1_萌萌虫雑記帳.png

タンパク合成

 前項では、ずいぶん小難しいことを列記しました。塩基がどうの、カルボキシル末端の酸素がどうの……。詳しくは学術書とか読んでみて下さいね、もっと眠くなること請け合いですから。本著では、DNAが生物の体を形成するタンパク質を合成するための、アミノ酸配列順序の記述書であることと、それが細胞分裂によって1個の生物の全細胞に遺伝すること、生殖細胞では半分だけ遺伝し、異性と出会って交配して受精卵になると、父母の半分ずつのDNAが合算されて元の数に戻ること、つまり子は父母のDNAを半分ずつ受け継いでいること、そんなところを理解いただければ良いんじゃないかと思います。
 後生生物つまり多細胞生物でも、最初は1個の細胞すなわち受精卵からスタートし、細胞分裂を繰り返すことによって成長して行きます。このプロセスは単細胞生物の生殖とまったく同じです、原始の時代から今も変わっていません。
 細胞分裂では全ての細胞に同じ遺伝子がコピーされますが、体の場所によって細胞の形や性質は異なります。これは、タンパク合成によって体を作る際にDNAの異なる部位を読み取るからです。
 細胞核の中にあるDNAのセット(ヒトの場合は46本で1セットです)は、体内の細胞の数だけ存在し、その全てのセットに生物の体を構成するための全記録があります。だから体の一部の細胞を切り取ってクローン培養すると、1個の完全な生物が出来上がります、便利ですね。
 生体内の全てのDNAには、その生物の全ての情報が記述されているわけですが、そればかりではありません。むしろ生物の記録は極一部で、DNA内の記録のほとんどは使用されていない無駄な記述なのだそうです。DNAが長くなるはずですね。長くしても足りなくて何十本にも分冊されています。無駄な記録を省いて1本にまとめればひじょうにコンパクトにまとまるのに。しかも、細胞分裂の際には無駄な記述まですべて余すことなく忠実にコピーするわけです。ご苦労なことです。

 DNAの中に、実際の生物のための記録つまり質的遺伝子と、膨大な無駄な記録すなわち量的遺伝子が存在するのはなぜでしょう?

 (1) 遺伝情報を盗まれないための巧妙なめくらましのため。
 (2) 生物の進化のプロセスで遺伝情報が変更されても古い情報を破棄するのがもったいなくて溜め込んでしまった。
 (3) 人間が無駄だと思っているだけで、実は生成内の様々な制御の情報が書かれてある

 筆者は、この答えについて具体的に触れた学術書に出会ったことがありません。ただ、膨大な量的遺伝子のなかから質的遺伝子だけを抽出して、それを元にタンパク合成を行なう方法というかプロセスについては多くの学術書に紹介されてあります。
 それはおおよそこんな感じです。DNAの特定の部位に取り付いた特殊なタンパク質が、2重螺旋になった核酸をほどいて、中の塩基配列を露出させます。その塩基配列に鏡面になるように塩基が次々と取り付き、新たな塩基配列が生成されます。こうして生成された塩基配列が、実際のタンパク合成に使用されます。生成された塩基配列はRNAとしてDNAの部位から離れ、リボゾームというタンパク合成の工場に運ばれます。
 そしてRNAが実際のタンパク合成用コードとして用いられる前に、スプライシングという工程を通り、RNAの中に入り込んでいる不要なコードすなわちイントロン遺伝子が取り除かれます。イントロン遺伝子の方が、必要なコードであるエクソン遺伝子よりもずっと多いそうです。
 スプライシングによって不要なものを除去され、必要コードだけを集めてつなぎ合わせたものをメッセンジャーRNAと言い、これが実際の設計図になります。
 リボゾームは、メッセンジャーRNAの塩基配列を3つずつ読み取り、それが示す通りのアミノ酸を引っ張って来てどんどんつないで行きます。
 メッセンジャーRNA上のコードは3つずつセットになっているので、トリプレットコドンなんて言うおちゃめな名称で呼ばれています。トリプレットコドンは、DNAの特定の部位を鏡面につまり逆さまに読んだものですから、DNAに書かれてあるコードは実はアンチコドンなのですよ。
 リボゾームで合成された長大なアミノ酸鎖は自主的に丸まって1つのタンパク質粒子となります。自主的にってところのカラクリは、話すとだれるのではしょります。
 コラーゲンだとか、様々な酵素だとか、構造タンパク質だとか、僕たち私たちの体を作るプロテインは、すべてこのようにして遺伝情報を元に作られるわけですよ。だからですね、コラーゲン配合!なんていうサプリメントとかに甘えていて良いのか、みだりに摂って良いのだろうか、とか時々思うのですよ。体に必要なタンパク質はDNA情報を元に作られるべきものですからね。なんだかよく分かりません。
 ま、健康談議は本著とは関係ないので、とりあえずは遺伝子の偉大さに感服し、煩雑で大変なタンパク合成のプロセスにあきれたところで、本項の理解にいたったということにしておきましょう。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

索引


目次

スネさん リーザさん けもの 庭虫
雑虫 クモ 直翅系 半翅系 膜翅系 鱗翅系 鞘翅目 毒虫 魚たち 無脊椎
両生類 カメたち 絶滅動物 くさばな 庭草 雑草 高山植物 飼育と観察 ヒト □飼育動物データ




 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>

サイト内検索

NEW ENTRIES


Amazon Kindle 電子出版のご案内
cover4.jpg


★講読には
Kindle 読書アプリ
が必要です。



sijn.jpg






recent comment

recent trackback

プロフィール

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM