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量的遺伝子と質的遺伝子

 DNAに記載されている遺伝子コード(アンチコドンですね)は、そのほとんどが使われていない無用な記録です。おかげでDNAはたいへん長大になり、3重コイルに巻き上げてさらに4つ折りにしてX形にひねって束にしないと細胞核に納まらないありさまで、ヒトの場合はこれが46本に分冊されています。ちょっと整理すればよさそうなものですが、もっと原始的で単純な微生物のなかには、染色体を100本くらい抱えて大きな顔してる片付け下手もいるらしいので、これに比べるとヒトの遺伝子はよく整頓されている方かもしれません。
 さて、この無駄に膨れ上がった量的遺伝子の山なのですが、ほんと何とかならないものでしょうか。それとも本当に不用なものなのでしょうか。
 筆者は、あれこれ想像力を働かせてですね、この量的遺伝子の存在するわけ、棄てられないわけについて考えてみたのですよ。

 今は無用な量的遺伝子も、かつては、今の生物に進化する前には実際に活用されていた質的遺伝子だったのだとしたらどうでしょう? つまり遺伝情報はその生物がたどった進化の道筋の記録だというわけです。もちろん進化のプロセスのすべてが記録として残っているわけではなく、いわばダイジェスト版みたいな情報が残っている気がするのです。
 生物は、常に進化し続けている存在です。とくにヒトのように種として進化してたかだか200〜300万年しか経っていない生物では、世代交代ごとの変異もかなり著しく、顔つきも目に見えて変わりつつあります。そうした変異がやがて次の進化を導く可能性であるわけですが、新しい変異が発現する度に、これまでの古い情報をちゃっちゃと棄てちまうわけではない、だから時々先祖返りみたいな変異も起こり得る、遺伝子の記録はそんなふうになっているに違いないのです。
 どの情報を残しどれを棄てしまうかは、その時々の偶発的な要因によるのかもしれません。上述した原始的な微生物では、ヒトよりもたくさんの遺伝子を持っているわけですが、それはヒトが高度に進化したおかげで片づけ上手になったからなのでしょうか、それとも日々進化し続けて性質が定まらないバクテリアにあっては、参照できるデータがたくさんあった方が有利だからでしょうか。いずれにしても、古い情報を捨てずに持っているという事柄は生物にとってひじょうに重要なことにちがいありません。

 生物は進化し続け、決して進化の逆行はありません。逆行はしないけれど、環境や競合する周囲の生物との駆け引きのために、古い遺伝情報を引っ張り出して来て使うなんてことがあるのかも知れません。
 DNAの情報を元に、タンパク合成に使用するメッセンジャーRNAを作成するとき、不用なデータ(イントロン遺伝子)を除去するスプライシングという煩雑な工程を通りますが、イントロン遺伝子はじつは少し前まで使われていた古い遺伝子で、必要に応じてスプライシングを調節して使用する、そんなふうになっているかもなのです。まったく使うことがないデータなら、タンパク合成のプロセスとは無縁の古書コーナーにでも置いておけば良いのですがから。必要な情報(エクソン遺伝子)ととなり合わせに置いておくなんて、わざわざミスを起こりやすくしているようなものじゃないですか。スプライシングなる工程には、遺伝情報を調整して活用する、なんらかの意味があるのですよ。
 ということで、古参の今は使われなくなった遺伝情報は、生物の形質を調節して環境に適応するための重要な"ゆとり"なんですよ、きっと。

