした体型でひじょうに大きく見えます。筆者はインターネットで入手しましたが(今はネット上に様々な生物が棲んでいる)送り主の方がどのように入手されたかは聞いていません。
手のひらサイズのプラケースに、かなりの数のアリが入っていました。プレケースの底には石膏が敷いてあり乾燥対策の加水が施してありました。別に餌場がついていてチューブで連結してありそのまま飼育できる状態でした。
自作したオリジナル飼育ケースの最初の犠牲者に本種が選ばれました。まぁ、頑張れ。自作飼育ケースがいかようなものかは、別項を参照してください。とりあえず上の写真がアリたちをケースに収容したところです。赤い矢印が餌場、青い矢印が餌場と飼育ケースをつなぐナイロンチューブ。黄色い矢印はウールマットで満たされており、この室には進入できません。ただし連絡口があって隣接する4つの室からウールマットに触れることができます。フタに開けた穴から注水し、アリたちに飲み水を供給します。水場を囲む8つの室が当座の居住スペースで、最右列と最下段の7つは、今のところシャッターで閉鎖しており、将来コロニーが大きくなった時の拡張スペースです。緑の矢印は、送り主が使用していたプラケースで、参考までに置いてみました。このケースからすると、かなり居住スペースが広がりましたね。
自作ケース内のアリンコたちです。平地でよく見かけるスリムなアリンコに比べるとかなり迫力があります。
幼虫および蛹です。アリたちの暮らしは子育てが中心になります。とりあえずは水場の上の室に子供たちを収容しました。
水場の下の部屋を撮ってみました。部屋の上部の連絡口から水を飲んでいるアリが確認できたのですが、写真ではよく判りません。残念です。小さな生き物を撮るには、やはり専用のカメラが必要ですね。
餌場には、爬虫類用の乾燥餌(イグアナフード)、高タンパク昆虫ゼリー、乾燥アカムシを入れてみました。イグアナフードはけっこう甘い匂いがします。筆者は、爬虫類用に活き虫もストックしているので、それも活用して行きます。
昆虫ゼリーは、アリの好物と踏んだのですが、本種に限らず意外に好まれません。白い小皿の寒天状の固まりが昆虫ゼリーで、何やら汚れた感じになっているのは、乾燥アカムシをふりかけてあるからです。
飼育ケースに収容してしばらくすると、幼虫や蛹は室の隅の方にまとめられ、それを覆うように働きアリたちが覆い被さりました。
トゲアリの名は、胸部や腹柄節にある棘状の突起に由来すると思われますが、上の写真では、前胸から頭部の方に突き出す突起が伺えます。
アリたちを収容した次の朝、幼虫や蛹は左側の室に移動されていました。本種は夜行性が強いようで、日中は動かないので死んでいるのかと心配してしまいます。夜間に観察すると、まるで異なる種のように様子がちがいます。ひしめき合って動いています。
さらに次の日、幼虫や蛹は右下の室に移されていました。いったい何をやっているんだか。
こうして毎日あるいは数日ごとに幼虫や蛹の居場所を変えています。夜間はまるでパニック状態のように動いている(観察のためにライティングするので、実際にパニックなのかも)のですが、日中は居場所が変わるものの、子供たちの部屋とそのとなりの部屋にみなさんかたまってじっとしています。可愛いですね。
トゲアリの仲間は、幼虫の吐いた糸を使って巣作りをすると聞いたことがあります。プラスティックの環境の中ではどうなのでしょうね。筆者がかつて飼っていたツリースパイダー(タランチュラの一種)のように、ケース内を糸綿でモクモクにしてしまい、中身が見えねぇ、なんてことになったらヤだなぁ、なんて思ったり……。