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雑記帳のこと2

2014/04/27


 筆者は、ごく幼い物心ついた頃から虫や草花と親しんでまいりました。小中高の義務教育の間絶えず何がしかの生き物を飼っていましたし、野山へ行って自然と戯れていました。思えば半世紀くらい動植物と付き合ってきたと思います。
 筆者が子供の頃は、外国産のかっちょいいカブトムシやクワガタムシは、現物を知らない架空の生き物でしたし、図鑑やテレビで紹介される珍しい魚や動物もペットトレードに乗ることはありませんでした。ただ、小鳥の流通は今よりもはるかに盛んでしたね。筆者も小学生の頃からジュウシマツやセキセイインコといった小鳥を飼育しましたが、ああした鳥類はいつ頃からペットショップから消えていったのでしょう?
 今でももちろん、小鳥の取扱店はあるにはありますが、筆者のような爬虫類愛好家には、むかしは見なかった小型の猛禽類の方が目につきます。
 インターネットの普及と共に、外国産の様々な昆虫や毒虫、爬虫類や哺乳類でもかつては動物園でも見られなかったような種までペットとして輸入されるようになりました。
 これは珍しい生き物を国民に紹介して行こうという国家の思惑ではなく、図鑑やテレビでしか見たことがない憧れの獣虫類を日本でも飼ってみたいと願う人たちの努力の成果です。ネット社会は多くの人々に知恵とノウハウを与え、国家に依存することなく行動する能力を与えました。

 筆者が若い頃は、プロや専門家に対する畏敬は絶大なものでした。筆者が20年30年の時を費やしても得られなかった知識や技術を、大学で学んで専門課程に進んだ人たちは数年の内に習得してしまい、何十年経っても何ひとつ成果を挙げられない筆者を差し置いて発明発見を重ね技術改革を行ない、若くして博士号を取得して行きます。
 ところが、ネット社会以降は、アマチュアの快進撃がすさまじく、ついこの間まで趣味で生き物を育てていた人が、いつの間にかプロのショップオーナーになっていて、様々な珍虫珍獣を輸入し、博士顔負けの学術的な講釈をネット上に紹介していたりします。
 かつては、それまで知られていなかった生き物の生態を究明するのは、動物園や水族館の専門家の役割でしたが、今ではその多くがアマチュアやペットショップで行なわれています。
 つい最近まで長期飼育や繁殖が困難で、ひじょうに高価な生き物であった種が、多くの人々の努力によって国内繁殖が実現し、ひじょうに飼いやすい生き物になったという事例も、ショップとアマチュアの連携によって達成されて行きます。
 アマチュアのレベルアップと飼育ノウハウの蓄積はすさまじく、今では生き物の生態の解明は専門家とアマチュアのネットワークによって推進されています。
 筆者も、少年の頃から生き物の飼育に様々な工夫をこらしてまいりました。土中で暮らすカブトムシの幼虫の蛹化や羽化を観察したいと考えて紙製の筒に幼虫を入れてみたり。それが今では人工蛹室なる商品として市販されています。もちろん筆者が作ったボロッちい紙製ではなく、再利用可能な立派なものです。あるいは土を用いず透明ケースでアリのコロニーを長期飼育する方法も開発され、専用飼育ケースが市販されています。本当にすごいです。感服いたします。