コメント
人間のイントロンの配列を変異させて(使用するために変異する)一部のエキソンをスプライスして正常組織にはないタンパク質を産生しています。
癌学会に発表済み。
  • 工藤憲雄
  • 2010/08/10 10:49 AM
工藤憲雄様。
たいへん貴重なコメントありがとうございます。
遺伝子工学のさらなる進歩で、スプライシングのメカニズムの重要性と、進化の能動性(方向性)が解明されてゆくことでしょう。
科学者ならぬ私どもでは、理論を弄ぶしか方法がありませんが、アイディアをブログ等で発信してゆくという活動で、科学に貢献できたらなと考えております。
今後とも、アドバイスよろしくお願いいたします。
  • 筆者
  • 2010/08/11 10:57 AM
転移性乳癌のハーセプチンは全世界で年間約5000億円の売る上げがあります。薬理作用は抗体依存性細胞障害活性(ADCC)ということですが、これが否定されております。メーカーの言い分では薬理作用がADCCであろうと思う、、とは記載しているがADCCであるとは断言していないということです。皆さんはどう思いますか?。
  • 工藤
  • 2010/09/04 10:00 PM
アンジェリーナさんの乳房除去は間違っています。tMK(胎児性増殖因子)が未発現の場合BRCA1.2に変異があっても乳癌になっていません。1998年から今日まで世界各国でtMK未発現のBRCA1,2変異で乳癌の発生は皆無です
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2014/08/21 4:44 PM
お久しぶりです。
毎回力強い論説をありがとうございます。
おっしゃるとおり、アンジェリーナさんの乳がん予防のための執刀というのは私どものような素人にも無謀な気がします。発癌要因を取り除くのではなく、抗癌に効力を発揮する免疫力増強という方面での予防策はないものでしょうか。

