タンポポ2
2014/04/15
日本のタンポポの在来種は、帰化植物の西洋タンポポとの競合に負けてほとんど見られなくなってしまった、そんなことを聞いたことがあります。タンポポに限らず、メダカやバラタナゴといった川魚も同じような状況にあります。なんだか日本の在来種はひ弱で、外来種にことごとく敗退しているように思いますが、そもそも帰化先で勢力を拡大するような外来種が強すぎるんですって。日本の生き物だって、海外で猛威を揮っているものがいると思いますよ。
先日、筆者の家から徒歩圏の山林に分け入って探索したところ、日本在来のタンポポがけっこう残っていました。一見してどうちがうのか、よほどのタンポポ通じゃないと判らないと思いますが、花の色が少し淡い感じで、葉も丸みを帯びています。
西洋タンポポと日本タンポポの決定的なちがいは、花弁を支える萼の下にある外総苞片といわれる器官が反り返っているかいないかなのですが、ご覧のように上の写真のそれは反り返っていません。外総苞片が反り返ることなく萼に密着しているのが日本タンポポの特徴です。
じつは、ニホンタンポポという名称の植物を検索しても見つかりません。日本タンポポと西洋タンポポのちがいに関する記述は、ネット上にいくらでも記載があるのですが、それぞれは単一種というわけではないようです。したがって筆者が見つけた日本タンポポも、種を同定する能力は筆者にはありません。
上の写真は、タンポポの紅葉です。高い耐寒性を持つタンポポですが、冬場は地面にピッタリと張りついて半休眠状態で成長もしません。そしてひじょうに強い冷気にさらされ続けるところでは、このような葉の変色が見られます。そのうち緑の葉が出てくるのでしょうが、その前に花をつけている辺りが、この植物の繁殖力の強さを伺わせますね。でも、日本タンポポは西洋タンポポほどの繁殖力は持ちませんし、開花時期も春のみと、春から秋にかけて咲き続ける西洋タンポポよりも限定的です。
しばらく歩いて行くと、葉が丸みを帯びず、西洋タンポポと同じようにノコギリ状になっているものを見つけました。これも日本タンポポですが、葉が丸みを帯びるものとは異なる種なのでしょうか。
この苗も寒さで葉が変色していますが、葉の形状はノコギリ状です。ネットで調べてみますと、関西圏で最も多いニホンタンポポがカンサイタンポポといわれる種で、掲載されている写真はいずれも葉がノコギリ状でした。
ただ、葉の形状でタンポポの種が区別できるものかどうかは、筆者には分かりません。あるいは異種交雑によって葉が変形することもありますし。
山林を後にし、川べりのサクラ並木にやってまいりました。今はサクラ祭りの真っ只中です。サクラの植え込みの周囲にも、たくさんのタンポポが咲いていましたが、この辺りのものは西洋タンポポですね。花の色が濃く、葉はノコギリ状です。これから秋に至るまで次から次へと花を咲かせ続けます。
日本タンポポと西洋タンポポを見分ける決め手となる外総苞片とは何ぞい? とおっしゃられる方でも上のツボミの写真を見ていただければ明白ですね。花とは逆方向に反り返っている先の尖った緑色がそれです。
花を横から見ても、外総苞片は同じ形状をとどめています。バナナの皮を向いたような感じに下方に開いています。
ところで、タンポポは食用ですよ。葉も花も根っこもみんな食べられます。葉はサラダやごま和えにするとよろし。
筆者が飼っているフトアゴヒゲトカゲやトゲオアガマもタンポポが大好きです。葉も花も喜んで生食します。とくに物おじしないフトアゴ君は、庭に放ってやるといきなりタンポポに食いつきます。ついでにタンポポについていたイモムシも美味しくいただいておりました。ワイルドだ。