 筆者がこれまで取り組んできたことは、様々な種を同じ方法で飼ったり同居させたりといったことがことが主で、これは残念ながら生き物業界にあまり貢献できません。これは飼育スペースとメンテナンスの省力化、汎用化に貢献でき、筆者のなまけ心を充足させるのに貢献しています。それと、棚ぼた的に生き物の生態の本質を見ることができたりもします。
 様々な技術やノウハウが日進月歩で進んで行く中、筆者のできることなんてなにもないなぁ、というのが正直な思いです。さりとて生き物の飼育は、筆者にとって癒しでも、あるいは寂しさをまぎらすためのものでもありませんし、コレクションでもありません。いったい何のために飼っているのでしょうか。熱心にブリーディングや技術開発や品種改良に取り組んでいる人たちに軽蔑されそうです。
 筆者が、このブログで飼育ノウハウについて語ることは多くありません。そうした事柄はもっと優秀な人たちに任せるべしです。筆者は、生き物を飼っていて気づいたこと、学んだことをメモるためにこの雑記帳を書いています。他人から教えてもらった飼い方を実際に自分がやってみてどうだったのか、あるいは生き物の形態や生態から何が想像できるのか、その生き物の進化の過程や生態系における位置づけがどうなのか、あれこれ想像を巡らし、それを書き留めておく、これが筆者の生き物の飼育や植物の栽培に対する方法意識ですね。
 筆者は、専門用語があまり好きではありません。使い慣れない用語を使おうとすると、誤用や誤解を招くことが多々あります。
 このブログでも、筆者の専門用語の誤りを読者の方に指摘していただいたことがあります。ありがたいことです。その際に、指導的なことを書いているのに、ちゃんと確認しないのですか、というお叱りを受けました。用語の誤りを指摘されるとともに、筆者の記事がどのように見られているかを知らされるたいへん貴重なご意見でした。
 読者の中には、筆者のことを小動物の飼育の専門家のように思っている方がいらっしゃるかも知れませんね。ところが筆者が大学で専門教育を受けたこともありませんし、ペット業界の人間でもありません。生き物の飼育に関してはまったくの素人です。筆者は自身の飼育経験から学んだことを記述するためにこのブログを活用しています。ですから、ここに書かれたことは、最先端の飼育ノウハウでもなければ、専門家や業界人の方法論でもありません。もちろん業界の人の話しを聞いたり、専門書を参照したりしますが、教えてもらったことを自分なりに工夫して飼育に活用しています。
 こうしたやり方は、生き物の飼育者が誰でもやっていることですね。言わば筆者もそうした飼育者のひとりというわけです。ここに記述する内容は、ひとりの飼育者のひとつの経験とそこから学んだ独自の知識と考え方というわけです。

 現在の飼育事情は、多くの人たちの研究の積み重ねと意見交換の繰り返しによって進歩しました。そしてそれにはインターネットが大きく貢献しています。多くの飼育者が経験から学んだことをネットにアップすることで、それらが情報として蓄積され、より多くの人たちがそれを参照します。ネットで得た知識を自分の飼育に活用し、工夫や修正を加え、また新たな情報としてネットにアップします。人と人とが集まって議論するまでもなく情報交換が成され、飼育技術が向上してゆくのです。
 筆者のような素人でも、経験が少ない人でも、自分の記録をネット上に公開することができます。記録を残し、それをネットにアップするということは大切なことだと思います。そうすることによって意見や質問をいただいたり、誤りを修正されたりし、独りでやっていたことがそうでなくなります。そしてそれは、自分のためになると同時に他の人たちにも知識を授けることになります。熟練の専門家が経験の浅い素人から学ぶこともあります。ネットという環境は、様々な能力や立場の人が同列でコミュニケーションできるところに強みがあります。誤った情報や悪意の情報が流れることもあるでしょうが、それを是正し淘汰する圧力も存在します。
 筆者はこれからも雑記帳をつけてゆきます。見たこと気づいたことを忘れないように書き記すといった感覚で記録を残して行こうと思います。記事の中に少しでも読者のお役に立てる情報があれば参考にしてみてください。記述内容に誤りがあったり、反対意見があったりした場合はコメントをお寄せください。この雑記帳は、読者への情報提供である以上に自分の勉強のためであると考えます。
 様々な生き物の飼い方について、流通事情について、はたまた生き物の生態や生態系のこと、進化のことについて、読者の皆さんのご指導を賜りたいと思います。

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