工藤様、ご自身のご意見を発信するためのサイト等をお持ちでしたら、ぜひ URL を当欄にて紹介してください。
  • 筆者
  • 2014/08/22 8:24 AM
遺伝子性乳癌のみならず転移している乳癌のすべてにtMKが発現していることは私達以外の研究グループからも論文発表されています。進行性癌組織で発見された癌特異的変異増殖因子:http://midkine.409.jp/をお読みくださればヒト進行癌の発症メカニズムのほとんが理解可能です。
  • 工藤憲雄
  • 2014/08/22 4:12 PM
腫瘍マーカー(CEA,AFP等)は50種類以上ありませが転移腫瘍マーカーは人類に一つしかないことが確定しています。最終的にがん患者を死に至らしめている実に90%が転移腫瘍マーカー(癌特異的変異増殖因子:tMK)が陽性の転移なのです。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2014/08/30 3:06 PM
再発・転移を手術前に知ることが出来る検査が可能になっています。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2014/09/18 8:28 AM
「HER-2阻害剤が犯す三つの大罪」→HER-2阻害剤が産性の胎児肝臓増殖因子が三つの大罪を犯す。一つ:乳管(上皮細胞)・小葉を囲んでいる基底膜を破壊する。二つ:基底膜の破壊と造血管によりがん細胞が血中を循環する。事実、胎児胎児肝臓成長因子が検出薬(特許得)から検出されている。三つ:細胞内基質分子の恒常的リン酸亢進による制御なき腫瘍増殖。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2014/12/06 8:43 PM
「HER-2阻害剤が犯す三つの大罪」→HER-2阻害剤が産性の胎児肝臓増殖因子が三つの大罪を犯す。一つ:乳管(上皮細胞)・小葉を囲んでいる基底膜を破壊する。二つ:基底膜の破壊と造血管によりがん細胞が血中を循環する。事実、胎児胎児肝臓成長因子が検出薬(特許得)から検出されている。三つ:細胞内基質分子の恒常的リン酸亢進による制御なき腫瘍増殖。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2014/12/06 8:47 PM
HER-2阻害剤が犯す三つの大罪→HER-2阻害剤が産性(薬剤性)の胎児肝臓成長因子が三つの大罪を犯す。掲載文献をお読みください。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカ研究会会員)
  • 2014/12/06 9:48 PM
死亡しているがん患者さんのすべてにtMK(胎児肝臓成長因子)が発現していることを医師がなぜ治療中の患者に知らせないのか?。理由はハッキリしています。tMKを標的にした治療薬が現在世界に存在しないからです(開発されていない)。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2014/12/10 12:31 PM
tMK(胎児肝臓成長因子)は血中循環がん細胞から分泌されており検出薬(特許取得)によって血中及び原発巣と転移巣の組織抽出物から検出されている。チロシンキナーゼ阻害剤が転移で死に至らせるtMKを発現している。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2014/12/16 9:39 PM
「チロシンキナーゼ阻害剤が死に至るtMKを発現」
tMKが二量体化している受容体は受容体型チロシンホスファターゼであって受容体型チロシンキナーゼではない。したがってtMKの発現によって転移で死に至っているがん患者にはチロシンキナーゼ阻害剤(ハーセプチン・イレッサetc)は全く効能が認められない。tMKを発現していないがん患者にチロシンキナーゼ阻害剤を投与した場合にはtMKを発現する遺伝子変異(11p)を起こし患者を転移で死に至らしめている。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2014/12/18 11:16 PM
最終的にがん患者が死に至るのはtMKによる転移プロセスです→平成25年にがんで亡くなった人は36万5000人です(日本国内)→亡くなった36万5000人の患者さんに発現しているのがtMKです→tMKが発現したときに転移が開始されます→tMK発現のがん患者のみが死に至っているのはなぜか?→tMKとtMKの二量体化受容体に対する治療薬が未だ世界に存在しないからです→tMK阻害剤の開発で36万5000人の患者さんが救われます
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2014/12/23 12:38 PM
転移するガンだけを攻撃する抗体を作成いたしました(特許成立)。現在世界の何処の国でも創薬化されていません、理由は転移するガンだけに特徴的な分子の存在が知られていなかったからです。がん患者を死に至らしめている転移の医学的根拠を学会発表いたしました、発表者は私です。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2015/02/24 1:47 PM
分子標的薬を投与の患者が必ず知っておかなければならないこと、それは標的分子には2種類が存在しているのです。1)がん細胞に多く発現しているものの正常細胞にも一部存在している。2)がん細胞だけに発現して正常細胞には存在しない。現在の分子標的薬は1)に対するものしか創薬化されていません。1)と2)では結合する受容体が異なっています。2)の発現機序が最近解明され学会発表されています。
  • 工藤憲雄
  • 2015/03/28 1:14 PM
癌転移遺伝子産物(tMK)が陽性の患者は100%死んでいます。tMK陽性=100%死ぬ tMK陰性=100%がんでは死なない tMK遺伝子の存在がエビデンスなので科学的根拠が100%真実として証明されています。tMK陽性は臓器転移がある癌なので「本物のがん」といいます。tMK陰性は臓器転移がない癌なので「がんもどき」といいます。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2015/04/10 4:00 PM
がん細胞の定義が変更になりました。ぜひお読みください。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2015/05/02 12:01 PM
「がんもどき」のエビデンスを証明する遺伝子が発見されました。がんもどき論争に終止符が打たれます。
  • 工藤憲雄(日本分子腫瘍マーカー研究会会員)
  • 2015/06/10 4:26 PM
がんと診断された貴方は主治医からがん転移遺伝子の発現有無の説明を受けましたか?。がん転移遺伝子発現のがん細胞受容体は受容体型チロシンホスファターゼであって受容体型チロシンキナーゼではありません。分子標的薬の標的を間違ってはいけませんのでよく覚えておいてください。
  • 工藤憲雄
  • 2015/09/02 1:32 PM
「ガンの再発はがん転移遺伝子産物が陽性の患者に起こっている」。顕微鏡検査(組織診)で鑑別できない小さなガン転移細胞が分泌しているがん転移遺伝子産物が血中(血清)から検出されている。1)がん転移遺伝産物検出抗体(特許番号3920556号) 2)がん転移遺伝子多型変異検出(特許番号4300002号)。これらは保健適用申請をしていないので検査は全額実費負担になる。
  • 工藤憲雄
  • 2015/09/25 7:53 AM
「分子標的とプロパガンダ(嘘の分子標的で創薬している)」が近々出版されますのでぜひお読みください。
  • 工藤憲雄
  • 2015/10/22 8:30 AM
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